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14.初めての野宿?
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三人はこれから登る予定の山裾に着くと最初にシェルが馬を降りた。
「はぁー疲れた。シータ早く出して頂戴。もうこれ以上一歩たりとも動けないわよ。」
「さすがに私もこれから山に登れとは言いませんよ。ここなら見晴らしもいいですし平らなのでここにします。空間を固定する間にシェルは一応防御魔法の構築をお願いします。」
「そうね。念には念をっていうのは賛成ね。」
またもや二人の会話について行けなかった 克也は黙って二頭の馬の手綱を掴んでその場に突っ立っていた。
するとシェルは右手に紫の杖を出すと空間に何かの魔術文字を描いていった。
一方、美野里は左手で白い本を開くとそれに右手を当てて何かを呟いていた。
数分もすると白い本から光の奔流が溢れだしあっという間にそこにこの世界では珍しい引き戸が現れた。
くっきりとした引き戸だけがそこにしっかりと固定された頃シェルも何かを終えたらしく美野里の隣に立っていた。
「出来た?」
「はい。もう大丈夫です。どうぞ。」
美野里はそういうとガラガラガラとなんとも懐かしい音を立ててその引き戸を開いた。
開いたそこには木の廊下があり幾つかの引き戸がその廊下にあった。
「こっちです。」
美野里はそこで靴を脱ぐ。
「えっ、土足じゃダメなの?」
「この造りじゃ当然だろ。」
克也は戸惑っているシェルは玄関に残して美野里の後について廊下の突き当りにある部屋に入った。
そこは食堂らしくこの世界に来る前にはよく見かけたオープンキッチンにその前にはテーブルと椅子が置かれていた。
「なんだか懐かしい風景だな。」
「あら、なんだここ食堂ね。それよりシータ。浴室はどこよ。」
「それなら玄関のすぐ横にある引き戸を開いたところです。」
美野里はシェルを連れ、廊下を引き返して玄関傍にある引き戸を開けた。
「ここです。」
「あら凄い。シャワーとバスタブまでついてるのね。」
「はい。お湯はこの赤い栓をひねると出ます。」
「まあ、さすがシータの世界ね。便利だわ。」
「えっ、シータの世界ってここ日本?」
「いやぁーね。シータが作り出した魔法での異世界よ。まっでも現実にお湯も出るし、食事もちゃーんと現実のものよ。もちろんそうする為には前もって材料を入れておく必要があるけどね。」
「へえー凄いなぁ魔法って。どこもかしこも日本にいた時と違和感ないよ。」
「そりゃそうでしょ。ここってシータの家なんだから。」
「えっ、いえ?」
「そうよ。いくら魔術師だからってなーんにもない所から本物は作れないわ。特にこういうのは普段慣れ親しんでいるものじゃなければ絶対に出来ないわよ。」
「ならここってシータが日本にいた時に住んでたところ?」
美野里は真っ赤になりながらも頷いた。
「すごいじゃん。俺はこっちの方が落ち着くよ。」
「ありがとう。それじゃ私はシェルがシャワー浴びている間に食事の支度をしてきますね。ショウも先に浴びて下さい。」
「そうね。一緒に入りましょ。」
シェルがニヤニヤしながら克也に手を伸ばした。ゾワリとした悪寒を感じた克也は慌てて脱衣室を出ると食事の支度を始めた美野里の後を追いかけた。
「あら、さすがは勇者ね。逃げ足は素早いわね。」
シェルは残念そうに引き戸を睨んだ後真っ裸になると浴室に入って行った。
あっぶなぁー。
俺、もしかして今夜は貞操の危機!
