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好きを認めたはいいものの…
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司と付き合いたい。
そう決めたものの、それからの俺たちは笑えるくらいすれ違っていて、司の家で会う事もないままに無常な時が過ぎて行った。
でも、その"タイミング"が今夜ついに巡ってきた
俺はそう思った。
この日の俺は、残業続きで霞む頭をパソコンの光に晒していた。周りにはまだ数人の上司や部下が残っていて、同じくデスクに向かう司もその一人だ。
けれど、司はいつも通りだった。落ち着いた声で部下に指示を出し、上司とも淡々と業務の進捗を確認しながら、俺にはほとんど視線を寄越さない。司はきっちりと「職場ではただの同期」という線引きを崩さないようにしている。
俺たちの関係を知る者は誰もいない。それでいい。
それでいいはずなのに、好きだと認めてから司が別の人と話して笑うたび、なんとなく悶々してしまう。
ようやく作業の目処がついた頃、司は自然な口調で周囲を促した。
「じゃあ残りは俺らがやるんで」
その"俺ら"というのは、どうやら俺も含まれていて、アイコンタクトを投げられる。こんなのは誰も怪しまない。まぁ最近あの2人仲良いなとは思われているだろうけれど、その程度だろう。
そして、オフィスに残されたのは俺と司だけになった。
コピー機の音も消え、空調の低い唸りだけが耳に残る。
「……まことー」
司が椅子に深くもたれかかり、大げさにため息を吐いた。仕事中なら絶対に見せない仕草だ。
「疲れたー。……頑張った俺に、ご褒美ちょうだい。」
「ご褒美?例えば?」
「えー?言わせんの?俺に?」
「言ってくれなきゃ分かんないだろ?」
「てか言わなきゃ分かんねーの?」
机の上に肘をついて頬杖をつき、司がじっと俺を見上げる。オフィスの薄明かりに、その瞳だけが妙に輝いて見えた。
「…………」
「……」
近付くのはどっちが先だったか分からない。けど、もうそんなことどうでもいいくらいに……
甘いキス……
唇が触れ合うと同時に、心臓が跳ねた。
最初は軽く啄むだけのキス。それじゃ足りなくて、気付いたら俺の方から舌を絡めていた。うっすら目を開けてみれば司が少し驚いたみたいに目を細めて、けどすぐに応じてくる。
静かなオフィスに、舌が絡む湿った音が微かに響く。抑えなきゃって思うのに、逆にその“音”に煽られてもっと深く溺れていく。
「……ん、司……」
キスの合間に名前を呼ぶと、司が低く笑った。
その笑い声が甘くて、背筋がぞわっと震える。腰に手を回されてイスの背もたれが軋む。司の指先がスーツ越しに俺の腰を撫でて、それだけで呼吸が乱れた。
「今日何回もお前のこと"慎"って呼びそうになったんだけど」
「……俺も」
また唇を重ねて、さらに深く舌を絡める。熱くて、苦しくて、けどやめられない。息を奪うたび、もっと欲しくなる。オフィスなのに、いやオフィスだからこそ、なのか?
その甘さに俺の身体はもうとっくに限界だった。こういう時は、司の方がよっぽど理性的だ。
「……今、欲しい」
気付いたら、そんな言葉が勝手に口をついて出ていた。司が腕で口元を隠しながら笑う。
「ここで?」
呆れた声。けど、全然突き放す気配はない。むしろ、その笑い方が甘くて、余計に頭が煮えそうになる。
「じゃあ……口でしたい…」
自分で言っておきながら、顔が熱くなる。会社のオフィスで、こんなこと頼むなんて正気じゃない。でも、司の唇がさっきより濡れて見えるのも、ネクタイの結び目が少し緩んでるのも、満更でもないって事なんだろう。
「悪い子」
司が低く笑って、俺の顎を掴んだ。けど、その手にほんのわずか迷いがあるのが分かる。俺の欲しがる顔を見て、理性と闘ってるみたいだ。
「ご褒美欲しいんだろ?」
そう言ってやれば司の表情が少しだけ歪んだ。欲しそうな目で見られて、たぶんあいつも我慢の限界が近いんだと思う。
「……だーめ。バレたらどうすんの」
「バレないようにするから」
「そういう問題じゃねぇだろ」
言いながらも、司は俺の腰を引き寄せる。さっきよりずっと強い抱き寄せ方で、理性のギリギリのとこで踏ん張ってるのが伝わる。俺の髪を撫でながら、深く息を吐いた。
「電車じゃイチャイチャできないからタクシーで帰ろ」
耳元でそう囁かれると、背筋が震えた。フェラはさせてくれないくせに、こんな言葉で煽ってくるとか反則だろ。
「じゃあ、帰ったらすぐする。」
「……はいはい。分かったから…」
低い声が妙に優しくて、ずるいくらい甘い。そのまま司の手が俺の頬を撫でて、また口づけられた。唇だけで繋ぐキスなのに、舌の奥まで疼くような深さで。
