冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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御曹司は仲良くなりたい (水月+ネザメ・クンネ・ミタマ・ミフユ)

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すっかりご機嫌なカンナの肩を抱きながら、視線だけをリュウへ移す。ハルやシュカと喧嘩未満の軽口を叩き合う姿は普段となんら変わらない、と、そう感じるだろう、注意して記憶と比較しないのなら。

(なんか、静か……?)

登校中も、授業中も休み時間も、そして今も、ちゃんと話してはいる。しかし普段の七割くらいの口数だし、声量も六割くらいに落ち込んでいる気がする。

(表情には別に気にするところはないんですが)

よく笑い、よく怒る、普段通りのリュウだ。天真爛漫で明朗快活、精神的に不安定になることがまずない頼りになる彼氏のままだ。

(朝はもうちょい元気だったんですが……電池切れてきた感じですかね)

元気がないのだとしたら心配だ。確認しておかないと。

「水月くん、水月くん」

つんつんと肩をつつかれ、見上げれば亜麻色の髪が揺れていた。目を細めて微笑んだ彼は俺の座るソファの肘掛けに緩く腰を下ろし、俺にぴったり寄り添った。

「……あっ、はい。何ですか? ネザメさん」

「僕にも小人さんを見せておくれ。僕も霞染くんと同じで、君の居ない寂しさを紛らわせるかと彼と交流したかったのだけれど、上手くいかなくてね。僕は繰言くんともあまり仲良くなれていないからねぇ……ミフユのせいなのか、怯えられてしまって。余計に彼との交流が難しいというわけさ」

ほぅ、とため息をつく姿すら絵になる。う~んお耽美。

「クンネ、と言ったかな。彼の名前は」

「はい。クンネ、ほらおいで」

胸ポケットの前に手を差し出すとクンネはぴょんっと軽く跳んで、俺の手のひらの上に立つ。

「こんにちは。僕はネザメ、紅葉 寝覚、よろしくね」

《……ミツキの友達、なんだよな? いいヤツだよな》

「今のは挨拶かな?」

俺には分からない。ネザメには苦笑いを返しつつ、ミタマに視線をやった。

「くーちゃん、此奴はネザメじゃ。ねーざーめ」

「ネザメー……」

「ええヤツじゃぞ。美味いもん食わせてくれる」

「コンちゃん!? なんて紹介の仕方するの……!」

「どうして怒るんだい水月くん」

「えっ!? いや、えぇ……?」

ちら、とミフユに視線をやると彼は無言で首を横に振った。

「……何でもないです。すいません」

「水月くん……? 何かあったんだろう? 君が何の理由もなく声を荒らげる訳がない、僕か彼への無礼な態度か何かがあったんだよね? すまないね分からなくて……教えてくれないかな?」

そっと俺の頬に触れながら、真剣な眼差しでそう言う。

「えっと……すいません、説明はちょっと難しくて。感覚的な話なので……分からなければ分からないでいいと思いますし」

「美しい君の優しい感覚を知りたいんだ」

「……っ、ドキッとすること言う~」

「なんかすまんの、みっちゃん」

「ホントだよ……! えっと、ネザメさん……あのですね、美味しいもの食べさせてくれるって紹介の仕方はなんかその……た、たかってる? みたいで、ちょっと失礼かなって」

「……たかってる、とは?」

「えっ、え~……ねだって、奢らせる?」

「あぁ、そのか」

よかった、言葉としては知っていたみたいだ。

「でも水月くん、僕は君達に何かをねだられて無理に買わされたことなんてないよ。僕は市場に出回らない品をいただけることが多くて、それを時々君達に紹介しているから……そのことを言ったんじゃないのかな? 分野くんは。どうなんだい?」

「いや普通に金持ちじゃからじゃ。ちょくちょく奢っとるじゃろ」

「コンちゃん……!? 正直なのが常にいいこととは限らないんだよ!?」

「ふふっ、ありがとう分野くん。でも僕は奢ったことはないよ? あまり皆と一緒に外で行動することはないからね……」

別荘に招待して宿泊中の生活費を全て持ったり、パーティのため自宅に招待してご馳走を食べさせたりは、ネザメの中では「奢り」に入らないらしい。

(うーん……お坊ちゃま。と考えていいんでしょうか)

一緒に買い物や食事に行って、会計を持つ。それだけがネザメにとっての「奢り」なのか。

「……! 水月くん、水月くんっ」

ぴょん、とクンネがネザメの太腿の上へ飛び移った。

「多分コミュニケーションを試みてます……! 激しく動かず、静かに接してみてください……!」

「ぅ、うん……」

ネザメは深呼吸をしてからクンネにそっと手を近付けた。クンネから握り拳一つ分離れたところで緩く開いた手を止めると、クンネの方から近付いてネザメの指にそっと触れた。

「……! 水月くん、水月くんっ、きゅって……!」

「可愛いでしょう」

「うん、うん……!」

驚かせないように声を殺してはしゃぐネザメが可愛らしくて、彼の顔ばかり見てしまう。

「何かお菓子でも持っていればよかった、分野くんに美味しいものを持っている者だと紹介されてしまったからね」

「はは……すいません。そういえば炒飯は食べたんですか?」

「繰言くんが持っているよ」

カサネはビクッと身体を跳ねさせ、ミフユの目を気にしつつ包装のビニールを丁寧に包み直した炒飯おにぎりを持ってきてくれた。

「ありがとう繰言くん」

無言のまま素早く頭を僅かに下げ、上げ、小走りでセイカの隣へと戻っていった。

「やっぱり怯えられているなぁ。仲良くしたいのだけれど……」

「……繰言二年生! こちらへ来い!」

「あっネザメさんミフユさん止めてください丸ごと嫌がられてるの多分ああいうのが原因です!」

「……? 分かったよ。ミフユ、やめなさい」

「繰言二年生! 先程の要望は取り下げる! 申し訳ありませんネザメ様、何か不都合がありましたか?」

「水月くんが仲良くなりたいならやめた方がいいと……」

「何故だ? 鳴雷一年生」

世間ズレが酷過ぎるだろこの二人。どう説明しよう、来た方がいいのか来なくてよかったのか判断出来なかったらしいカサネが俺の斜め後ろでオタオタしているし、一体どこから手をつけたものか。
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