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43.爵位授与。
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魔獣討伐宣言が出て数週間後。
王より今回の討伐で目立った功績をあげたものに報奨金と爵位授与が行われた。
「なあ、なんで裕也は爵位受けたんだ?」
「俺は別にどうでもよかったんだが朱里が受けろっていうからな。一応受けたんだ。」
「へえー意外だな。あんまりそういうの感心ないかと思ってたんだけどなぁ。」
「ああ俺も意外だったけど近衛騎士団に入るには爵位が必要だってどこからか聞いて来たらしいんだ。」
「なるほどね。確かに朱里ちゃんには辺境とかは無理だろうなぁ。」
「お前はいいのか。」
「俺。俺は逆にノルマさんと上手いった団長の部下とかは無理。なんでその分現金で上乗せして貰った。」
「なるほどな。お前らしいな。」
「まあね。」
二人がそんな話をしているとピンク色をした可愛いドレスを着た朱里がやって来た。
「裕也クン。なんでそこにいるの?」
「ああスマン。ちょっとな。どうかした?」
朱里はムッとした顔をした後裕也の腕を引っ張ると踊ろうと言い出した。
「わかったわかった。じゃ後で。」
「ああ。」
裕也と朱里は中央にあるホールに行って踊り始めた。
克也はそんな二人を壁際でボウとして見ていた。
「言わなくていいの?」
そこに魔術師団の黒いローブを纏った美野里が後ろから声をかけて来た。
「聞いてたのか?」
「聞いてたわけじゃなく聞こえたの。明後日には”東の砦”に出発なのにそれを今言わなくて大丈夫?」
「ああ、言おうとしているうちに行っちゃっただけだ。あいつらが踊り終わったらいうよ。」
「言う機会があれいいけど明日からは本格的に動くから今日言わないともう時間ないかもよ。」
「ああ、わかってる。ところでそっちは大丈夫なのか?」
「私は別にこっちに来ている友達がいる訳ではないし取り立てて問題ないわね。王宮の外にある自宅も長期になればシェルのほうから連絡入れくれるし、それですぐ問題なく管理出来るから特にないわね。」
「はあぁーあの長屋・・・。シェルとの朝風呂が重なりさえしなければあそこの長屋を借りたいんだが・・・ウーン。」
どうやら何かを考え始めてしまったらしい克也を放置すると美野里は貰うものも貰ったので人込みを避け自分の執務室に帰ろうと広間から庭に出た。
この庭の植え込みを突っ切るとこの広間の外通路を通っていくより魔術棟に帰るには近道なのだ。
そんな訳で庭に出た美野里は運がいいのか悪いのかコソコソと何ごとか会話をしているご令嬢たちに出くわした。
どうやらまだ新人の令嬢たちのようで薄いピンク色やレースがこれでもかとついている現代でいうゴスロリファッションの集団だった。
さて、どうしたものか。
このままいけばバッチリ見つかってしまう。
でも戻るのも戻るで今からだと気づかれそうだ。
躊躇しているうちに彼女たちが話している会話が聞こえて来た。
「見ました?先程のあの娘、未成年なのに厚かましい。」
「そうよ。聖女だからって未成年なのに舞踏会に出席するなんて何様なの。」
「確かにそうね。それも忌々しいことにシャルル様と踊っていたのよ。」
「まあそれだけではありませんわ。裕也様とも踊っていましてよ。」
そこに新たなこれまた派手なゴスロリファッションの女性が話に加わった。
「「「まあ許せませんわ。」」」
「「「「思い知らせなければ。」」」」
四人の女性は息まいて視線を合わせるとクルッと反転して舞踏会場になっている大広間に向かっていった。
ええっと何か嫌な話を聞いちゃったなぁ。
このまま戻りたいけど無視して戻るのも冷たいかぁ。
と言っても戻っても私では何も出来なさそうだし、どうしよう。
魔法が使えればいいけどこの会場には警備の関係上護衛騎士以外は魔法が使えないように結界が張られているし・・・。
まあ張られていてもこれくらいなら難なく魔法を使えるけど別に命の危険があるような状態でもないのに魔法防御結界を破るのも跡が面倒くさそうだし・・・ウーン。
美野里は舞踏会会場の灯を見てから溜息を吐き出して元来た道を戻った。
結論としてはさっき別れた克也を捜すことにした。
彼は彼女の友人だし、機微にたけているからきっと私よりは何とかできるだろう。
それに自分が知っていることを他の人に話せばある意味責任転嫁が出来ると考えた美野里はまだ舞踏会場にいるはずの克也を捜しに戻った。
さっきいた場所にまだいると思っていたが戻ってみるとそこにはいなかった。
中央で踊っている人もいるが脇で談笑している人もいて多すぎて中々見つからない。
黒髪なのですぐに見つかるかと思ったが意外に分からない。
イライラしていつの間にか念話で愚痴っていたらしく、思考回路にシェルの声が聞こえた。
”ちょっと何イライラしてるの。うるさいわよシータ。ゆっくり飲めないじゃない。”
”えっとごめん。ちょっとショウを捜してて・・・。”
”あら何。やっと恋に目覚めたの?”
