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彼氏は俺との関係を匂わせたい
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先にシャワーを終えてソファに戻った俺の横に、バスルームから出てきた颯が何食わぬ顔で腰を下ろす。
着ているのは、俺のTシャツ。自分にとっては少しゆるめのサイズなのに、颯の身体にぴたりと沿っていて妙に似合っている。肩幅があるからか、布地がだらしなく垂れることもなく、むしろ仕立てたみたいに自然に馴染んでいた。
……なんで俺のTシャツ着てるだけなのに、こんなにエロく見えんのかな、こいつ
視線を逸らしたつもりが、ふと目に入る金髪がまた心をざわつかせる。ノーセットの髪がふわふわと軽やかに揺れていて、初めて見る幼い颯。
さっきまで自分をあんなふうに責め立てて、何もかも掌握していた男と同一人物だとは思えない。
ズルい……ほんと、ズルい
「なにか?」と、颯が不意にこちらを見る。まっすぐに向けられた視線に、思わずどぎまぎして視線を泳がせた。
「いや、さっきの…しようかなーって…」
ごまかすように咳払いをして、手に持っていたスマホをテーブルに置いた。
「……さっきした約束の事ですか?」
颯が低い声でそう言った。敬語のトーンは変わらないのに、背筋が伸びるような圧がある。
「……うん。ちゃんと、聞いてたよ」
履歴の中から、過去に一度だけ体を重ねた相手や、もう何年も連絡を取っていないくせに名前が残っている男たちを探していく。
「消せって言われなくても、たぶん消してたと思うよ、俺」
そう呟くように言うと、颯は腕を組んだまま、ただ黙ってその様子を見ている。でもその唇の端が、ほんの少しだけ上がったのを俺は見逃さなかった。
「別にやましいことがあるわけじゃないしね。残してる理由もないし」
数件の連絡先を削除し終え、続けざまにアプリストアを開く。そして、GPSアプリの画面を颯に見せた。
「それに万が一俺が後ろめたい事をやらかしたとしても、バレるんだろうなって思ってた。しないけど。」
「当然ですよ。僕の方が若いぶん、目も耳も冴えてますからね」
ふっと笑ってそう返してくる颯の顔は、どこか勝ち誇ったようでもあり、でもどこか嬉しそうでもある。俺は苦笑いをしながらアプリをインストールし、初期設定の画面まで進めたあと、スマホごと颯に渡した。
「ほら。お前のID入れとけよ」
「……ありがとうございます。…やっぱり、侑成さんって大人なんですね」
「ん?なんだよ」
「先に反省されちゃったら、僕が責める隙がないじゃないですか」
颯はそう言ってスマホを操作しながら、小さく笑った。
ふわふわした金髪が揺れて、胸の奥がまた妙にくすぐられる。
「俺なりに考えてるんだよ。……颯のこと、大事にしたいから」
「……」
颯はしばし黙っていたが、やがてスマホをテーブルに置き、そっと俺の手を取った。
「じゃあ……僕のこと、もっと安心させてくださいね」
その指先は、今はただ優しい。さっき俺の首に触れてた時とは大違いにあたたかい。
「てか、これけっこう似合ってますよね?侑成さんのTシャツ」
颯はそう言って、自分のスマホを手に取った。首元のゆるいTシャツを少し引いて、カメラの角度を調整している。
「自撮り……?」
「はい。ストーリーに上げようかなって」
「ストーリー?」
「え。知らないんですか?」
「知ってるわ!そのヤバ…みたいな顔やめろ!」
笑う颯に、俺は少しだけ唇を歪めた。
でもまぁ、考えてみればこんな顔とスタイルでSNSをやってない方がおかしいよな。
「侑成さんもやってるなら繋がりましょう」
颯がスマホの画面を見せてくる。そこには端整な顔立ちのアイコン、つまり颯本人だ。てか待ってそれより、
「フォロワー、……4万超え…………はぁ!?」
思わず声が出た。颯はちょっとだけ首を傾げて、何か不思議なものを見るように俺を見つめてるけど。
「……あ、はい。ほんとだ。」
「“ほんとだ”じゃねーだろ。……何者なの、颯」
「ただの大学生ですよ。SNSって、顔が良ければ数字は勝手についてきますから」
言い切る口調に、まったく悪びれた様子がない。でもこんな顔なら無自覚なわけないか、さすがに。
「あー……うん」
俺は言葉に詰まりながら、なんとも言えない気持ちで頬をかいた。そりゃ見られるだろうな、こんな顔と雰囲気で。SNSに載せりゃ、誰だって食いつく。
「てか撮るなら、ここで撮れよ。なんもないとこで。」
「えーなんでですか?」
「なんでって、なんかいつもと背景違うとかいらん噂たてられたらどうすんだよ」
「……え、別にいいですけど。てか侑成さん全然更新してないじゃないですか」
自分のフォロワー数は10人にも満たず、投稿も数えるほど。
「だって地元の友達としか繋がってないし」
「さみしいアカウントですね」
「うるせぇよ」
けらけら笑う颯につられて俺も笑っちゃう。どこかくすぐったいような嬉しさが胸に広がっていくから。
「へえ……」
颯のアカウントは俺とは住む世界が違うねってレベルで全部までキラキラしてる。何気なく上げられた日常の写真、カフェのラテアート、どこかの風景、鏡越しの自撮り。どれも肩の力が抜けているのに、いいねやコメントの数は桁違いだった。
「……すご」
「何がですか?」
無邪気な声で聞き返されて、俺はスマホの画面から目を離す。
「なんか凄い人と付き合ったんだなって思って」
「またそんな事言って」
これ、本当に俺じゃなきゃダメって思ってくれてんのか?そんな考えが一瞬よぎって、自分でも驚くほど胸がざわついた。こんな見た目で、こんな人気で、しかも10歳も年下。
心配になる
って言ったところで、颯はたぶんSNSやめるって言い出すしな……
その性格は、もう分かっている。でも、そんな極端なやり方をされるのは、逆に嫌だった。だから言わない。不安は、今は飲み込む。
「じゃあ匂わせにならない程度に上げときます」
「結局かよ」
「良いでしょ、自慢したい」
「……まぁ…うん……程々なら」
俺のスマホには、颯があげたストーリーの通知が、静かに光っていた。
翌朝
朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、薄く差した陽が、まだ隣で眠っている颯の頬を照らしていた。
いつもより静かな土曜の朝。颯は深く眠っていて、ゆっくりと胸が上下している。まだ寝かせておいてやりたくて、そっとベッドを抜け出した。
キッチンで軽く水を飲み、戻ってくると、目に入ったスマホをなんとなく手に取る。ふと、昨夜フォローし合った颯のSNSのことを思い出した。
開いてみると、颯の投稿がずらりと並んでいた。
「……黒髪だった時期、あったんだな」
指でスクロールしていくと、黒髪の颯が真っ白なシャツに身を包み、真っ直ぐレンズを見ている写真が出てくる。
柔らかそうな髪と、今より少し幼く見える表情に、胸がぎゅっとなる。
最近の写真ももちろん多い。
金髪のセット済み、パーカー姿、撮られ慣れているのが分かる角度とポーズ。全部、格好良すぎる。実物も当然かっこいい。でも、写真越しの颯はどこか洗練されていて、別物の魅力があった。
「ほんと、死ぬほどモテるんだろうなー……」
無意識に出た言葉に苦笑する。そのくせ、好きな投稿はひっそりとスクリーンショットして保存してしまう。
「なんで俺なんだろ」なんて独りごとを言いつつ、胸の奥は甘く溶けそうで。
完全に好きになってる自覚も、今となっては隠す意味すらない。颯のことが好きで好きでたまらない。
まだベッドで寝息を立てている颯に目を向けた。
頬にかかった金髪が朝の光に透けて、まるでフィルターでもかかったみたいだった。目を閉じてても整ってるのがわかるって、なんなんだよほんとに。
写真だと“かっこいい”って思うのに、こうやって隣で寝てると、“愛おしい”が勝つ。なのに、見てるうちにまた体が熱くなる。
昨夜、あれだけしたのに?
