眼中になかった同期とセフレになってみたら沼すぎて、初恋。

ぴょす

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もっと他に証明の方法はある気がするけれど…

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「……あれ、まこちゃん?」

反射的に振り向く。
そこには、艶っぽい笑みを浮かべたゆいさんが立っていた。

「……ゆい、さん?」

「ちょっとだけ久しぶりだね。黒川くんとは………あの日以来?かな?」

ゆいさんがにこにこしながら司を見やる。司は怪訝な顔を隠しもしない。だが、最低限の礼儀として小さく会釈だけ返した。その仕草には、自分以外に俺が気持ちを流す余地なんてないという、確固たる自信が滲んでいたように見えた。

2人が初めて会ったのは、俺とゆいさんがホテルから出てきた時で。あの時、司は連れていた女を放置して俺の所に来てくれたんだっけ。……なんて回想に耽ってる場合ではないけれど。

「黒川くんと一緒……ってことは、仲直りできたんだ?」

ゆいさんは嬉しそうに笑う。俺は思わず言葉に詰まる。けれど次に出てきた言葉で、さらに血の気が引いていく。

「僕に仕事もさせないでギャン泣きしてたもんね。」

「……!」

グラスを持つ手がわずかに震える。ゆいさんは悪びれた様子もなく、ただ面白がるみたいに笑っている。司の横顔は冷ややかに固まったまま。けれど、嫉妬というよりは余裕すら漂っていた。

「……そうなんだ?」

俺は居心地悪く視線を落とすしかなかった。確かに、あの時ゆいさんを頼ったのは事実だから。その前……司と近づくよりも前には身体を慰めてもらったのも。言い逃れはできない事実だから。

でも、今はもう、俺の全部が目の前の司にしか向いていない。そんなこと、司にだってきっと伝わっているはずで。

「まあでも、ふたりがこうしてうまくいったの、少しは僕のおかげもあると思うんだけど?」

ゆいさんは腕組みをしながら、にやっと笑う。

「……それは、まあ……」

否定できずに俺は曖昧に答えた。

「だからさ、一個だけお願い聞いてくれない?」

「……お願い?」

「んーとね……僕の目の前で、ふたりがえっちしてるとこ見せてほしいなぁ……って」

「…………は?」

頭が真っ白になる。冗談だろう、と一瞬思ったが、ゆいさんの目は本気とも冗談ともつかないきらめきで、ただこちらをうるうるの瞳で見つめていた。

「な、何言ってんすか……っ!絶対ありえないですから!そんなの……!」

声が裏返って嫌な汗が滲み、思わず司の袖を掴んでしまった。……が、司はまるで別のことを考えているかのように静かだった。同じようにドン引きして止めてくれると思ったのに、眉を寄せるでもなく、目の奥だけが鋭く光っている。

「……別に、良いんじゃない」

にやりと唇の端を上げ、軽い調子で言い切りやがった。なに言ってんだ、こいつ。いや、ちょっと待て、本気で?

「ちょっ……司!?」

「だって、あんたは慎の過去を知っているわけだし、実際に身体に触れたことがあるんだろ。」

「まぁ…そうだけど、僕とまこちゃんの間には何もないのも本当だよ。あくまで僕らはキャストと客だもんね。」

「だったとしても。……今の慎は俺の恋人だし、俺以外には興味がないって、実際に目の前で証明したいんだよ。」

低い声で言いながら、司の腕が俺の腰をさらりと撫でる。ぞわっと背筋が震え、逃げ場を失う。俺には分かる。司は笑ってはいるけど、絶対に引かないって決めてる顔だ。

「なぁ、聞いてる?慎……」

耳元に落とされた囁きに、頭が真っ白になる。司の指先が腰骨を軽く押さえて、わざとらしく俺の反応を試しているのがわかる。

「ま、慎が嫌なら無理強いはしないけど……」

胸の奥が熱くなって、声が出ない。結局、俺は真っ赤になった顔を隠すように俯くしかなかった。

そんな俺の沈黙を、ゆいさんは勝手に肯定と受け取ったらしい。ぱん、と手を打って、満面の笑みで言い放った。

「じゃあ、決まりだね」

「ちょ…まだ……」

思わず声が漏れたけれど、その瞬間に司の低い声が割って入った。

「ただし」

司の目が細くなる。俺の肩を抱き寄せたまま、真正面からゆいさんを見据えて。

「絶対に慎に手は出さないでくださいね。」

冷たく響く声。笑みを張りつけているのに、その奥にあるものは明らかに牽制だ。しかしゆいさんは肩をすくめ、あっけらかんと笑って返す。

「当たり前。そんなつもりないよ。」

「……」

「僕ね、こういう仕事してるせいか知らないけど、ちょっと歪んでるんだよ。人が愛し合ってるのを見るほうが、よっぽど興奮する。こんな事誰にもお願いできないし、僕への借りを返すと思ってさ。」

また楽しそうに笑うゆいさん。その姿を前にして、俺はますます言葉をなくすしかなかった。

司の腕の力だけが、強くてあたたかい。俺はその温度にすがる。そして現実味を帯びていく状況から、目を逸らした。

「マスター、貸してもらえる?」

ゆいさんが気楽な調子で声をかけると、カウンターの奥にいたバーテンダーが、ゆるくため息をついて鍵を取り出した。そしてそれを無言で手渡しながら、低い声で一言。

「……汚すなよ」

「はーい」

ゆいさんは軽く手を振って、慣れた様子でそれを受け取る。

俺は、耳まで熱くなるのをどうしても隠せなかった。
“いつもの”って……つまり、そういう場所なんだろうか。

「慣れてるんすね」

「仕事柄ね」

ゆいさんは飄々と答え、にやっと笑った。

そんな二人に挟まれて、俺はただ押し出されるように階段を上がっていく。重たい空気と、妙に甘い匂いの混ざった廊下。鍵が差し込まれる金属音がやけに大きく響いて、俺は自分の鼓動ばかりが気になって仕方がなかった。
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