眼中になかった同期とセフレになってみたら沼すぎて、初恋。

ぴょす

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それってデート?

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さっきまで、オフィスの片隅で互いを貪っていたはずなのに。今は、俺と司、何事もなかったみたいに駅へ向かって歩いていた。

夜の街は人とネオンでごった返している。

酔った奴らが笑いながら肩を組んで歩き、信号の青に合わせて人波が押し寄せる。誰も俺たちなんか見ちゃいないはずなのに妙に、照れくさい。

触れそうで、触れない距離を保ちながら、司と並ぶ。手を伸ばせば簡単に触れられるのに、わざと避けて歩いていく。だって、もし触れてしまったら……今日のことを全部思い出しそうで、まともに歩けなくなる。

すれ違う人の肩が俺にぶつかりそうになった瞬間、司の手がさりげなく俺の肩を引いた。何気ない一瞬。だけど、その動きが頭から離れない。無意識?だとしてもずるい……こんな扱い誰かに受けた事ないのに……。

「お前、こっち方面じゃないだろ」

って言葉は思うだけで喉から出てこなかった。こんな風に、司は彼女にもセフレにも優しくしてきたんだろうか。何も言わずに送ってくれるとか、歩幅を合わせてくれたりとか。

駅のホーム着くと、ちょうど電車が入ってきた。乗ろうと思えば乗れた。でも何となく見送った。理由なんて言わないし、司も聞かないし。だから二人でホームの端に並び、次の電車を待つ。

俺と司の間には、相変わらず妙な沈黙。
でもさっきよりも、熱がこもってる気がする。

何気なく横を見たら、司はスマホを見ていた。その横顔を見た瞬間、胸の奥がじんと熱くなる。

やば……さっきまで、あの手で俺を……

思い出すな、って自分に言い聞かせても、ダメだった。呼吸が浅くなる。足先から背中まで、ゆっくり火が回ってくるみたいだ。

視線を逸らそうとしたのに、逆に司の目がこっちを向く。ふっと、口角だけが上がった。

人混みのざわめきが間にあるのに、その目だけが俺を捕まえて離さない。

ほんの数秒、目が合っていただけのはずなのに、全部見透かされたようで。

そのまま次の電車の音が近づき、空気は一気に動き出す。なのに俺は踏み出せなくて。まだ、一緒にいたい。その感情が、喉元まで上がってくるけれどやっぱり飲み込む。



だってそんな事、言える関係じゃないだろ。



ライトが近づく。電車がホームに入る直前、俺が一歩前に出たそのとき、司が俺の手を引いた。

耳元に近づく、低く抑えた声。

「なぁ」と俺を呼び止める。

その声が優しすぎて、なんでか泣きそうになった。



「……次の休み、どっか行こ」



鼓膜を震わせるほど近くで、妙に可愛い言い方をするから、心臓が一気に跳ねた。普段の司らしくない照れた声音に、反応が追いつかない。

……どっか行くって、なんで……俺と?

考えれば考えるほど、顔が熱くなる。

「気をつけてな。また連絡する。」

軽く背中を押されて、俺は車内に押し込まれた。扉が閉まり、窓の外を見る勇気が出ない。でも、発車の揺れに合わせて身体が動いた瞬間、思わず視線を向けた。

でも、ちゃんと、そこには司がいた。

視線を逸らし、頬の熱をごまかすように俯く。
それでも鼓動は、都会の喧騒よりもうるさく響いていた。
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