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49.嘘がばれた?
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シェルの酒を飲み干した翌日。
まだソファーで熟睡している第一王子を侍従に預け、美野里のことは抱き上げて彼女の執務室のソファーに運ぶと克也も見習い兵士の寮に戻った。
そこには難しい顔をした裕也が待っていた。
「裕也どうしたんだ。連絡しなかったから怒ってるのか?」
「そうじゃない。なんで・・・なんで魔獣を討伐した件を教えてくれなかったんだ?」
「魔獣討伐の件なら・・・。」
「とぼけるなよ。本当のことを言え!」
裕也に胸倉を掴まれた。
まずい。
例の魔獣討伐の件がばれたのか。
ここで叫ばれるのも都合が悪かったので克也は裕也を連れて先程出てきた魔術棟に向かった。
「どこへ行くんだ?」
「色々あって人に聞かれたくないんで着いて来てくれ。」
「なんで聞かれると不味いんだ。」
”シータ。頼む起きてるか?”
”そんなに怒鳴らなくても起きてるわよ。”
”ちょっと悪いけど俺たちの周囲に防音結界を張ってくれ。”
”張ったけど何してるの。二人をシェルの執務室にでも転移しようか?”
”城でそんな魔法使って大丈夫か?”
”本当はいけないけどシェルの執務室になら問題ないわ。だってどうせ怒られるのシェルなんだからいいわよ。”
”まだそれ根に持ってるのかよ。こえなぁー”
”ならやらないわ。”
”いやスマン。やってくれ。”
克也が言った瞬間二人の周囲が見習い兵士の寮の前からシェルの執務室に変わった。
「おい、なんだこれ?」
「今ちょっと頼んだんだ。そこに座れよ。なんか飲むか?」
「いらん。それより理由を話せよ。」
「魔獣殲滅数がお前らより多いってことか?」
「いやそれもあるけど克也たちがやらなかったらまだ魔獣の発生が治まっていなかったってことだ。」
「だからなんだ?」
「だから英雄と言われるのはお前らなんじゃないかってことだよ。」
「別に王都を守ったのはそっちだからいいんじゃないか?」
「なんでだ。なんでそんなことを言う?」
「裕也どこまで今回の件を知ってる?」
「どこまでってお前たちが魔獣の発生源を消滅させたって書かれた報告書をたまたま読んだんだ。」
「どこでだ?」
「えっと爵位と報奨金を貰った後にたまたま隊長室に用事があってその時に報告書を見たんだ。」
「だからすぐに今回のことだとわかったんだ。」
「はあぁー迂闊すぎだろ、あのオッサン。」
「おい、仮にも隊長だぞ。」
「ああそうだな。じゃ俺から質問。魔獣の正体を知ってるか?」
「正体?いや知らない。」
「あれ元は人間。それでもって魔獣を元に戻す方法もある。」
裕也は息を飲んで克也に詰め寄った。
「なら、なんでそれを使わなかった。」
「そうすれば俺達は人殺しにならなかったって言いたいのか。」
「そうだ。」
「その方法には高位魔力保持者の魔力がかなり必要なんだよ。例えば朱里ちゃんの魔力全部とかな。」
「そんな・・・。」
「そう言うこと。魔力全部ってことは命なくなっちゃうよね。だから魔獣を討伐した。以上だ。」
「だからそれと今回の魔獣消滅を隠すことがどう関係するんだ?」
「うーんまあ。俺達だって知れるとその魔法を使える人間が特定されるかもしれないからかな。」
「特定されると何でその方法をとらなかったのかって追求される恐れがあるからか?」
「まあそんなところだ。」
「わかった。でもいいのか?」
「俺は英雄になって女に寝込みを襲われるより、その分を報奨金に上乗せしてくれる方がいい。」
「わかった。もう言わないよ。」
「あっそうだ。裕也。お前いつ朱里ちゃんとのことで責任をとるつもりなんだ?」
「おい、なんでお前が知ってる。」
「へえーカマかけたのに本当だったんだ。」
「お前、誰にもいうなよ。」
「別に言わないけど避妊はどうしたんだよ。」
「いや朱里が今日は大丈夫な日だからっていうからまあ・・・。」
裕也は真っ赤になってそっぽを向いてしまった。
お前それを信じたのかよ。
それこそ大丈夫かぁー。
まあいい。
しょせん二人のことだ。
二人でどうにかしろ!
裕也にはそれからしばらく”のろけ話”を聞かされた後で二人は別れた。
はぁあー疲れた。
そうだ。
防音結界と転移の件のお礼を言いに行かないと克也は美野里の執務室に向かった。
二人を転移させたことで目が覚めた美野里は魔術棟特製”自動コーヒー機”のスイッチを入れた。
数分でカップに黒い液体が落ちてきていい香りが執務室に漂った。
美野里が立ち上がってコーヒーをカップに移して飲もうとすると扉をノックする音に気がついた。
誰だろう?
