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3 魔法学園へ(2)
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「みんなおはよう~!早速だけど噂の転入生を紹介するわね」
ジェシカと共に教室に入ってきたセラフィーに、クラス中の視線が集まる。
「今日からみなさんと一緒に勉強するフィーさんです。ご覧の通り彼女は精霊師よ。仲良くしてね」
興味深そうにローとセラフィーを見比べる者、ヒソヒソと会話する者、無関心な者とクラスメイトの反応はそれぞれだ。
「じゃあフィーはそこの席に座ってちょうだい。デイジー、フィーの事よろしくね」
「は、はい!」
返事の方に視線を向けると、栗色の髪を2つの三つ編みにまとめた丸い眼鏡の少女が控えめに手をあげていた。
セラフィーが着席しようと席へ向かうと
「本当にレオナルド様のお家から」「可愛くないのに」「魔力も全然無いのに本当に精霊師なの」
そんな話し声があちこちから聞こえてきた。
セラフィーは席に着き「ふぅ」と息を吐くと
「レオナルド先生にご贔屓されているんじゃないかって噂が広まっているの。ただの僻みよ。気にしないで」
そう言ってデイジーが隣の席からコッソリと話しかけてきた。
周りの声など全く気にしていなかったセラフィーだが、デイジーとは上手くやっていけるかもしれない。
「ありがとう。フィーだ。これからよろしく」
セラフィーが右手を差し出すとデイジーは頬を紅潮させ
「デイジーよ!こちらこそよろしくね」
デイジーも右手を差し出し、2人は握手を交わした。
◇◇◇
授業の経験が無かったセラフィーは始めこそ緊張していたものの、早々に拍子抜けすることになった。
そして、自分の師匠ジャスパーがいかに常識外れな修行をセラフィーにやっていたのか、というのを嫌というほど知る羽目になったのである。
『あのジジイ…今すぐ生き返らせて、私の手であの世に送り返してやりたい…』
セラフィーが怒るのも無理はない。
ジャスパーは師匠ではあったが教えるという事は特にせず、幼かったセラフィーを魔獣が出る森で自給自足させたり、他国との戦の中に放り込んでみたりと、とても修行とは言えないような育て方をしていた。
セラフィーは後に天才魔法師と呼ばれたが、彼女にとっては何度も死にかけ、生き抜く為に知識と経験値を磨き上げた結果にすぎない。
『一番死を感じたのは10歳の頃、魔獣の寝ぐらに閉じ込められた時だな』
当時はジャスパーに
「この方法でしか修行できないのだ…許せフィー」
と言われそれをずっと信じていたセラフィーは、レオが10歳を迎える頃
「ケイガス、私はあの可愛いレオを魔獣達の中に放り込む勇気がないのだ…」
と大真面目に相談し
「お前といると、本当に天才なのか時々分からなくなる」
と呆れられたのを今でも覚えている。
◇◇◇
「みんな試験前で余計に気が立っているのよ。そうじゃなくてもレオナルド先生のファン達は面倒な子ばかりだけど」
午前の薬草学を終え、デイジーと2人で昼食をとっていたものの、食堂中から集まる視線にデイジーの方がうんざりしてしまう。
「私は気にしていないから大丈夫だ。でもデイジーは私と一緒にいない方がいいかもしれないな」
スープを口に運びながらセラフィーが提案すると
「それこそ大丈夫よ。私は前から嫌われ者だから」
そう笑ったデイジーはスプーンを置いた。
「私の父が結構有名な商人なのよ。それで同じ平民からは僻みを言われるし、貴族からは平民のくせにってよく言われるわ」
笑っていたデイジーは唇をきゅっと結ぶと
「でも私はそんな父を誇りに思っているの。商団を立ち上げた時から母と2人で物凄い努力をしてきたのを私は知ってる。権力だけを振りかざす貴族は嫌い…でも、何も行動せず不平不満ばかり主張する平民も同じくらい嫌いなの」
そう言って決意を秘めた強い眼差しをセラフィーに向けた。
『周囲の意見に流されない強い意識…彼女はきっと将来成功するだろう』
セラフィーはデイジーの手の上に自身の手を重ね
「私も全く同じ意見だ。デイジーとは長い付き合いになりそうだな」
と微笑むと、デイジーは少し目元を潤ませ暖かい表情で笑った。
デイジーの話だと年に2回行われる試験の結果が良ければ、BクラスやAクラスに格上げされる事もあるらしい。
もちろん逆にクラスを下げられる可能性もあるので生徒達は必死だ。