”なんでそこに恋って言葉がでるのか分からないけど違う。用事があって捜してるのよ。”
”えっ俺に用事?”
美野里はしまったと思った。
捜すんじゃなく念話すりゃよかったのか。
そう言えば念話は魔法の防御結界に影響を及ぼさないんだっけ。
「俺をなんで探してたんだ?」
美野里が反省会をしているうちに目の前には克也が立っていた。
美野里はさっき庭で聞いた若い令嬢たちがしていた会話を伝えた。
「話は分かった。行こう。」
「えっ行こうってどこに?」
美野里が話の先について行けなくて呆けているうちに克也にグイグイと舞踏会場の方に連れて行かれた。
「じゃ中央に行くからついて来てくれ。」
「はあぁ?何言ってるの無理ムリ。私踊れないしイヤ・・・。」
美野里が拒否しようとする前に克也は彼女の腰に手を回して向かい合わせになると手を取って会場の中に入ってしまった。
「ちょ・・・何で一緒に行かなきゃいけないの?」
「いくら俺でも一人で中央まで行くのは無理だ。見てみろあいつ等中央で王子たちが踊っている隣で踊ってるんだよ。」
「ちょっ・・・それだとこっちもそこからそこに行くとか・・・いやいや無理ムリ、むしろ帰・・・。」
グイッと美野里は克也に引き寄せられると巧みに中央に向かわされた。
小声で抗議するも聞きいれて貰えない。
「ねえ、何で念話しないのよ。念話なら行く必要ないでしょ。」
「まだ裕也と念話したことがないんだ。」
「えっなんで?」
「必要なかったからもうそれはいいだろ行くぞ。」
「ちょ・・・。」
またグイッと体を方向展開されると中央に少しずつ近づいていく。
後少しというところで例の令嬢たちが二人を囲んでいることに気がついた。
”ちょ・・・あれ見て。”
”くそっ間に合わないか。”
”うーん間に合わなくないかも。”
”どうやるんだ?”
”あっちにいる王子に近づいて。”
克也は言われるまま裕也たちから離れると逆側で踊っている王子たちのカップルに近づいた。
”今よ、回して。”
克也は言われた通り美野里をクルッと回した。
美野里の回転に気がついた王子が逆側にパートナーを回した。
そこにちょうど裕也たちに嫌がらせしようと近づいた令嬢の一人が接触した。
「「ごめんなさい。」」
二人は小さな悲鳴をあげて背後を振り向いた。
「申し訳ない。私の配慮が足りなかった。」
「いえ、気にしないでください。」
「そんな訳にはいかない。もしよければこの後お詫びも兼ねて私と一曲踊って下さい。」
「は・・・はい、お願いします。」
令嬢は真っ赤な顔で返事をすると中途半端になった相手とパートナーを交換すると王子と踊り始めた。
それに気がついた他の令嬢もワラワラと王子に群がった。
”よし。今が撤収の時よ。”
美野里はすかさず念話を克也に送ると舞踏会場から脇にある飲食コーナーに戻った。
「はあぁー死ぬかと思った。」
「それにしても見事な作戦だったな。」
「どうでもいいけどちょっと文句を言いたい。なんで私を連れて行ったのよ。他にも令嬢はいるでしょ。」
「俺、それほど上手くないんで他の令嬢じゃあそこまで近づけないよ。」
「納得できないけどそれはいいわ。でも彼らは気づいてないみたいだけどいいの。」
美野里は陰で活躍した克也の奮闘を知らないでまだ中央で踊っている二人に視線を向けた。
「まあ別に友達だしそれは構わないんだけどなんだか異常に疲れたわ。」
「まあ、確かに。」
そこに見知った人物が酒瓶を持って廊下に消えるのが視界に映った。
”どうせなら別室で飲み直さない。これ王家秘蔵のお酒よ。先に行ってるわよ。”
誰にも聞かれないように念話でシェルが誘って来た。
美野里は克也を見た。
克也は当分終わりそうにない裕也たちのダンスを待っているよりそっちに心惹かれ美野里と一緒にシェルの後を追った。
王より今回の討伐で目立った功績をあげたものに報奨金と爵位授与が行われた。
「なあ、なんで裕也は爵位受けたんだ?」
「俺は別にどうでもよかったんだが朱里が受けろっていうからな。一応受けたんだ。」
「へえー意外だな。あんまりそういうの感心ないかと思ってたんだけどなぁ。」
「ああ俺も意外だったけど近衛騎士団に入るには爵位が必要だってどこからか聞いて来たらしいんだ。」
「なるほどね。確かに朱里ちゃんには辺境とかは無理だろうなぁ。」