怒られて、ぐちゃぐちゃになって、気持ちを確かめ合って、朝方まで何度も何度も抱き合った。さすがにしばらくは落ち着くだろって思ってたのに。こいつ、寝顔ひとつでまた俺を煽ってくる。
「……はぁ……」
甘いため息のあと、そっと足音を忍ばせながら、ドアを開けて廊下に出た。
トイレに入って一度深呼吸。
なんで俺がこんなことしてんの。彼氏に欲情してトイレ駆け込むとかどんだけ情けないの。もー俺30になるのにさ。
でも、仕方なかった。
好きすぎて、触れたくて、でも起こすのは気が引けて。
「……さっさと済ませて、戻ろう……」
そう呟いて、ズボンのウエストに手をかけた、その時。
「おはようございます」
ビクリと肩が跳ねた。
振り返ると、ドアが少しだけ開いて、寝ぼけ眼の颯が覗き込んでいた。
「な……っ」
「バレバレですよ」
「え……っ、はっ、別に──」
「……なんで嘘つくんですか?」
颯がすり足で入り込んできて、目を細める。起き抜けで髪はぼさっとしてるのに、どこか獣みたいな鋭さで、俺を見下ろした。
「僕、昨日あれでも我慢してる方だったんですよ。それなのに侑成さんは、勝手に済ませるつもりだったんですか?」
「……起こしたくなかっただけだよ」
「そう、」
睨むような視線。寝起きで低めの声。普段の敬語なのに、妙に迫力があった。
「これって、僕我慢しなくて良い感じですか?」
「……」
颯は一歩近づいてきて、俺の胸元を指先でなぞる。
「年下の僕が、我慢してるのに。侑成さんのがずっと盛ってるなんて……かわいすぎます」
「おまえ、ほんと……デリカシー…」
「僕も盛っていいって事でしょ?」
にやっと笑って、颯の指がズボンのウエストを引いた。
一瞬で、理性が溶けた。
「欲しがる侑成さん、見たいなぁ。」
「ッ……♡」
「だってもう挿れたくてしかたないって顔してる。」
「ぁ♡ぁ…………♡だって…♡♡♡」
颯…えろいんだよなぁ…そのクールな顔でバッキバキに勃ってんの…
ベッドに引き戻された時、俺はすでに観念していて、おとなしくされるがままだった。
「なんか、自分の性欲に引くわ」
「僕は大歓迎ですけどね」
言いながら、颯はTシャツを脱ぐ。すらりとした体つき、鍛えすぎていない均整の取れた筋肉。すべすべの肌。そしてそのまま、俺のTシャツにも手をかけてくる。
下着だけになった俺たちは、シーツの上に倒れ込んだ。
昨日と違う事と言えば、俺が上になっているって事。
「……この体勢、恥ずかしいんだけど……」
「気持ち良くなりたくて、頑張ってる侑成さんも見たいなぁって」
「……なんだよそれ」
「あとシンプルに、僕が騎乗位、好きなんで」
そんなことを、さらりと、ふざけるでもなく言ってのける。でもわざとだろうな。嫉妬させようとしてんだろ。
そっと手を伸ばして颯の胸に触れれば、すぐ分かる。
鼓動が早い。少し熱がある。
それは、自分も同じなんだけど。
「俺、けっこう得意なんだよね」
へぇーと意地悪く笑うその顔は、くやしいくらい綺麗だった。まぁ、こういう時の嫉妬はある意味スパイスだよな。
顎、首筋、鎖骨。ゆっくり、丁寧に、まるで大切なものをなぞるように口づけていく。
密着したアレが、布越しに熱を帯びる。肌と肌の境界が曖昧になっていくたびに、甘さが濃くなって、直接触れたくなる。
「……颯」
「ん、なに?」
「好きすぎて……おかしくなりそう」
「僕だって、ずっと思ってます」
腰を掴む手が、ぎゅっと俺を引き寄せる。どこもかしこも、ひたすらに熱かった。体温も、息遣いも、視線さえも。全部が甘い。
静かな朝に、微かな喘ぎがこぼれて、重なりあう心臓の音が、部屋の中に響き始めた。
こんな朝ならば、何度でも迎えたいと思ってしまう。
「……っ♡」
長めに息を吐く。俺はゆっくりと腰を落とした。自分の中に颯を迎え入れるこの瞬間、俺のスイッチが入る。
痛みはない。昨夜、あれだけ繰り返したんだから当然か。けれどその柔らかい感覚の先にある、充足の深さはまた別だった。
「ぁ…………やば…」
熱が奥まで触れてくる。
それだけで喉の奥がじんと痺れるようで、俺は無意識に唇を噛む。
「ゆうせいさん……」
ベッドに沈み込んだまま、颯がぽつりと呟いた。視線が、欲しがるように自分を這っているのがわかる。息も、少し荒い。
「他の人にもこんな事したの」
「は?」
「だって…得意なんでしょ」
見下ろせば、睨むようにしている颯の目が、少し潤んでいる。その素直すぎる拗ねた顔に、俺の母性本能的な何かが働いた。
「……なあ、颯」
そっと頬に触れて、髪をかきあげる。その金髪の髪は思っている以上にふわふわで柔らかい。
「誰と比べてんだよ。……今、俺は颯のだろ」
そう言いながら、ゆっくりと身体を揺らす。
颯の中で、なぞるように、深くまで。
「過去は変えられないけど、未来は変えられるんだから」
「…?」
「……だから、その、……颯が俺の事もっと颯好みに躾けてくれればいーのっ……」
掠れた声でそう言って、俺は颯の胸に手を添えた。颯が自分の動きに乱れていく様がたまらなくて、一段深く腰を沈めてやる。颯ので奥をゆっくりと探るたび、体内に広がる甘い圧迫感に、吐息が激しくなるのを誤魔化せない。
「ほら……颯ので、……ちゃんと感じてる…っ」
「……ん、うん……すご……い……侑成さん…」
細く震える声で、縋るように名を呼ばれる。嬉しいはずなのに、胸が苦しくなるくらい、愛しかった。
「他の奴なんか、もう全部忘れた。……てか、思い出す余裕なんかないから」
俺はゆるく笑って、顎を下げ、颯の唇を食むように塞いだ。
「忘れさせるのも、颯の役目だろ。……彼氏なんだから」
