冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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世間話しよう (水月+ヒト・セイカ・アキ・荒凪)

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俺が荒凪の座る車椅子を押し、アキがセイカを抱えて運び、ヒトが色々と奢ってくれる。そんな奇妙な五人組での夜店巡り。

「ヒトさん、クリームついてます」

クレープを頬張るヒトの頬を飾ったホイップクリームを指ですくい取り、舐める。

「……! ありがとうございます」

頬をほんのりと赤く染め、微笑む。ヒトの温和な態度はレアだ、網膜に焼き付けておこう。

《イチゴスペシャル美味しい》

《チョコバナナチップも美味ぇぜ》

ちなみに俺はクレープは食べていない、カロリーを恐れての選択だ。アキとセイカは互いに食べさせ合っていて、大変萌える百合景色を見せてくれている。荒凪には生の果物を食べさせるのが怖かったので、ホイップクリームと刻んだ板チョコのクレープを与えた。口周りを汚しながら食べる姿が可愛らしい、後で彼の顔も拭いてやらないとな。

「なんかヒトさんが甘いの食べてるところ見るの、面白いです。意外っていうか、なんか違和感あるっていうか」

「まぁ、大柄な男にスイーツは似合いませんよね」

「いえ! ギャップ萌え……イメージと違うのが逆に唆ります!」

「ギャップ萌え、ですか」

「不良が捨て犬拾ってるとキュン、みたいなアレです。俺は不良嫌いなんで犬拾う程度じゃときめきませんけど」

「あぁ……陽気な黒人があっさり死ぬ展開」

「それは逆張り……? 陽気なキャラがあっさり死ぬ展開は意外性ありますけど、それで面白くなるかっていうと微妙じゃないですか? 最悪……監督や脚本の「俺は他とは違うぜ」が滲み出てて嫌、までありますよ」

「最近の映画って死なない陽気な黒人枠居ませんよね」

「そう……です、かね?」

「インテリ社長枠が黒人俳優なことが多いです」

「あー……俺あんまり人種詳しくないから、誰が何人かよく分かってないんですよね」

「黒いのが黒人で金髪なのが白人でそれ以外がアジア人ですよ」

「雑ぅ~……南アメリカの人とかどうなるんですか」

「南アメリカ……あぁ、ブラジルとか? 確かにアジアじゃないけど金髪のイメージもそこまでない……じゃあ、顔が薄いのがアジア人で、濃いのが……なんか、それ以外です」

じゃあ、って。本当に雑だな。趣味の映画の関連話題ですらこの雑さ、よく生き物を飼育していられるな。

「白人さんにも黒髪の人は多いですよ……?」

「詳しいじゃないですか」

「いや、俺が言ってるのはほら、コーカソイドとかモンゴロイドとか、ああいうのがよく分かんないって話ですよ」

「お前がよく分かんないって言い出した時は黒人俳優の話だっただろ?」

セイカが呆れ顔でこちらを向いた。

「話聞いてたんだ……」

「ギャップの話したと思ったら映画の話したり、他にも色々……会話の方向性めちゃくちゃだから気になって、聞く気ないのになんか聞いちゃった」

「世間話なんかこんなもんだろ。お前らだってコロコロ話題変えたりするだろ? いつも俺ほっぽってイチャイチャぺちゃくちゃお話しちゃってさ」

「秋風はめちゃくちゃに無知だからお前らほどコロコロ話題変えたりしない」

俺の弟に向かって酷い言いようだ。

「あらゆる話題を飯か下ネタに繋げるし、油断すると俺がいかに可愛いかを語り始める」

「へぇ……? 仲良しなんですね」

「秋風の顔面で語られると俺は実はありとあらゆるワガママが許されるとんでもなく可愛い生物だった気がしてくるから困る……」

惚気か?

「セイカは可愛いよ、気がするじゃなくて事実」

「二人がかりで俺を勘違いさせようとしてくる」

「そういえば秋風さんは何系なんですか?」

「急に話戻すなぁ。十中八九スラヴ系だと思うけど……」

「けど?」

「確認は取れない……です。さっきも言ったけど秋風めっちゃ無知で……スラヴ系とかの言葉すら知らないと思う……思います。世界地図見せてもロシアの場所よく分かってないし、日本の場所もよく分かってない……島国ってだけでオーストラリアを指したことすらあるんだよこのバカ」

「帰ったら電鉄やるか」

知識が少ない上に知識欲まで少ないアキには危機感を覚えざるを得ない。兄として恋人として義務教育や一般常識レベルの教養は身に付けさせたいと思っている。

「鳴雷も鳴雷だ、謙譲語と尊敬語の区別がつかないバカめ」

「わ、分かるよ何となく!」

「比較級も最上級もめちゃくちゃだし」

「英語は苦手……!」

「2の4乗のこと8だと思ってるし」

「うっかりミスをいつまでも擦るなよ分かってるよ乗が何なのかは!」

「足利義政と足利義満がごっちゃになってるし」

「……それは仕方なくない?」

「水酸化ナトリウムと塩化ナトリウムを間違えるし」

「い、言い間違い! 言い間違いだから!」

「お前ら兄弟はめっちゃバカ」

彼氏の中で俺の知性に最もこだわりがあるであろうヒトの前で俺の頭の悪さをこれ以上露呈させてたまるか、反論しなければ。

「異議あり! 異議あり! そ、そんなん言ったらなぁ、セイカだって、セイカだって……セ、セイカは……えーっと、食べ物、食べ物に詳しくない。ズッキーニ以上のレア度の野菜分かんないし、ドラゴンフルーツのことゲームのアイテムだと思ってたし、洋菓子なんてほぼ全滅だったろ」

「……俺の親はお前のママ上みたいに飯に熱心じゃなかったからな」

「家庭環境の話に突っ込んでごめんなさい!」

「それを言うなら……ふふ、俺は子供はみんな親に殴られたり熱湯かけられるのが常識だと思ってたぞ。バカだなぁ……俺」

「ごめんなさい! やめてください! 俺のメンタルも削れちゃう!」

「分かります。子供の頃って他の家庭環境知らないから、普通子供は大切に扱うと知った時は驚きましたね」

「うわぁ予想外の角度からメンタル削られた! なんであっちにもこっちにも虐待サバイバーが……!?」

「あぁ、心配させてしまいましたかね。大丈夫ですよ鳴雷さん、私は放って置かれただけで暴力はさほど受けてませんから」

「ネグレクトは立派な虐待ですぅ……さほどって何…………ぅう……俺が、俺が愛しますから、構い倒しますからねヒトさん」

「ふふ、嬉しいです……」

「俺は?」

「お前もアキもだ決まってんだろこんちくしょう! 全員溺愛してやる!」

ヒトとアキの肩をいっぺんに抱く。この程度のスキンシップなら邪推を招かないと判断したのか、ヒトは俺の手から逃れることなく優しい笑顔を俺に見せてくれた。
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