冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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可愛い存在には感謝を (水月+ミタマ・サキヒコ・ハル)

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彼氏達と合流し、学校に到着。ロッカーに入れている教科書類の整理をしながらため息をつく。

(なんかダルいでそ……)

登校だけでこんなに疲れるなんて、少しおかしい。治ったと思っていたけれど、風邪が残っているのかな。

「みっちゃん、人目のないところへ」

耳元で声がして振り返るも、俺と同じく教科書類の整理をしに来た学生達の姿しかない。今日使う教科書を抱えてロッカーを閉じ、朝はあまり使われていない階段の踊り場に移動してみた。

「コンちゃん、何か用?」

「何か用、じゃないわ。しんどそうにしよって。分かっとるんじゃろうみっちゃん、その疲れの原因が何か」

「か、風邪かな~?」

吊った細い目が俺を睨む。普段とは違うシリアスな空気を感じ取った俺は目を逸らした。

「……荒凪くんだろ。アキが前倒れたのと一緒……無意識の悪影響」

「当たりじゃ。全く、昨日なんて一緒に水に浸かっとったそうじゃな。腹や腕の皮膚なんて爛れとったじゃろう」

「いきなりプールに引きずり込まれたからコンドームつけさせるの忘れちゃって、精液かかったみたいなんだよね……水で薄まってるのにこれとか、すごいよ本当。でも爛れたは言い過ぎ、体育館で生足スライディングして皮膚テカテカになった感じだよ」

ヒリヒリと痛む右腕の内側を見せながら言うとミタマの眉間の皺が深くなった。

「霊力を補給してやったのに、その後もずぅーっとあーちゃんとひっついとったらしいのぅ。ワシは二度寝しとったがさっちゃんから聞いたぞぃ」

「……アキがまた倒れちゃ可哀想だし、荒凪くんは俺に懐いてるから仕方ないよ」

「霊体にガタがきとる。今日はあーちゃんと同じ部屋で寝るな」

「そんなっ」

「寝とる間は霊体も無防備なんじゃ! それにのうみっちゃん、みっちゃんがあーちゃんの傍に居て悪影響を受けるのはみっちゃんだけではない、さっちゃんもじゃ。取り憑いて傍に居るからのぅ……霊体剥き出しのワシらは生きた人間以上に影響を受けやすい、ワシらのためにも距離を取れ」

「え……そうだったんだ。ごめん、気付けなくて」

「大丈夫だ、私のことは気にしなくていい。今のところ感じられるほどの不調はないからな」

俺よりも霊体が損傷しやすいけれど、俺よりも霊力量が多いから平気……ゲーム風に言うのなら俺よりDFは低いけれどHPは高い、的なことだろうか。

「ひとまずワシが霊力を分けておく。その後は人形に化けるから鞄にでも入れとくれ」

「キスしてくれるのっ?」

「……そうじゃが。ワシは疲れるんじゃアレ、そう喜ばれるのは複雑じゃのう。そりゃ接吻を喜んでくれるんは嬉しいんじゃが」

頭の上でぺしょっと狐耳が垂れる。

「む……? みっちゃんから感謝の念が来たのぅ。どうしたんじゃ、まだ何もしとらんぞ」

「ケモ耳マジ尊い」

「尊くてすまぬ。むっ、また感謝の念が……みっちゃんはよく分からんのぅ、可愛こぶったならまだしも」

「しかしミタマ殿、可愛い素振りなどを見せたとしても劣情を抱くとか言うのなら分かりますが感謝するというのは……どういうことでしょう?」

「せっちゃん曰く、おたくとはそういうもの」

「可愛い子が同じ時代に生まれてくれたこと、可愛い子が今日も同じ時間を生きてること、可愛い子が俺に可愛い姿を見せてくれたことォ! 俺からすればこれに感謝しない方がおかしいよ、そういう人っていただきますとごちそうさまも言ってないと思う」

反論の隙のない持論を展開。納得してくれたのか二人とも黙っている。

「……みっちゃん、補給を済ませてしまおう」

「キスとかちゅーとか接吻とか言って欲しかったけど補給って義務的に言うのもベネ!」

「口開けぃ」

屈まされ、俺の下顎を鷲掴みにしたミタマは真上から俺の口へ唾液を垂らす。補給ということを忘れれば強引で乱暴なキスだと楽しめる、補給だと思えばミタマの優しさを感じられる、お得だな。

「……ふぅ。では、休む」

キスの余韻に浸っていると両手首を掴まれ、水を掬うような形を作らされた。ポンとコルクを抜くような音と共にミタマの姿が消え、手の中に狐のぬいぐるみが現れた。

「お疲れ様、コンちゃん。戻ろっか、サキヒコくん」

顔を上げた時にはサキヒコの姿は消えていた。傍に居るのは分かっているけれど、一抹の寂しさを抱えて教室に戻った。

「すぅーっ……はぁ……すぅうーっ……」

狐のぬいぐるみに鼻を押し付けて深呼吸をする。布と綿の匂いに微かに混じる獣臭さ、犬のオモチャって感じ。

「はぁはぁ……人形化たまらん。何されても抵抗出来ないねぇうへへ。マスクの内側に入れていたい」

流石にそんな奇行は出来ないので、丁寧にハンカチでくるんで鞄に入れた。

「みっつ~ん、なんか怪我してるらしいじゃん」

「ハル、あぁ、手のことかな?」

包帯を巻いた手を広げる。この手に関しては登校中、リュウとカンナ、特にシュカに散々詰め寄られた。料理中の火傷だと嘘をついたのだが、なかなか信用してもらえなかったのだ。セイカには「日頃の行いが悪い」と睨まれた。

「また彼氏のために無茶したって聞いたけど~」

「えっ!? いや、熱々お粥零しちゃっただけなんだけど……」

「……ごめぇ~ん、カマかけた~」

「えぇ……なんで……」

「嘘ならボロ出るかな~って。りゅーから聞いたのと内容一緒だった、ごめんね?」

ハルにも疑われていたのか、俺はそんなに嘘をつくイメージがあるのか? 超絶美形のイメージを保つための嘘は多いが、それはバレていないはずだ。

「……俺そんなに嘘ついてるかな。セイカにも日頃の行いって言われたんだ、俺信用ない?」

「んーん、みっつんの怪我って彼氏庇った時のばっかじゃん? このめん元カレ騒動とか、アキくんパパ騒動とか~。だから今回もそれ系かなって。せーかが言ったのもそれじゃない? みっつんせーかに肋骨折られてるし」

「買いかぶられてるなぁ、俺鈍臭いんだから何でもない怪我の方が多いぞ? 飛び降りの時の話なら、アキの邪魔して踏まれただけだからそれもただのドジだな。ただのヒビで折れてないし」

「……そういうとこ~」

「え……?」

「ま、いいとこだけどね。手、火傷なんだよね~? シャーペン持ったりキーボード打ったりできそ?」

実際には細かな切り傷だ。握る度開く度に痛むものの、作業が出来ないほどではない。問題ない、大丈夫だと笑って答えようとした俺の口は、ハルの次のセリフを聞いて歪んだ。

「お箸持てなかったら初春さんがアーンしてあげちゃおっかな~」

「問題ないくない、だいじょばない。とても痛い」

「あはっ、ホントに痛いの~? ふふ……じゃ、お昼は俺みっつんの膝の上で食べちゃうねっ」

ハルに食べさせてもらっていたら、他の彼氏達も食べさせたいと言い出してくれるかもしれない。今日の昼はいつも以上に楽しみだ。
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