「……っ、今の……かなりキました……」
口の中でそう呟く颯の声は、震えていた。嬉しさと、悔しさと、切なさと、愛情が全部まざったその涙声に、俺の動きはさらに深く、強くなっていく。
何度も何度も、奥まで確かめるように繋がって、そのたびに2人の間の距離が、ゆっくりと、でも確かにゼロになっていく。
そうしてゼロになったなら、お互いのスイッチはもう完全にオンへと振り切る。
「は…………♡それ好き♡ちんぽのさきっぽで…♡キスされてるみたい…♡」
さっきからぬるぬるのそれを入り口に擦りつけられて、ちゅぽちゅぽ♡って粘膜のキスの音が響いてる。わざと焦らしやがって……分かっているけど、もはやこの焦らしさえ気持ち良くてやばい……
「ん…♡♡♡」
「こんなんじゃ足りないくせに?」
「待っ♡ぁ♡まだ脱いでなっ♡……っあ♡」
「侑成さんすぐベット汚すから履いててください」
「ぁ♡んう゛ッ♡♡」
「そう、下着ずらしたまま、僕に使われまくった雄穴広げて、よく見せてくださいよ。教えたでしょ?」
「きてッ♡早くッ♡あ゛ッ♡♡」
天井を向けばやってくる下からの快楽。俺の声、甘さと下品さ増し増し……
「お゛ッッ♡きもぢい♡♡お゛ッ♡♡これやば♡♡お゛ぎゅ♡♡気持ち゛♡♡奥すご゛ッ♡」
「きつすぎて……もってかれそ…」
「あ、…♡でかい…のっ♡下からやは゛…いッ♡あ゛っ♡あ゛ぁあ~~~っっ、♡ひ…っ♡ゆっくりっ♡しろっ、…て…え゛ッ♡」
「昨日あんだけ使ったくせに、締め付けえぐいのエロすぎますね……」
見下ろした視界にいる颯、いつもは冷静で落ち着いたその顔が、ほんの少しずつ、色を変えていく。
額に垂れた金色の髪が、うっすらと浮いた汗で肌に貼りついていた。どこか無防備に見えて、鼓動が跳ね上がる。
「やば……」
吐く息が浅い。普段の颯なら、余裕のある息遣いを保つはずなのに、今は違った。ピッチの早い呼吸が熱を持って漏れるたび、頬がうっすらと赤く染まっていく。
その手が、一度口元に上がった。
腕で、唇を隠すような仕草。
「……なに、隠してんだよ」
思わず声を落として訊ねると、颯は少し目を逸らしてから、恥ずかしげに笑った。
「……侑成さんが、エロすぎて」
自分の反応がすでに抑えきれないことを認めるように。頬にかかる髪をそっと指先ですくい上げてやれば、更に颯の視線がぴくりと揺れる。
「……いいよ、もっと見たい。余裕なくなる颯、初めて見るから」
不服そうな顔も可愛い。たまにはこういうのも悪くない。更に大胆になれるから。
「が…我慢しなくていーからっ…」
「ほんとに?……」
「……ぅ…うん…………」
とは言ったものの、いざ颯の顔付きが変わると怖くなる。でも今更、だった。
「い゛ぁッ♡、な…ッ♡」
自分のピストンがいかに生ぬるかったか。
突然下腹を突き破るような圧がかかる。
「侑成さん見てるとめちゃくちゃにしたくなるんですよ。壊してやりたいって。こうやってガン突きしてぶっ壊したくなるんですよ。だから我慢してたのに…」
颯のバカでかいちんぽが俺の奥にガツンと突き刺さる。腰を鷲掴みにする野獣みたいな手も、容赦なく突き上げる動きも、好きすぎて、射精がとまんないっ……♡♡♡汗と汁でぐっちょり絡み合いながら、俺の欲はどんどん膨らむ。もっとガンガン突いてほしくて、俺はナカを更に締め付ける。
「や…すごッ♡激しすぎ、ッ♡急にだめッ♡お゛ッ♡ん゛ぉッ♡、い゛♡いっちゃう゛ッ~~~~♡♡」
「結合部えっろ♡ちんこ揺らしてんのかわいー♡男犯してるって感じ♡興奮します♡あ♡そういえば乳首も大好きでしたね♡昨日いっぱいいじめたから赤くなってるじゃないですか♡」
下から乳首を強めにひねられ、情けない声と共にうなじを仰ぐように反らしてしまう。頬に垂れた髪をかき上げる。そのとき、ふと、昨夜のことが頭をよぎった。
颯に、首……掴まれて……
ほんの一瞬だった。けど、あのとき感じた“ゾクッ”とするような興奮は、身体の奥のほうにずっと残ってる。火照りの根源みたいに、熱がそこからまた噴き出してくる感覚。気づいたら口にしていた。
「………はやと…首…昨日みたいに…ちょっとでいいから締めてッ…………」
言いながら、喉がひゅっと鳴る。
「……おねがいッ…………」
声が震えて、情けないくらいに弱くなる。理性の外に出た欲望が、そのまま口から漏れてしまう。あまりに恥ずかしくて、視線を逸らして、息を詰めるように言葉を継ぐ。
「……苦し…くして欲しい…♡それで…♡いきたい゛……♡♡お願い………」
まるで甘えるみたいに。縋るみたいに。その瞬間。
下からくすくすと笑う声がした。
視線を戻すと、颯がちょっとだけ呆れたような顔をして、にやりと笑っている。
「あんなんで勃起してたの?僕あの時怒ってたのに?」
汗で少し額に髪が張りついたまま、目線だけで挑発してくる。
「いいですよ。死ぬ寸前まで首絞めながらちんこで潰してあげる」
ぞわぞわ…する…その目…この力…
颯の手がそっと侑成の首元に添えられた瞬間、たまらなくて、びくっと身体が跳ねた。
「っ♡ゔ、…っ♡、きもぢっ♡、、…♡、」
「首絞められてんのに、きもちいって勝手に腰振って発情してんのやばいでしょ」
「お、ぉ゛…っ♡ごめっ…なさい、っ♡」
「ねえもうどうすんの。普通のセックスできないじゃん」
「ア"…っ♡、が…ぁ、…っぐ、ッ"♡、、、」
「聞いてます?」
「うぁ゛♡ぐ♡ッ♡きもち、い゛っ♡でる♡ぅ゛ッッ♡、、、」
「ハメられる側が勝手にイっちゃだめでしょ?」
「ごめッ♡なさ、ぐ゛っ♡イ…っ♡、、、ぃ、い゛くッ♡…………」
「あぁもう……ほんと雑魚まんこ」
