転生してもオタクはなおりません。

しゃもん

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50.廊下でバッタリ。

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 花子はなこが必修の講義に出席した後、すぐに帰ろうとするとムツキにまだ向かう場所がありますと大学構内にある一室に連れていかれた。
「こちらです。」
 花子はなこがムツキに言われるまま部屋の中に入るとそこにはどこかで見た覚えのある人物がいた。
「やあ、よく来てくれたね。花子はなこさん。」

 誰だろう?

 花子はなこが首を傾げていると隣にいたキサラギが耳打ちしてくれた。

 ”こちらが本大学の学長です。
 ”学長!”

「えっと初めまして?」
 思わず疑問形で挨拶すれば苦笑いをされた。

 あれ?
 やっぱりどこかで会ったことがあったかな。
 でも覚えていないし、どうしよう。
 内心オロオロしていると学長から何かの書類を渡された。

 渡されるままに書類を見ると今回の試合で不慮の事故が起こった場合、この大学では責任を負わないということが書かれた書類のようだ。

 なるほど。
 責任回避か。

 花子はなこは一応書かれている内容を隅から隅まで確認するとその書類にサインをした。

「確かに。」
 学長は書類を確認するとすぐに帰っていいと言ってくれた。

 花子はなこはどこで会ったか思い出せずじまいながら学長室を出ると大学の校外で待つ迎えのものと合流するため廊下を歩き出した。

「なんだここにいたのか。」
 そこで急に背後から声をかけられた。

 誰?

 まったく見た覚えがなかった人物に思わず腰が引けた。
 それに気づいていない相手は花子はなこに近づくと彼女の腰に手を伸ばしてきた。

 ゾクリとした背筋に這い上がる険悪感にスッと体を引いて相手から距離をとればそれに気づいた相手がなんでか花子はなこを睨みつけてきた。

 なんで睨む。
 知らない相手に触られそうになったらひくだろ、普通。

「なんだ恥ずかしがっているのか。」

 んなわけあるか!
 思わず心の中で突っ込めばそこにまた意外な人物がお腹を抱えながら苦しそうな表情で現れた。

「そこで何をしてるんですか、先輩。」
「フレッド!お前が何でここにいる?」
「えっとですね。いわゆる待ち合わせです。」
「そうかならすぐにそこに行け。俺は今忙しいんだ。」
「いや、僕の待ち合わせ相手は彼女ですから。」

 よく知っている人物から身に覚えのない約束の話が出てきた。

「はあぁー。なんでお前と待ち合わせなんだ?」
 花子はなこが否定の言葉を言おうとすると目の前の人物はそれに被せる様に言葉を発した。
「なんてったって大会優勝ペア同士なんですから別におかしくないでしょ。」
 フレッドの言葉にその先輩は思いっきり舌打ちするとその場から立ち去っていった。

「余計なお世話だった?」
「えっとよくわからない状況でしたので助かりました。」
「よくわからない状況って・・・。」
 フレッドは先輩の必死のアプローチに全く気付いていない様子の花子はなこに呆れた。
 これは自分が彼女にアタックするときもこれでもかとはっきりとした態度にしないと好意のコの字も気づいてもらえなさそうだ。
 フレッドがそんなことを考えているうちに花子はなこはお礼の言葉を彼に言うと去っていってしまった。

 やれやれ。
 あっ・・・それどころじゃなかった。
 フレッドはこの廊下の先にある学長室に慌てて歩き出した。

 今回の騎士科の予選に続いて大学対抗戦で優勝したりして下位貴族なのにすこぶる目立ち過ぎたせいか実家にいる長男のところに高位貴族から色々嫌がらせが来たようでそれに怒った長男が学費援助はもうしてやらんと拗ねてしまった。
 これは悠長に構えていると卒業できなくなってしまう。
 将来のためにもそれだけは避けたい。
 そう考えたフレッドは今回の大学対抗戦で優勝したことで予定通り貰えた単位とまだ後少しばかり足りない単位を大学内で行われる全学年を対象とした魔法試合で勝ち進むことで足りない単位分を取得し、今学期で卒業出来るようにと考えて今回の大会に出場申し込みをした。
 するとすぐに学長から直接サインをする書類があるので至急学長室に来るようにと先程呼び出されたのだ。

 そんな理由で必修授業を終えてすぐに学長室に向かうとさっきの場面に遭遇した。

 それにしてもあのスルーぷりは今思い出しても本当に笑える。
 おかけであの二人の傍に行くまでにその笑いをおさめるのに必死で思わず腹を抱えた状態で近づいてしまい花子はなこに不信なものを見る目を向けられてしまった。

 あの顔ヨシ。
 筋肉ヨシ。
 身分ヨシ。

 三高男を歯牙にもかけないなんて・・・。

 クックククク・・・。

 そういえば彼女はなんでここにいたんだろうか。
 まさか全学年を対象とした魔法試合、通称”無差別級”に挑戦なんて、いくら何でもないよな。

 実はフレッドの感はものの見事に当たっていたのだがそれに気づかないまま彼も試合に出る書類にサインをしていた。
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