冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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パフェを食べながら死体の話 (水月+スイ)

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何度教わってもお菓子が上手く作れないこと、赤点を回避するのに必死にならなければならないこと、笑われるを通り越して心配されるほどダンスが下手なこと、スポーツ全般に苦手意識があること、その他諸々かなり話した。幻滅しそうな雰囲気がないのだ、どこまで話すべきかかなり迷った。

「あっははっ、ナルちゃん可愛い~」

「もぉ……恥ずかしいですよ、こんなこと話すの」

「ごめんごめん。じゃあ代わりに、ナルちゃんもアタシに恥ずかしいこと聞いていいよ?」

「えっ!? えっ、へへ、えぇ~? えっとぉ、じゃあ~……お風呂入った時、どこから洗います?」

「何それ、心理テスト? 髪だけど」

「へっえ~……次は?」

「身体は、えーっと……まぁ、上からよね。肩? 左肩、かな? 首は……腕の後かも」

スイは風呂に入る時のことを思い返しているのか、何かを持っているように指を曲げた右手をふらふらと動かしている。

「ほほぅ……」

「……あの、ナルちゃん? この質問何? 心理テスト……じゃないの?」

「え、違いますよ。スイさんの入浴シーン妄想をよりリアルにするための情報聞いただけです」

「入浴シーン妄想……!? そ、そんなことしてるの? えぇぇ……やだぁ……冗談よね?」

どんなにカッコ悪い部分を聞かせてもニコニコしていたスイが、幻滅した顔をしている。しまった、下ネタやセクハラがダメなタイプか! 女性的なところの多いスイがそういう人間だとは予想出来たはずだ、何故気付けなかったんだ俺のバカ!

「冗談ですよ冗談! ごめんなさい!」

「う、うん……そう思っとくね」

クソッ! せっかく稼いだ好感度が下がった、また告白の返事が遠のいた。どう挽回したものかと考え込んでいるとスイの顔が強ばる、理由を推測する暇もなくパフェが届けられ、俺は店員に軽い会釈をした。店員が去るまでスイは身動ぎ一つしなかった、止めていた呼吸を再開したかのように肩を大きく動かすと、スプーンを手に取った。

「……スイさんって店員さん苦手なんですか?」

半分こすると約束したため、パフェのてっぺんに盛られたマスカットの数を数えながら、微かな疑問解消のための質問を投げる。

「んー……ずっとガワ被ってたでしょアタシ。だからちょっと、素顔じゃどう振る舞えばいいかよく分からなくて……考えてたらタイミング逃しちゃって、どんどん上手く動けなくなっちゃって……特にこんな、女の子ばっかり来てるような店でさ……俺みたいなブ男が何してんだって、思われてないとは思うんだけど思われてるって思っちゃって」

小さなスプーンでバニラアイスを崩し、チョコソースを掬い取りながら、スイは憂鬱そうに呟く。

「そうなんですか……ごめんなさい、俺のワガママで姿戻してもらっちゃって。過ごしにくいなら全然、過ごしやすいようにしてもらっていいんで」

「……んーん。ナルちゃん、俺の顔好きだもん。この顔で居る」

「でも……」

「知らない人のこと気にするより俺のこと好きな人の好きな格好してたいの。無理してる訳じゃ……無理は、してるかもだけど、どっちの無理がしたいかって言ったら、今してる無理だから……これでいいの、ナルちゃんが気にすることないのよ」

「そう……ですか?」

「うん。マスカット、一口もらえる?」

「あっ、はい!」

早速一粒掬ったが、スイは自分のスプーンでマスカットを一粒取っていった。

(……そうですよな流石にアーンはまだ早いですよな!)

まだ告白の返事をもらっていないことを忘れるな、俺。落ち着いて好感度を稼いで、OKの返事をもらうんだ。それが第一目標、イチャつくのはそれからだ、焦るな。

「……ねぇ、そもそもさ、アタ……俺がナルちゃんとこ来たのって、話……したかったからなんだけど」

「昨日しかけてた話ですよね、死体がどうとか……」

「そう……変なことなんだけどね、聞いてくれる?」

「…………ちょっと前、二年の先輩が俺の家を尋ねてきたんです。俺の留守中に。俺の弟とかと約束あったみたいで。その時に家の前で死体に襲われたって……だから多分、同じことが起こってると思います。ぜひ聞かせてください、家の前の件まだ全然何も分かってないんです」

「そうなの……アタシ、ぁ、俺のはね。あっナルちゃんもチョコパフェ食べてよ? 半分こなんだから」

死体の話をしながらのパフェ。味が落ちるなんてことはない、目の前にあるならともかく話だけで味覚が鈍るほど繊細な感覚は持っていない。スイもそうなのだろう、話しながらもパフェを食べる手は止まらない。

「アタシの事務所、雑居ビルにあるじゃない? そのビルの下ウロウロしてたの」

「死体が、ですか……」

「まぁ死体って言っても見た目からして死体な訳じゃないのよ? ちょっと顔色悪いなってくらい」

「ゾンビ映画みたいに血まみれとかじゃないんですね」

「だったら大騒ぎになって……ないか、ナルちゃんの家の前ならともかくアタシの事務所繁華街にあるもんね」

繁華街では血まみれの人間が歩いていても騒ぎにならないのか?

「アタっ、俺も死体って知ったのは後からで、その時は……取り憑かれてる人だと思ったの。身体と霊体がズレて視えたからね」

「へぇ……?」

「お金なしの祓いなんてやらないんだけど、事務所の前じゃねぇ……気持ち悪いし、そんな強そうじゃなかったから、通路から覗いて下に向かって……やーって」

スイは右手を大きく広げた。

「そんななんか、波ぁ! みたいなの出来るんですか?」

「出来るよ~。やったらバッタリ倒れちゃってね、取り憑いてる霊祓ったら気絶しちゃう人ってそこそこ居るからその時も別に不審には思わなくて……事務所の前で人倒れてるって救急車呼んだのよ。その後分かったの、死体って。監視カメラに動いてるとこ映ってるのに死亡時刻はずっと前っぽいとか……調べに来た警察の人が言ってたの盗み聞きしてね。アタシもなんか聞かれるかと身構えてたんだけど、なーんにもなかったしそれ以来調べにも来てない……この事件には触らないって決めたのかしらね?」

「…………」

ネイが話してくれたことだ。怪異や霊能力者が関わった事件に警察は手を出せない。

「死体使って動いてただけの幽霊で、アタシが祓っちゃったってだけの話ならいいんだけど……ナルちゃんの家にも同じの来たってなるときな臭いよね」

「……ですね」

「ナルちゃんとこに死体来たのっていつ?」

「えーっと……」

俺はネイから聞いた、カサネが俺の家を訪れて死体に襲われた日付を伝えた。

「同じ日ねぇ。んー……」

「…………あの、荒凪くん絡みとか……ありえますかね」

荒凪はスイの事務所で霊視を受けた後、地震を引き起こすほどの力を解放した。それを察知した何者かが荒凪が力を使ったスイの事務所と、荒凪が定住する俺の家の様子を見に来たと考えられないだろうか。
口下手ながらに俺はそんな予想をスイに伝えた。
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