颯のぶっといちんぽが……一度引き抜かれて、また秘部を擦る。血管がビキビキに浮いて、まるで生き物みたいに脈打って……赤黒くてギンギンに張って……
「ねぇ侑成さん」
「……は、ぁ、…」
「まだですよ」
「っ……」
「まだ終わってない……」
「……は、……っ……」
もう限界だった。全身から力が抜けて、腕一本を動かすのもしんどい。これで終わりだと思った。
なのに
静かに、颯の手が背を撫でる。優しく、でもどこか探るように、腰へと滑り落ちていく。
「……待って…ほんとに…颯…なぁ、だ、、め…」
今度は脚が動いた。颯の膝がわずかに持ち上がり、俺の太ももを内側から押し上げるように。
「む、りだっ……て、もお…っ」
震えるように呟いた俺の耳元に、熱い息がかかった。
再び動き出す身体。少し乱れた呼吸。胸の奥に灯ったばかりの火が、消されるどころかまた焚きつけられる。
颯にいいように扱われるたびに、奥の奥まで甘く、熱く、溶かされていく。今の俺なんて、従うでもなく、使われている。まさにこの言葉がぴったりだ。
「きもぢぃ……っ、、♡♡待ッ、あ゛♡♡こんな、ッ、初めてッ♡こんなの知らなッ♡ い゛ッ♡下からぱんぱんされるの好きッ♡♡う、うう♡」
「雑魚まんこにお仕置きピストンしてるんだから……ちゃんと反省してくださいよー…」
「ごめんなさッ♡♡ごめんなさい゛ぃい゛‼︎♡」
「ごめんなさいじゃなくて?」
「淫乱でぇ゛♡んっ♡ごめっ♡なさ゛い゛♡どちゅどちゅッされてッ♡気持ち゛♡♡く、なって、ごめなっさ゛、、颯のでかちんぽ好きぃッ♡♡う、あ、、♡淫乱て゛‼︎ごめっ、なさッ゛」
「お尻の穴なんて、こんな使い方されるもんじゃないんですよ。なのに、オナホみたいに好き勝手犯されて、悦んで、どーかしてますよ侑成さん」
「っ…ん゛…ごめ…なさい゛、、、」
尻を鷲掴みにされて、追い込む乱暴なピストンが俺に甘美な快楽を与えてくる…っ。自分が男であることも忘れて、目の前の雄にただ捕食されている気分だ…
「ばっきばきのちんぽぉっ゛、ぉ゛♡♡♡きもちい゛♡♡きもちぃいい゛………っ♡♡♡」
「下品な声出してないで、ケツ穴締めてください。僕のちんぽ専用ケースにしてあげますから、ほら、がんばって」
「っお゛お゛♡ん♡颯の、ちんぽ、でかい゛~ッッ♡♡う゛ッ♡♡いい…、、♡なる、、♡なるからぁ゛、ちんぽ穴♡はやとのちんぽケースになりたぃい゛‼︎‼︎♡♡」
「……侑成さん、えっちのときIQゼロになって人権剥奪されてんの興奮します…」
片手で下から俺の首をぎゅっと締め付けて、結合部を睨む颯。精子も涎もとめどなくて、それに気付いた颯が更に首を絞める手に力を込めてきた。
「汚いなぁ」
「ぉ、お゛、、、ご、め、………ぉ゛…」
「さぼってないでケツ穴締めて、真面目にちんぽケースやってくださいね」
と嘲る言葉に、絶望と欲が混じって頭が狂いそうだ…だってもうずっとイきっぱなしで…正しい判断なんてできそうにもない…
「もおッ♡おねがいしますッ…………♡中に欲しッ♡颯の♡んぉ゛ッ♡あ゛ぁ゛っ゛♡は、…颯とひとつになりたッ、い、、♡」
「…………ゆうせいさん、……」
「あ゛ぁ゛ぁ゛♡き、て…………♡♡♡♡……」
絡み合った肌と肌の湿度と熱が、もう愛おしい。どくどくー…って…颯のあっついザーメンが…俺のナカに注ぎ込まれてくる…
逃げ場のないほどの熱が、ひたひたと自分の内側に染み込んでくる…
膝が震えて立っていられず、そのままへたりと崩れ落ちた。颯の胸元に額を預け、荒い息を何度も繰り返す。
颯で満たされている。
物理的にも、精神的にも。
満たされて、壊されて、それでもまだ欲しい。
そんな自分に呆れるけれど、今の俺……誰よりも幸せだって思えるんだ。
———
気づけば、部屋の空気がすっかり変わっていた。
ぼんやりと瞼を開けると、窓の向こうが茜色に染まり始めていて、一瞬、朝か夕方か分からなかった。
隣には、俺に自分の腕を預けて眠る颯の姿。体温を分け合ったまま、気を失うように眠ってしまっていたことをようやく思い出す。
「……マジか。もう夕方かよ」
顎のあたりでふわっと金髪が揺れて、寝返りを打った颯の髪が頬に触れた。さっきまであんなに強引だったのに、今はこんなに無防備な顔をしてる。
この静けさが崩れてしまうのが惜しくて、もうしばらく起こさずにいようと思った
のだけど、
その静けさを破るように、スマホの着信音が鳴り響いた。颯のスマホだ。画面は伏せられているが、しつこいくらいに長く鳴っている。
何度か切れかけてはまた鳴り始めるその着信に、さすがに俺も眉をひそめた。
「……起こすか」
と、思ったら着信がやっと鳴り止んだ。そしてそのタイミングで颯が目を開けた。颯はまどろみの中でスマホに手を伸ばす。けれど、画面を見たその顔が、ふっと強張ったのを俺は見逃さなかった。
着ているのは、俺のTシャツ。自分にとっては少しゆるめのサイズなのに、颯の身体にぴたりと沿っていて妙に似合っている。肩幅があるからか、布地がだらしなく垂れることもなく、むしろ仕立てたみたいに自然に馴染んでいた。
……なんで俺のTシャツ着てるだけなのに、こんなにエロく見えんのかな、こいつ
視線を逸らしたつもりが、ふと目に入る金髪がまた心をざわつかせる。ノーセットの髪がふわふわと軽やかに揺れていて、初めて見る幼い颯。
さっきまで自分をあんなふうに責め立てて、何もかも掌握していた男と同一人物だとは思えない。
ズルい……ほんと、ズルい
「なにか?」と、颯が不意にこちらを見る。まっすぐに向けられた視線に、思わずどぎまぎして視線を泳がせた。
