冴えないオタクでしたが高校デビューに成功したので男子校でハーレムを築こうと思います

ムーン

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フォローの難しい長男 (水月+フタ・カサネ・レイ)

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ヒトを怒らせ、拗ねさせてしまった。フタはこれで独り占め出来るとでも言いたげに頬を緩め、俺を膝の上に乗せて愛でた。

「……なんつーか、子供っぽい人だな」

パグ犬と触れ合って俺達の会話に参加しないよう努めていたカサネが、先程までヒトが座っていた場所に腰を下ろした。

「んっ……フタさん?」

ヒトが去ったばかりなのにすぐに隣にカサネが座ったからか、俺を取られることを警戒したようでフタは俺を強く抱き締める。腹が押さえられて声が漏れてしまった。

「……フタさん」

不安げな彼の目を見つめて微笑みながら頭を撫でると、俺の腹に巻かれた腕の力が少し緩んだ。

「そっちも別の意味で子供っぽいけど」

「可愛いでしょ、フタさん」

「ホラーでしかねぇよ。んな厳ちぃ男が……何、鳴雷くん意外とバブみある感じ?」

「どうなんでしょう」

俺を膝の上に乗せているフタは俺の胸元に顔を押し付けている。頭を撫でるまでは俺の顔を見上げてくれていたのだが。

「ねぇフタさん、俺のこと好きですか?」

「好き」

顔を上げてくれた。目元はヒトとよく似ているけれど、ヒトほど目付きが悪くないし、何より怖いくらいに真っ直ぐに俺を見つめている。

「……俺に甘えたい?」

「甘え……? よく分かんない」

「ぎゅってされて、よしよしされたいですか?」

フタの首に緩く左腕を巻き、右手で頭を撫でてみる。手を当てると寝て、離すとぴょこっと起き上がるくせっ毛は弄っていて楽しい。

「なんか……なんだろ、眠くなる」

「安心出来るってことですかね?」

「んー……? 分かんない……みつき、みつき好き……」

「俺もフタさん大好きですよ」

「……じゃあ、ずっと居てくれる? みつき、他にも好きな人いっぱい居んの分かった、悪くないのも分かったけど、やだ……俺のがいい」

「ずっと……ずっとは無理ですよ、俺学校とかバイトとかあるし、フタさんだってお仕事あるでしょう?」

「…………うん」

「だから、今日だけは……フタさんの足が痺れて、もう水月重いから嫌~ってなるまでは、フタさんのお膝の上に居ますね」

「……! みつき、ここに居る?」

「はい」

「なんか長かったけど、居てくれるんじゃん、なら居る~ってだけでいいのに、みつき話長い~」

ゆっくりと途切れさせながら、都度理解しているか確認しながら話したつもりだが、フタにはあまり伝わっていないようだった。ため息つくな、俺。フタの魅力はこういうところでもあるだろう?

「……汚いもんばっか見てきた刺青バチバチのヤクザが純粋無垢な子供に癒される。んー、アリ。でもそれをするには鳴雷くんが純粋じゃなさ過ぎるな、ド変態だし……こういうの肉体関係あると台無しなんだよなぁ」

隣でカサネがブツブツなんか言ってる。

「ふふ……みつきぃ~」

フタは膝に乗せた俺を愛でるばかり。撫でるのは頭や頬、せいぜい太腿で、あまり性的な気配はない。じっと見つめているくせに会話を振ってきたりもしない。正直退屈だ。

「アウトサイダーが孤独な子供を引き取る、王道……パーフェクトチャイルド願望的なアレで理想と現実が乖離して崩れてくのも、へへっ、俺的にはアリ」

カサネはずっとなんかブツブツ言ってるし。

(彼氏ぞ? フタさんは記憶力とかの関係で会話あんまり好きじゃないからともかく、カサネたん? わたくしとの時間いりませんのん?)

退屈……いや待てよ、さっきから俺の写真を撮り続けているレイは俺との会話も楽しんでくれるのでは?