「お前はいいのか。」
「俺。俺は逆にノルマさんと上手いった団長の部下とかは無理。なんでその分現金で上乗せして貰った。」
「なるほどな。お前らしいな。」
「まあね。」
二人がそんな話をしているとピンク色をした可愛いドレスを着た朱里がやって来た。
「裕也クン。なんでそこにいるの?」
「ああスマン。ちょっとな。どうかした?」
朱里はムッとした顔をした後裕也の腕を引っ張ると踊ろうと言い出した。
「わかったわかった。じゃ後で。」
「ああ。」
裕也と朱里は中央にあるホールに行って踊り始めた。
克也はそんな二人を壁際でボウとして見ていた。
「言わなくていいの?」
そこに魔術師団の黒いローブを纏った美野里が後ろから声をかけて来た。
「聞いてたのか?」
「聞いてたわけじゃなく聞こえたの。明後日には”東の砦”に出発なのにそれを今言わなくて大丈夫?」
「ああ、言おうとしているうちに行っちゃっただけだ。あいつらが踊り終わったらいうよ。」
「言う機会があれいいけど明日からは本格的に動くから今日言わないともう時間ないかもよ。」
「ああ、わかってる。ところでそっちは大丈夫なのか?」
「私は別にこっちに来ている友達がいる訳ではないし取り立てて問題ないわね。王宮の外にある自宅も長期になればシェルのほうから連絡入れくれるし、それですぐ問題なく管理出来るから特にないわね。」
「はあぁーあの長屋・・・。シェルとの朝風呂が重なりさえしなければあそこの長屋を借りたいんだが・・・ウーン。」
どうやら何かを考え始めてしまったらしい克也を放置すると美野里は貰うものも貰ったので人込みを避け自分の執務室に帰ろうと広間から庭に出た。
この庭の植え込みを突っ切るとこの広間の外通路を通っていくより魔術棟に帰るには近道なのだ。
そんな訳で庭に出た美野里は運がいいのか悪いのかコソコソと何ごとか会話をしているご令嬢たちに出くわした。
どうやらまだ新人の令嬢たちのようで薄いピンク色やレースがこれでもかとついている現代でいうゴスロリファッションの集団だった。
さて、どうしたものか。
このままいけばバッチリ見つかってしまう。
でも戻るのも戻るで今からだと気づかれそうだ。
躊躇しているうちに彼女たちが話している会話が聞こえて来た。
「見ました?先程のあの娘、未成年なのに厚かましい。」
「そうよ。聖女だからって未成年なのに舞踏会に出席するなんて何様なの。」
「確かにそうね。それも忌々しいことにシャルル様と踊っていたのよ。」
「まあそれだけではありませんわ。裕也様とも踊っていましてよ。」
そこに新たなこれまた派手なゴスロリファッションの女性が話に加わった。
「「「まあ許せませんわ。」」」
「「「「思い知らせなければ。」」」」
四人の女性は息まいて視線を合わせるとクルッと反転して舞踏会場になっている大広間に向かっていった。
ええっと何か嫌な話を聞いちゃったなぁ。
このまま戻りたいけど無視して戻るのも冷たいかぁ。
と言っても戻っても私では何も出来なさそうだし、どうしよう。
魔法が使えればいいけどこの会場には警備の関係上護衛騎士以外は魔法が使えないように結界が張られているし・・・。
まあ張られていてもこれくらいなら難なく魔法を使えるけど別に命の危険があるような状態でもないのに魔法防御結界を破るのも跡が面倒くさそうだし・・・ウーン。
美野里は舞踏会会場の灯を見てから溜息を吐き出して元来た道を戻った。
結論としてはさっき別れた克也を捜すことにした。
彼は彼女の友人だし、機微にたけているからきっと私よりは何とかできるだろう。
それに自分が知っていることを他の人に話せばある意味責任転嫁が出来ると考えた美野里はまだ舞踏会場にいるはずの克也を捜しに戻った。
さっきいた場所にまだいると思っていたが戻ってみるとそこにはいなかった。
中央で踊っている人もいるが脇で談笑している人もいて多すぎて中々見つからない。
黒髪なのですぐに見つかるかと思ったが意外に分からない。
イライラしていつの間にか念話で愚痴っていたらしく、思考回路にシェルの声が聞こえた。
”ちょっと何イライラしてるの。うるさいわよシータ。ゆっくり飲めないじゃない。”
”えっとごめん。ちょっとショウを捜してて・・・。”
”あら何。やっと恋に目覚めたの?”