「いや、さっきの…しようかなーって…」
ごまかすように咳払いをして、手に持っていたスマホをテーブルに置いた。
「……さっきした約束の事ですか?」
颯が低い声でそう言った。敬語のトーンは変わらないのに、背筋が伸びるような圧がある。
「……うん。ちゃんと、聞いてたよ」
履歴の中から、過去に一度だけ体を重ねた相手や、もう何年も連絡を取っていないくせに名前が残っている男たちを探していく。
「消せって言われなくても、たぶん消してたと思うよ、俺」
そう呟くように言うと、颯は腕を組んだまま、ただ黙ってその様子を見ている。でもその唇の端が、ほんの少しだけ上がったのを俺は見逃さなかった。
「別にやましいことがあるわけじゃないしね。残してる理由もないし」
数件の連絡先を削除し終え、続けざまにアプリストアを開く。そして、GPSアプリの画面を颯に見せた。
「それに万が一俺が後ろめたい事をやらかしたとしても、バレるんだろうなって思ってた。しないけど。」
「当然ですよ。僕の方が若いぶん、目も耳も冴えてますからね」
ふっと笑ってそう返してくる颯の顔は、どこか勝ち誇ったようでもあり、でもどこか嬉しそうでもある。俺は苦笑いをしながらアプリをインストールし、初期設定の画面まで進めたあと、スマホごと颯に渡した。
「ほら。お前のID入れとけよ」
「……ありがとうございます。…やっぱり、侑成さんって大人なんですね」
「ん?なんだよ」
「先に反省されちゃったら、僕が責める隙がないじゃないですか」
颯はそう言ってスマホを操作しながら、小さく笑った。
ふわふわした金髪が揺れて、胸の奥がまた妙にくすぐられる。
「俺なりに考えてるんだよ。……颯のこと、大事にしたいから」
「……」
颯はしばし黙っていたが、やがてスマホをテーブルに置き、そっと俺の手を取った。
「じゃあ……僕のこと、もっと安心させてくださいね」
その指先は、今はただ優しい。さっき俺の首に触れてた時とは大違いにあたたかい。
「てか、これけっこう似合ってますよね?侑成さんのTシャツ」
颯はそう言って、自分のスマホを手に取った。首元のゆるいTシャツを少し引いて、カメラの角度を調整している。
「自撮り……?」
「はい。ストーリーに上げようかなって」
「ストーリー?」
「え。知らないんですか?」
「知ってるわ!そのヤバ…みたいな顔やめろ!」
笑う颯に、俺は少しだけ唇を歪めた。
でもまぁ、考えてみればこんな顔とスタイルでSNSをやってない方がおかしいよな。
「侑成さんもやってるなら繋がりましょう」
颯がスマホの画面を見せてくる。そこには端整な顔立ちのアイコン、つまり颯本人だ。てか待ってそれより、
「フォロワー、……4万超え…………はぁ!?」
思わず声が出た。颯はちょっとだけ首を傾げて、何か不思議なものを見るように俺を見つめてるけど。
「……あ、はい。ほんとだ。」
「“ほんとだ”じゃねーだろ。……何者なの、颯」
「ただの大学生ですよ。SNSって、顔が良ければ数字は勝手についてきますから」
言い切る口調に、まったく悪びれた様子がない。でもこんな顔なら無自覚なわけないか、さすがに。
「あー……うん」
俺は言葉に詰まりながら、なんとも言えない気持ちで頬をかいた。そりゃ見られるだろうな、こんな顔と雰囲気で。SNSに載せりゃ、誰だって食いつく。
「てか撮るなら、ここで撮れよ。なんもないとこで。」
「えーなんでですか?」
「なんでって、なんかいつもと背景違うとかいらん噂たてられたらどうすんだよ」
「……え、別にいいですけど。てか侑成さん全然更新してないじゃないですか」
自分のフォロワー数は10人にも満たず、投稿も数えるほど。
「だって地元の友達としか繋がってないし」
「さみしいアカウントですね」
「うるせぇよ」
けらけら笑う颯につられて俺も笑っちゃう。どこかくすぐったいような嬉しさが胸に広がっていくから。
「へえ……」
颯のアカウントは俺とは住む世界が違うねってレベルで全部までキラキラしてる。何気なく上げられた日常の写真、カフェのラテアート、どこかの風景、鏡越しの自撮り。どれも肩の力が抜けているのに、いいねやコメントの数は桁違いだった。
「……すご」
「何がですか?」
無邪気な声で聞き返されて、俺はスマホの画面から目を離す。
「なんか凄い人と付き合ったんだなって思って」
「またそんな事言って」
これ、本当に俺じゃなきゃダメって思ってくれてんのか?そんな考えが一瞬よぎって、自分でも驚くほど胸がざわついた。こんな見た目で、こんな人気で、しかも10歳も年下。
心配になる
って言ったところで、颯はたぶんSNSやめるって言い出すしな……
その性格は、もう分かっている。でも、そんな極端なやり方をされるのは、逆に嫌だった。だから言わない。不安は、今は飲み込む。
「じゃあ匂わせにならない程度に上げときます」
「結局かよ」
「良いでしょ、自慢したい」
「……まぁ…うん……程々なら」
俺のスマホには、颯があげたストーリーの通知が、静かに光っていた。
翌朝
朝の光がカーテンの隙間から差し込んで、薄く差した陽が、まだ隣で眠っている颯の頬を照らしていた。
いつもより静かな土曜の朝。颯は深く眠っていて、ゆっくりと胸が上下している。まだ寝かせておいてやりたくて、そっとベッドを抜け出した。
キッチンで軽く水を飲み、戻ってくると、目に入ったスマホをなんとなく手に取る。ふと、昨夜フォローし合った颯のSNSのことを思い出した。
開いてみると、颯の投稿がずらりと並んでいた。
「……黒髪だった時期、あったんだな」
指でスクロールしていくと、黒髪の颯が真っ白なシャツに身を包み、真っ直ぐレンズを見ている写真が出てくる。
