冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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選手交代 (水月×荒凪)

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手術着を羽織って寝室を出る。荒凪はダイニングに居た、四本の手を使ってあやとりで遊んでいる。机の上にはクンネとその妹が居り、俺には分からない言葉で会話を弾ませていた。

(コンちゃんとサキヒコきゅんの姿が見当たりませんな)

辺りを見回していると荒凪が俺に気付いた。

「きゅ! みつき!」
「水月、サンは?」

声が重なって聞こえる、荒夜も夜凪も起きているようだ。サンと寝室に居た時荒夜の方は休眠中だったはずだが……記憶が共有されるのか、休眠を終えた後に夜凪が話しただけなのか、別にどっちでもいいか。

(メモどこ置いたっけ……あっ、荒凪きゅん文字読めないんでしたな。クンネたん言葉通じませんし……どうしましょ、やっぱりコンちゃんかサキヒコきゅんに居て欲しいでそ)

二人はどこに居るのだろう、姿を消しているだけですぐ傍に居るのか?

『サキヒコくん、コンちゃん、どこ?』

メモに書いて何もない空間に向かって突き出してみるも、二人は現れない。

「みつき、どうした?」
「水月話せない。喉痛い」

そうだ、スマホの音声読み上げ機能を使えばいいじゃないか。すっかり忘れていた。

『サンとの用事は終わったよ。だから荒凪くんと過ごそうかなって思ったんだ。どうかな? 今暇?』

「……? きゅ?」
「…………今の、水月話した?」

頷くと荒凪は目を丸くしたまま首を傾げた。

「ひま……」
「俺達、今、暇」

スマホについての理解は横に置いて、ひとまずスマホから発せられた機械音声も俺の言葉だと納得してくれたようだ。地頭はいい、ってヤツだな。

(記憶が完全に戻ってもスマホについてはよく知らなさそうで……うーん?)

生前の荒凪の暮らしぶりが上手く想像出来ない。まぁいいか、そのうち秘書が調べてきてくれるだろう。

『サキヒコくんとコンちゃんどこ行ったの?』

「さきぃこ? こんー……? 外、行った」
「どこ、なんで、分からない」

理由と行先は知らないが、外に出て行く姿は見たと。

(外? あの二人が外に行く用事……? 特に思い付きませんな)

物部を倒した今危険はない、慌てて探す必要はないだろう。帰ってきたら本人達から話を聞こう。

『そっか、ありがとう。おいで』

「きゅ? さきぃこ、いい?」
「水月、着いて行く?」

やっぱり自分の声でのコミュニケーションが一番だな、と声を出せない自分の喉を恨めしく思いつつ、寝室に誘導した。ベッドに座って隣をポンポンと叩くと、俺の意図を察した荒凪が俺の隣に座る。

(……!? めっちゃ沈んだ。しかもギッシィイ……って鳴りましたぞ。そういや荒凪きゅん重いんですよな)

このこじんまりとした尻で二人分の体重をかけられたら、そりゃ普段二メートル近い大男を受け止めているベッドだって驚くよな。

「みつき、みつき、何して遊ぶ?」

『イチャイチャしよう。お話も』

「いちゃいちゃ? 分からない。お話、好き」

少年らしい頼りなさの残る細い腰に腕を回し、頬にちゅっと唇を触れさせる。コルセット、本当に邪魔だな……軽くとはいえ荒凪の肩にぶつけてしまったじゃないか。

『コルセット邪魔でごめんね。今のがイチャイチャだよ、分かった?』

「分かった!」

不意に気付く、荒凪の声が先程から一人分しか聞こえていないことに。喉から響く声がなく、複腕もベッドに垂れたまま動いていない。荒夜が休眠に入ろうとしているのだと察した俺は、複腕を掴んで軽く揺らした。

『寝る前にこれだけ答えてくれる?』

「きゅ? 水月、僕達寝ない」
「……分かった」

『スマホってどういうもの?』

「遠い人と、お話する! 写真、作る。写真見る。他の人作る、写真見る」
「動く写真……動画? も作る、見る」

理解しているのは電話機能とカメラ機能だけか。そりゃ音声読み上げ機能を使ったら困惑するよな、電話とは違って俺の声とは似ても似つかない電子音を俺の言葉だと言われたのだから。

『なるほど、ありがとう』

「きゅ~、どーいたしまして」
「……もう、寝ていい?」

『いいよ、ごめんね』

荒凪がゆっくりと目を閉じ、開く。重瞳が消え、一つの目玉に瞳孔が一つずつの目に変わる。腕を組むように服の中に引っ込んだ複腕は、俺が服を捲ると消えていた。

「みつき? 脱ぐ?」

『いや、いいよ』

脱がすのはもっと盛り上がってからだ。まずは軽めのキスと愛撫から。抱き寄せて頬に手を添え、唇を重ねる。荒凪の身体が一瞬強ばり、それから俺に身を任せる。

「……みつき?」

そっと押し倒して覆い被さる。左手の指で頬をつついたりつまんだりしつつ、右手で脇腹を撫で回す。

「きゅうぅ……」

骨盤を意識させる手つきを心がけながら手を下ろしていく。鼠径部をなぞり、手術着を捲って素肌に触れる。むちっとした太腿を鷲掴みにする。

「きゅ……? みつき、何したい?」

そのまま太腿を揉んで弾力を楽しみながら、もう一度唇を重ねる。

「……いちゃいちゃ?」

頷き、また、キス。唇を離し、耳に息を吹きかける。

「きゅふっ」

くすぐったそうに笑った荒凪の耳にかぷっと噛み付く。

(もし今ヒレが伸びたら、わたくし口バッサリ切られるんですよな……)

そう思い至り、耳の縁や耳たぶを噛むのはやめて舐めるのに専念する。すぐに荒凪の耳に青白い肌が張り始める。トゲが伸び、皮膜が張り、ヒレ耳が完成する。

(おっともう生えましたか……荒凪きゅんってローションとかも濡れた判定になるんでしたっけ、試したこと……どうでしたっけ)

いきなり鱗やヒレが生えて口や手に怪我を負ったら、荒凪が気に病んでしまう。気を遣わなければならないのは変わらないが、不意打ちがない分人魚の姿の方がマシかもしれない。

『荒凪くん、人魚の姿になってくれない? 本当の姿の君とイチャイチャしたいな』

「……きゅ!」

頷いた荒凪の上からどくと、彼は力むような表情で人魚の姿へ変わり始めた。
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