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12.組み分け
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ブラッドリイはシェルの案内で会議室を出ると駆け出した。
「まずはどっちだ?」
「えっと、まずはそこの通路を曲がったところですね。」
しかし二人は走り出した途端に歩くことになった。
シェルは訝し気にもう一度神聖魔道具が飛んで行った軌跡を精査した。
「偉く近くだな。」
「運が良かったのかしら?」
二人は会議室を出てすぐの通路を曲がると派手に茶器を壊して通路で呆けている少女を発見した。
少女は飛び込んで来た真っ赤な杖を持って呆然としている。
「あら、あなたどこかで見たような?」
「えっ、シェルさん?」
少女はシェルに気がついて涙目のままなんで彼らがここにいるのか首を傾げた。
「お前は何を寝ぼけているんだ。彼女はシータと同じ異世界人じゃ。それにしても派手に壊したのう。」
「やーん。また侍女長に叱られる。どうしよう?」
未だにオロオロしている彼女を無視するとブラッドリイは通路を通りがかった他の侍女を呼び止めると彼女が壊した茶器の片づけを頼んだ。
「私がですが?」
嫌そうな顔をしながらもその侍女は頷くと片付けの為一旦道具を取りに戻っていく。
そこにちょうど魔術棟に向かう新人が通りかかった。
ブラッドリイは彼を手招きすると朱里を魔術棟にいるシータの所に連れて行くように命令した。
「わかりました。」
新人はブラッドリイに言われるまま彼女を連れて魔術棟に向かってくれた。
「さて、次はどっちだシェル?」
「あっちです。でも今度は男の子がいいわ。」
「それは大丈夫だろう。」
「まあ期待しないでおきます。」
シェルはそういうと今度は大勢の兵が訓練している広場の方向を指差した。
「広場か。よし行くぞ。」
あまり走りたくなかったシェルだがブラッドリイに言われ彼も仕方なく広場に向け走り出した。
「ブラッドリイ様。」
「なんだ・・・ゼイゼイ。」
「魔術師なんですから魔法で広場に向かいませんか?」
「いつも言っているが・・・ゼイゼイ・・・魔法は体が資本じゃ・・・ゼイゼイ。」
「そうですが大丈夫ですか?」
「だ・・・ゼイゼイ・・・じょう・・・ゼイゼイ・・・ぶ・・・ゼイゼイ。」
息切れしながらも二人は広場の端に向け駆けていった。
珍しくランニングしている魔術師を見て城の兵士は目を丸くしていた。
「ゼイゼイ・・・ブラッドリイ様・・・あそこ・・・です。」
広場の端にいる人間を二人は見つけた。
近づくとそこでは剣に迫られて逃げ回っている男と剣を手に唖然としている男が二人いた。
「おい、お前たち。」
息切れしながら駈け込んで来た二人にビックリしたもう一人がついに追いかけてきた剣をに捕まってしまった。
「うがぁー。手に張り付いたぁー。」
「あらあら。まあぁー。これは嬉しい誤算だわ。」
「げっ・・・シェル・・・。」
最後まで抵抗していた男が剣に貼り付かれなんとかその剣を引き剥がそうとしながらもシェルを見て目を剥いた。
「えっ、なんであなた方がここに?」
ブラッドリイに気がついた裕也が不思議そうな顔で息切れしている彼らを見やった。
「あーら、ここにいちゃいけないかしら?」
「えっ、いやそういう意味じゃなくてですね。」
「裕也ぜってぇーこれ、よくないパターンだ。だってこの剣、手から外れないんだぜ。」
「ほう、そりゃ稀な現象だのぉー。」
「そっちの裕也とやらはどうじゃ?」
「えっ、別に普通の剣と同じように扱えるけど?」
裕也はそういうと剣を右左で持ち替えた。
「ほう、そうかそうか。」
ブラッドリイは嬉しそうに裕也を見ると次に一生懸命剣から手を離そうとしている克也の二人にこれから魔術棟について来るように命令した。
「別に俺らはいいですけど見習いなんでせめて隊長に許可を貰わないと。」
「ああ、まあそうだのぉー。おおそうだ。それならシェル。お前が許可取って来い。」
「ええ、なんでまたぁー。これから克也と魔術棟までデートなのにイヤ・・・。」
シェルの頭の中にブラッドリイの声が響いた。
『あの件をバラ・・・』
ビクッとしたあとシェルは何も言わずにそこからいなくなった。
「よし、では行くぞ。」
今にも息切れして倒れそうなブラッドリイを先頭に二人は魔術棟まで軽いランニングをした。
魔術棟前まで来るとシェルがすでにそこで待っていた。