柔らかそうな髪と、今より少し幼く見える表情に、胸がぎゅっとなる。
最近の写真ももちろん多い。
金髪のセット済み、パーカー姿、撮られ慣れているのが分かる角度とポーズ。全部、格好良すぎる。実物も当然かっこいい。でも、写真越しの颯はどこか洗練されていて、別物の魅力があった。
「ほんと、死ぬほどモテるんだろうなー……」
無意識に出た言葉に苦笑する。そのくせ、好きな投稿はひっそりとスクリーンショットして保存してしまう。
「なんで俺なんだろ」なんて独りごとを言いつつ、胸の奥は甘く溶けそうで。
完全に好きになってる自覚も、今となっては隠す意味すらない。颯のことが好きで好きでたまらない。
まだベッドで寝息を立てている颯に目を向けた。
頬にかかった金髪が朝の光に透けて、まるでフィルターでもかかったみたいだった。目を閉じてても整ってるのがわかるって、なんなんだよほんとに。
写真だと“かっこいい”って思うのに、こうやって隣で寝てると、“愛おしい”が勝つ。なのに、見てるうちにまた体が熱くなる。
昨夜、あれだけしたのに?
怒られて、ぐちゃぐちゃになって、気持ちを確かめ合って、朝方まで何度も何度も抱き合った。さすがにしばらくは落ち着くだろって思ってたのに。こいつ、寝顔ひとつでまた俺を煽ってくる。
「……はぁ……」
甘いため息のあと、そっと足音を忍ばせながら、ドアを開けて廊下に出た。
トイレに入って一度深呼吸。
なんで俺がこんなことしてんの。彼氏に欲情してトイレ駆け込むとかどんだけ情けないの。もー俺30になるのにさ。
でも、仕方なかった。
好きすぎて、触れたくて、でも起こすのは気が引けて。
「……さっさと済ませて、戻ろう……」
そう呟いて、ズボンのウエストに手をかけた、その時。
「おはようございます」
ビクリと肩が跳ねた。
振り返ると、ドアが少しだけ開いて、寝ぼけ眼の颯が覗き込んでいた。
「な……っ」
「バレバレですよ」
「え……っ、はっ、別に──」
「……なんで嘘つくんですか?」
颯がすり足で入り込んできて、目を細める。起き抜けで髪はぼさっとしてるのに、どこか獣みたいな鋭さで、俺を見下ろした。
「僕、昨日あれでも我慢してる方だったんですよ。それなのに侑成さんは、勝手に済ませるつもりだったんですか?」
「……起こしたくなかっただけだよ」
「そう、」
睨むような視線。寝起きで低めの声。普段の敬語なのに、妙に迫力があった。
「これって、僕我慢しなくて良い感じですか?」
「……」
颯は一歩近づいてきて、俺の胸元を指先でなぞる。
「年下の僕が、我慢してるのに。侑成さんのがずっと盛ってるなんて……かわいすぎます」
「おまえ、ほんと……デリカシー…」
「僕も盛っていいって事でしょ?」
にやっと笑って、颯の指がズボンのウエストを引いた。
一瞬で、理性が溶けた。
「欲しがる侑成さん、見たいなぁ。」
「ッ……♡」
「だってもう挿れたくてしかたないって顔してる。」
「ぁ♡ぁ…………♡だって…♡♡♡」
颯…えろいんだよなぁ…そのクールな顔でバッキバキに勃ってんの…
ベッドに引き戻された時、俺はすでに観念していて、おとなしくされるがままだった。
「なんか、自分の性欲に引くわ」
「僕は大歓迎ですけどね」
言いながら、颯はTシャツを脱ぐ。すらりとした体つき、鍛えすぎていない均整の取れた筋肉。すべすべの肌。そしてそのまま、俺のTシャツにも手をかけてくる。
下着だけになった俺たちは、シーツの上に倒れ込んだ。
昨日と違う事と言えば、俺が上になっているって事。
「……この体勢、恥ずかしいんだけど……」
「気持ち良くなりたくて、頑張ってる侑成さんも見たいなぁって」
「……なんだよそれ」
「あとシンプルに、僕が騎乗位、好きなんで」
そんなことを、さらりと、ふざけるでもなく言ってのける。でもわざとだろうな。嫉妬させようとしてんだろ。
そっと手を伸ばして颯の胸に触れれば、すぐ分かる。
鼓動が早い。少し熱がある。
それは、自分も同じなんだけど。
「俺、けっこう得意なんだよね」
へぇーと意地悪く笑うその顔は、くやしいくらい綺麗だった。まぁ、こういう時の嫉妬はある意味スパイスだよな。
顎、首筋、鎖骨。ゆっくり、丁寧に、まるで大切なものをなぞるように口づけていく。
密着したアレが、布越しに熱を帯びる。肌と肌の境界が曖昧になっていくたびに、甘さが濃くなって、直接触れたくなる。
「……颯」
「ん、なに?」
「好きすぎて……おかしくなりそう」
「僕だって、ずっと思ってます」
腰を掴む手が、ぎゅっと俺を引き寄せる。どこもかしこも、ひたすらに熱かった。体温も、息遣いも、視線さえも。全部が甘い。
静かな朝に、微かな喘ぎがこぼれて、重なりあう心臓の音が、部屋の中に響き始めた。
こんな朝ならば、何度でも迎えたいと思ってしまう。
「……っ♡」
長めに息を吐く。俺はゆっくりと腰を落とした。自分の中に颯を迎え入れるこの瞬間、俺のスイッチが入る。
痛みはない。昨夜、あれだけ繰り返したんだから当然か。けれどその柔らかい感覚の先にある、充足の深さはまた別だった。
「ぁ…………やば…」
熱が奥まで触れてくる。
それだけで喉の奥がじんと痺れるようで、俺は無意識に唇を噛む。
「ゆうせいさん……」
ベッドに沈み込んだまま、颯がぽつりと呟いた。視線が、欲しがるように自分を這っているのがわかる。息も、少し荒い。
「他の人にもこんな事したの」
「は?」
「だって…得意なんでしょ」
見下ろせば、睨むようにしている颯の目が、少し潤んでいる。その素直すぎる拗ねた顔に、俺の母性本能的な何かが働いた。
