眼中になかった同期とセフレになってみたら沼すぎて、初恋。

ぴょす

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うちの彼氏は尻軽クソビッチ女には興味ございません、たぶん…

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乾杯の声が飛び交う。大勢のジョッキがぶつかる音で居酒屋の空気は一気に熱を帯びた。

だって、今日は司のための会だから。

ただの部署異動とはいえうちの部署は割と仲が良いので、こういう会が開かれるわけだけど。

司はというと、乾杯直後からあちこちの席に呼ばれては笑顔で応じ、全然こっちに戻ってこない。そりゃそうか……

「黒川さん、こっちこっち!」

女性からも男性からも、そう声をかけられるたび、素直に腰を下ろす司の姿は誇らしいようで、周りの人間が疎ましくもある。

「いやー、黒川さん異動しちゃうの惜しいよね。あんなにしごできなのに。」

「うちでも人気者だったからね、あの子とか(笑)」

「あ、ほら。早速狙われてるよ、黒川王子が。」

「安定のあの子ね」

「うん、異動になるって聞いてから更にやばいよ。この会社にいる意味ないとか言ってたしねー」

ひそひそと交わされる女子たちの会話に、俺を含めた男性社員も「マジでー?」と笑い混じりの反応を返す。

「へえ……そうなんですか」

俺は努めて軽い調子で返す。けれど喉は渇き、ビールを飲んでも飲んでも乾いていく気がする。

視線の先、例の女子社員が嬉しそうに司の袖を引っ張り、司が少し照れたように笑っている。

……別に。俺と司はもうちゃんと恋人なんだから。

そう頭でわかっていても、胸の奥には小さな棘が刺さったままだった。

「よくやるよね。場所弁えろっての。」

お局と言うには失礼に当たりそうだけど、俺の上司にも当たる女性の先輩から厳しい視線を向けられ、俺もつられて目をやる。確かに、あれはやり過ぎだよな。

「でも黒川さんって彼女いません?」

「え、そうなの?」

2人の女性社員に首を傾げられながら見られ、なぜ俺を見る?と思いつつ、曖昧に笑ってごまかす。この空気に耐えられなくて、何度か司の方に目をやってしまい、とうとう視線が合う。司が小さく手を振った。

心臓が一瞬跳ねる。けれど周囲の目が気恥ずかしくて、俺はグラスを持ち直すだけで応じられなかった。

「うわ、なに今の。かわい。」

「渡瀬さんに振ったんでしょ?仲良し~」

あは、あはは、なんて下手な笑い。結構俺たちって仕事中は距離を取っているつもりでいたけれど、もしかして全然取れてなかったか?なんだかみんなに悟られているような気にさえなる。

そんなこんなで一次会も終わり、解散の空気が流れ始めた頃。人混みの向こうで、ふと司の姿を探す。

目に飛び込んできたのは、例の女子社員が泥酔して司にしがみついている場面だった。

「おいお前ら何してんだよ(笑)」

「持ち帰んのかー?セクハラだセクハラ」

司の肩に顔を埋める彼女を、笑い混じりに森田たちが囲んでいる。けれどどこか面白がっているだけで、本気で止めようとはしていない。司は困ったように笑ってはいるが、俺の目には満更でもなさそうに見えてしまった。

くっだらねー……

そう繰り返し唱えて、慎は立ち上がった。帰る人たちも多い中、自分もしれっとその輪の中に入る。

だってこのままここにいたら、このまだ小さな苛立ちが肥大化する未来しか見えない。あの女のこと、許されるならぶん殴ってやりたいってもう既に思っちゃってるし。

俺はため息と共にタクシーを止めるため、店に背を向けた。

なのに、やっぱりこういう時に余計なことをするのは森田なのだ。

「渡瀬も行くでしょ!」

断る暇も与えられず、気づけば2件目に引き摺り込まれる。薄暗い照明に沈む店内。洒落た音楽と、グラスを傾ける笑い声。そんな雰囲気に似合わない、胸に重い嫌悪感を抱えたまま。今日ほどお調子者の森田を呪った日はないだろう。

予想通り。目の前で繰り広げられている光景は、見るに堪えなかった。

司の隣に、例の彼女がぴったりと張り付いている。腕に絡み、肩に寄りかかり、時には笑い声を耳元に吹きかけてあからさまな「女の武器」のオンパレード。

その「泥酔」が演技なのもこっちは分かってんだよブス。今のコイツの目はしっかりと開き、視線は冷静そのもの。わざとだ。最初から、全部計算づくだ。

尻軽クソ女。わざと酔ったフリして、誰にでも媚び売って、惨めな女だ。男はお前を好きなんじゃなくてお前の乳と穴にしか興味ねーからな。ああいうのを「ビッチ女」って呼ぶんだろう。寄生虫みたいに、男の腕にまとわりついてさ。

胸の奥に、黒い言葉が次から次へと溢れて止まらない。
口には絶対出さない。周囲には、薄い笑みを浮かべて「社会人の顔」をかぶったまま。でも内側では、彼女を切り刻むような言葉を並べ続けていた。

司が、彼女の肩を押しのける。

「……飲み過ぎだって、」

ようやく言葉を出したが、その力は弱々しく、結局彼女は笑いながらさらに司に寄りかかるだけ。

司も司なんだよな。セフレとホテル来といて俺とヤるからってタクシーに押し込んで強制的に帰らせてたくせに。中途半端に優しくしやがって。

グラスを強く握る。指先が白くなっても、どうにもできない。嫉妬で胃の底が焼け付くような思いを抱えながら、俺はただ、その惨めな場面を見せつけられるしかなかった。







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