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47.遠見魔法と転移!
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「おい、起きろよ。シータ。」
ぐっすり眠っていた美野里の肩をゆさゆさと揺さぶって起こす人間がいた。
「うーん。」
美野里は二段ベッドの上で頭を振ると半身を起こした。
まだ頭がぐらぐらする。
「どう気分は?」
シェルが傍のテーブルに置かれたコーヒーを飲みながら優雅に足を組んで座っていた。
「シェル・・・ちょっ・・・まさかさっき私に渡したトマトジュースに何か混ぜたわね。」
「あーらなんでそんなこと言うのかしら?」
「何でってそりゃ。なんでか知らない景色が強烈にイメージとして浮かんでくるからよ。」
「あら、じゃ上手くいったのね。」
「上手くいったっ・・・。」
何でか美野里を起こした克也はそっぽを向いていて真っ赤な顔をしていた。
ハッとして自分を見た美野里は慌てて布団をかぶって顔だけ出すとシェルを睨み付けた。
「なんで下着しか着てないの?」
くぐもった声が二段ベッドの上から聞こえた。
「そりゃ初めての魔法だからじゃない?」
「魔法って・・・まさか・・・。」
「うふっ、ごめんねシータ。ちょっと時間短縮する必要が出来て、すこーし魔法薬を朝のトマトジュースの中に入れちゃった・・・テヘッ。」
「テヘッじゃないわよ。なんでえー。」
ポッスン。
喚いている美野里の上に洋服が放り投げられた。
「じゃあショウと私は先に馬の準備にいってるから早く着替えてきなさいよ。」
シェルはそれだけ言うと飲み終わったカップを空間魔法で片付けると二人の会話をオロオロして聞いていた克也を引っ張って部屋を出て行った。
美野里は二人が出て行った音を聴いてからそろそろと布団を出るとその上に乗っていた洋服に着替えてから二段ベッドを降りると障壁がある門に向かった。
美野里が障壁に着いた時にはすでに二頭の馬の手綱を持つ克也とアランに腕を絡ませるシェルがいた。
「やっと来たのね。じゃすぐに行くわよ。」
「ちょ・・・すぐに行くってどこによ?」
「もちろん”東の砦”よ。もうきちんとイメージ出来るでしょ。私はアランを連れて転移するからシータはショウをお願いね。」
シェルはそれだけ言うと二人の前から消えていた。
「シェル!」
美野里の叫びが虚しく響いた。
克也は憐みの視線を美野里に向けてから馬の手綱を右手に持ったまま左手で彼女の肩を叩いた。
「まあ、取り敢えずこっちも行かないか?」
美野里はなんとも表現しがたい顔で克也を見た後脱力して項垂れると大きく息を吐いてから顔を上げた。
「人間諦めが肝心よね。ヨシ、大丈夫よ。行きましょう。」
「ああ頼む。」
克也は両手を固く握っている美野里にさらに近づいた。
「では行きます。」
美野里は目を閉じると先程から鮮明に頭をめぐってくるイメージの浮かんでくるままにそこに魔力をのせた。
その瞬間二人の人間と二頭の馬が第二障壁内から消えた。
二つの魔力の消失を感じたキモイが執務机から顔を上げた。
「どうかしましたか隊長?」
対面で書類仕事をしていた部下が怪訝な顔で声をかけて来た。
「いえなんでもありませんよ。それより早くこの書類を仕上げましょう。」
キモイは窓外を見つめてから何ごともなかったように書類に目を戻した。
アランあなたはなんでそんなことをしたんですか。
キモイは答えが返ってこないはずなのに心の中にあるアランにそう問いかけた。
数分後。
二日の距離を一瞬で超えた美野里が”東の砦”の近くの荒野で半泣きになっていた。
な・・・なんで初めての魔法じゃないのに上半身裸なの?
