冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,639 / 2,313

間接キス騒動 (水月+ノヴェム・ネイ・ハル・リュウ・シュカ・サン)

しおりを挟む
ノヴェムを泣かせてしまった。理由は不明。転んで泣いた彼の機嫌をりんご飴で癒して、食べかけだからと取り返そうとすると嫌がって──そこまでは分かるが、こっちが折れて渡そうとしたら余計に泣いた理由が全く分からない。

「何なんだ……あ、ハル、車椅子の後ろのポケットにウェットティッシュ入ってるから取ってくれないか?」

「うわー……みっつんマジ罪な男~……」

「ハル? おーい、早く取って欲しいんだけど」

「……えっ? あっ、何? ごめん聞いてなかった」

ちょうど車椅子の背後に居た彼にもう一度用件を伝え、ウェットティッシュを取ってもらった。

「赤ちゃんのおしり拭きじゃん」

「一番肌に優しいだろ? 最近マシだけどセイカ肌ボロッボロだったからな……」

ノヴェムの柔肌にもピッタリだ。飴でベタベタする頬を拭いてやり、ついでに涙も軽く拭って抱き締めた。

《……? おにー、ちゃ……? ひっく……ぐす……おにぃ、ちゃん……ぼくのこと……ノヴェムのこと、嫌いじゃないの?》

「よしよし。ご機嫌直ったかな? りんご飴、欲しいの? 欲しくないの?」

りんご飴を差し出してみるも、ノヴェムは困惑した様子で受け取ろうとしない。やっぱりいらないのか? だからって渡そうとした時に泣き叫ぶのはおかしい気もするが……子供って難しいなぁ。

《ノヴェム、よく聞いてください》

泣き止んで鼻をぐすぐすと鳴らすばかりのノヴェムにネイが話しかける。学校で英語を習ってはいるが不俺は得手だ、リスニングは特に苦手だ、ほとんど聞き取れない。

《水月くんが飴を引き離そうとしたのは、あなたが飴にかぶりついて口周りが汚れたからですよ。拭いたり、綺麗に食べる方法を教えようとしただけでしょう。あなたが間接キスを気にするおマセな子供だなんて水月くんは考え至っていません。理解しましたか?》

《え……? え……? でも、お兄ちゃん……ぼくに、飴くれるって……ぼくが、舐めちゃったからぁ……も、いらないって……ぼく、きもちわるいって……》

《あなたが泣いたから飴を与えようとしただけですよ、口周りの汚れは後回しにして》

《…………お兄ちゃん、ぼくのこと……嫌いじゃない? お兄ちゃんっ、ノヴェム好き……?》

《ええ、きっと》

《お兄ちゃん……間接キス気付いてないんだ。ぁ……に、日本の人ってそうなのかな? 人にさわるのあんまりしないって聞いたから、間接キスもすごく気にすると思ってた……》

《いえ、日本は衛生に厳し…………いや……茶道では回し飲みを……》

話し合いが止まる。ネイが悩んだ顔のまま立ち上がり、ノヴェムから俺へと視線を移した。

「日本人って他の国より回し飲みとか気にすると思います?」

「え? さぁ……他の国知らないんで……ぁ、でも、マスク率高いらしいですし、あんまりしないかも……?」

「茶道では回し飲みをしますよね」

「えっと……ハル、分かるか?」

ハルは確か週一で茶道を習っていたはずだ。

「するね~。でも口つけるとこは変えるよ? 口拭く紙もあるし~」

「同じもん食うたら場に馴染めるーみたいなんもあるなぁ、同じ釜の飯食うてっちゅうやっちゃ」

「他の国でもそうじゃな~い? お客様として行ったらまずご飯振る舞われるからぁ~、それをその場の作法で美味しく食べられたら向こうも気ぃ緩めてくれる感じ~……人間みんなそうだと思うなぁ~」

「あー……秘境ロケとかでも民族独自のもんとか芸人さんよう食わされてはるもんなぁ」

「……アレはテレビ的にはゲテモノ食い枠じゃない? 撮れ高狙いだよ」

ハルとリュウがなんか議論始めちゃった。

「お兄さーん、射的やんないの?」

「あっ、申し訳ないデス……子供が転んでしまって、機嫌が治るまで少し待つので、離れておきマスね。水月くん達、列の邪魔にならないところへ……」

「あ……すいません、俺が声掛けなかったら今頃射的やれてたのに」

俺が黙っていたらノヴェムが転ぶことも、飴のどうこうで泣くこともなかったんだ。声をかけたのは軽率だったかな。

「兄弟盃ゆう文化もあってやな……」

「ヤクザじゃん! 中国とかは円卓あるし~、ピザなんかも分け合う代表的な料理だよね。日本はしっかり和食ってなったら一人一つのお膳だし、やっぱ他国よりは抵抗ある感じじゃない?」

「ピザって分ける料理なんですか?」

「鍋はどうなんねんな、同じとこで煮立っとるもん箸でつつき回すやないの」

「あーそっか……んーでも鍋なんかどこの国にもない?」

「口噛み酒やの団子やのはなかなかやと思うで?」

一人でピザ一枚どころか二、三枚食べそうなシュカが口を挟んでるな。食いしん坊可愛い疑問だ、リュウとハルには無視されてるけど。

「……ピザ一枚食べますよね?」

ピザの件がよほど気になったのかシュカはサンに尋ねた。

「食べな~い。多くて飽きるもん。何枚か頼んで二切れずつくらい食べるかな~」

「なるほど……人数と金があればそうなるか……」

背後で彼氏達が話し込む中、ノヴェムはすっかり機嫌が直ったようで俺の胸に頬を寄せて心地よさそうにしている。心音でも聞いているのだろうか、安心してくれたら嬉しい。

「……なんか議論巻き起こしちゃいました、すいません」

「え、いえ……別に。なんでまた回し飲みの話を?」

「実はノヴェムは……あなたがノヴェムと関節キスになったことに気付いて取り上げたとか、ノヴェムの食べかけになってしまったから嫌がって渡そうとしてきたとか、そう思い込んでしまったようです。あなたに嫌われたのではないかと泣いてしまって……」

「えっ」

「誤解は解きました、その過程で聞かれたのですよ……間接キスへのハードルの高さに文化の違いは関係あるのかどうか。私、日本生まれ日本育ちでしょう? アメリカの風潮よく知らなくて……」

「なるほど……それであんな質問を……にしても、間接キスなの気にしてたんですね、ノヴェムくん」

「正確には間接キスなのを気にしているのではないかと気にしていた、と言いますか……」

どちらにせよ俺との間接キスを意識していたのは確かだ。何度も不意打ちのキスをかましておいて、ウブなんだかマセてるんだか分からないな。

「ネイさ~ん! ちょっと俺達だけじゃ判別つかないから海外知識貸して~?」

「おや、困りましたね。海外に住んだ経験はないのですが……ふふ…………分かりましたー! すぐ行きます!」

けどこの程度の潜入任務モドキ、楽勝だ。そう俺に囁いてからネイは俺の背後に回った。

「ノヴェムくん」

「……? なぁに、お兄ちゃん」

俺は誰も俺達を見ていないのを確認してからノヴェムのもちもちほっぺに唇を寄せた。
しおりを挟む
感想 532

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

寝てる間に××されてる!?

しづ未
BL
どこでも寝てしまう男子高校生が寝てる間に色々な被害に遭う話です。

処理中です...