冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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おまけ

おまけ ノヴェムのプロポーズ大作戦

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※ノヴェム視点 9/15 日曜日の戸鳴町でのお祭りの前の、ノヴェムくんの様子。



お兄ちゃんにプロポーズしたい。もう何度もお嫁さんになってと言って断られず、指輪を渡して受け取ってもらえたから、婚約は出来ているはず。でも、お兄ちゃんは日本語で言って欲しがってる。

「うぃる、ゆー……まりー、みー」

やっぱり生まれ育った国の言葉の方が響くのかなぁ。お兄ちゃんがアメリカに住みたくないって言ったら、日本に住まなきゃならないから、日本語は覚えなきゃだし。勉強しなくちゃ!



でも、プロポーズを日本語でどうすればいいのか、授業では教えてくれない。早く知って早く言わないと、お兄ちゃん盗られちゃう。お父さん、お兄ちゃんにちゅーしてた。ノヴェムのって、ダメって言ってたのに。お母さんが見てたドラマで見た、クローゼットに隠れたりする人、勝手にお嫁さんとちゅーする悪い人、まおとこ、ってヤツだ。お父さんはまおとこなんだ。

「せんせー」

お父さんは日本語が上手い。でも、お父さんは悪いまおとこで、ライバルだからお父さんには聞けない。お兄ちゃんに聞いたことをお兄ちゃんに言うなんておかしいから、お兄ちゃんに聞くのもダメ。せーかお兄ちゃんを頼ってもよかったけど、お兄ちゃんと同じお家に住んでるから、お兄ちゃんにうっかり言っちゃうかもしれないから、学校の先生に聞くことにした。ノヴェム、あんぜんさくを取れる男だもん! キケンな男がモテるらしいけど、結婚するなら安定してる人ってお母さん言ってた!

「あら、どうしたのノヴェムくん」

「きくー……ぅー…………しつもん、です!」

「質問覚えられたのね、えらいえらい。何が聞きたいの?」

「うぃる、ゆー、まりー、みー。日本語、言うと……何か、教える、ください!」

頭を下げた。放課後でランドセルを背負っていたから、ランドセルが重たくてでんぐり返ししちゃいそうになっちゃった、先生が支えてくれてギリギリせーふ。

「プロポーズね……」

「早く、覚える……する、ぁー……ぅー……覚える、したい、ます!」

《誰かに結婚を申し込みたいの? ノヴェムくんはまだ八歳でしょう、十八歳にならないと結婚は出来ないのよ》

《早く言わないと盗られちゃう! お兄ちゃんカッコイイの、モテるのぉ……ノヴェム、予約しておくの!》

《婚約ね。なるほど。お兄ちゃん……男の子なのね、近所の子? 近所のお兄さんって初恋泥棒よね~……ね、どんな子?》

早く日本語を教えて欲しい。ノヴェムは恋バナをしたいんじゃない。

《優しくて、カッコよくて、たまに可愛い! いつもノヴェムの頭撫でてくれて、抱っこしてくれて、ぬいぐるみもくれたの、オーガスト! とびきり優しくてカッコイイんだぁ。でもお兄ちゃんちょっと……本当にちょっとだけだよ? ちょっとだけ、おまぬけさんなところあるの。だから、悪いまおとこに盗られちゃうかもしれないの。だからノヴェムとちゃんと婚約するの!》

《ま、間男……よく知ってるのねノヴェムくん》

《お願い教えて! お兄ちゃんにプロポーズするの!》

「けっこん、してください。よ」

「けこー……して、ください?」

「けっ、こん」

「け……こん」

あまり長くなくてよかった、覚えられそうだ。

「ありがとー、ございます!」

せんせーにはありがとうって言い切れない。十年後の結婚式で一番いい席に座ってもらおう。

《でもそれだけじゃ味気ないかなぁ。君の瞳はまるで星空のよう……とか、僕の心を盗んだだろう? とか、そういうことも添えないと。外国人に口説かれる時の日本人は、日本人が言えないそういうことを求めてしまうものなのよ》

《え……? えっと、えっと、考えてきます! 明日また、教えてください!》

大慌てでお家に帰って、せーかお兄ちゃんに頼んで恋愛ものの映画‎を見せてもらった。せーかお兄ちゃんはマセてるなんてからかってこないから過ごしやすい。

《君の瞳はまるでゴルゴン、見つめられると動けなくなってしまう。君の髪はまさに黒曜石、私の心を捕らえて離さない。君の心はウユニ塩湖、どこまでも透き通る純な心。君の居ない世界はケーキのない誕生日、サンタが来ないクリスマス、どうか永遠に私の世界に在って欲しい。だから、結婚してください》

「長っ……!? ぁ、いえ、詩的ねぇ」

《日本語で言うとどうなるの? せんせー》

《……ちょっと削らない?》

《やだ! ノヴェムのお兄ちゃんへの気持ちだもん》

《長くなるけど覚えられる?》

《………………がんばる!》

《……ローマ字で書いてあげる。がんばってね、ノヴェムくん》

メモをもらった。僕が考えたプロポーズを翻訳したメモ。これをお兄ちゃんに伝えたらきっと、お兄ちゃんの方からちゅーしてくれる。

「おにーちゃ、の……ひとみ、わ、まぅで……ま、る……で……まる、で……まぅで」

日本語練習しなきゃ。
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