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極小美少年を紹介 (水月+クンネ・ハル・リュウ・ネザメ・ミフユ・ミタマ・カサネ)
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クンネは俺のポケットから出した当初、期待と不安の入り交じった入学式の日の新入生のような表情をしていた。だが、彼氏達に大声で驚かれた今は俺の手の中に潜り込んでしまっている。
「怖がっちゃってるよ、大声出すなって言ったのに」
「出るって~! 何なの? その子」
「コロポックルのクンネだよ。荒凪くんを助けに行ったところに捕まってたんだ」
「御伽噺に語られるような生き物を捕まえている、密猟者のような者……と解釈していいのかな?」
「はい、そんな感じです」
荒凪は人工の妖怪だが、クンネは自然の中で暮らしていた。物部は密猟者だと考えてもまぁ、間違いではないだろう。
「捕まって酷い目に遭ったせいか、人間がちょっと怖いみたいでさ。あんまり大声出したり素早く動いたり掴んだりはしないでやってくれよ」
「分かったぁ~……みっつんが先に小人だって言っといてくれた方がよかったんじゃな~い~?」
「……びっくりさせたくて」
「どっちやねんな」
両手で包み込むようにしてクンネを持ち上げ、そっと親指で彼の頭を撫でる。微笑みかけながらしばらく撫で続けると、強ばっていた全身の力が次第に抜け、俺の親指の根元に抱きついてリラックスするようになった。
「……うん、落ち着いてくれた。クンネ、俺の大事な人達なんだ、みんな優しいいい子だから安心して。俺が結構言っちゃったけど、自分でも自己紹介するか?」
《ミツキ、腹減ったぁ》
「おや、今話したね? 聞き慣れない言葉だったようだけれど……」
「小さいせいではないようですね、小人語……だとか、あるのか? 鳴雷一年生」
俺の名前を呼んでくれたのは分かった。
「先輩……」
「コンちゃんに頼め……!」
「え、先輩……先輩?」
全力で目を逸らされている。目立ちたくないのかな? 仕方ない、ミタマに頼もう。彼は嫌だ面倒だとすぐ口に出すから頼みにくいのだけれど。
「コンちゃん……お願い」
「腹減ったっちゅうとるぞぃ」
いつの間にか背後に立っていたミタマは俺の首に腕を回し、頬を擦り寄せながら教えてくれた。
「あ、そっか……ご飯、どうしよう」
着いてくるだなんて思っていなかったから、何も用意していない。
「みっつんの分けたげればいいじゃん」
「半人前食べるんだよ。何よりミフユさんが俺に作ってくれたのあげたくない……購買で何か買おうか。コンちゃん、俺に化けて何か買ってきてくれない?」
「仕方ないのぅ」
「ちょっと待ってね、お金…………教室だわ。鞄に財布入れてたと思うから、教室寄って取ってって」
「面倒臭いのぅ……」
尻尾を垂らして面倒臭がりながらもミタマは鈴の音を鳴らして見事な変化をしてみせた。
「いつ見てもすごいなぁ」
まるで鏡を見ているようだ。目の前に自分が居て、自分とは違う動きをしている。変な気分だ。
「くーちゃん。今飯持ってきちゃるからちょっと待っとるんじゃぞ」
《ミツキが二人……!?》
クンネは驚いた顔で俺と俺に化けたミタマを交互に見ている。ミタマが部屋を出ていくとクンネはじっと俺を見つめる。
《本物のミツキ……だよな?》
「コンちゃんがすぐご飯買ってきてくれるからね」
クンネを机に下ろし、箸を持つ。俺はまだ半分も弁当を食べていないのだ。
「くんちゃん、くんちゃ~ん、クンネちゃ~ん」
ハルがトントンと机を叩いている。犬や猫でも呼ぶような仕草だと俺は感じたが、クンネは気にせずハルの方へ走っていった。
「来た来たぁ~! 可愛い! 手乗ってくれるかなぁ……!」
「そないに小動物扱いしたりなや、ちっこいだけで人とおんなしやろ? 頭身的に大人ちゃうん」
「同い歳くらいだと思う」
「別に動物扱いした気はないけどぉ~……あっ、握ってくれたぁ……!」
ハルの人差し指にそっと手を置き、すぐに離してハルから数歩距離を取る。まだ警戒しているのだろう、意図的に高くした声と身振り手振りの大きなハルは苦手なのかもしれない。
「あっ行っちゃった……可愛いけど、なんか雑な服着てない? ホッチキスで止めてんじゃん」
「保護した後に病院で仮に作ってもらったヤツだ。ちゃんとしたの作ろうと思ってるんだけど、どんなデザインがいいかな。ハル、オシャレだし何かいいアイディアあるか?」
「え~? うーん……ハイウエストなのとか似合いそうかも?」
「……絵、描ける?」
「えっ? 絵!? えぇ~……雑誌の写真とかで、こういうのどう? 的なので勘弁してくれない?」
アイディアがもらえれば何でもいい。頷くとハルは安心した様子だった。
「妹さんも居るんだ、ペケレちゃん。その子の服もいいの思い付いたら教えて欲しいな。ハル、女の子の服もイケるだろ? 頼りにしてるよ」
「妹? へぇ~、早く会いた~い!」
好感触だ。ハル以外の彼氏達もクンネを紹介する前と変わらずリラックスした様子だし、人外を紹介した時の反応では過去一番の平和っぷりかもしれない。荒凪のような異形ではなく、見るからに無害で善良そうなな小人というのが効いているのだろう。