「……なあ、颯」
そっと頬に触れて、髪をかきあげる。その金髪の髪は思っている以上にふわふわで柔らかい。
「誰と比べてんだよ。……今、俺は颯のだろ」
そう言いながら、ゆっくりと身体を揺らす。
颯の中で、なぞるように、深くまで。
「過去は変えられないけど、未来は変えられるんだから」
「…?」
「……だから、その、……颯が俺の事もっと颯好みに躾けてくれればいーのっ……」
掠れた声でそう言って、俺は颯の胸に手を添えた。颯が自分の動きに乱れていく様がたまらなくて、一段深く腰を沈めてやる。颯ので奥をゆっくりと探るたび、体内に広がる甘い圧迫感に、吐息が激しくなるのを誤魔化せない。
「ほら……颯ので、……ちゃんと感じてる…っ」
「……ん、うん……すご……い……侑成さん…」
細く震える声で、縋るように名を呼ばれる。嬉しいはずなのに、胸が苦しくなるくらい、愛しかった。
「他の奴なんか、もう全部忘れた。……てか、思い出す余裕なんかないから」
俺はゆるく笑って、顎を下げ、颯の唇を食むように塞いだ。
「忘れさせるのも、颯の役目だろ。……彼氏なんだから」
「……っ、今の……かなりキました……」
口の中でそう呟く颯の声は、震えていた。嬉しさと、悔しさと、切なさと、愛情が全部まざったその涙声に、俺の動きはさらに深く、強くなっていく。
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そうしてゼロになったなら、お互いのスイッチはもう完全にオンへと振り切る。
「は…………♡それ好き♡ちんぽのさきっぽで…♡キスされてるみたい…♡」
さっきからぬるぬるのそれを入り口に擦りつけられて、ちゅぽちゅぽ♡って粘膜のキスの音が響いてる。わざと焦らしやがって……分かっているけど、もはやこの焦らしさえ気持ち良くてやばい……
「ん…♡♡♡」
「こんなんじゃ足りないくせに?」
「待っ♡ぁ♡まだ脱いでなっ♡……っあ♡」
「侑成さんすぐベット汚すから履いててください」
「ぁ♡んう゛ッ♡♡」
「そう、下着ずらしたまま、僕に使われまくった雄穴広げて、よく見せてくださいよ。教えたでしょ?」
「きてッ♡早くッ♡あ゛ッ♡♡」
天井を向けばやってくる下からの快楽。俺の声、甘さと下品さ増し増し……
「お゛ッッ♡きもぢい♡♡お゛ッ♡♡これやば♡♡お゛ぎゅ♡♡気持ち゛♡♡奥すご゛ッ♡」
「きつすぎて……もってかれそ…」
「あ、…♡でかい…のっ♡下からやは゛…いッ♡あ゛っ♡あ゛ぁあ~~~っっ、♡ひ…っ♡ゆっくりっ♡しろっ、…て…え゛ッ♡」
「昨日あんだけ使ったくせに、締め付けえぐいのエロすぎますね……」
見下ろした視界にいる颯、いつもは冷静で落ち着いたその顔が、ほんの少しずつ、色を変えていく。
額に垂れた金色の髪が、うっすらと浮いた汗で肌に貼りついていた。どこか無防備に見えて、鼓動が跳ね上がる。
「やば……」
吐く息が浅い。普段の颯なら、余裕のある息遣いを保つはずなのに、今は違った。ピッチの早い呼吸が熱を持って漏れるたび、頬がうっすらと赤く染まっていく。
その手が、一度口元に上がった。
腕で、唇を隠すような仕草。
「……なに、隠してんだよ」
思わず声を落として訊ねると、颯は少し目を逸らしてから、恥ずかしげに笑った。
「……侑成さんが、エロすぎて」
自分の反応がすでに抑えきれないことを認めるように。頬にかかる髪をそっと指先ですくい上げてやれば、更に颯の視線がぴくりと揺れる。
「……いいよ、もっと見たい。余裕なくなる颯、初めて見るから」
不服そうな顔も可愛い。たまにはこういうのも悪くない。更に大胆になれるから。
「が…我慢しなくていーからっ…」
「ほんとに?……」
「……ぅ…うん…………」
とは言ったものの、いざ颯の顔付きが変わると怖くなる。でも今更、だった。
「い゛ぁッ♡、な…ッ♡」
自分のピストンがいかに生ぬるかったか。
突然下腹を突き破るような圧がかかる。
「侑成さん見てるとめちゃくちゃにしたくなるんですよ。壊してやりたいって。こうやってガン突きしてぶっ壊したくなるんですよ。だから我慢してたのに…」
颯のバカでかいちんぽが俺の奥にガツンと突き刺さる。腰を鷲掴みにする野獣みたいな手も、容赦なく突き上げる動きも、好きすぎて、射精がとまんないっ……♡♡♡汗と汁でぐっちょり絡み合いながら、俺の欲はどんどん膨らむ。もっとガンガン突いてほしくて、俺はナカを更に締め付ける。
「や…すごッ♡激しすぎ、ッ♡急にだめッ♡お゛ッ♡ん゛ぉッ♡、い゛♡いっちゃう゛ッ~~~~♡♡」
「結合部えっろ♡ちんこ揺らしてんのかわいー♡男犯してるって感じ♡興奮します♡あ♡そういえば乳首も大好きでしたね♡昨日いっぱいいじめたから赤くなってるじゃないですか♡」
下から乳首を強めにひねられ、情けない声と共にうなじを仰ぐように反らしてしまう。頬に垂れた髪をかき上げる。そのとき、ふと、昨夜のことが頭をよぎった。
颯に、首……掴まれて……
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「………はやと…首…昨日みたいに…ちょっとでいいから締めてッ…………」
言いながら、喉がひゅっと鳴る。
「……おねがいッ…………」
声が震えて、情けないくらいに弱くなる。理性の外に出た欲望が、そのまま口から漏れてしまう。あまりに恥ずかしくて、視線を逸らして、息を詰めるように言葉を継ぐ。
「……苦し…くして欲しい…♡それで…♡いきたい゛……♡♡お願い………」
まるで甘えるみたいに。縋るみたいに。その瞬間。
