冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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子持ちに習う色気を出すコツ (水月+スイ・サキヒコ)

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荒凪を霊視してもらったことや、ネイが荒凪を作った組織を追っていること、その長だろう物部を名乗る男に我が家とスイの事務所の場所がバレていること、ついさっき遭遇したこと、ヤツの襲撃を躱すには強力な結界が張られたこの家以外にないということ、だからスイを泊めたいこと、などなどを母に話した。

「なるほどねー」

「泊まってよろしいでしょうか……おかあさま……」

「いいわよ、そもそも私の断り別にいらないし」

「…………ぇ?」

「夕飯食べるんなら事前に連絡欲しいけど、家に来るのは別にいつでも好きにしていいわ。私の部屋に入らなければ、どこでも好きに過ごしていいし」

「そう……なん、ですか」

我が家の放任主義にスイはぽかんとしている。寂しい人生を送ってきたようなことを言っていたが、目をかけられてきたのだろうか。それとも、息苦しい家だった? 家庭環境の情報は攻略に役立つ、後でそれとなく聞いてみるかな。

「家バレちゃったからさ、早く何とかしないとヤバいと思うんだ。ほら、たとえば俺が学校行って……通学路とかで捕まって、人質にされて荒凪くん出せって言われたら母さんどうする?」

「速攻差し出すわね。悪いけど、あの子とアンタじゃ私にとって価値が段違い」

「……だよね。俺も、人質とか使われたら……荒凪くんを守る自信ない」

「しっかし勝手な話ねぇ、失敗作っつって売ったくせに成功してたって取り返しに来るなんて」

「オークションぶっ潰して保護したらしいから売ったくせにってのも微妙だけどね……」

物部と遭遇し、ヤツが一方的に聞かせてきた話も母にほとんど話した。ミタマの首が離れた話はしていない、疲れたから休んでいると嘘をついた。

「秘書さんにも報告しなきゃなんだけど……大人相手のメッセってなんか、礼儀とか……ちゃんとしなきゃ、かな」

「いいでしょ今更。今まで何通も送ってんでしょ?」

「今までは短文だったから敬語使ってりゃいいかなって……」

「私が明日会社で言っとくわよ、口頭のが間違いないでしょ」

「文の方が聞き漏らしないと思うし……俺が報告したい」

「なんで? 書き方分かんないんでしょ?」

「いや、その……俺が報告しないと俺が褒められない……褒められたい、俺えっちなお兄さんに褒められたいんですっ……!」

数秒の逡巡の後、俺は素直に気持ちを吐露した。

「…………まぁ確かに色気はあるわねアイツ。彼氏だけにしときなさいよそういうのは、アイツにはあんま関わんない方がいいんだから。スイちゃんだってアンタよりお兄さんなんだから、スイちゃんに褒めて貰えばいいじゃない。ねぇスイちゃん」

ゾクリと背筋に悪寒が走り、母に倣ってスイに視線を移す。

「……そう、です……ね」

「ん……? どうかしたの、スイちゃん」

「い、いえ……なんでも……」

スイの手は強く握り締められている。昨日本屋の前で彼と相対した時と同じ、嫌な圧を感じる。スイが苛立っている証だ。サキヒコとミタマの推測では彼は嫉妬心を抱くと霊力を生み出せる体質だとか。許容量以上に生み出せば漏れていくのが当然、負の感情から湧いた霊力を浴びれば嫌な感じがするのも当然、浴び過ぎれば体調を崩すのも当然。

「そうだね母さん! スイさんに頼もうかな! よく思い返したら、うん、そう好みでもないし!」

「急に手のひら返すわね」

「あはは……そういえば、すっごくタイプな人が今隣に居たなぁって」

俺はどの角度から見ても完璧な超絶美形だが、そんな俺が特に自信のある角度を意識してスイを見つめる。

「……そういえばって何、俺居るの忘れてたの」

「えっ、ち、違いますよ! それは言葉の綾って言うか……」

「そういえば、いっぱい居るんだもんね、彼氏。新しく口説いてるヤツちょっと忘れるくらい仕方ない仕方ない」

「いや、あの、スイさん……」

「…………オムライス、美味しかった。ベーコン巻きも。ありがと。お皿下げてくるね」

「あっ、さ、皿洗いはいつも俺の仕事なので……!」

話しながら俺も夕飯を食べ終えていた。空になった皿を持ち、キッチンに急いだ。スイは「じゃあ任せる」「ありがと」とだけ呟いてダイニングに戻った。

「……ミツキ、大丈夫か? 強い焦燥が見て取れるが」

サキヒコの潜めた声が頭のすぐ後ろから聞こえる。

「俺はとんでもないバカだよ……せっかくお泊まりしてもらえることになって、スイさんの好感度稼ぐ大チャンスなのに……何してんだよ俺、本当……」

「スイ殿はミツキを嫌ってはいない、嫉妬し苛立っているだけだ。ミツキを好ましく思っているからこそと言える」

「一緒に居てイライラするヤツは嫌われていくんだよ……!」

挽回のセリフを考えておこう。その情報収集のためにも母とスイの会話の盗み聞きに集中しなくては。

「あの、お義母さま、その方そんなにセクシーなんですか?」

「……普段着が着流しだから惑わされてんでしょ。水月はバカだから見慣れない服装に興奮してるだけ」

これは母なりのフォローだろうか。

「着流し……和服かぁ……アタっ、私、似合いますかね、和服……」

「和装似合う顔してると思うわよ。でもそんな最速でも明日以降のバフアイテムより、今すぐ習得出来ちゃうセクシーな仕草とか知りたくない?」

「……! 知りたいです!」

「まずはその可愛い元気さを抑えて。色気は落ち着いた大人のものよ」

「はい! あっ……はい」

「落ち込んだ感じとは違うのよ。声をあんまり張らずに、仕草を小さくすればそれでいいから」

「は、はい……」

「まずは流し目覚えましょっか。その話してる人の方にしっかり身体向ける癖はとてもいいんだけど、水月を誘惑する時は別よ」

「流し目……って、どうするんですか?」

「顔動かさずに目だけで見るの。あなた目がすっとしてて色っぽい顔してるから似合うはずよ」

「……自分の目嫌いです。細くて……吊ってて、一重で。ぱっちりした目欲しい……整形しようかなって思ってるくらいなんですけど」

「デカい目ってのは美人の条件に数えられがちだけど、一番大事なのはバランスよ。で、あなたはそのバランスがいいからその目も魅力的でしかないの。信用出来ない? どうしても嫌なら整形でも何でも好きにすればいいけど……水月は多分、今のあなたが大好きよ」

「…………それ、は……知ってます。可愛いって、綺麗って、美人だって……何回も…………はじめて、アタシ、そんな……」

スイの声がだんだんと小さくなって聞こえなくなった。盗み聞きが出来なくなると自然に皿洗いの速度が上がる、終わらせてダイニングに戻るとスイが泣いていた。

「スイさん!? どっ、どうしたの、えっ何、なんで、大丈夫? 母さん何言ったの」

「……泣かせたのアンタよ」

「えっ!?」

今まで皿を洗っていた俺がどうやって泣かせたと言うんだ。突然の冤罪に困惑したが今の急務はスイを泣き止ませることだ。理由は後、とにかく落ち着かせよう。
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