もしシェルなら魔法の一つでもお見舞いしようと思った美野里は魔力を溜めながら”入っていい”と許可を出すとどこかで見た覚えのある令嬢が扉を開けて入って来た。
「失礼します。王宮侍女見習いの朱里です。」
「えっ朱里?」
あまりにも予想していなかった人物の登場に彼女の頭はすぐに切り替えられなかった。
その反応に何を勘違いしたのか朱里は美野里の傍にあるテーブルにバンと両手をつくと勢いよく話し出した。
「私が裕也くんの婚約者いえ妻になるんです。絶対あなたには渡しません。それに私のおなかの中にはもう裕也くんとの子供がいるんです。」
「「赤ちゃん!」」
いつの間にか美野里の執務室に来ていた克也と美野里が一斉に唱和してお互いに顔を見合わせた。
まだソファーで熟睡している第一王子を侍従に預け、美野里のことは抱き上げて彼女の執務室のソファーに運ぶと克也も見習い兵士の寮に戻った。
そこには難しい顔をした裕也が待っていた。
「裕也どうしたんだ。連絡しなかったから怒ってるのか?」
「そうじゃない。なんで・・・なんで魔獣を討伐した件を教えてくれなかったんだ?」
「魔獣討伐の件なら・・・。」
「とぼけるなよ。本当のことを言え!」
裕也に胸倉を掴まれた。
まずい。
例の魔獣討伐の件がばれたのか。
ここで叫ばれるのも都合が悪かったので克也は裕也を連れて先程出てきた魔術棟に向かった。
「どこへ行くんだ?」
「色々あって人に聞かれたくないんで着いて来てくれ。」
「なんで聞かれると不味いんだ。」
”シータ。頼む起きてるか?”
”そんなに怒鳴らなくても起きてるわよ。”
”ちょっと悪いけど俺たちの周囲に防音結界を張ってくれ。”
”張ったけど何してるの。二人をシェルの執務室にでも転移しようか?”
”城でそんな魔法使って大丈夫か?”
”本当はいけないけどシェルの執務室になら問題ないわ。だってどうせ怒られるのシェルなんだからいいわよ。”
”まだそれ根に持ってるのかよ。こえなぁー”
”ならやらないわ。”
”いやスマン。やってくれ。”
克也が言った瞬間二人の周囲が見習い兵士の寮の前からシェルの執務室に変わった。
「おい、なんだこれ?」
「今ちょっと頼んだんだ。そこに座れよ。なんか飲むか?」
「いらん。それより理由を話せよ。」
「魔獣殲滅数がお前らより多いってことか?」
「いやそれもあるけど克也たちがやらなかったらまだ魔獣の発生が治まっていなかったってことだ。」
「だからなんだ?」
「だから英雄と言われるのはお前らなんじゃないかってことだよ。」
「別に王都を守ったのはそっちだからいいんじゃないか?」
「なんでだ。なんでそんなことを言う?」
「裕也どこまで今回の件を知ってる?」
「どこまでってお前たちが魔獣の発生源を消滅させたって書かれた報告書をたまたま読んだんだ。」
「どこでだ?」
「えっと爵位と報奨金を貰った後にたまたま隊長室に用事があってその時に報告書を見たんだ。」
「だからすぐに今回のことだとわかったんだ。」
「はあぁー迂闊すぎだろ、あのオッサン。」
「おい、仮にも隊長だぞ。」
「ああそうだな。じゃ俺から質問。魔獣の正体を知ってるか?」
「正体?いや知らない。」
「あれ元は人間。それでもって魔獣を元に戻す方法もある。」
裕也は息を飲んで克也に詰め寄った。
「なら、なんでそれを使わなかった。」
「そうすれば俺達は人殺しにならなかったって言いたいのか。」
「そうだ。」
「その方法には高位魔力保持者の魔力がかなり必要なんだよ。例えば朱里ちゃんの魔力全部とかな。」
「そんな・・・。」
「そう言うこと。魔力全部ってことは命なくなっちゃうよね。だから魔獣を討伐した。以上だ。」
「だからそれと今回の魔獣消滅を隠すことがどう関係するんだ?」
「うーんまあ。俺達だって知れるとその魔法を使える人間が特定されるかもしれないからかな。」
「特定されると何でその方法をとらなかったのかって追求される恐れがあるからか?」
「まあそんなところだ。」
「わかった。でもいいのか?」
「俺は英雄になって女に寝込みを襲われるより、その分を報奨金に上乗せしてくれる方がいい。」
「わかった。もう言わないよ。」
「あっそうだ。裕也。お前いつ朱里ちゃんとのことで責任をとるつもりなんだ?」
「おい、なんでお前が知ってる。」
「へえーカマかけたのに本当だったんだ。」
「お前、誰にもいうなよ。」
「別に言わないけど避妊はどうしたんだよ。」
「いや朱里が今日は大丈夫な日だからっていうからまあ・・・。」
裕也は真っ赤になってそっぽを向いてしまった。
お前それを信じたのかよ。
それこそ大丈夫かぁー。
まあいい。
しょせん二人のことだ。
二人でどうにかしろ!
裕也にはそれからしばらく”のろけ話”を聞かされた後で二人は別れた。
はぁあー疲れた。
そうだ。
防音結界と転移の件のお礼を言いに行かないと克也は美野里の執務室に向かった。
二人を転移させたことで目が覚めた美野里は魔術棟特製”自動コーヒー機”のスイッチを入れた。
数分でカップに黒い液体が落ちてきていい香りが執務室に漂った。
美野里が立ち上がってコーヒーをカップに移して飲もうとすると扉をノックする音に気がついた。
誰だろう?
もしシェルなら魔法の一つでもお見舞いしようと思った美野里は魔力を溜めながら”入っていい”と許可を出すとどこかで見た覚えのある令嬢が扉を開けて入って来た。
「失礼します。王宮侍女見習いの朱里です。」
「えっ朱里?」
あまりにも予想していなかった人物の登場に彼女の頭はすぐに切り替えられなかった。
その反応に何を勘違いしたのか朱里は美野里の傍にあるテーブルにバンと両手をつくと勢いよく話し出した。
「私が裕也くんの婚約者いえ妻になるんです。絶対あなたには渡しません。それに私のおなかの中にはもう裕也くんとの子供がいるんです。」
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