ポチは今日から社長秘書です

ムーン

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郊外の一軒家

すりっぷ、じゅうご

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バチンッ、と生物の本能に訴えかける恐怖の音。瞬く小さな光。骨まで届く痛み、皮膚を焼く熱、筋肉には痺れ。映画や漫画などの創作物で見て知った気になっていたスタンガンというものの本質を今日初めて理解した。

「……気持ちいい? 一回目なんて当てただけでイっちゃって……ふふっ、かーわいい」

スタンガンは当てれば人が気絶する便利グッズではなく、激痛を与えるものだ。俺に限れば快楽も。

「はぁっ……はぁっ…………な、なんで」

「ん? 何が?」

「なんでっ、俺……イって」

「気持ちよかったんでしょ」

「……痛、かった。すごく痛かったんです、なのに」

戸惑う俺に雪兎は「ポチは痛いの好きなんじゃないの?」とでも言いたげな目を向けている。そんな赤紫の視線は俺の顔から俺の腹へと降りる。

「あ、服めくれてるじゃん。ダメだよ、可愛いんだからちゃんと着て。ま、今回はポチのお腹に自分で出したのかかっちゃってすごくえっちだったから許してあげる。何回も言ってるけどポチの肌って本当精液がよく映えるんだよ」

人間離れした、生物の三大欲求など存在しないような美しい造形の顔が、劣情に歪んで紅潮している。俺如きが雪兎を興奮させている罪悪感と、俺だけが雪兎を欲情させられるという優越感、雪兎の欲のままに苦痛と快楽を与えられたい欲が混じり合い、また陰茎が痛いくらいに張る。

「ちゃんとお腹ないない出来たね。じゃあご褒美に好きなところにスタンガンあげる。どこがいい? 痛いの大好きな変態ワンちゃん」

「…………こっ、ここ、に」

太腿を手で押さえ、反り返った性器を突き出す。

「どこ? また太腿?」

「……ここ」

鈴口を開くように指を二本使って亀頭を指すと、雪兎は戸惑うような顔を見せた。

「えぇー……本当にいいの?」

「よく鞭で叩くじゃないですか……」

「鞭は加減出来るもん。これの威力は一種類だからなぁ……うーん、勃たなくなったら雪風にごめんなさいしなきゃなんだよね、それが特に嫌」

「大丈夫です、俺そんなヤワな鍛え方してません」

「そこの鍛え方って何さ、そんなのないでしょ」

股間を殴ったり丸太をぶつけたりして鍛える拳法だったか何かもあると昔テレビで見た覚えがある、俺はそんなことしていないけれど、鍛え方は世界に存在している。

「……ダメそうだったら言ってね? お医者さん呼ぶから」

陰茎にスタンガン当てたと説明される医者の気持ちは考えたくない。

「大丈夫です、大丈夫ですから早く……ぁ、あ、くる、バチッてクるぅ……壊されちゃっ、ぁああっ!? あっ、あ、ぁ……はっ、ひゅっ、ふっ、うぅ……」

「…………大丈夫?」

陰茎が爆発してしまったんじゃないかと錯覚するほどの熱を伴う痛み、ちょろちょろと失禁のように溢れ出した精液……体温とほぼ同じはずの精液が尿道を通ることすら熱と痛みを伴っている。

「い、た……痛いっ、こわれ、た……?」

もう自分の陰茎がどうなっているのか分からない、痛み以外の感覚がない。精液を漏らすのも終わったみたいだ。恐る恐る上体を起こして自らの陰茎を覗いた。

「…………君って本当変態だね」

俺の陰茎は俺が感じている痛みに反して元気に屹立してみせている。呆れたようにため息をついた雪兎はスタンガンのスイッチをカチカチと鳴らし、電撃が起こる金属のツメのような部分をつついた。

「……切れちゃった。充電しなきゃ」

ベッドを降りてパソコンの元へ走る。スタンガンってUSB充電なんだ……いや、アレは雪兎の改造品だから他のスタンガンと同じにするのはよくないな。

「ただいま。持ちやすいサイズにしたら電気すぐなくなっちゃうね、やっぱりもっと大きい電池入れるべきかなぁ?」

「さぁ……俺はその辺詳しくないので」

「充電終わるまでこっちの玩具で遊ぼうか」

雪兎の手にあるのは男根をディフォルメしたようなバイブ。前立腺にくい込んでくれそうな突起のあるそれを挿入されるのかと期待したが、雪兎は俺の予想に反して俺の会陰にバイブの先端を押し当てた。
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