「ブラッドリイ様、遅いです。」
「シェル。お前魔術ばかり使っていると衰えが早く来るぞ。」
「別にその時はその時でなんか考えます。それより隊長に伝言するついでに陛下に連絡入れてこっちに連れてきておきました。」
「ふむ。お前も気が利くようになったのぉー。」
「ブラッドリイ様に褒められてもあまり嬉しくありませんが一応お礼は言っておきますわ。」
「その一言が余計じゃ。まあいい行くぞ。」
シェルの案内で四人はシータの執務室に入った。
そこでは気まずーい空気が流れていた。
重い雰囲気の中、王と魔術師団長にお茶を入れている美野里と少し離れたところに朱里が所在なさげに座っていた。
扉が開いた音に美野里が気づいて視線を向けて来た。
「ブラッドリイ様!」
「やあ、遅れてすまんのう。ではすぐにメインの編成を決めようかのぉー。」
「メインの編成ですか?」
美野里はブラッドリイの言い回しに引っ掻かかりを覚えた。
「まずはアカリだがまだ未成年だからのうぉー。うむ。王城で待機じゃな。シータは曲がりなりにも儂の弟子だから魔獣討伐隊で決まりじゃ。後はお前たちじゃが・・・。」
ブラッドリイは裕也と克也を指差した。
「どっちが王城側じゃ?」
克也が朱里をチラリと見てから溜息つきながら手を挙げた。
「俺が魔獣討伐で裕也が王城です。」
「おい、克也。なんでそうなるんだ?」
「お前が魔獣討伐だと朱里ちゃんが寂しがるからだよ。」
「だが危険・・・。」
「それはどっちもどっちだのぉー。」
「ここにもすぐに魔獣が襲って来る。」
「ここにも来るんですか。」
王は嫌そうな顔でブラッドリイを睨んだ。
「残念ながら間違いなく来る。なので討伐隊と王城を守る部隊と二つに分けて今回は対応する。」
ブラッドリイが美野里の執務室に入って来た魔術師団長にそう指示を出した。
「ブラッドリイ様はどちらに行かれますか?」
「今回は王城側で守備に当たる。シェルお前が討伐隊に加われ。」
「喜んで!」
シェルは嬉しそうに返事をするとゲッと後ろに下がって壁に張り付いた克也に満面の笑顔を向けた。
「裕也・・・やっぱり俺おう・・・。」
裕也は克也の両肩に手を置くと彼が後の言葉を紡げないようしっかりと王城で朱里を守ると首を縦に振った。
克也は最後は諦めてがっくりと肩を落とすと地面に向かってブツブツと後で憶えてやがれと怨嗟の言葉を呟いていた。
「まずはどっちだ?」
「えっと、まずはそこの通路を曲がったところですね。」
しかし二人は走り出した途端に歩くことになった。
シェルは訝し気にもう一度神聖魔道具が飛んで行った軌跡を精査した。
「偉く近くだな。」
「運が良かったのかしら?」
二人は会議室を出てすぐの通路を曲がると派手に茶器を壊して通路で呆けている少女を発見した。
少女は飛び込んで来た真っ赤な杖を持って呆然としている。
「あら、あなたどこかで見たような?」
「えっ、シェルさん?」
少女はシェルに気がついて涙目のままなんで彼らがここにいるのか首を傾げた。
「お前は何を寝ぼけているんだ。彼女はシータと同じ異世界人じゃ。それにしても派手に壊したのう。」
「やーん。また侍女長に叱られる。どうしよう?」
未だにオロオロしている彼女を無視するとブラッドリイは通路を通りがかった他の侍女を呼び止めると彼女が壊した茶器の片づけを頼んだ。
「私がですが?」
嫌そうな顔をしながらもその侍女は頷くと片付けの為一旦道具を取りに戻っていく。
そこにちょうど魔術棟に向かう新人が通りかかった。
ブラッドリイは彼を手招きすると朱里を魔術棟にいるシータの所に連れて行くように命令した。
「わかりました。」
新人はブラッドリイに言われるまま彼女を連れて魔術棟に向かってくれた。
「さて、次はどっちだシェル?」
「あっちです。でも今度は男の子がいいわ。」
「それは大丈夫だろう。」
「まあ期待しないでおきます。」
シェルはそういうと今度は大勢の兵が訓練している広場の方向を指差した。
「広場か。よし行くぞ。」
あまり走りたくなかったシェルだがブラッドリイに言われ彼も仕方なく広場に向け走り出した。
「ブラッドリイ様。」
「なんだ・・・ゼイゼイ。」
「魔術師なんですから魔法で広場に向かいませんか?」
「いつも言っているが・・・ゼイゼイ・・・魔法は体が資本じゃ・・・ゼイゼイ。」
「そうですが大丈夫ですか?」
「だ・・・ゼイゼイ・・・じょう・・・ゼイゼイ・・・ぶ・・・ゼイゼイ。」
