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危ない部位多め (〃)
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俺ばかり話すのが嫌だったのか、俺と一緒で化学が嫌いなのか、何なのかは全く分からないままだが、話題を変えたことでどうにか荒凪の機嫌は治った。
「キュ~、ハル、今度頼む」
「うん、頼んでごらん」
彼氏達と仲良くなれるように彼らの話をしてみたのだが、ハルがメイクやファッションに明るいというのが特に荒凪の興味を引いたようだ。
(意外ですな、荒凪きゅんもわたくしと同じファッション無頓着民だと思ってましたぞ)
水中では全裸、地上ではありあわせの服、髪はいつもただそのまま下ろしているだけ、当然ノーメイク、そんな彼がメイクやファッションに興味を持つとは……やっぱり水着を用意してあげた方がいいのかな?
「可愛い? 綺麗? かっこいい? どれか、増やす、水月もっと、俺達気に入る」
「荒凪きゅん!」
まさか俺のためにもっと可愛くなりたかったのが理由だなんて、本当に健気だ……というか、セイカと同じで俺を起点に考える癖が付いているのかな? まぁ、自我や情緒が育つまではそれでいい、セイカと同じように少しずつ自分の趣味や好みを見つけていくだろう。
「……水月、ミタマの耳、尻尾、好き」
「ん? うん、さっきも言ってたね。人間に人間じゃないパーツ付いてるの萌え、いや、好きって……その通りだよ、それがどうかした?」
「俺達、何増える、好き?」
「……何生やせば可愛いかって? うーん……まずはやっぱりあのヒレ耳かなぁ」
黒い髪の隙間から魚のヒレが現れる。
「腕のヒレとかもいいかも。後は鱗……ほっぺの端とか? 水掻きとかも可愛いかな。そういえば水掻きって邪魔じゃないの? 指動かしにくくない?」
荒凪は俺の言う通りにヒレを生やし、鱗を生やし、指をパッと広げて張った水掻きを俺に見せた。
「不便、ない」
「手組めないよね」
「うん。でも、手組む時、ない」
「……まぁそっかぁ。不便感じてないならよかったよ」
「水月、水掻き好き?」
「好きだよ。爪とかも生やせる?」
「爪……爪、危ない」
「見るだけ。触らないからさ」
荒凪は渋りながらも人魚の姿の時に生える鋭い爪を俺に見せてくれた。
「おぉ……やっぱりカッコイイなぁこの爪」
猛禽類のような黒い鉤爪には光の加減で青や緑がチラつく。玉虫の翅だとかで有名な、構造色というヤツだ。鱗もヒレもそう、角度によって荒凪は七色に輝く。美しい子だ、本当に。
「……もういい?」
「心配性だなぁ。分かった、もういいよ」
荒凪は自分の指先から黒い爪を毟り取る。見ているだけで痛みを錯覚する光景だが、荒凪の無反応さからしてつけ爪を外すようなものなのだろう。
「そういえばこのヒレって物切れるの? 切れ味良さそうに見えるけど」
「危ない」
荒凪は四本の腕に生えたヒレをぱたんと閉じた。
「扇子みたいだなぁ……危ないって、本当に切れるの? 魚のヒレって柔らかくて乱暴したら破れちゃうようなのだろ?」
「……切っていいもの、ある?」
実演してくれるのか? 庭にある草木は俺も母も手入れしていない、伸び放題だ。とはいえ木を切り倒すのはまずい、小さめの枝や低木くらいならいいだろうか。
「細い枝とか草ならいくらでも切ってくれていいよ」
「キュ」
立ち上がった荒凪は主腕を組み、伸ばした複腕のヒレを広げ、伸び放題な低木に向かって振るった。
「……えっうわ切れてる」
見事な横一閃によって低木はド下手くそな庭師が途中まで手を加えたような有様になった。上側だけを若干斜めに切られた低木は、先程までの伸び放題の方がマシな情けなさを醸し出している。
「危ない、分かった? 水月」
「よく分かったよ、触らないようにする」
「キュ、しろ」
荒凪はヒレや鱗を全て剥がして完全な人間の姿に戻ってしまった。
またウッドデッキに並んで座り、荒凪と話しながら腕を搔く。先程からずっと同じところが痒い、ぷっくりと小さな腫れも出来ている。
「蚊かな……」
「蚊?」
「荒凪くんは刺されてない? 痒くない? 草多いのよくないのかな……俺はともかくセイカの少なそうな血吸われたり我慢せず掻き毟って怪我作りそうなアキは刺されるとまずいよね」
「水月、草嫌い?」
ここで頷いたら周囲一体の草が枯れたりするのだろうか。我が家の庭だけに絞ってくれているのだろうか。
「…………いや、そうでもないよ」
だが、突然全て枯れられたり腐られたりしてもゴミ捨てが面倒だし、木や低木なんてどう片付けていいのかイマイチ分からない。最低限母に相談が必要だ。
「……! そうだ、この庭に居る蚊、全滅させてくれない?」
「……蚊は、殺していい?」
「え? そりゃいいに決まって……ダメなのかな?」
生肉どころか生魚も食わせるなと秘書から注意されている。殺してはいけないのは人間だけではないかもしれない。
「…………や、やめとこっか。蚊、嫌だし……中入ろう。そうだ、プール行こうか」
「キュ、プール好き」
シュカはもうシャワーを終えただろうし、今のプールには誰も居ないはずだ。俺は荒凪を連れ、プールへ向かった。
「キュ~、ハル、今度頼む」
「うん、頼んでごらん」
彼氏達と仲良くなれるように彼らの話をしてみたのだが、ハルがメイクやファッションに明るいというのが特に荒凪の興味を引いたようだ。
(意外ですな、荒凪きゅんもわたくしと同じファッション無頓着民だと思ってましたぞ)
水中では全裸、地上ではありあわせの服、髪はいつもただそのまま下ろしているだけ、当然ノーメイク、そんな彼がメイクやファッションに興味を持つとは……やっぱり水着を用意してあげた方がいいのかな?
