冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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食前のイチャつき (〃)

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彼氏達にメッセージを送った後も、SNSの巡回やソシャゲのログインボーナス回収などをしてスマホから手を離さずにいると、肩にズシッと重みを感じた。

「きゅるるる……ひまー」
「水月、スマホまだ終わらない?」

荒凪だ。退屈させてしまっていたらしい。すぐにスマホを置き、荒凪とのスキンシップに励む。顎をくすぐるように撫で、頬をすりすりと愛撫し、内側が青く輝いている不思議な髪を掻き混ぜるようにくしゃくしゃと撫で回す。

「きゅうぅん、みつきぃ」

それだけで荒凪はイルカのように鳴いて喜ぶ。もう少し際どいところを触ってみようかと、頬から首へ、首から胸へと手を下ろしていく。

「きゅ……?」

手術着は通気性はいいがそれほど薄い生地ではない、なんだか硬いし、服の下の肉の感触を味わうには不向きだ。だが着ている側にとって生地の荒さや硬さは肌を敏感にさせるスパイスになる。布越しに胸をさすり、乳首を刺激してみる。

「……? みつき……?」

機能や特徴は人間と変わらない、刺激し続ければ固く膨らむ。ふぅっと息を大きく吐き、身体を捩り、困惑しながら顔を赤らめていく。

「きゅ、ぅ……」

呼吸が不規則になってきた。身を縮めて俯く荒凪の耳の縁にそっと舌を当てる。荒凪は身体をピクッと小さく跳ねさせたが、逃げることも押しのけることもしなかった。受け入れられたと判断し、俺は彼の耳をゆっくりと舐め上げた。

「きゅっ、ふ、ぅう……きゅぅうん……」

ぴちゃぴちゃと音を立てて舐めていると、頬にチクッと何かが刺さった。顔を離して見てみれば荒凪の耳の端から紺色のトゲが伸びていくのが分かった。刺さらないよう気を付けて耳舐めを続けると、トゲは二本三本と増えていき、そのうちトゲとトゲの間に膜が貼られた。

(ヒレ耳出ちゃってまそ~! かわゆい! 唾液でも変身解けちゃうんですな)

はむ、とヒレの膜を唇で挟む。

「きゅゔっ!? きゅぅう……みつき、やだぁっ」

ヒレの膜は耳たぶよりも敏感なようだ。しかし、荒凪……口に含むとほんのり魚臭いんだな。

(ここまでしっかり嫌だと言われると続けにくいですな)

荒凪の耳から口を離し、頬にキスをする。もちろん彼の変身をこれ以上解かないよう事前に唇を手の甲で拭うのは忘れない。ちゅ、ちゅ、と音を立てて何度かキスを繰り返すと、荒凪に笑顔が戻る。

「きゅるるるっ、みつきぃ、僕達みつき好きぃー」

機嫌良さげに喉を鳴らし、二本の腕で俺に抱きつく。ん? 二本?

(おや? いつの間にやら荒凪きゅんのおててが二本になってますぞ。そういえば少し前から声が一つしか聞こえてませんでしたな)

喉に手を当ててもきゅるきゅるという鳴き声に合わせて震えるばかりだ。

(休眠中でしょうか)

荒凪のハッキリ喋る方、喉に口がある方、おそらく荒夜の方……彼は休眠を取る。以前呪いの力を使わせてしまった後、彼は疲れたと言って休みたがった。物部にさらわれ、俺達を呪わせられた彼は相当疲れていただろう、ずっと休みたかったのかもしれない。

(弟が一人ではないと、ここが安全な場所だと分かったから休眠に入った。とかなら嬉しいですな)

愛おしい子が自分の傍で安らいでくれることほど嬉しいことはない。

「ぁら、なぎ……くん」

「きゅっ、みつき喉痛い。話す、よくない」

「……ふふ」

俺を気遣ってくれているのが可愛くて、思わず頭を撫で回してしまう。

(はぁ……かわゆい。戻ってきてよかった)

きゅふきゅふと楽しげに笑う荒凪を抱き締め、改めて荒凪を取り返した安堵と喜びに浸る。

(わたくしのでそ。わたくしの。荒凪きゅんはわたくしの)

そうして荒凪とイチャコラ戯れているうちに、昼食は完成した。ニンニク醤油漬けの鶏肉、申し訳程度のレタス、合わせ味噌の味噌汁、そして白米……最高だ。

(こういうのでいいんだよこういうので、って感じですな)

温かい家庭料理を前にすると日常に帰ってきたという実感が湧く。

(サンちゃまに食べさせていただけるのならお粥でもご馳走ですが、わたくしは今肉が食べたい! 痛んでくれるな我が喉よ!)