下からくすくすと笑う声がした。
視線を戻すと、颯がちょっとだけ呆れたような顔をして、にやりと笑っている。
「あんなんで勃起してたの?僕あの時怒ってたのに?」
汗で少し額に髪が張りついたまま、目線だけで挑発してくる。
「いいですよ。死ぬ寸前まで首絞めながらちんこで潰してあげる」
ぞわぞわ…する…その目…この力…
颯の手がそっと侑成の首元に添えられた瞬間、たまらなくて、びくっと身体が跳ねた。
「っ♡ゔ、…っ♡、きもぢっ♡、、…♡、」
「首絞められてんのに、きもちいって勝手に腰振って発情してんのやばいでしょ」
「お、ぉ゛…っ♡ごめっ…なさい、っ♡」
「ねえもうどうすんの。普通のセックスできないじゃん」
「ア"…っ♡、が…ぁ、…っぐ、ッ"♡、、、」
「聞いてます?」
「うぁ゛♡ぐ♡ッ♡きもち、い゛っ♡でる♡ぅ゛ッッ♡、、、」
「ハメられる側が勝手にイっちゃだめでしょ?」
「ごめッ♡なさ、ぐ゛っ♡イ…っ♡、、、ぃ、い゛くッ♡…………」
「あぁもう……ほんと雑魚まんこ」
颯のぶっといちんぽが……一度引き抜かれて、また秘部を擦る。血管がビキビキに浮いて、まるで生き物みたいに脈打って……赤黒くてギンギンに張って……
「ねぇ侑成さん」
「……は、ぁ、…」
「まだですよ」
「っ……」
「まだ終わってない……」
「……は、……っ……」
もう限界だった。全身から力が抜けて、腕一本を動かすのもしんどい。これで終わりだと思った。
なのに
静かに、颯の手が背を撫でる。優しく、でもどこか探るように、腰へと滑り落ちていく。
「……待って…ほんとに…颯…なぁ、だ、、め…」
今度は脚が動いた。颯の膝がわずかに持ち上がり、俺の太ももを内側から押し上げるように。
「む、りだっ……て、もお…っ」
震えるように呟いた俺の耳元に、熱い息がかかった。
再び動き出す身体。少し乱れた呼吸。胸の奥に灯ったばかりの火が、消されるどころかまた焚きつけられる。
颯にいいように扱われるたびに、奥の奥まで甘く、熱く、溶かされていく。今の俺なんて、従うでもなく、使われている。まさにこの言葉がぴったりだ。
「きもぢぃ……っ、、♡♡待ッ、あ゛♡♡こんな、ッ、初めてッ♡こんなの知らなッ♡ い゛ッ♡下からぱんぱんされるの好きッ♡♡う、うう♡」
「雑魚まんこにお仕置きピストンしてるんだから……ちゃんと反省してくださいよー…」
「ごめんなさッ♡♡ごめんなさい゛ぃい゛‼︎♡」
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「淫乱でぇ゛♡んっ♡ごめっ♡なさ゛い゛♡どちゅどちゅッされてッ♡気持ち゛♡♡く、なって、ごめなっさ゛、、颯のでかちんぽ好きぃッ♡♡う、あ、、♡淫乱て゛‼︎ごめっ、なさッ゛」
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「っ…ん゛…ごめ…なさい゛、、、」
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片手で下から俺の首をぎゅっと締め付けて、結合部を睨む颯。精子も涎もとめどなくて、それに気付いた颯が更に首を絞める手に力を込めてきた。
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「ぉ、お゛、、、ご、め、………ぉ゛…」
「さぼってないでケツ穴締めて、真面目にちんぽケースやってくださいね」
と嘲る言葉に、絶望と欲が混じって頭が狂いそうだ…だってもうずっとイきっぱなしで…正しい判断なんてできそうにもない…
「もおッ♡おねがいしますッ…………♡中に欲しッ♡颯の♡んぉ゛ッ♡あ゛ぁ゛っ゛♡は、…颯とひとつになりたッ、い、、♡」
「…………ゆうせいさん、……」
「あ゛ぁ゛ぁ゛♡き、て…………♡♡♡♡……」
絡み合った肌と肌の湿度と熱が、もう愛おしい。どくどくー…って…颯のあっついザーメンが…俺のナカに注ぎ込まれてくる…
逃げ場のないほどの熱が、ひたひたと自分の内側に染み込んでくる…
膝が震えて立っていられず、そのままへたりと崩れ落ちた。颯の胸元に額を預け、荒い息を何度も繰り返す。
颯で満たされている。
物理的にも、精神的にも。
満たされて、壊されて、それでもまだ欲しい。
そんな自分に呆れるけれど、今の俺……誰よりも幸せだって思えるんだ。
———
気づけば、部屋の空気がすっかり変わっていた。
ぼんやりと瞼を開けると、窓の向こうが茜色に染まり始めていて、一瞬、朝か夕方か分からなかった。
隣には、俺に自分の腕を預けて眠る颯の姿。体温を分け合ったまま、気を失うように眠ってしまっていたことをようやく思い出す。
「……マジか。もう夕方かよ」
顎のあたりでふわっと金髪が揺れて、寝返りを打った颯の髪が頬に触れた。さっきまであんなに強引だったのに、今はこんなに無防備な顔をしてる。
この静けさが崩れてしまうのが惜しくて、もうしばらく起こさずにいようと思った
のだけど、
その静けさを破るように、スマホの着信音が鳴り響いた。颯のスマホだ。画面は伏せられているが、しつこいくらいに長く鳴っている。
何度か切れかけてはまた鳴り始めるその着信に、さすがに俺も眉をひそめた。
「……起こすか」
と、思ったら着信がやっと鳴り止んだ。そしてそのタイミングで颯が目を開けた。颯はまどろみの中でスマホに手を伸ばす。けれど、画面を見たその顔が、ふっと強張ったのを俺は見逃さなかった。
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