1,702 / 2,314
再現される定番エロシチュ (水月+サキヒコ・荒凪・ヒト)
しおりを挟む
荒凪一人では食べ切れないたくさんの魚料理にヒトも箸を伸ばした。
「……! 美味しい」
「マジすか、いいなぁ。ヒトさん俺らも食べていいすか」
「サンマ少しは残しといてくださいよ!」
「部下が食べるのは上司の後。静かに待っておきなさい」
「クッソ~……フタさんが居たら嫁とそのお供だぞって先に食えたのに」
「なんで今日に限って居ねぇんだ、間の悪い人だなぁ」
フタはサンの家に遊びに行っているらしい。せっかくだからフタにも手料理を食べて欲しかったな、なんて思いながら荒凪とヒトの顔が綻ぶのを眺めてニヤつく。
「ミツキ、傷はどうだ」
「わっ……! サキヒコくん、急に出てこないでってば。手当してもらったよ、ほら」
「……そうか。鱗が刺さった部分は霊体の損傷が激しかった、ミタマ殿が治療していたが……うむ、動作に問題はなさそうだな。滋養のあるものを食べ、ゆっくり寝て、早く治すんだぞ」
「コンちゃんは? 稲荷寿司食べてるって聞いたけど」
「少し前まで食べていた、今はフタ殿の部屋で休んでいる。私も師匠を尋ねたかったのだが留守のようでな、話し相手が居なくて寂しくなり……いや、暇を持て余し、一人戻ってきたという訳だ」
寂しかったのか。
「コンちゃんかなり疲れたみたいだね、サキヒコくんは?」
「私はミタマ殿のように急速な補給や休憩を要するほど霊力を消費することがない」
「あんまり疲れないってことでいいのかな。人魂出してたけど、アレは? 意外とコスパいいの?」
サキヒコは右手のひらを天井に向け、その手の上に青白く光る人魂を出現させた。揺らめく火から熱は感じない。陰火、というヤツだろう。
「これのことだな。こすぱ、とは何だ?」
「疲れる技に見えるけど、割と効率いい技なのかなって」
「人魂を一つ作るのにはそれなりに霊力が必要だが、使い終わったら再度取り込むから最終的な消費はほぼない」
「遠隔操作では消費しないの?」
「同時に動くならともかく、本体である私が静止するからな」
その理論はよく分からないが、まぁとにかくコスパのいい技らしい。感情が色で見えたり、夢の中に入り込めたり、サキヒコは小器用だなぁ。
「それよりミツキ、どうするんだ? 今日は家に帰らないのか?」
「え? もちろん帰るつもりだけど」
「帰るんですか? てっきり泊まっていくものと思っていましたよ」
「母さんがご飯作ってくれてますし、明日も学校ですから」
ヒトは残念そうに眉尻を下げたが、俺に何も言うことはなかった。部下達の目を気にしてのことだろう、ヒトは会社の者には関係を知られたくないと考えているようだから。
「荒凪くんが食べ終わったら帰ろうかな、コンちゃんも家の方が落ち着くだろうし……そういえば土砂降りだったけど今どうなんだろ。サキヒコくん、ちょっと外見てきてくれない?」
「分かった」
サキヒコは扉とは反対の方へ向かい、ふわりと浮かび上がって半透明になると壁に頭を突っ込んだ。幽霊らしくすり抜けていき上半身が完全に見えなくなる。
(か、壁尻! えっちな漫画でよく見るヤツでそ!)