さっきは死ぬほど恥ずかしかった。
転移が成功して克也に声をかけた瞬間真っ赤な顔で視線をそらされた。
何ごとかと思っていると彼にどもりながら”は・・・はだか”と指差された。
ハッとして自分を見ると上半身だけ洋服を着ていなかった。
横を向く克也にこっちを見ないように怒鳴りながら空間魔法で収納しておいた洋服を出すとすぐに着込んだ。
それにしてもなんで今回はこんな目にあったのよ。
なんとも納得できなかったが取り敢えず着替えて克也に声を掛けた。
「あのーもう大丈夫よ。」
「ああ、じゃ行こうか。」
克也も馬に乗ると並足で走り出した。
「そう言えばシェルからの伝言があったんだ。」
「伝言?」
「ああ、なんでも読み取れなかったてさ。」
「えっ。確かにそう言ってたの?」
克也は何が問題なのか分からなかったが頷いた。
「何があるんだ?」
「アランの思考を読み取れなかったってことよ。」
予想外のことに克也は馬を止めた。
美野里も同じように馬を止める。
「おい、それって。」
「そう。彼が情報を漏らした人物かもっていう対象からまだ外れていないってことね。」
「おいおい。勘弁してくれよ。東の砦の件もあるのにウソだろ。じゃなんでここに連れて来たんだ?」
さあそこまでは分からないけどなんかあるんでしょ。でも不味いわよね。まだ城壁出来てないのにどうするんだろ?」
「さあな。だが面倒なことになるって言うのだけは確定だな。取り敢えずシエルと合流しよう。」
二人は再び馬を走らせ始めた。
ぐっすり眠っていた美野里の肩をゆさゆさと揺さぶって起こす人間がいた。
「うーん。」
美野里は二段ベッドの上で頭を振ると半身を起こした。
まだ頭がぐらぐらする。
「どう気分は?」
シェルが傍のテーブルに置かれたコーヒーを飲みながら優雅に足を組んで座っていた。
「シェル・・・ちょっ・・・まさかさっき私に渡したトマトジュースに何か混ぜたわね。」
「あーらなんでそんなこと言うのかしら?」
「何でってそりゃ。なんでか知らない景色が強烈にイメージとして浮かんでくるからよ。」
「あら、じゃ上手くいったのね。」
「上手くいったっ・・・。」
何でか美野里を起こした克也はそっぽを向いていて真っ赤な顔をしていた。
ハッとして自分を見た美野里は慌てて布団をかぶって顔だけ出すとシェルを睨み付けた。
「なんで下着しか着てないの?」
くぐもった声が二段ベッドの上から聞こえた。
「そりゃ初めての魔法だからじゃない?」
「魔法って・・・まさか・・・。」
「うふっ、ごめんねシータ。ちょっと時間短縮する必要が出来て、すこーし魔法薬を朝のトマトジュースの中に入れちゃった・・・テヘッ。」
「テヘッじゃないわよ。なんでえー。」
ポッスン。
喚いている美野里の上に洋服が放り投げられた。
「じゃあショウと私は先に馬の準備にいってるから早く着替えてきなさいよ。」
シェルはそれだけ言うと飲み終わったカップを空間魔法で片付けると二人の会話をオロオロして聞いていた克也を引っ張って部屋を出て行った。
美野里は二人が出て行った音を聴いてからそろそろと布団を出るとその上に乗っていた洋服に着替えてから二段ベッドを降りると障壁がある門に向かった。
美野里が障壁に着いた時にはすでに二頭の馬の手綱を持つ克也とアランに腕を絡ませるシェルがいた。
「やっと来たのね。じゃすぐに行くわよ。」
「ちょ・・・すぐに行くってどこによ?」
「もちろん”東の砦”よ。もうきちんとイメージ出来るでしょ。私はアランを連れて転移するからシータはショウをお願いね。」
シェルはそれだけ言うと二人の前から消えていた。
「シェル!」
美野里の叫びが虚しく響いた。
克也は憐みの視線を美野里に向けてから馬の手綱を右手に持ったまま左手で彼女の肩を叩いた。
「まあ、取り敢えずこっちも行かないか?」
美野里はなんとも表現しがたい顔で克也を見た後脱力して項垂れると大きく息を吐いてから顔を上げた。
「人間諦めが肝心よね。ヨシ、大丈夫よ。行きましょう。」
「ああ頼む。」
克也は両手を固く握っている美野里にさらに近づいた。
「では行きます。」
美野里は目を閉じると先程から鮮明に頭をめぐってくるイメージの浮かんでくるままにそこに魔力をのせた。
その瞬間二人の人間と二頭の馬が第二障壁内から消えた。
二つの魔力の消失を感じたキモイが執務机から顔を上げた。
「どうかしましたか隊長?」
対面で書類仕事をしていた部下が怪訝な顔で声をかけて来た。
「いえなんでもありませんよ。それより早くこの書類を仕上げましょう。」
キモイは窓外を見つめてから何ごともなかったように書類に目を戻した。
アランあなたはなんでそんなことをしたんですか。
キモイは答えが返ってこないはずなのに心の中にあるアランにそう問いかけた。
数分後。
二日の距離を一瞬で超えた美野里が”東の砦”の近くの荒野で半泣きになっていた。
な・・・なんで初めての魔法じゃないのに上半身裸なの?
さっきは死ぬほど恥ずかしかった。
転移が成功して克也に声をかけた瞬間真っ赤な顔で視線をそらされた。
何ごとかと思っていると彼にどもりながら”は・・・はだか”と指差された。
ハッとして自分を見ると上半身だけ洋服を着ていなかった。
横を向く克也にこっちを見ないように怒鳴りながら空間魔法で収納しておいた洋服を出すとすぐに着込んだ。
それにしてもなんで今回はこんな目にあったのよ。
なんとも納得できなかったが取り敢えず着替えて克也に声を掛けた。
「あのーもう大丈夫よ。」
「ああ、じゃ行こうか。」
克也も馬に乗ると並足で走り出した。
「そう言えばシェルからの伝言があったんだ。」
「伝言?」
「ああ、なんでも読み取れなかったてさ。」
「えっ。確かにそう言ってたの?」
克也は何が問題なのか分からなかったが頷いた。
「何があるんだ?」
「アランの思考を読み取れなかったってことよ。」
予想外のことに克也は馬を止めた。
美野里も同じように馬を止める。
「おい、それって。」
「そう。彼が情報を漏らした人物かもっていう対象からまだ外れていないってことね。」
「おいおい。勘弁してくれよ。東の砦の件もあるのにウソだろ。じゃなんでここに連れて来たんだ?」
さあそこまでは分からないけどなんかあるんでしょ。でも不味いわよね。まだ城壁出来てないのにどうするんだろ?」
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