冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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アイドルとハロウサランド

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ストロベリー味のソフトクリームと、バニラとチョコのミックスのソフトクリームを買い、カミアの元に戻る。

「ありがとう、みぃくん」

俺を見上げるカミアの満面の笑顔。眩しいほど輝いて見える。

「ふふ、ウサ耳可愛い。みぃくんもウサ耳クッキートッピングしたの?」

「あぁ、せっかくだし」

「食べる前に写真撮ろっ☆」

「……もう舐めちゃったけど」

「え、ほんとだ。ふふふっ、もー、みぃくんってばー。こっち向けて撮れば大丈夫じゃない? 背景……んー、ここっ! ほらほら並んでっ☆」

カミアの隣に並び、マスクをズラしてスマホカメラを見つめる。カミアは自撮りに慣れているようで、一度で完璧な撮影を行った。

「撮れた撮れた~、見て見てっ☆」

よく撮れている。俺の美しさも二割増だ。俺もたまに彼氏達にねだられて自撮りを送ったりするのだが、これを見ると彼氏達に申し訳なくなってくる。俺、自撮りド下手じゃん……彼氏達はこういうのを求めているんだろうな。

「カミアは撮るの上手いなぁ」

「被写体がいいからだよぉ。みぃくんカッコいいから、並んで撮るとちょっと……」

「可愛く映るよなぁ、俺が綺麗系だから更に可愛く見えるよ。でも、カミアの目は直接見る方が好きだな。キラキラ具合は肉眼の方がよく分かる」

「そ、そう? えへへっ……僕もみぃくんの目好きだよ、ちょっと色が薄くて素敵」

「あぁ、ヘーゼルとか言うらしいぞ。昔ネットで調べた感じだと」

「どうしても照れちゃうけど、好き好きっての伝わってくるからみぃくんに見られるの大好き」

「俺そんなに視線うるさいか?」

そんな話をしながらソフトクリームを食べた。ウサギの耳型のクッキーはほんのりと甘く、冷えた舌を癒してくれた。チョコとバニラのミックスは素晴らしい、お得感もある。しかしカミアに一口分けてもらえたストロベリーの甘酸っぱさもたまらなかった。飲食まで高水準だ、この遊園地。

「美味しかったね。ねぇみぃくん、さっきは聞きそびれたけど……ジェットコースター、嫌い?」

帽子を深く被っていても背の低いカミアは俺を見上げなければならないから、星を孕んだような輝く瞳が不安そうに歪んでいるのも、眉尻が下がっているのも、よく分かる。

「違うよ、ちょっと酔いやすいだけ。すぐに慣れるし楽しいとは思えてる。気分悪くはなるけどすぐ治るし、気にしないでくれ」

「……ほんと?」

「カミアに嘘つかないよ」

「大丈夫……なんだよね? じゃあ次行こっ、これは室内ジェットコースターでね、この遊園地のマスコットのウサギが出てくるらしいんだ」

「ロボットが動いてるヤツ? VR?」

「VRのは最近出来てスピードすごくて結構怖いらしいからまた後で。多分ロボだよ」

この遊園地は全体的にメルヘンホラーな雰囲気がある。ふわふわとした乙女チックな景色が血みどろという、人を選ぶコンセプトだ。ショップで見かけたウサギのストラップもクリーチャーの扮装をしているものばかりだった。

「あのウサギ好きなのか?」

「ハロウサちゃん? うん、好き! 多分お兄ちゃんも好きだから、グッズいっぱい買って送ってあげないと」

「ハロウサっていうのか」

「ハロウィンウサギ!」

あのクリーチャーのような姿はオバケのコスプレをしているという設定なのか?

「年中ゆめかわハロウィンなハロウサランド、僕大好きなんだぁ。昔から言ってたからロケのお仕事もらえたんだよ」

「カミアは怖いの苦手だと思ってたよ」

「ハロウィンくらいなら大丈夫だよぉ、心霊写真とかは苦手だけど」

偽物と分かっているエンタメなら平気、という訳か。

「心霊写真はほとんど偽物らしいけど?」

「ヤダヤダ! 恐怖体験系のお話とかもやだもん~、夏になるとそういう番組のオファーも増えてきてやだよぉ。この間も心霊スポット行かされたんだよ~? 来週の土曜の特番だから僕の勇姿見てねっ☆」

「流れるような番宣、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」

「……もう少し違和感持たせた方が番宣効果高いってこと? 鬱陶しくないように溶け込ませるより演技臭い方が目立つかぁ……今度番宣する時試してみるねっ☆」

「あ、あぁ……いや、うん……」

ちょっと漫画の有名なセリフをもじって言ってみただけなので、真面目に受け取られると反応に困るな。無作為に漫画やゲームのネタをばらまくなというセイカの説教を思い出してしまった。

「あ、僕が宣伝するのライブか新曲だから番宣って言うとなんか変かも」

「それもそうか……ん? ここか? 次のジェットコースター……なんかパッと見お化け屋敷みたいだな」

「大体そんな感じだよ。ハロウサちゃんが作ったホラーハウスって設定だから」

列に並んでいればその道中でムービーが観られて、このジェットコースターの詳細なコンセプトが分かるようだが、プレミアムパスの速度ではムービーをじっくり見ている時間なんてない。まぁ、カミアが広げているパンフレットに同じ内容が載っているみたいだから、別にいいけど。

「ここ途中で写真撮られるんだ。三秒前くらいになったら言うから、キメ顔してねっ☆」

「キメ顔? えー、どんな顔にしよ……」

キリッとキメてしまったら、他の笑ったり怖がったりしているだろう客達から浮いてしまう。ほどよく緩んだ態度を取らないとな。

「今回は二列目だね。写真うつりは一番いいかも」

「買うのか? 写真一枚のくせにめちゃくちゃ高かったりするだろ、こういうアトラクション中の写真って」

「ふふふ、みぃくん……僕、トップアイドル☆ 多忙で使えないお金たっぷり溜まってるよ☆」

カミアの母親は色々と問題点の多い人間だが、カミアの給料を総取りして豪遊……なんて子役の親に稀に居ると聞くような者でなかったことだけは幸いだ。

『今日はわたしのおうちにようこそ! ハロウィンパーティの準備はバッチリ、めいっぱい楽しんでね!』

「おじゃましまーす☆」

目の前に現れ、右手側に抜けていくもふもふとした二足歩行のウサギのロボット。経年劣化が見受けられる録音音声に、カミアは元気に返事をしている。遊園地を楽しむには彼くらいはっちゃけた方がいいのかもしれない。
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