《カサネ~》
「な、なんでこっち来んだよ……」
やはり言葉が通じるカサネの傍が安心するのか、クンネはいつの間にか彼の手元へ移動していた。
「怖がっちゃってるよ、大声出すなって言ったのに」
「出るって~! 何なの? その子」
「コロポックルのクンネだよ。荒凪くんを助けに行ったところに捕まってたんだ」
「御伽噺に語られるような生き物を捕まえている、密猟者のような者……と解釈していいのかな?」
「はい、そんな感じです」
荒凪は人工の妖怪だが、クンネは自然の中で暮らしていた。物部は密猟者だと考えてもまぁ、間違いではないだろう。
「捕まって酷い目に遭ったせいか、人間がちょっと怖いみたいでさ。あんまり大声出したり素早く動いたり掴んだりはしないでやってくれよ」
「分かったぁ~……みっつんが先に小人だって言っといてくれた方がよかったんじゃな~い~?」
「……びっくりさせたくて」
「どっちやねんな」
両手で包み込むようにしてクンネを持ち上げ、そっと親指で彼の頭を撫でる。微笑みかけながらしばらく撫で続けると、強ばっていた全身の力が次第に抜け、俺の親指の根元に抱きついてリラックスするようになった。
「……うん、落ち着いてくれた。クンネ、俺の大事な人達なんだ、みんな優しいいい子だから安心して。俺が結構言っちゃったけど、自分でも自己紹介するか?」
《ミツキ、腹減ったぁ》
「おや、今話したね? 聞き慣れない言葉だったようだけれど……」
「小さいせいではないようですね、小人語……だとか、あるのか? 鳴雷一年生」
俺の名前を呼んでくれたのは分かった。
「先輩……」
「コンちゃんに頼め……!」
「え、先輩……先輩?」
全力で目を逸らされている。目立ちたくないのかな? 仕方ない、ミタマに頼もう。彼は嫌だ面倒だとすぐ口に出すから頼みにくいのだけれど。
「コンちゃん……お願い」
「腹減ったっちゅうとるぞぃ」
いつの間にか背後に立っていたミタマは俺の首に腕を回し、頬を擦り寄せながら教えてくれた。
「あ、そっか……ご飯、どうしよう」
着いてくるだなんて思っていなかったから、何も用意していない。
「みっつんの分けたげればいいじゃん」
「半人前食べるんだよ。何よりミフユさんが俺に作ってくれたのあげたくない……購買で何か買おうか。コンちゃん、俺に化けて何か買ってきてくれない?」
「仕方ないのぅ」
「ちょっと待ってね、お金…………教室だわ。鞄に財布入れてたと思うから、教室寄って取ってって」
「面倒臭いのぅ……」
尻尾を垂らして面倒臭がりながらもミタマは鈴の音を鳴らして見事な変化をしてみせた。
「いつ見てもすごいなぁ」
まるで鏡を見ているようだ。目の前に自分が居て、自分とは違う動きをしている。変な気分だ。
「くーちゃん。今飯持ってきちゃるからちょっと待っとるんじゃぞ」
《ミツキが二人……!?》
クンネは驚いた顔で俺と俺に化けたミタマを交互に見ている。ミタマが部屋を出ていくとクンネはじっと俺を見つめる。
《本物のミツキ……だよな?》
「コンちゃんがすぐご飯買ってきてくれるからね」
クンネを机に下ろし、箸を持つ。俺はまだ半分も弁当を食べていないのだ。
「くんちゃん、くんちゃ~ん、クンネちゃ~ん」
ハルがトントンと机を叩いている。犬や猫でも呼ぶような仕草だと俺は感じたが、クンネは気にせずハルの方へ走っていった。
「来た来たぁ~! 可愛い! 手乗ってくれるかなぁ……!」
「そないに小動物扱いしたりなや、ちっこいだけで人とおんなしやろ? 頭身的に大人ちゃうん」
「同い歳くらいだと思う」
「別に動物扱いした気はないけどぉ~……あっ、握ってくれたぁ……!」
ハルの人差し指にそっと手を置き、すぐに離してハルから数歩距離を取る。まだ警戒しているのだろう、意図的に高くした声と身振り手振りの大きなハルは苦手なのかもしれない。
「あっ行っちゃった……可愛いけど、なんか雑な服着てない? ホッチキスで止めてんじゃん」
「保護した後に病院で仮に作ってもらったヤツだ。ちゃんとしたの作ろうと思ってるんだけど、どんなデザインがいいかな。ハル、オシャレだし何かいいアイディアあるか?」
「え~? うーん……ハイウエストなのとか似合いそうかも?」
「……絵、描ける?」
「えっ? 絵!? えぇ~……雑誌の写真とかで、こういうのどう? 的なので勘弁してくれない?」
アイディアがもらえれば何でもいい。頷くとハルは安心した様子だった。
「妹さんも居るんだ、ペケレちゃん。その子の服もいいの思い付いたら教えて欲しいな。ハル、女の子の服もイケるだろ? 頼りにしてるよ」
「妹? へぇ~、早く会いた~い!」
好感触だ。ハル以外の彼氏達もクンネを紹介する前と変わらずリラックスした様子だし、人外を紹介した時の反応では過去一番の平和っぷりかもしれない。荒凪のような異形ではなく、見るからに無害で善良そうなな小人というのが効いているのだろう。
《カサネ~》
「な、なんでこっち来んだよ……」
やはり言葉が通じるカサネの傍が安心するのか、クンネはいつの間にか彼の手元へ移動していた。
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