広告でよく見かける絵面だ。
「まだ降っているが弱まってきてはいるようだ」
「ありがとう。また強くならない間に帰らなきゃだね」
壁尻状態になっていたのは数秒だけだったが、数時間と思えるほど長く感じた。いいものを見させてもらったという感謝の気持ちと、他の男にも見られてしまったという悔しさが、俺の心をちょうど半分ずつ使っている。
(いえ、普通の人は壁尻なんか知りませんよな。一般の感覚からすれば痴態とかじゃないでそ。いけないいけない、エロに慣れたオタクの感覚を押し付けては……)
頭を振って邪な考えを払い、何の狙いもなく最短距離で外の様子を確認してきてくれたサキヒコに礼を言う。
「アレだったな、あの広告でよく見るヤツ」
「壁とかにハマってケツだけ出てるヤツな」
知ってんのかよ! と叫びたくなる衝動を抑え、気持ちを落ち着かせるためサキヒコの頭を撫でる。滑らかで触り心地よいい髪だ、手櫛をかけてみるのはもちろん、綺麗に切り揃えられた毛先をなぞるのもなかなか楽しい。
「ミ、ミツキ……雨降りを確認した程度でこんなに褒めているようでは腱鞘炎になってしまうぞ?」
「ん? サキヒコくん愛でたくて勝手に撫でてただけだったんだけど……」
「褒美のつもりではなかったのか? 勘違いをした、忘れてくれ」
「忘れらんないよ。これ、ご褒美になるんだね」
「何十年と独りだった私にとって、他者との触れ合いはあの海から解放されたことを実感する一番の行為だ」
「そっか……サキヒコくんから来てくれてもいいからね?」
「そっ、そんなはしたない真似出来るか! 全くミツキは……」
顔を真っ赤にし、ぶつぶつと呟きながら透けて消えていく。もう少し恥じらう姿を見ていたかったな。
「みつき、おなかたくさん」
「ん? もうお腹いっぱい?」
「うん。ごちそうさま。ぜんぶむり、ごめんなさい」
「いいよいいよ、元々一人分じゃなかったし……でもいっぱい食べたね、二人分くらい? 普段からこのくらい用意した方がいいかな」
「……うん」
「分かった、母さんにも言っておくよ。こういうことは遠慮せず言ってくれていいからね?」
くしゅくしゅと頭を撫で、下手くそな食べ方で汚れた口元をティッシュで拭ってやる。さて、ヒトを始めとした穂張興業の皆に挨拶をして帰るとするか。
「……! 美味しい」
「マジすか、いいなぁ。ヒトさん俺らも食べていいすか」
「サンマ少しは残しといてくださいよ!」
「部下が食べるのは上司の後。静かに待っておきなさい」
「クッソ~……フタさんが居たら嫁とそのお供だぞって先に食えたのに」
「なんで今日に限って居ねぇんだ、間の悪い人だなぁ」
フタはサンの家に遊びに行っているらしい。せっかくだからフタにも手料理を食べて欲しかったな、なんて思いながら荒凪とヒトの顔が綻ぶのを眺めてニヤつく。
「ミツキ、傷はどうだ」
「わっ……! サキヒコくん、急に出てこないでってば。手当してもらったよ、ほら」
「……そうか。鱗が刺さった部分は霊体の損傷が激しかった、ミタマ殿が治療していたが……うむ、動作に問題はなさそうだな。滋養のあるものを食べ、ゆっくり寝て、早く治すんだぞ」
「コンちゃんは? 稲荷寿司食べてるって聞いたけど」
「少し前まで食べていた、今はフタ殿の部屋で休んでいる。私も師匠を尋ねたかったのだが留守のようでな、話し相手が居なくて寂しくなり……いや、暇を持て余し、一人戻ってきたという訳だ」
寂しかったのか。
「コンちゃんかなり疲れたみたいだね、サキヒコくんは?」
「私はミタマ殿のように急速な補給や休憩を要するほど霊力を消費することがない」
「あんまり疲れないってことでいいのかな。人魂出してたけど、アレは? 意外とコスパいいの?」
サキヒコは右手のひらを天井に向け、その手の上に青白く光る人魂を出現させた。揺らめく火から熱は感じない。陰火、というヤツだろう。
