冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

文字の大きさ
1,876 / 2,315

返事をする条件とは (水月+スイ)

しおりを挟む
母に相談するためアキの部屋を出た。ダイニングではまた母と前社長が酒盛りをしていたが、先程とは違う点が一つある。

「ん? 誰か来たか?」

「私の息子よ。どうしたの水月」

前社長が顔を隠す布を外し、使い捨てのアイマスクを付けている。

「ちょっと相談が……あの、目温めて大丈夫なんですか? 血管切れたとか言ってましたけど、温めたら開いちゃって余計血出たりしません?」

「大丈夫っぽいぜ、ご心配どーも。で、相談って?」

「あっ、みんなの寝床の話で……母さんに相談なんで」

「そ。んじゃおにーさん黙っとくぜ」

おにーさん……社長職を息子に譲るような歳なんだよな、この人。

(雑面外してるので目元以外が見えるようになってますな、口元も首周りも超若々しいでそ。鼻もスっとしてて、うーん美形。アイマスク外した素顔が見たいですなぁ)

あんまりじっと見ていたら母にからかわれる。

「ちょっと寝床足りるか怪しいのですが、使えそうな布団とか代用品ありません?」

「ほとんど物置と化してる和室あるでしょ、そこ漁りなさい」

「あ、はい。もちろん。他は……」

「私の冬用のベッドカバーとか、そんなもんね。冬用とはいえ結構ペラペラだけど、まぁ男子高校生なんかそんなもんでいいでしょ」

男子高校生を何だと思っているんだ。

「あなたは今日は泊まっていかれる感じですか?」

「俺? 俺は多分帰る。つーか迎え来ると思うぜ」

「多分なんですか?」

「俺ぁさっき帰国したばっかでな、家にも会社にも帰らずここ来てる訳だ。俺が今日帰国するって知ってて俺を待ってるマイダーリンは、さっき俺がここに来てることを電話で知った。すると、どうなる?」

「……どう、と言われましても」

「迎えに来るんだよ」

「はぁ」

「ブチ切れながら」

「ブチ切れながら!?」

「そりゃ家に帰らず他所の家に入り浸ってんだ、超嫉妬深いダーリンとしちゃ面白くねぇだろうぜ」

前社長は楽しそうに笑っている。

「怒らせて遊んでるタイプですか? 趣味は勝手ですけど、俺達巻き込まないでくださいよ?」

「んな心配は……どうだろうな、知らね」

「えぇ……」

迎えが来るタイミングで玄関近くやダイニングには居ないように気を付けておくか。



和室に移り、押し入れの中身を引っ張り出す。昨冬の終わりに洗って以来、ずっと押し入れの中にあった布団の匂いは……洗剤の香り。

(もうちょいホコリっぽくなってるかと思いましたが、全然ですな)

羽毛布団は使わないだろう、いや、この厚みなら敷き布団として使えるか? 暑いかな。

(つーかせっかくふわっふわの羽毛布団がペタンコになったら嫌ですし、これは戻しときまそ。使わなさそうなのは全部下段に押し込んで、上段に敷き布団を一枚……ちょっと狭いですが寝れそうですな)

ミフユなら足を伸ばして眠れそうな広さだが、スイは足を曲げなければならないだろう。まぁ高身長な男は大抵丸まって眠る癖がついているものだ。



早速スイを呼んで押し入れを確認してもらった。

「ネコ型ロボットになった気分……」

「どうですか? 寝心地」

「なんかワクワクするわね。アタシ狭いとこ結構好きだから居心地いいわよ、ランプとか漫画とかお菓子とか持ち込んじゃいたい気分」

「秘密基地ですね」

俺は物心ついた時から規格外のデブだったから、狭いところに入り込んで秘密基地を作ったり……なんて経験がほとんどない。そんな俺でも何故か秘密基地のワクワク感は分かるし、ノスタルジックな気分になる。