立ち上る湯気が既に美味い。

「ヌシらが食うのは人間と同じもんでええんじゃな?」

《デカい人間が何食ってるか知らねぇけど、同じだと思うぞ。美味そうな匂いするし》

「どのくらい食うんか分からんから適当に盛った。まだまだあるから足りんかったら遠慮せず言うんじゃぞ」

クンネ達の前に並べられたのは、小皿に盛られた鶏肉と野菜、ペットボトルのキャップに入れられた白米と味噌汁だ。

『これペットボトルの蓋?』

「ちょうどいい入れもんがなくてのぅ。おちょこでもあればよかったんじゃが」

「悪いね持ってなくて。ちびちび飲むの嫌いなんだよねぇ」

「箸をどうするか解決策が出んでな。爪楊枝を持ってきてみたんじゃが、どうじゃ?」

爪楊枝すら食器には大きい。短く折ったところで太過ぎる、箸として使うことは出来ないだろう。だがクンネは笑顔で爪楊枝を受け取った。

「よさそうじゃな。あーちゃんは箸使えるか? ふぉおくにするか?」

荒凪はミタマに渡された箸を上手く持てていない。記憶が戻っても箸が使えないのか……何故だ? 代わりに渡されたフォークの持ち方も幼児のようだ、サキヒコが持ち直させている。テーブルマナーに関してはサキヒコに一任していいだろう。

「持てたかの? よし。では、いただきます」

「いただきま~す」

「いだ、だぎっ……げほっ、けほ、いただき、まず……」

「無理に話さなくていいよ水月」

サンが心配そうな顔でこちらを見ている。相変わらず微妙に合わない目線が愛おしい。

「ん……!」

早速鶏肉に箸を伸ばす。よく味が染みていて美味い、いつから漬けていたのだろう。

「おい、しっ……げほっ、けほ」

「飲み込めそう?」

「ゔん……だい、じょっ、けほっ……」

「きゅう……みつきぃ、大丈夫?」

彼氏達から心配されている。大丈夫だと答えようとすれば喉が痛んで咳が出る。ますます不安げな視線が俺を突き刺す。

『大丈夫、心配しないで』

「……ミツキ、声を出すと痛むのだろう? 話さないよう気を付けろ、紙かすまほに書けば私が代わりに伝えてやるから」

『ありがとう。でも行儀悪くないかな』

「今はミツキはそうして話すしかないんだ、気にするな」

品性を重んじていそうなサキヒコがそういうのなら、遠慮なく食事中にペンを持とう。

「サン殿、ミツキが鶏肉の料理がとても美味しい、是非レシピを教えて欲しいと──」

箸を置いてサンに気持ちを伝えよう。

「サン殿、ミツキが温かい味噌汁を飲むとほっとすると。あなたとの所帯を持った妄想を膨らませてしまうと──」

もちろん、サン以外の者にも。

「アラナギ、ミツキがその頬いっぱいに詰めて食べる仕草が愛らしいと言っているぞ。私は少し行儀が悪いと思うが……まぁ、少しずつ加減を覚えていけばいい」

話すよりも書く方が言いたいことがまとまっていいかもしれないな。

「ミタマ殿、ミツキが──」

「ワシは直に読むから言わんで大丈夫じゃぞ」

ミタマに彼の食べ方に萌えていると語るメモを向けると機嫌良さげに尾を揺らした。

「……ミツキ、普段の食事中はここまで頻繁には話していないだろう。一口食べては筆に持ち替え、書き終えては箸を持ち……忙しない。私に遠慮する必要はないが、ミツキ自身のために多少の慎みは必要だぞ。一度、味噌汁に筆を入れかけただろう」

やんわりと注意されてしまった。箸を二本まとめてペンのように持ち替えたり、ペンで物を食べようとしたりしてしまっている状況は確かによくない。もう少し落ち着きを持たなければ、モテとは余裕から生まれるものでもあるからな。
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