いかんいかん。
シェルが寝いるまでは気を抜かないようにしなきゃ。
克也は浴室をでると短い廊下を戻ってキッチンで食事の支度をしている美野里に声をかけた。
「俺も手伝うよ。」
「別に一人で大丈夫ですよ。」
美野里の気遣いに嫌そうな顔をした克也は仕方なく貞操の危機について正直に話した。
「だからお願い。ここで食事の支度手伝わして。」
克也は両手を合わせて美野里を拝んだ。
目をパチクリさせてから彼女は思わず吹き出していた。
大声をあげていつまでも笑う彼女にさすがに克也も怒って彼女が持っていた包丁を強引にもぎ取ると鮮やかな手並みで野菜を切り刻み始めた。
「なんでそんなに手慣れて・・・。」
「俺ん家父子家庭でさ。親父が手先が不器用だから良く作ってたんだ。」
克也は思わずもう会えなくなった父親のことを想い出してしんみりしてしまった。
美野里はいきなり暗い顔になった克也に慌ててその場を任すと奥にある冷蔵庫を開けて他の野菜を取り出した。
「えっとじゃここは任せます。私はシェルの為にサラダでも作っておきます。」
「ああ、そうしてくれ。今日はちょこっとしか活躍出来なかったからこっちは任してくれ。」
二人は何とも言えない空気の中で食事の支度を終えるとシェルが長いお風呂から出るのを待ちくたびれて先に食事を済ませた。
当然待っていてくれたと思っていたシェルは先に食事を終えた二人に盛大に文句を言ったが 克也の手料理という単語にすぐに機嫌を良くした。
「うっまー。ナニコレ。王宮の料理人より美味いわぁー。もう私の所にお嫁に来なさい。」
シェルの勧誘に 克也は風呂入ってくると一言いうとそそくさと逃げて行った。
「あら、やあねぇー。逃げるなんて男らしくないわぁ。どころでシータ?」
「なんですか?」
「そのぉー。お酒はないの?」
「一応ありますけど飲むんですか。」
「そんなに怖い顔しないでよ。さすがに私でも今日のあの数の討伐は堪えたのよ。ぐっすり眠りたいから出して頂戴。」
美野里は溜息を吐いた後席を立つと奥にある冷蔵庫を開けてワインを取り出した。ここに入れてある食料は王宮でストックされている厨房と繋がっている。
「これでいいですか?」
「まああんまりそれ好きじゃないけどそれでいいわ。」
シェルは美野里からその瓶を受け取るとそれをグラスに注いだ。
美野里はそれを傍の椅子に座ってジッとみている。
どうも落ち着かなくてシェルは美野里にそれを勧めた。
「シータも飲みなさいよ。」
「いえ、私はまだ未成年ですから。」
「この国の法律ならもう成人よ。」
シェルはグラスをグイッと彼女の手に押し付けた。
美野里は困惑顔になりながらも押し付けられたグラスに口を付けた。
飲んでみると安物だがフルーティーな味がしてとても美味しかった。
コクリ。
思わずもう一口飲んでいた。
「あら、シータたら結構いけるじゃない。」
美野里はシェルに勧められるまま杯を重ねた。
克也がお風呂から上がってくるとそこにはワインを飲んで出来上がっている二人がいた。
「アッラー遅いじゃない。ショウもこっち来て飲みなさいよ。」
プッハァー。
「くっさー。一体どんだけ飲んだんだよ。」
テーブルの上には空いた瓶が何本も乗っていた。
「もう男のくせに細かいわね。」
「そうです。細かいです。いいんです。今日は初めての討伐成功祝いです。」
「なんだその”初めてのお使い”みたいなフレーズは。」
「だってだって・・・ちょっとこの部屋にいると切なくなって・・・。」
思わず泣き出した美野里に克也は大慌てで宥めに掛かるが何でか急に彼女は立ち上がると彼に抱き付いた。
克也の胸に意外に柔らかい彼女の体の感触が伝わってきてどうしていいかわからなくなる。
「ちょ・・・ちょ・・・ちょ・・・あれ?」
抱きつかれてここは抱き締めようかと腕をあげて迷っているうちに抱き付いてきた彼女が力なく床に頽れそうになってそれを慌てて抱き留めた。
「まあシータったら意外に弱いのね。ショウそのままシータをその奥の部屋にでも寝かせてあげて頂戴。私はそこにあるベッドを使うから。じゃお休みぃー!」
シェルはそれだけ言い残すと椅子から立ち上がって壁際に置いてあったソファーベッドにポスンとダイブするとそのまま寝入ってしまった。
おいおい、どうなってるんだよ。
克也は呆れ顔でシェルを見てからなんだか餌を前に”待て”強いられた気分のまま腕の中にいる美野里を抱き上げると傍にあった障子を開けた。
そこは綺麗な和室でそこにはいつの間にか布団が敷かれていたので克也はそこに彼女を寝かせると隣にもう一組敷かれている布団に自分も入った。
一瞬だけ隣に寝ている彼女を意識したものの疲れがピークに達していたこともあり先程のシェルと同じように布団に入るとそのまま寝入ってしまった。
「はぁー疲れた。シータ早く出して頂戴。もうこれ以上一歩たりとも動けないわよ。」
「さすがに私もこれから山に登れとは言いませんよ。ここなら見晴らしもいいですし平らなのでここにします。空間を固定する間にシェルは一応防御魔法の構築をお願いします。」
「そうね。念には念をっていうのは賛成ね。」
またもや二人の会話について行けなかった 克也は黙って二頭の馬の手綱を掴んでその場に突っ立っていた。
するとシェルは右手に紫の杖を出すと空間に何かの魔術文字を描いていった。
一方、美野里は左手で白い本を開くとそれに右手を当てて何かを呟いていた。
数分もすると白い本から光の奔流が溢れだしあっという間にそこにこの世界では珍しい引き戸が現れた。
くっきりとした引き戸だけがそこにしっかりと固定された頃シェルも何かを終えたらしく美野里の隣に立っていた。
「出来た?」
「はい。もう大丈夫です。どうぞ。」
美野里はそういうとガラガラガラとなんとも懐かしい音を立ててその引き戸を開いた。
開いたそこには木の廊下があり幾つかの引き戸がその廊下にあった。
「こっちです。」
美野里はそこで靴を脱ぐ。
「えっ、土足じゃダメなの?」
「この造りじゃ当然だろ。」
克也は戸惑っているシェルは玄関に残して美野里の後について廊下の突き当りにある部屋に入った。
そこは食堂らしくこの世界に来る前にはよく見かけたオープンキッチンにその前にはテーブルと椅子が置かれていた。
「なんだか懐かしい風景だな。」
「あら、なんだここ食堂ね。それよりシータ。浴室はどこよ。」
「それなら玄関のすぐ横にある引き戸を開いたところです。」
美野里はシェルを連れ、廊下を引き返して玄関傍にある引き戸を開けた。
「ここです。」
「あら凄い。シャワーとバスタブまでついてるのね。」
「はい。お湯はこの赤い栓をひねると出ます。」
「まあ、さすがシータの世界ね。便利だわ。」
「えっ、シータの世界ってここ日本?」
「いやぁーね。シータが作り出した魔法での異世界よ。まっでも現実にお湯も出るし、食事もちゃーんと現実のものよ。もちろんそうする為には前もって材料を入れておく必要があるけどね。」
「へえー凄いなぁ魔法って。どこもかしこも日本にいた時と違和感ないよ。」
「そりゃそうでしょ。ここってシータの家なんだから。」
「えっ、いえ?」
「そうよ。いくら魔術師だからってなーんにもない所から本物は作れないわ。特にこういうのは普段慣れ親しんでいるものじゃなければ絶対に出来ないわよ。」
「ならここってシータが日本にいた時に住んでたところ?」
美野里は真っ赤になりながらも頷いた。
「すごいじゃん。俺はこっちの方が落ち着くよ。」
「ありがとう。それじゃ私はシェルがシャワー浴びている間に食事の支度をしてきますね。ショウも先に浴びて下さい。」
「そうね。一緒に入りましょ。」
シェルがニヤニヤしながら克也に手を伸ばした。ゾワリとした悪寒を感じた克也は慌てて脱衣室を出ると食事の支度を始めた美野里の後を追いかけた。
「あら、さすがは勇者ね。逃げ足は素早いわね。」
シェルは残念そうに引き戸を睨んだ後真っ裸になると浴室に入って行った。
あっぶなぁー。
俺、もしかして今夜は貞操の危機!
いかんいかん。
シェルが寝いるまでは気を抜かないようにしなきゃ。
克也は浴室をでると短い廊下を戻ってキッチンで食事の支度をしている美野里に声をかけた。
「俺も手伝うよ。」
「別に一人で大丈夫ですよ。」
美野里の気遣いに嫌そうな顔をした克也は仕方なく貞操の危機について正直に話した。
「だからお願い。ここで食事の支度手伝わして。」
克也は両手を合わせて美野里を拝んだ。
目をパチクリさせてから彼女は思わず吹き出していた。
大声をあげていつまでも笑う彼女にさすがに克也も怒って彼女が持っていた包丁を強引にもぎ取ると鮮やかな手並みで野菜を切り刻み始めた。
「なんでそんなに手慣れて・・・。」
「俺ん家父子家庭でさ。親父が手先が不器用だから良く作ってたんだ。」
克也は思わずもう会えなくなった父親のことを想い出してしんみりしてしまった。
美野里はいきなり暗い顔になった克也に慌ててその場を任すと奥にある冷蔵庫を開けて他の野菜を取り出した。
「えっとじゃここは任せます。私はシェルの為にサラダでも作っておきます。」
「ああ、そうしてくれ。今日はちょこっとしか活躍出来なかったからこっちは任してくれ。」
二人は何とも言えない空気の中で食事の支度を終えるとシェルが長いお風呂から出るのを待ちくたびれて先に食事を済ませた。
当然待っていてくれたと思っていたシェルは先に食事を終えた二人に盛大に文句を言ったが 克也の手料理という単語にすぐに機嫌を良くした。
「うっまー。ナニコレ。王宮の料理人より美味いわぁー。もう私の所にお嫁に来なさい。」
シェルの勧誘に 克也は風呂入ってくると一言いうとそそくさと逃げて行った。
「あら、やあねぇー。逃げるなんて男らしくないわぁ。どころでシータ?」
「なんですか?」
「そのぉー。お酒はないの?」
「一応ありますけど飲むんですか。」
「そんなに怖い顔しないでよ。さすがに私でも今日のあの数の討伐は堪えたのよ。ぐっすり眠りたいから出して頂戴。」
美野里は溜息を吐いた後席を立つと奥にある冷蔵庫を開けてワインを取り出した。ここに入れてある食料は王宮でストックされている厨房と繋がっている。
「これでいいですか?」
「まああんまりそれ好きじゃないけどそれでいいわ。」
シェルは美野里からその瓶を受け取るとそれをグラスに注いだ。
美野里はそれを傍の椅子に座ってジッとみている。
どうも落ち着かなくてシェルは美野里にそれを勧めた。
「シータも飲みなさいよ。」
「いえ、私はまだ未成年ですから。」
「この国の法律ならもう成人よ。」
シェルはグラスをグイッと彼女の手に押し付けた。
美野里は困惑顔になりながらも押し付けられたグラスに口を付けた。
飲んでみると安物だがフルーティーな味がしてとても美味しかった。
コクリ。
思わずもう一口飲んでいた。
「あら、シータたら結構いけるじゃない。」
美野里はシェルに勧められるまま杯を重ねた。
克也がお風呂から上がってくるとそこにはワインを飲んで出来上がっている二人がいた。
「アッラー遅いじゃない。ショウもこっち来て飲みなさいよ。」
プッハァー。
「くっさー。一体どんだけ飲んだんだよ。」
テーブルの上には空いた瓶が何本も乗っていた。
「もう男のくせに細かいわね。」
「そうです。細かいです。いいんです。今日は初めての討伐成功祝いです。」
「なんだその”初めてのお使い”みたいなフレーズは。」
「だってだって・・・ちょっとこの部屋にいると切なくなって・・・。」
思わず泣き出した美野里に克也は大慌てで宥めに掛かるが何でか急に彼女は立ち上がると彼に抱き付いた。
克也の胸に意外に柔らかい彼女の体の感触が伝わってきてどうしていいかわからなくなる。
「ちょ・・・ちょ・・・ちょ・・・あれ?」
抱きつかれてここは抱き締めようかと腕をあげて迷っているうちに抱き付いてきた彼女が力なく床に頽れそうになってそれを慌てて抱き留めた。
「まあシータったら意外に弱いのね。ショウそのままシータをその奥の部屋にでも寝かせてあげて頂戴。私はそこにあるベッドを使うから。じゃお休みぃー!」
シェルはそれだけ言い残すと椅子から立ち上がって壁際に置いてあったソファーベッドにポスンとダイブするとそのまま寝入ってしまった。
おいおい、どうなってるんだよ。
克也は呆れ顔でシェルを見てからなんだか餌を前に”待て”強いられた気分のまま腕の中にいる美野里を抱き上げると傍にあった障子を開けた。
そこは綺麗な和室でそこにはいつの間にか布団が敷かれていたので克也はそこに彼女を寝かせると隣にもう一組敷かれている布団に自分も入った。
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