「……ねぇナルちゃん、アタシこんな喋り方しちゃってるけど……別に心が女とか、そういうのじゃないのよ?」

「はい、前聞いたんで知ってます」

「着せ替え人形よりプラモ派よ?」

「それ性別あんまり関係ないと思いますけど……ってかプラモ作るんですか? 俺も結構好きなんですよ、スイさん何プラが好きですか?」

「えっと……ごめんね、子供の頃の話。中学上がった時にはもうしなくなってたわ」

「中学生が一番燃える時期でわ……!? あっ、いえ、すいませんこっちこそ……えと、何の話でしたっけ」

ちょっと興味のある分野の話が出たからってはしゃぐな俺。誰もが今現在俺と同じ熱量でハマっているとは限らないのだから。

「んーとね、個室用意しようとしてくれたり、こんなとこで寝させようとしてくれたり……なんか、女の子扱いな気がしちゃうのよね。そういう扱い求めて姿誤魔化したり今までしてたんだけどぉ……ほら、ナルちゃんが好きなのって、アタシが嫌いな……うっすい素顔じゃない?」

一重かつ目が細め、唇も薄め、彫りも浅いスイの顔立ちは、確かに「うっすい」と言える。だが二重だの長い睫毛だのと言った一般的な美人の条件を満たしていないにも関わらず、奇跡的なパーツのサイズと位置関係によってスイは素晴らしい美人となっているのだ。非常に色っぽく、見ればうっとりしてしまうこの顔を、あまり卑下しないで欲しい。

「だからアタシ……俺、出来れば……すっかり忘れちゃった、素で……中身も素で、ナルちゃんに向き合ってみたいなって思ってて」

既にイントネーションの柔らかさや仕草が女性的だ。

(言動の性差ってそもそも身に付いてるものじゃなく、環境で身に付くものだと思うんですよな……周りの女の子はこうだから合わせたりとか、男の子はこうするんだよって教わるとか……女性のフリをして、女性として周りに扱われて半生を過ごしたスイさんの言葉遣いや仕草にはもう、男性的な『素』とかないんじゃ……?)

まぁこれからじわじわ男を取り戻していくのかもしれないけど。正直俺はどっちでもいい、俺はスイの顔と若干病んだ精神性が好きなのだ。女性的な仕草のままでも、男性的な仕草に戻っても、どっちでも俺は萌えられる。

「なのにナルちゃんが女の子扱いしてくれると、それがブレちゃうから……こういうの、しなくていいよって言いたくて……言いたかっただけなのに、なんか長々話しちゃった、ごめんねっ」

「いえ……俺別に女の子扱いとかしてるつもりなかったんですけど、そう感じさせちゃってたみたいですいません」

女の子の扱い方なんか知らないし。

「あっ、そうだったの? 過敏になってたのかなぁ、えへへ……ごめんね。それじゃあこの扱いはどういうつもりでやってたの? 明らかに他の子と違うじゃない」

「……スイさん、まだ俺の告白返事くれてないから。OKの返事くれるまでは扱い違いますよ、そりゃ……お客様と彼氏達一緒に寝させる訳には、ねぇ?」

「…………そういうことだったの」

「はい。ぁ、初対面のみんなと一緒に寝るのちょっとキツいかなって思ってたのも結構大きいんですけどね」

「そう……ごめんねいつまでも返事保留にしちゃって」

「いえ、いつ頃返事出来そうとかあります?」

「……そうねぇ、お義母さまに挨拶も終わったし……今度はナルちゃんがアタ、ちが……俺! 俺のお父さんに挨拶して……くれだぜ?」

互いの親に挨拶だって? 結婚前じゃあるまいし、交際を始めてしばらく経ったならまだしも交際前に挨拶だって? どこの地域の文化だそれは。

「は……はい、分かりました。今度……はい」

あんまり驚いたから変な語尾に心の中ですらツッコめなかったじゃないか。
しおりを挟む
感想 535

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

一人の騎士に群がる飢えた(性的)エルフ達

ミクリ21
BL
エルフ達が一人の騎士に群がってえちえちする話。

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

水泳部合宿

RIKUTO
BL
とある田舎の高校にかよう目立たない男子高校生は、快活な水泳部員に半ば強引に合宿に参加する。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

処理中です...