「これのことだな。こすぱ、とは何だ?」
「疲れる技に見えるけど、割と効率いい技なのかなって」
「人魂を一つ作るのにはそれなりに霊力が必要だが、使い終わったら再度取り込むから最終的な消費はほぼない」
「遠隔操作では消費しないの?」
「同時に動くならともかく、本体である私が静止するからな」
その理論はよく分からないが、まぁとにかくコスパのいい技らしい。感情が色で見えたり、夢の中に入り込めたり、サキヒコは小器用だなぁ。
「それよりミツキ、どうするんだ? 今日は家に帰らないのか?」
「え? もちろん帰るつもりだけど」
「帰るんですか? てっきり泊まっていくものと思っていましたよ」
「母さんがご飯作ってくれてますし、明日も学校ですから」
ヒトは残念そうに眉尻を下げたが、俺に何も言うことはなかった。部下達の目を気にしてのことだろう、ヒトは会社の者には関係を知られたくないと考えているようだから。
「荒凪くんが食べ終わったら帰ろうかな、コンちゃんも家の方が落ち着くだろうし……そういえば土砂降りだったけど今どうなんだろ。サキヒコくん、ちょっと外見てきてくれない?」
「分かった」
サキヒコは扉とは反対の方へ向かい、ふわりと浮かび上がって半透明になると壁に頭を突っ込んだ。幽霊らしくすり抜けていき上半身が完全に見えなくなる。
(か、壁尻! えっちな漫画でよく見るヤツでそ!)
広告でよく見かける絵面だ。
「まだ降っているが弱まってきてはいるようだ」
「ありがとう。また強くならない間に帰らなきゃだね」
壁尻状態になっていたのは数秒だけだったが、数時間と思えるほど長く感じた。いいものを見させてもらったという感謝の気持ちと、他の男にも見られてしまったという悔しさが、俺の心をちょうど半分ずつ使っている。
(いえ、普通の人は壁尻なんか知りませんよな。一般の感覚からすれば痴態とかじゃないでそ。いけないいけない、エロに慣れたオタクの感覚を押し付けては……)
頭を振って邪な考えを払い、何の狙いもなく最短距離で外の様子を確認してきてくれたサキヒコに礼を言う。
「アレだったな、あの広告でよく見るヤツ」
「壁とかにハマってケツだけ出てるヤツな」
知ってんのかよ! と叫びたくなる衝動を抑え、気持ちを落ち着かせるためサキヒコの頭を撫でる。滑らかで触り心地よいい髪だ、手櫛をかけてみるのはもちろん、綺麗に切り揃えられた毛先をなぞるのもなかなか楽しい。
「ミ、ミツキ……雨降りを確認した程度でこんなに褒めているようでは腱鞘炎になってしまうぞ?」
「ん? サキヒコくん愛でたくて勝手に撫でてただけだったんだけど……」
「褒美のつもりではなかったのか? 勘違いをした、忘れてくれ」
「忘れらんないよ。これ、ご褒美になるんだね」
「何十年と独りだった私にとって、他者との触れ合いはあの海から解放されたことを実感する一番の行為だ」
「そっか……サキヒコくんから来てくれてもいいからね?」
「そっ、そんなはしたない真似出来るか! 全くミツキは……」
顔を真っ赤にし、ぶつぶつと呟きながら透けて消えていく。もう少し恥じらう姿を見ていたかったな。
「みつき、おなかたくさん」
「ん? もうお腹いっぱい?」
「うん。ごちそうさま。ぜんぶむり、ごめんなさい」
「いいよいいよ、元々一人分じゃなかったし……でもいっぱい食べたね、二人分くらい? 普段からこのくらい用意した方がいいかな」
「……うん」
「分かった、母さんにも言っておくよ。こういうことは遠慮せず言ってくれていいからね?」
くしゅくしゅと頭を撫で、下手くそな食べ方で汚れた口元をティッシュで拭ってやる。さて、ヒトを始めとした穂張興業の皆に挨拶をして帰るとするか。
121
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる