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冷たくなっても君がすき!な僕の話。
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マカロン。イチゴのショートケーキ。チョコレート。
この世の甘いもの全てかき集めても、僕は大和が一番大好き。
大和が一番好きだけど、大和の焼いてくれるホットケーキは大和と同じくらい大好き。少し半生で、中がとろっとして。おなか壊すから食べるなって言われるけど、僕は全部食べるんだ。全部食べると困った顔するくせに、少し喜んでるの。きっと僕しか知らない。
僕しか知らない、大好きな大和。大好き。ずっと二人で居るはず…だったのに
「もしかして大和、冷たくありません?」
「いや、最近って一年前からじゃんね」
おじさんしっかりしてと甥っ子の陽翔にツッコまれる。
陽翔を喫茶店に呼び出して小一時間。同じ話ばかり聞かされるからか、飲み終ったストローを嚙みだるそうに話しを聞いてくれる。聞いてくれるだけでいいんだけど、おじさんとしてはストロー嚙み嚙みは辞めてほしいところ。甥っ子呼び出して延々と話す大人が言えたことではないから、我慢して、でもと続ける。
「理由が分からない。あんなにラブラブだった僕たちだったのに、理由が分からない。誰か教えて下さい神様仏様あああああ」
「だ~か~らあ、あんただって分かってるだろ?だったのにって過去系使ってんじゃん。いい加減さ未来に向かって歩めばいいじゃん。もう若くないんだし」
「そりゃそうですけど…でも」
「でも、でも、でも、あんたはいつまでもウジウジウジう~~~…痒くなってきた。俺、おじさんアレルギーかも。ウジウジアレルギーかも」
痒い痒いとかきむしる陽翔。それはひどいんじゃないかと気落ちする僕。
だけど、そんなこと言いながら毎週付き合ってくれるのは陽翔だけ。他の人はもっとひどい。僕の理解者は陽翔だけだ。
陽翔は僕と同じゲイで、でも僕と違ってイケメンですごくモテる。何人もの男を泣かせて飛ぶ鳥落とす勢い…のはず。僕には恋愛話はしてくれないけど、行きつけのバーのマスターがたまに教えてくれる。おじさんとっても鼻が高いです。
おじさんこと僕、樹は根っからのゲイ。初恋は小学校の男性教師。初体系も、パートナーも男だ。そんなんだから身内には嫌われていて、陽翔の母である僕の姉には幼少期からゲイのおじがいるんだと悪口で聞いてたみたい。だから自分がゲイかもしれないと自覚したときに僕の所に来た。それまでは関りがなかったから、身内の子どもということでメチャクチャはしゃいでしまったのは良い思い出。当時は小学生だったから、それから成長して、もう大学生だから時の流れは速い。
思えば、小学生の陽翔は大和と喧嘩してた。おぼ毎日。内容は覚えてないけど、あまりにも楽しそうに喧嘩するから僕も入れて欲しくて傍に行くと陽翔が顔真っ赤にしてあっちいけって怒ってたっけ。そんな記憶な気がする。
そんな陽翔を見て、大和も笑って。それはすごく、
「…幸せだったなあ」
「はいはい、また過去の思い出ね」
「…陽翔はいいですね。らぶらぶな彼が居るから。過去なんか気にしませんもんね」
誰のせいで、と陽翔が呟く。
僕は頼んで一度も口づけずに冷めたウィンナーコーヒをぐいっと煽る。
「来週、また同じ時間でお願いしますね。陽翔」
「…は~い」
伝票をもって立ち上がった僕を見ずにひらひらと手を振る陽翔。
会計を終えて外に出ると、冷たい空気が体を包む。身震いする身体を温めるように腕組して駅へ歩きだす。
寒いのは嫌い。冷たいのはもっと嫌い。
寒いのは、大和に初めて会った日が一等寒かった。親から家を追い出されてふらふらとさまよって、寒さに耐えかねてゴミ溜めで暖を取る僕を家に連れて帰ってくれた大和。
冷たいのは、冬の朝。いつもみたいに大和にくっつこうと思ったら拒否された。大和が冷たい理由が分からなくって、とりあえず声をかけて朝ごはんを作る。部屋を暖かくして、朝ごはんができたと呼ぶ。無視される。きっとここから、大和は冷たくなった。
寒いのは嫌い、冷たいのは耐えられない。
いやなことを思い出したと思って、空を見上げる。薄暗い空に薄く星が見える。
まるで、寒いあの日に見上げた空のような。いや、違う。あの冷たいいつかに、誰かが僕を迎えに来て、ひっくりかえって頭を打ちつけたときに目の前に広がったあの色。あのとき、強い力で引っ張られた。
あの時の、強い力ってなんだろう。そもそも、なんで僕はひっくりかえってる?
思い出して、思い出して、思い出せない。
「おじさん」
陽翔に名前を呼ばれてはっと振り返る。よく見ると道の真ん中で止まっていた。
「帰ったんじゃなかったんですか?」
「おじさんが道に迷ってるんじゃないかなって」
陽翔が僕の腕にくっついてくる。彼氏のる甥っ子とこういうことはするべきじゃないのに、振りほどけない。陽翔がとても暖かいせいなのか。それともー…
「おじさんが困ったら助けるって、大和さんと約束したから」
「…大和って、僕のこと大好きすぎません?」
「そうだよ。おじさんって本当バカ」
「だって…」
「大和さんは、おじさんが大好き。それでいいじゃん」
大好きって言葉を聞くと胸があったかくなる。あんなに冷たかった身体に暖かさが戻ってくる気がした。
でも、大和は冷たいまま。いつか大和が暖かくなりますように。
大好き大和。
この世の甘いもの全てかき集めても、僕は大和が一番大好き。
大和が一番好きだけど、大和の焼いてくれるホットケーキは大和と同じくらい大好き。少し半生で、中がとろっとして。おなか壊すから食べるなって言われるけど、僕は全部食べるんだ。全部食べると困った顔するくせに、少し喜んでるの。きっと僕しか知らない。
僕しか知らない、大好きな大和。大好き。ずっと二人で居るはず…だったのに
「もしかして大和、冷たくありません?」
「いや、最近って一年前からじゃんね」
おじさんしっかりしてと甥っ子の陽翔にツッコまれる。
陽翔を喫茶店に呼び出して小一時間。同じ話ばかり聞かされるからか、飲み終ったストローを嚙みだるそうに話しを聞いてくれる。聞いてくれるだけでいいんだけど、おじさんとしてはストロー嚙み嚙みは辞めてほしいところ。甥っ子呼び出して延々と話す大人が言えたことではないから、我慢して、でもと続ける。
「理由が分からない。あんなにラブラブだった僕たちだったのに、理由が分からない。誰か教えて下さい神様仏様あああああ」
「だ~か~らあ、あんただって分かってるだろ?だったのにって過去系使ってんじゃん。いい加減さ未来に向かって歩めばいいじゃん。もう若くないんだし」
「そりゃそうですけど…でも」
「でも、でも、でも、あんたはいつまでもウジウジウジう~~~…痒くなってきた。俺、おじさんアレルギーかも。ウジウジアレルギーかも」
痒い痒いとかきむしる陽翔。それはひどいんじゃないかと気落ちする僕。
だけど、そんなこと言いながら毎週付き合ってくれるのは陽翔だけ。他の人はもっとひどい。僕の理解者は陽翔だけだ。
陽翔は僕と同じゲイで、でも僕と違ってイケメンですごくモテる。何人もの男を泣かせて飛ぶ鳥落とす勢い…のはず。僕には恋愛話はしてくれないけど、行きつけのバーのマスターがたまに教えてくれる。おじさんとっても鼻が高いです。
おじさんこと僕、樹は根っからのゲイ。初恋は小学校の男性教師。初体系も、パートナーも男だ。そんなんだから身内には嫌われていて、陽翔の母である僕の姉には幼少期からゲイのおじがいるんだと悪口で聞いてたみたい。だから自分がゲイかもしれないと自覚したときに僕の所に来た。それまでは関りがなかったから、身内の子どもということでメチャクチャはしゃいでしまったのは良い思い出。当時は小学生だったから、それから成長して、もう大学生だから時の流れは速い。
思えば、小学生の陽翔は大和と喧嘩してた。おぼ毎日。内容は覚えてないけど、あまりにも楽しそうに喧嘩するから僕も入れて欲しくて傍に行くと陽翔が顔真っ赤にしてあっちいけって怒ってたっけ。そんな記憶な気がする。
そんな陽翔を見て、大和も笑って。それはすごく、
「…幸せだったなあ」
「はいはい、また過去の思い出ね」
「…陽翔はいいですね。らぶらぶな彼が居るから。過去なんか気にしませんもんね」
誰のせいで、と陽翔が呟く。
僕は頼んで一度も口づけずに冷めたウィンナーコーヒをぐいっと煽る。
「来週、また同じ時間でお願いしますね。陽翔」
「…は~い」
伝票をもって立ち上がった僕を見ずにひらひらと手を振る陽翔。
会計を終えて外に出ると、冷たい空気が体を包む。身震いする身体を温めるように腕組して駅へ歩きだす。
寒いのは嫌い。冷たいのはもっと嫌い。
寒いのは、大和に初めて会った日が一等寒かった。親から家を追い出されてふらふらとさまよって、寒さに耐えかねてゴミ溜めで暖を取る僕を家に連れて帰ってくれた大和。
冷たいのは、冬の朝。いつもみたいに大和にくっつこうと思ったら拒否された。大和が冷たい理由が分からなくって、とりあえず声をかけて朝ごはんを作る。部屋を暖かくして、朝ごはんができたと呼ぶ。無視される。きっとここから、大和は冷たくなった。
寒いのは嫌い、冷たいのは耐えられない。
いやなことを思い出したと思って、空を見上げる。薄暗い空に薄く星が見える。
まるで、寒いあの日に見上げた空のような。いや、違う。あの冷たいいつかに、誰かが僕を迎えに来て、ひっくりかえって頭を打ちつけたときに目の前に広がったあの色。あのとき、強い力で引っ張られた。
あの時の、強い力ってなんだろう。そもそも、なんで僕はひっくりかえってる?
思い出して、思い出して、思い出せない。
「おじさん」
陽翔に名前を呼ばれてはっと振り返る。よく見ると道の真ん中で止まっていた。
「帰ったんじゃなかったんですか?」
「おじさんが道に迷ってるんじゃないかなって」
陽翔が僕の腕にくっついてくる。彼氏のる甥っ子とこういうことはするべきじゃないのに、振りほどけない。陽翔がとても暖かいせいなのか。それともー…
「おじさんが困ったら助けるって、大和さんと約束したから」
「…大和って、僕のこと大好きすぎません?」
「そうだよ。おじさんって本当バカ」
「だって…」
「大和さんは、おじさんが大好き。それでいいじゃん」
大好きって言葉を聞くと胸があったかくなる。あんなに冷たかった身体に暖かさが戻ってくる気がした。
でも、大和は冷たいまま。いつか大和が暖かくなりますように。
大好き大和。
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