「私は筆記試験は自信あるんだけど、実技がいつも駄目で…」
恥ずかしそうに笑ったデイジーの視線が食堂の入口で止まる。
入口付近の騒がしさに気付いたセラフィーもそちらに身体を向けると、何人かの生徒が大勢の生徒達に囲まれていた。
「ウィリアム王太子殿下とその友人達よ。もちろん全員Sクラス。でも珍しいわね…いつも食事はサロンで召し上がるのに」
興味無さそうに説明していたデイジーは首を傾げた。
「殿下!次の試験では」「ウィリアム様!今日も素敵です」
そんな声を一身に浴びている彼が恐らく王太子殿下なのだろう。
ふわっとした金髪に柔らかい目元、そして優しい雰囲気がどことなく若かりし頃の陛下に似ている。
『確かに彼らの魔力量は他の生徒と段違いだな』
魔力量を測ろうと彼らを凝視していたその時、セラフィーの視線に気付いたウィリアムとパチっと目が合った。
目が合ったウィリアムは瞳を輝かせると、生徒達をかき分けセラフィーに歩み寄ってくる。
「えっ、ちょっと、殿下がこっちに来てるように感じるんだけど!?」
慌てたデイジーの声が聞こえて間もなく、セラフィーの目の前に息を切らしたウィリアムがたどり着いた。
「こんにちは。私はウィリアム。精霊師が転入してくると聞いてどうしても会ってみたかったんだ」
頬を紅潮させたウィリアムは嬉しそうにローを目で追いかけると
「凄い!本当に精霊とずっと一緒にいられるなんて!」
と、興奮した様子でローとセラフィーを交互に見た。
「ウィリアム様、そろそろサロンに戻りませんと」
その様子を見ていたウィリアムの友人が控え目に声をかけると、ウィリアムは少し肩を落とし
「すまない。実は精霊を見たのが初めてで…いきなり恥ずかしい姿を見せてしまったな」
がっかりする姿がとても王太子とは思えず、セラフィーは立ち上がると
「フィーと申します。精霊ならいつでも見にいらしてください」
そう言って微笑むとウィリアムは再び瞳を輝かせ
「ありがとう!良かったら今度、精霊について話を聞かせてくれ」
セラフィーに軽く手を振り、友人達と食堂を出て行ったのであった。
「あんなに近くで殿下を見たのは初めてだわ…。それとフィー、午後から周りの陰口が更に増えるかもしれないわね」
デイジーがチラリと周囲を見ると、明らかに倍増した周りの視線をセラフィーも感じ「はぁ」と溜め息をこぼしたのであった。
ジェシカと共に教室に入ってきたセラフィーに、クラス中の視線が集まる。
「今日からみなさんと一緒に勉強するフィーさんです。ご覧の通り彼女は精霊師よ。仲良くしてね」
興味深そうにローとセラフィーを見比べる者、ヒソヒソと会話する者、無関心な者とクラスメイトの反応はそれぞれだ。
「じゃあフィーはそこの席に座ってちょうだい。デイジー、フィーの事よろしくね」
「は、はい!」
返事の方に視線を向けると、栗色の髪を2つの三つ編みにまとめた丸い眼鏡の少女が控えめに手をあげていた。
セラフィーが着席しようと席へ向かうと
「本当にレオナルド様のお家から」「可愛くないのに」「魔力も全然無いのに本当に精霊師なの」
そんな話し声があちこちから聞こえてきた。
セラフィーは席に着き「ふぅ」と息を吐くと
「レオナルド先生にご贔屓されているんじゃないかって噂が広まっているの。ただの僻みよ。気にしないで」
そう言ってデイジーが隣の席からコッソリと話しかけてきた。
周りの声など全く気にしていなかったセラフィーだが、デイジーとは上手くやっていけるかもしれない。
「ありがとう。フィーだ。これからよろしく」
セラフィーが右手を差し出すとデイジーは頬を紅潮させ
「デイジーよ!こちらこそよろしくね」
デイジーも右手を差し出し、2人は握手を交わした。
◇◇◇
授業の経験が無かったセラフィーは始めこそ緊張していたものの、早々に拍子抜けすることになった。
そして、自分の師匠ジャスパーがいかに常識外れな修行をセラフィーにやっていたのか、というのを嫌というほど知る羽目になったのである。
『あのジジイ…今すぐ生き返らせて、私の手であの世に送り返してやりたい…』
セラフィーが怒るのも無理はない。
ジャスパーは師匠ではあったが教えるという事は特にせず、幼かったセラフィーを魔獣が出る森で自給自足させたり、他国との戦の中に放り込んでみたりと、とても修行とは言えないような育て方をしていた。