「可愛い? 綺麗? かっこいい? どれか、増やす、水月もっと、俺達気に入る」
「荒凪きゅん!」
まさか俺のためにもっと可愛くなりたかったのが理由だなんて、本当に健気だ……というか、セイカと同じで俺を起点に考える癖が付いているのかな? まぁ、自我や情緒が育つまではそれでいい、セイカと同じように少しずつ自分の趣味や好みを見つけていくだろう。
「……水月、ミタマの耳、尻尾、好き」
「ん? うん、さっきも言ってたね。人間に人間じゃないパーツ付いてるの萌え、いや、好きって……その通りだよ、それがどうかした?」
「俺達、何増える、好き?」
「……何生やせば可愛いかって? うーん……まずはやっぱりあのヒレ耳かなぁ」
黒い髪の隙間から魚のヒレが現れる。
「腕のヒレとかもいいかも。後は鱗……ほっぺの端とか? 水掻きとかも可愛いかな。そういえば水掻きって邪魔じゃないの? 指動かしにくくない?」
荒凪は俺の言う通りにヒレを生やし、鱗を生やし、指をパッと広げて張った水掻きを俺に見せた。
「不便、ない」
「手組めないよね」
「うん。でも、手組む時、ない」
「……まぁそっかぁ。不便感じてないならよかったよ」
「水月、水掻き好き?」
「好きだよ。爪とかも生やせる?」
「爪……爪、危ない」
「見るだけ。触らないからさ」
荒凪は渋りながらも人魚の姿の時に生える鋭い爪を俺に見せてくれた。
「おぉ……やっぱりカッコイイなぁこの爪」
猛禽類のような黒い鉤爪には光の加減で青や緑がチラつく。玉虫の翅だとかで有名な、構造色というヤツだ。鱗もヒレもそう、角度によって荒凪は七色に輝く。美しい子だ、本当に。
「……もういい?」
「心配性だなぁ。分かった、もういいよ」
荒凪は自分の指先から黒い爪を毟り取る。見ているだけで痛みを錯覚する光景だが、荒凪の無反応さからしてつけ爪を外すようなものなのだろう。
「そういえばこのヒレって物切れるの? 切れ味良さそうに見えるけど」
「危ない」
荒凪は四本の腕に生えたヒレをぱたんと閉じた。
「扇子みたいだなぁ……危ないって、本当に切れるの? 魚のヒレって柔らかくて乱暴したら破れちゃうようなのだろ?」
「……切っていいもの、ある?」
実演してくれるのか? 庭にある草木は俺も母も手入れしていない、伸び放題だ。とはいえ木を切り倒すのはまずい、小さめの枝や低木くらいならいいだろうか。
「細い枝とか草ならいくらでも切ってくれていいよ」
「キュ」
立ち上がった荒凪は主腕を組み、伸ばした複腕のヒレを広げ、伸び放題な低木に向かって振るった。
「……えっうわ切れてる」
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「危ない、分かった? 水月」
「よく分かったよ、触らないようにする」
「キュ、しろ」
荒凪はヒレや鱗を全て剥がして完全な人間の姿に戻ってしまった。
またウッドデッキに並んで座り、荒凪と話しながら腕を搔く。先程からずっと同じところが痒い、ぷっくりと小さな腫れも出来ている。
「蚊かな……」
「蚊?」
「荒凪くんは刺されてない? 痒くない? 草多いのよくないのかな……俺はともかくセイカの少なそうな血吸われたり我慢せず掻き毟って怪我作りそうなアキは刺されるとまずいよね」
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