タクシーが来るその瞬間まで俺たちは、そうして唇を重ね続けた。
そう決めたものの、それからの俺たちは笑えるくらいすれ違っていて、司の家で会う事もないままに無常な時が過ぎて行った。
でも、その"タイミング"が今夜ついに巡ってきた
俺はそう思った。
この日の俺は、残業続きで霞む頭をパソコンの光に晒していた。周りにはまだ数人の上司や部下が残っていて、同じくデスクに向かう司もその一人だ。
けれど、司はいつも通りだった。落ち着いた声で部下に指示を出し、上司とも淡々と業務の進捗を確認しながら、俺にはほとんど視線を寄越さない。司はきっちりと「職場ではただの同期」という線引きを崩さないようにしている。
俺たちの関係を知る者は誰もいない。それでいい。
それでいいはずなのに、好きだと認めてから司が別の人と話して笑うたび、なんとなく悶々してしまう。
ようやく作業の目処がついた頃、司は自然な口調で周囲を促した。
「じゃあ残りは俺らがやるんで」
その"俺ら"というのは、どうやら俺も含まれていて、アイコンタクトを投げられる。こんなのは誰も怪しまない。まぁ最近あの2人仲良いなとは思われているだろうけれど、その程度だろう。
そして、オフィスに残されたのは俺と司だけになった。
コピー機の音も消え、空調の低い唸りだけが耳に残る。
「……まことー」
司が椅子に深くもたれかかり、大げさにため息を吐いた。仕事中なら絶対に見せない仕草だ。
「疲れたー。……頑張った俺に、ご褒美ちょうだい。」
「ご褒美?例えば?」
「えー?言わせんの?俺に?」
「言ってくれなきゃ分かんないだろ?」
「てか言わなきゃ分かんねーの?」
机の上に肘をついて頬杖をつき、司がじっと俺を見上げる。オフィスの薄明かりに、その瞳だけが妙に輝いて見えた。
「…………」
「……」
近付くのはどっちが先だったか分からない。けど、もうそんなことどうでもいいくらいに……
甘いキス……
唇が触れ合うと同時に、心臓が跳ねた。
最初は軽く啄むだけのキス。それじゃ足りなくて、気付いたら俺の方から舌を絡めていた。うっすら目を開けてみれば司が少し驚いたみたいに目を細めて、けどすぐに応じてくる。
静かなオフィスに、舌が絡む湿った音が微かに響く。抑えなきゃって思うのに、逆にその“音”に煽られてもっと深く溺れていく。
「……ん、司……」
キスの合間に名前を呼ぶと、司が低く笑った。
その笑い声が甘くて、背筋がぞわっと震える。腰に手を回されてイスの背もたれが軋む。司の指先がスーツ越しに俺の腰を撫でて、それだけで呼吸が乱れた。
「今日何回もお前のこと"慎"って呼びそうになったんだけど」
「……俺も」
また唇を重ねて、さらに深く舌を絡める。熱くて、苦しくて、けどやめられない。息を奪うたび、もっと欲しくなる。オフィスなのに、いやオフィスだからこそ、なのか?
その甘さに俺の身体はもうとっくに限界だった。こういう時は、司の方がよっぽど理性的だ。
「……今、欲しい」
気付いたら、そんな言葉が勝手に口をついて出ていた。司が腕で口元を隠しながら笑う。
「ここで?」
呆れた声。けど、全然突き放す気配はない。むしろ、その笑い方が甘くて、余計に頭が煮えそうになる。
「じゃあ……口でしたい…」
自分で言っておきながら、顔が熱くなる。会社のオフィスで、こんなこと頼むなんて正気じゃない。でも、司の唇がさっきより濡れて見えるのも、ネクタイの結び目が少し緩んでるのも、満更でもないって事なんだろう。
「悪い子」
司が低く笑って、俺の顎を掴んだ。けど、その手にほんのわずか迷いがあるのが分かる。俺の欲しがる顔を見て、理性と闘ってるみたいだ。
「ご褒美欲しいんだろ?」
そう言ってやれば司の表情が少しだけ歪んだ。欲しそうな目で見られて、たぶんあいつも我慢の限界が近いんだと思う。
「……だーめ。バレたらどうすんの」
「バレないようにするから」
「そういう問題じゃねぇだろ」
言いながらも、司は俺の腰を引き寄せる。さっきよりずっと強い抱き寄せ方で、理性のギリギリのとこで踏ん張ってるのが伝わる。俺の髪を撫でながら、深く息を吐いた。
「電車じゃイチャイチャできないからタクシーで帰ろ」
耳元でそう囁かれると、背筋が震えた。フェラはさせてくれないくせに、こんな言葉で煽ってくるとか反則だろ。
「じゃあ、帰ったらすぐする。」
「……はいはい。分かったから…」
低い声が妙に優しくて、ずるいくらい甘い。そのまま司の手が俺の頬を撫でて、また口づけられた。唇だけで繋ぐキスなのに、舌の奥まで疼くような深さで。
タクシーが来るその瞬間まで俺たちは、そうして唇を重ね続けた。
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