セラフィーは後に天才魔法師と呼ばれたが、彼女にとっては何度も死にかけ、生き抜く為に知識と経験値を磨き上げた結果にすぎない。
『一番死を感じたのは10歳の頃、魔獣の寝ぐらに閉じ込められた時だな』
当時はジャスパーに
「この方法でしか修行できないのだ…許せフィー」
と言われそれをずっと信じていたセラフィーは、レオが10歳を迎える頃
「ケイガス、私はあの可愛いレオを魔獣達の中に放り込む勇気がないのだ…」
と大真面目に相談し
「お前といると、本当に天才なのか時々分からなくなる」
と呆れられたのを今でも覚えている。
◇◇◇
「みんな試験前で余計に気が立っているのよ。そうじゃなくてもレオナルド先生のファン達は面倒な子ばかりだけど」
午前の薬草学を終え、デイジーと2人で昼食をとっていたものの、食堂中から集まる視線にデイジーの方がうんざりしてしまう。
「私は気にしていないから大丈夫だ。でもデイジーは私と一緒にいない方がいいかもしれないな」
スープを口に運びながらセラフィーが提案すると
「それこそ大丈夫よ。私は前から嫌われ者だから」
そう笑ったデイジーはスプーンを置いた。
「私の父が結構有名な商人なのよ。それで同じ平民からは僻みを言われるし、貴族からは平民のくせにってよく言われるわ」
笑っていたデイジーは唇をきゅっと結ぶと
「でも私はそんな父を誇りに思っているの。商団を立ち上げた時から母と2人で物凄い努力をしてきたのを私は知ってる。権力だけを振りかざす貴族は嫌い…でも、何も行動せず不平不満ばかり主張する平民も同じくらい嫌いなの」
そう言って決意を秘めた強い眼差しをセラフィーに向けた。
『周囲の意見に流されない強い意識…彼女はきっと将来成功するだろう』
セラフィーはデイジーの手の上に自身の手を重ね
「私も全く同じ意見だ。デイジーとは長い付き合いになりそうだな」
と微笑むと、デイジーは少し目元を潤ませ暖かい表情で笑った。
デイジーの話だと年に2回行われる試験の結果が良ければ、BクラスやAクラスに格上げされる事もあるらしい。
もちろん逆にクラスを下げられる可能性もあるので生徒達は必死だ。
「私は筆記試験は自信あるんだけど、実技がいつも駄目で…」
恥ずかしそうに笑ったデイジーの視線が食堂の入口で止まる。
入口付近の騒がしさに気付いたセラフィーもそちらに身体を向けると、何人かの生徒が大勢の生徒達に囲まれていた。
「ウィリアム王太子殿下とその友人達よ。もちろん全員Sクラス。でも珍しいわね…いつも食事はサロンで召し上がるのに」
興味無さそうに説明していたデイジーは首を傾げた。
「殿下!次の試験では」「ウィリアム様!今日も素敵です」
そんな声を一身に浴びている彼が恐らく王太子殿下なのだろう。
ふわっとした金髪に柔らかい目元、そして優しい雰囲気がどことなく若かりし頃の陛下に似ている。
『確かに彼らの魔力量は他の生徒と段違いだな』
魔力量を測ろうと彼らを凝視していたその時、セラフィーの視線に気付いたウィリアムとパチっと目が合った。
目が合ったウィリアムは瞳を輝かせると、生徒達をかき分けセラフィーに歩み寄ってくる。
「えっ、ちょっと、殿下がこっちに来てるように感じるんだけど!?」
慌てたデイジーの声が聞こえて間もなく、セラフィーの目の前に息を切らしたウィリアムがたどり着いた。
「こんにちは。私はウィリアム。精霊師が転入してくると聞いてどうしても会ってみたかったんだ」
頬を紅潮させたウィリアムは嬉しそうにローを目で追いかけると
「凄い!本当に精霊とずっと一緒にいられるなんて!」
と、興奮した様子でローとセラフィーを交互に見た。
「ウィリアム様、そろそろサロンに戻りませんと」
その様子を見ていたウィリアムの友人が控え目に声をかけると、ウィリアムは少し肩を落とし
「すまない。実は精霊を見たのが初めてで…いきなり恥ずかしい姿を見せてしまったな」
がっかりする姿がとても王太子とは思えず、セラフィーは立ち上がると
「フィーと申します。精霊ならいつでも見にいらしてください」
そう言って微笑むとウィリアムは再び瞳を輝かせ
「ありがとう!良かったら今度、精霊について話を聞かせてくれ」
セラフィーに軽く手を振り、友人達と食堂を出て行ったのであった。
「あんなに近くで殿下を見たのは初めてだわ…。それとフィー、午後から周りの陰口が更に増えるかもしれないわね」
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