「……!?」

ふとレイに視線を移すと、スマホ越しに突然目が合って驚いたのかレイがスマホを落とした。咄嗟に手を伸ばし、なんとかキャッチ。

「ふぅ……落とすなよ危ないな」

「あ、ありがとうございますっす。カッコよかったっすせんぱい! 反射神経いいんすねぇ」

「手だけなら割とな」

身体全体となると少し鈍いが、手、特に指先の動きにはかなり自信がある。下ネタじゃないぞ、ゲーム漬けの日々を送ったりしていたからだぞ。

「ちょっとそっち見ただけで驚くなよ」

「せんぱいは自分の美貌をまだ分かってないんすか? その顔で急に見られたらおほっ……ってなるっす。ねぇカサネくん!」

「俺に振んないで……まぁ、分かるけど。そのツラで強引にダメな扉開かされたクチだし、俺」

「あっせんぱいで男目覚めたんすか? カサネくんって。へぇー……ノンケ落としとはやるっすね、歌見せんぱいはレアケースじゃなかったんすねぇ。やっぱ顔が良けりゃ性別とかどうでもよくなるもんなんすよ」

顔の話をしているせいか、無意識に影響されたのだろうフタが俺の顔をいじくっている。正確に言うなら、頬をむにむにと押したりつまんだり引っ張ったり、顎の下を猫にするようにくすぐったり……ぁ、ちょっと気持ちいいかも、これ。

「フタさんもせんぱいで男目覚めたんすか?」

「……? なに? 俺になんか聞いた? ごめん分かんなかった、もう一回……てか誰?」

「レイっす! 幻の長男疑惑のあるレイっす!」

ねぇよそんな疑惑。確かに穂張三兄弟の名前は123と番号順になっているから、0に変換出来るレイが長男として居たとしても違和感はないが。似ても似つかないし何より歳が違う。

「フタさんは元からゲイ……えーと、せんぱいに出会う前から男の人好きだったんすか?」

割と気になるな、それ。だが、フタはこの質問に答えられるのか?

「……? せんぱい……?」

「あっ、水月……ぅう、名前呼び照れるっす。水月に、会う前から、男の人、好きだったんすか?」

「みつきに会う前? 男、好き……サンちゃん!」

「ぁ、いや、仲良し兄弟なのは萌えるんすけど、そういうのじゃなくてぇ……」

「恋人、水月くんの前には居た? って聞いてんだべ」

ナイス、カサネ。困っているレイや元気に的外れの答えを返すフタも可愛かったけれど、早く答えが聞きたかったんだ。

「恋人ぉ……みつき!」

「水月くん、じゃない人。昔とか」

「俺昔知らな~い。でも多分、みつき以外に俺好きな人居ねぇよ? みんな俺嫌いだもん」

「な、なんか悲しい言い方っすね……」

「…………なんでみつき俺好きなの? みんな嫌いなのに」

「顔が良くて身体がえっちで歳上と無知シチュ楽しめるの最高で、普段イケメンとして扱われてる俺を可愛い可愛い愛でてくるとこになんかキュンとしてるからですが」

「ながいー……なんかいっぱいあるんだ、嬉しい、かわいい。みつき好き」

早口で長く話し過ぎたか、聞き取ってもらえなかったな。フタはこの塩梅が難しい。

「フタさん、俺達フタさんのこと嫌いじゃないっすよ! ね、カサネくん!」

「えっ、俺割と怖くて嫌だけど……まぁ、嫌いとはなんか違うかな。嫌い感あんのヒトさんの方かも」

「あっなんか分かるっす。フタさんちょっと怖いけど楽しく過ごせそうな感じあるっす、でもヒトさんは常に空気を悪くすると言うか……」

フタのフォローなら根はいい人なんだとか、悪気はないんだとか、そういったことが言えるけれど、ヒトのフォローは難しい。なにせ自分勝手で他者を蹴落そうとばかりしているからな。

「俺にとっては可愛いんだよ」

だから、これくらいしか言うことがない。
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