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アイドル遊園地ロケ (水月+カミア)
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電車の窓で髪型を確認したりしつつ、遊園地へ。電車に揺られている間に普段朝食を食べている時刻が訪れ、腹が鳴った。優秀な腹時計だ。
「遊園地内レストランで朝食……ふふふ」
マスクの下でニヤニヤと気持ちの悪い笑顔を浮かべた。
遊園地に着いた。この遊園地ではないが、アニメコラボなどが行われた際は限定映像やグッズ目当てに来たこともある。入場の勝手は分かっているつもりだ。今後来る気はないし一日券で……いや、アキ達を連れてくる約束をしたから年パスの方がいいのか? いやいや、何回来る気だ、アキ達との来場を加味しても一日券の方がお得だろう。いやでも他の彼氏達も二人きりで遊園地デートしたいと言い出すかもしれないし年パスの方が?
「ゔーん……」
考え込みながら入り口に近付いて行く。早く決めて買って入ってカミアと落ち合わないと……集合場所は確か増設されたばかりの新エリアだったはずだ。
「あっ……お待ちください!」
パス購入の受付の方に話しかけようとしたその時、ラフな格好の若い男性が話しかけてきた。ウエストポーチから紙っぽいのが色々はみ出している。耳に何か付いてる、インカムか?
「はい……?」
「水月さんですか?」
「えっ」
何故俺の名前を知っている? しらばっくれるべきか?
「あっ、俺……私は──」
男は有名な昼の報道番組のADだと自己紹介を始めた。
「──カミアさんに水月さんが来たらこれを渡して欲しいと頼まれていまして」
「はぁ……何です? これ」
渡されたのはリストバンドだ。遊園地の名前とロゴが入っている。
「プレミアムパスです。なんか順番抜かし出来たり……他にも色々特典があるとか」
「へぇー! すごい」
「カミアさんがお待ちです、案内しますので着いてきてください」
「あっ、はい!」
まさかプレミアムパスがもらえるとは。カミアの奢りだとしたら返さなければならないけれど、某有名番組の名前が出たから経費で落ちたのかもな。いや、俺の入場パス代が経費になるなんて理由ないか。
「いやぁ、カミアさんからはとにかくすっごいイケメンとしか聞いてなかったんで、そんなんで探せるか不安だったんですがすぐ分かりました」
俺の前を小走りで行く男は息苦しそうにしながらそんな話をした。
まだ一般来場者の立ち入りは禁止されている新エリアの中に入り、特別感とワクワクを味わいながら走っていくと、カミアの姿があった。女性数人に囲まれている。
「水月さん着きましたー!」
「来たっ、みぃくん! みぃく~ん!」
カミアは腕を大きく振っている。周囲の大人達やテレビ機材に緊張しつつ、カメラより後ろからカミアに手を振り返す。
「カミア……服とか髪ちょいちょいされて、何してんの?」
女性に囲まれている様子への嫉妬を押し隠し、冷静な態度で尋ねる。
「えっ? あぁ、メイクさんとヘアメイクさんと衣装さんだよ。実際の太陽光の下で最終調整~……って感じ? ですよねっ」
「……そんな感じで囲まれるんだ、知らなかった。っていうか……カミア、これから仕事?」
「うん! 新エリアの紹介ロケ! これ終わったら自由に遊んでいいってパスもらったから~、みぃくんと一緒に遊びたいなって。最近芸能界もブラック体質抜けてきたのかな~、お休みくれたんだよね。だから今日半日自由時間なの僕、一緒にめいっぱい遊ぼうね!」
「なるほど……先に言っといてくれよ、緊張するから」
「えへへー、ごめんごめん……メッセ打つ時間もあんまなくてぇ」
「…………俺はロケ着いてかなくていいよな? 朝飯でも食って待ってるよ、終わったらメッセくれ」
「え~、みぃくん僕のお仕事見てくんないの~?」
「放送待つよ」
「結構カット多いのに」
ぷく、と頬が膨らむ。あまりにも子供っぽい不満の表し方に笑いが漏れた。
「カミアのノーカットロケは魅力的だけど、腹減ったんだよ」
腹が減っているのは本当だが、それだけが理由ではない。俺は今、吐きそうなほど緊張している。カミア以外は皆大人、それもまともに働いている方々だ。無職の義母、ヤクザ、オカルト系のよく分からない人、公安とか言ってる人、そんな大人達しか知らない俺には新鮮で怖い。
(しかもなんかめっちゃ見られてるんですけどぉ! 特になんか、偉そうな方。チラッと聞こえたけどプロデューサー!? プロデューサーって上着ねじって首にかけてるんじゃないの!? あの人めっちゃこっち見てるのぉお!)
今すぐにでも逃げ出したい。
「朝ご飯食べてきてないの? そっかぁ……なら仕方ないね」
「カミアは朝食ったのか?」
「ひみつ~☆ ふふふ」
「食ってないのか……」
「お弁当だよ☆ 僕くらいになるとロケバスの中でもタレ溜めて使うタイプのお弁当零さず綺麗に食べられるんだよね」
「すごいすごい。じゃ、またな」
「……なんかみぃくん冷たいなぁ。低血圧?」
人見知りだ。カミアには申し訳ないが、早くこの場を離れたいんだ。
「失礼しますぅ~」
「あぁ君待って」
早足で離れようとしたが、プロデューサーだろう男に呼び止められた。
「ちょっと顔見せてくれないかな。マスク取ってみて」
「一昨日体育で二人三脚やってすっ転んで顔面ズル剥けの怪我したんで勘弁してください流石に初対面の大人に鼻と唇なくなったレベルのヤバ顔面は見せられませんそれでは」
走って逃げて、新エリアを出て一息ついてから、あんな態度じゃカミアの印象まで落としたかもなぁと一人落ち込んだ。
「遊園地内レストランで朝食……ふふふ」
マスクの下でニヤニヤと気持ちの悪い笑顔を浮かべた。
遊園地に着いた。この遊園地ではないが、アニメコラボなどが行われた際は限定映像やグッズ目当てに来たこともある。入場の勝手は分かっているつもりだ。今後来る気はないし一日券で……いや、アキ達を連れてくる約束をしたから年パスの方がいいのか? いやいや、何回来る気だ、アキ達との来場を加味しても一日券の方がお得だろう。いやでも他の彼氏達も二人きりで遊園地デートしたいと言い出すかもしれないし年パスの方が?