息切れしながらも二人は広場の端に向け駆けていった。
珍しくランニングしている魔術師を見て城の兵士は目を丸くしていた。
「ゼイゼイ・・・ブラッドリイ様・・・あそこ・・・です。」
広場の端にいる人間を二人は見つけた。
近づくとそこでは剣に迫られて逃げ回っている男と剣を手に唖然としている男が二人いた。
「おい、お前たち。」
息切れしながら駈け込んで来た二人にビックリしたもう一人がついに追いかけてきた剣をに捕まってしまった。
「うがぁー。手に張り付いたぁー。」
「あらあら。まあぁー。これは嬉しい誤算だわ。」
「げっ・・・シェル・・・。」
最後まで抵抗していた男が剣に貼り付かれなんとかその剣を引き剥がそうとしながらもシェルを見て目を剥いた。
「えっ、なんであなた方がここに?」
ブラッドリイに気がついた裕也が不思議そうな顔で息切れしている彼らを見やった。
「あーら、ここにいちゃいけないかしら?」
「えっ、いやそういう意味じゃなくてですね。」
「裕也ぜってぇーこれ、よくないパターンだ。だってこの剣、手から外れないんだぜ。」
「ほう、そりゃ稀な現象だのぉー。」
「そっちの裕也とやらはどうじゃ?」
「えっ、別に普通の剣と同じように扱えるけど?」
裕也はそういうと剣を右左で持ち替えた。
「ほう、そうかそうか。」
ブラッドリイは嬉しそうに裕也を見ると次に一生懸命剣から手を離そうとしている克也の二人にこれから魔術棟について来るように命令した。
「別に俺らはいいですけど見習いなんでせめて隊長に許可を貰わないと。」
「ああ、まあそうだのぉー。おおそうだ。それならシェル。お前が許可取って来い。」
「ええ、なんでまたぁー。これから克也と魔術棟までデートなのにイヤ・・・。」
シェルの頭の中にブラッドリイの声が響いた。
『あの件をバラ・・・』
ビクッとしたあとシェルは何も言わずにそこからいなくなった。
「よし、では行くぞ。」
今にも息切れして倒れそうなブラッドリイを先頭に二人は魔術棟まで軽いランニングをした。
魔術棟前まで来るとシェルがすでにそこで待っていた。
「ブラッドリイ様、遅いです。」
「シェル。お前魔術ばかり使っていると衰えが早く来るぞ。」
「別にその時はその時でなんか考えます。それより隊長に伝言するついでに陛下に連絡入れてこっちに連れてきておきました。」
「ふむ。お前も気が利くようになったのぉー。」
「ブラッドリイ様に褒められてもあまり嬉しくありませんが一応お礼は言っておきますわ。」
「その一言が余計じゃ。まあいい行くぞ。」
シェルの案内で四人はシータの執務室に入った。
そこでは気まずーい空気が流れていた。
重い雰囲気の中、王と魔術師団長にお茶を入れている美野里と少し離れたところに朱里が所在なさげに座っていた。
扉が開いた音に美野里が気づいて視線を向けて来た。
「ブラッドリイ様!」
「やあ、遅れてすまんのう。ではすぐにメインの編成を決めようかのぉー。」
「メインの編成ですか?」
美野里はブラッドリイの言い回しに引っ掻かかりを覚えた。
「まずはアカリだがまだ未成年だからのうぉー。うむ。王城で待機じゃな。シータは曲がりなりにも儂の弟子だから魔獣討伐隊で決まりじゃ。後はお前たちじゃが・・・。」
ブラッドリイは裕也と克也を指差した。
「どっちが王城側じゃ?」
克也が朱里をチラリと見てから溜息つきながら手を挙げた。
「俺が魔獣討伐で裕也が王城です。」
「おい、克也。なんでそうなるんだ?」
「お前が魔獣討伐だと朱里ちゃんが寂しがるからだよ。」
「だが危険・・・。」
「それはどっちもどっちだのぉー。」
「ここにもすぐに魔獣が襲って来る。」
「ここにも来るんですか。」
王は嫌そうな顔でブラッドリイを睨んだ。
「残念ながら間違いなく来る。なので討伐隊と王城を守る部隊と二つに分けて今回は対応する。」
ブラッドリイが美野里の執務室に入って来た魔術師団長にそう指示を出した。
「ブラッドリイ様はどちらに行かれますか?」
「今回は王城側で守備に当たる。シェルお前が討伐隊に加われ。」
「喜んで!」
シェルは嬉しそうに返事をするとゲッと後ろに下がって壁に張り付いた克也に満面の笑顔を向けた。
「裕也・・・やっぱり俺おう・・・。」
裕也は克也の両肩に手を置くと彼が後の言葉を紡げないようしっかりと王城で朱里を守ると首を縦に振った。
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