”なんでそこに恋って言葉がでるのか分からないけど違う。用事があって捜してるのよ。”
”えっ俺に用事?”
美野里はしまったと思った。
捜すんじゃなく念話すりゃよかったのか。
そう言えば念話は魔法の防御結界に影響を及ぼさないんだっけ。
「俺をなんで探してたんだ?」
美野里が反省会をしているうちに目の前には克也が立っていた。
美野里はさっき庭で聞いた若い令嬢たちがしていた会話を伝えた。
「話は分かった。行こう。」
「えっ行こうってどこに?」
美野里が話の先について行けなくて呆けているうちに克也にグイグイと舞踏会場の方に連れて行かれた。
「じゃ中央に行くからついて来てくれ。」
「はあぁ?何言ってるの無理ムリ。私踊れないしイヤ・・・。」
美野里が拒否しようとする前に克也は彼女の腰に手を回して向かい合わせになると手を取って会場の中に入ってしまった。
「ちょ・・・何で一緒に行かなきゃいけないの?」
「いくら俺でも一人で中央まで行くのは無理だ。見てみろあいつ等中央で王子たちが踊っている隣で踊ってるんだよ。」
「ちょっ・・・それだとこっちもそこからそこに行くとか・・・いやいや無理ムリ、むしろ帰・・・。」
グイッと美野里は克也に引き寄せられると巧みに中央に向かわされた。
小声で抗議するも聞きいれて貰えない。
「ねえ、何で念話しないのよ。念話なら行く必要ないでしょ。」
「まだ裕也と念話したことがないんだ。」
「えっなんで?」
「必要なかったからもうそれはいいだろ行くぞ。」
「ちょ・・・。」
またグイッと体を方向展開されると中央に少しずつ近づいていく。
後少しというところで例の令嬢たちが二人を囲んでいることに気がついた。
”ちょ・・・あれ見て。”
”くそっ間に合わないか。”
”うーん間に合わなくないかも。”
”どうやるんだ?”
”あっちにいる王子に近づいて。”
克也は言われるまま裕也たちから離れると逆側で踊っている王子たちのカップルに近づいた。
”今よ、回して。”
克也は言われた通り美野里をクルッと回した。
美野里の回転に気がついた王子が逆側にパートナーを回した。
そこにちょうど裕也たちに嫌がらせしようと近づいた令嬢の一人が接触した。
「「ごめんなさい。」」
二人は小さな悲鳴をあげて背後を振り向いた。
「申し訳ない。私の配慮が足りなかった。」
「いえ、気にしないでください。」
「そんな訳にはいかない。もしよければこの後お詫びも兼ねて私と一曲踊って下さい。」
「は・・・はい、お願いします。」
令嬢は真っ赤な顔で返事をすると中途半端になった相手とパートナーを交換すると王子と踊り始めた。
それに気がついた他の令嬢もワラワラと王子に群がった。
”よし。今が撤収の時よ。”
美野里はすかさず念話を克也に送ると舞踏会場から脇にある飲食コーナーに戻った。
「はあぁー死ぬかと思った。」
「それにしても見事な作戦だったな。」
「どうでもいいけどちょっと文句を言いたい。なんで私を連れて行ったのよ。他にも令嬢はいるでしょ。」
「俺、それほど上手くないんで他の令嬢じゃあそこまで近づけないよ。」
「納得できないけどそれはいいわ。でも彼らは気づいてないみたいだけどいいの。」
美野里は陰で活躍した克也の奮闘を知らないでまだ中央で踊っている二人に視線を向けた。
「まあ別に友達だしそれは構わないんだけどなんだか異常に疲れたわ。」
「まあ、確かに。」
そこに見知った人物が酒瓶を持って廊下に消えるのが視界に映った。
”どうせなら別室で飲み直さない。これ王家秘蔵のお酒よ。先に行ってるわよ。”
誰にも聞かれないように念話でシェルが誘って来た。
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