「ゔーん……」
考え込みながら入り口に近付いて行く。早く決めて買って入ってカミアと落ち合わないと……集合場所は確か増設されたばかりの新エリアだったはずだ。
「あっ……お待ちください!」
パス購入の受付の方に話しかけようとしたその時、ラフな格好の若い男性が話しかけてきた。ウエストポーチから紙っぽいのが色々はみ出している。耳に何か付いてる、インカムか?
「はい……?」
「水月さんですか?」
「えっ」
何故俺の名前を知っている? しらばっくれるべきか?
「あっ、俺……私は──」
男は有名な昼の報道番組のADだと自己紹介を始めた。
「──カミアさんに水月さんが来たらこれを渡して欲しいと頼まれていまして」
「はぁ……何です? これ」
渡されたのはリストバンドだ。遊園地の名前とロゴが入っている。
「プレミアムパスです。なんか順番抜かし出来たり……他にも色々特典があるとか」
「へぇー! すごい」
「カミアさんがお待ちです、案内しますので着いてきてください」
「あっ、はい!」
まさかプレミアムパスがもらえるとは。カミアの奢りだとしたら返さなければならないけれど、某有名番組の名前が出たから経費で落ちたのかもな。いや、俺の入場パス代が経費になるなんて理由ないか。
「いやぁ、カミアさんからはとにかくすっごいイケメンとしか聞いてなかったんで、そんなんで探せるか不安だったんですがすぐ分かりました」
俺の前を小走りで行く男は息苦しそうにしながらそんな話をした。
まだ一般来場者の立ち入りは禁止されている新エリアの中に入り、特別感とワクワクを味わいながら走っていくと、カミアの姿があった。女性数人に囲まれている。
「水月さん着きましたー!」
「来たっ、みぃくん! みぃく~ん!」
カミアは腕を大きく振っている。周囲の大人達やテレビ機材に緊張しつつ、カメラより後ろからカミアに手を振り返す。
「カミア……服とか髪ちょいちょいされて、何してんの?」
女性に囲まれている様子への嫉妬を押し隠し、冷静な態度で尋ねる。
「えっ? あぁ、メイクさんとヘアメイクさんと衣装さんだよ。実際の太陽光の下で最終調整~……って感じ? ですよねっ」
「……そんな感じで囲まれるんだ、知らなかった。っていうか……カミア、これから仕事?」
「うん! 新エリアの紹介ロケ! これ終わったら自由に遊んでいいってパスもらったから~、みぃくんと一緒に遊びたいなって。最近芸能界もブラック体質抜けてきたのかな~、お休みくれたんだよね。だから今日半日自由時間なの僕、一緒にめいっぱい遊ぼうね!」
「なるほど……先に言っといてくれよ、緊張するから」
「えへへー、ごめんごめん……メッセ打つ時間もあんまなくてぇ」
「…………俺はロケ着いてかなくていいよな? 朝飯でも食って待ってるよ、終わったらメッセくれ」
「え~、みぃくん僕のお仕事見てくんないの~?」
「放送待つよ」
「結構カット多いのに」
ぷく、と頬が膨らむ。あまりにも子供っぽい不満の表し方に笑いが漏れた。
「カミアのノーカットロケは魅力的だけど、腹減ったんだよ」
腹が減っているのは本当だが、それだけが理由ではない。俺は今、吐きそうなほど緊張している。カミア以外は皆大人、それもまともに働いている方々だ。無職の義母、ヤクザ、オカルト系のよく分からない人、公安とか言ってる人、そんな大人達しか知らない俺には新鮮で怖い。
(しかもなんかめっちゃ見られてるんですけどぉ! 特になんか、偉そうな方。チラッと聞こえたけどプロデューサー!? プロデューサーって上着ねじって首にかけてるんじゃないの!? あの人めっちゃこっち見てるのぉお!)
今すぐにでも逃げ出したい。
「朝ご飯食べてきてないの? そっかぁ……なら仕方ないね」
「カミアは朝食ったのか?」
「ひみつ~☆ ふふふ」
「食ってないのか……」
「お弁当だよ☆ 僕くらいになるとロケバスの中でもタレ溜めて使うタイプのお弁当零さず綺麗に食べられるんだよね」
「すごいすごい。じゃ、またな」
「……なんかみぃくん冷たいなぁ。低血圧?」
人見知りだ。カミアには申し訳ないが、早くこの場を離れたいんだ。
「失礼しますぅ~」
「あぁ君待って」
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「ちょっと顔見せてくれないかな。マスク取ってみて」
「一昨日体育で二人三脚やってすっ転んで顔面ズル剥けの怪我したんで勘弁してください流石に初対面の大人に鼻と唇なくなったレベルのヤバ顔面は見せられませんそれでは」
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