冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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警戒心は薄め (水月+クンネ・ミタマ・サキヒコ・ヒト・フタ・サン)

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カラス加工所として使われていた部屋を後にし、また地下への階段を探す。クンネに建物の構造を聞いてみたが、ずっと閉じ込められていた彼が知るはずもなかった。

「ちっちゃ~……わ、すげぇ、爪ちゃんと生えてる…………なぁなぁちんこある?」

フタは小さなクンネに興味津々で、顔を近付けてじろじろと眺めている。言葉も分からない巨大な相手に観察されては不愉快だろう。俺はクンネに左手のひらに移ってもらい、右手で壁を作ってフタの視線からクンネを守った。

「あんまり見ちゃ失礼ですよフタさん」

「なんでぇ?」

「フタさんだって知らない人に、しかも何言ってるか分からないでっかい人に見られてたら怖いでしょう?」

「……? 俺よりデカいヤツなんか居ねぇよぉ。ふふふ、みつきデカいのこわいの? みつきちっちゃいもんねぇ」

相手の立場に立って、だとか、例え話だとか、そういうのが出来ないフタにフタが不快に思わないことをやめさせるのは難しいのかもしれない。

「兄貴、小人さん見られるの嫌なんだってさ。やめたげて」

「そなの? 分かったぁ……ちょっとざんねん」

……フタは素直で心優しい人だ、失礼だとかフタがクンネの立場なら嫌だろうとか、ややこしい言い方をせずストレートに伝えればよかった。いや、クンネが見られるのを嫌がっていた確証はないのだけれども。

「小人とはまたファンタジーな存在が出てきましたね。縫合が得意だったようですし、やはり夜中に靴を作っておいてくれる妖精とか……そういうのですかね?」

今度はヒトが俺の手のひらを覗き込む。まぁ、フタほど近くはないし、絡まれメインは俺だ。注意しなくてもいいだろう、ヒトは注意すると面倒臭くなるし。

「あー、海外の怪異なんですかね? コンちゃん、ちょっと聞いてみてよ」

「ふむ…………人間の国とかはよう分かっとらんようじゃ」

「……まぁそうだよね」

「大昔は人間と交易を行っていたが、小人とバレてからはやっとらんそうじゃ。その話も伝わっとるだけで御伽噺か史実かはよう分からんらしい」

「小人の集落とかあるんですか?」

「……数十人で固まって暮らしとったが、獣……大きなイタチか何かに襲撃されて散り散りになったそうじゃ。妹と二人では再び獣が現れた時に逃げ切れんと考え、獣の少ない人里で隠れ暮らし始めてしばらく、物部に捕まったって言うとる。まぁ十中八九、目撃され噂が流れ、物部がそれを聞き付けたんじゃろうな」

怪異とか妖怪って言うより、UMAって感じだな。存在が明確になったら人権とか参政権とか手に入れられるんじゃないか?

「人間に見つかったら酷い目に遭うのは弱小妖怪のお決まりぱたーんじゃ! もっと気ぃ付けい!」

ミタマはつんつんとクンネの頭をつついた。

「やめてあげてよ、妹さん捕まって傷心だろうに……人里に降りてきたのだって仕方ない理由があったんだから、クンネは悪くないよ」

ミタマの手をそっとどかし、両手でクンネを包んで守る。するとクンネは指の隙間から顔を出し、俺に向かって微笑みかけた。

《ミツキ! お前はエカシの話通りの人間だな、人間は優しくて猫や鳥から守ってくれたり飯くれたりするって言ってた》

ひとまず微笑み返し、ミタマの翻訳を待つ。

「はぁ……警戒心のないチビじゃ。人間は優しい、守ってくれ飯くれっちゅうとるぞ」

《そんなこと言ってない! 自分の身は自分で守るし飯も自分で調達する! エカシがくれるって話してたってだけだ、俺はたかる気はない!》

「そうかそうか、殊勝じゃの。いや、世間も自分も知らぬがゆえの無謀さか。ひとつ教えておく。みっちゃんは激レアじゃ、小人に優しい人間などそう居ない。捕まえて晒し物にするのが普通じゃ。みっちゃんに会えた幸運に感謝するんじゃな」

脅すような声色だ。クンネは俺の親指にぎゅっと抱きつき、俺を見上げた。

《……優しく接してくれて、ありがとう》

可愛いなぁ。今思いっきり力を込めてぎゅってしたら、死んじゃうのかな。死にはしないかな、でもどこか折れたり潰れたり、血を吐いたりはするかな? 弱くて可愛い。

《ミツキ……?》

手にそっと力を込めるとクンネの表情は不安げに歪む。

(いぢめたい……)

ケージを掃除され備蓄を失ったハムスターを眺めるような、他の兄弟にのしかかられてもがいている仔犬を眺めるような、喧嘩で一方的に叩かれている短足の猫を眺めるような、そんな気分になってきた。

《…………あぁ、抱擁か! デカ過ぎてちょっと怖かったけど、俺がやってるののお返しか。ははっ、お返しのお返し! ぎゅ~》

不安そうにしていたクンネは突然笑顔になり、俺の親指に強く抱きついた。力を返すようにクンネを握る力を強めてみても、クンネは笑顔のまま俺を見つめている。

「……ふふ」

彼は俺を信頼している。なんて可愛いんだ。このまま握り潰してやって驚きと戸惑いと苦痛でぐちゃぐちゃになった表情が見たい。だがもちろんそんな欲望、俺の全欲望の一割にも満たない。

「可愛い可愛い……」

握るのをやめて指の腹でそっと頭を撫でてみると、クンネは俺の指に抱きついて頬擦りをしてきた。

「口に含みたい」

「みっちゃん?」

「……! ち、違う、巨人中学校の巨人みたいにしかしないから! 原作巨人みたいなことはしないから!」

「何をする気か全く分からんが、いい予感はしない。やめるんだミツキ」

「してみたいって言っただけなのに……! 行動には移さないよ、ちょっとは信用してよ!」

信頼だの信用だのとさっき少し揉めていたが、この中で一番信用がないのは新参のクンネではなく俺なのかもしれない。
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