【完結】婚約破棄と追放をセットでくらった件 〜神スキルで逆転人生〜

長船凪

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01 婚約破棄と追放セット

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「ジョーベルト・ディオー・ビニエス。私、貴方とは婚約破棄させていただきますわ!」

「な、何故ですか? ファビオラ嬢」


 目の前には金髪縦ロールの貴族令嬢がいて、こちらに向かって婚約破棄などどのたまう。
 こちらは口が勝手に動いてなぜなのか問いかける。


「問われなければ分かりませんか? では、はっきり言いましょう、貴族なのに貴方には、魔力が無いからですわ!」


 それが……この身が体ごと、睡蓮の咲く池の中に沈む中、走馬灯のように脳内に流れた記憶だった。

 だが、このまま溺死かと思ったら、誰かに引き上げられた。
 黄昏時の空が、切なく映る。



「ジョー! 馬鹿野郎! 婚約破棄されたくらいで池に飛び込むやつがあるか!」

 見知らぬ茶髪イケメンにジョーと呼ばれ、怒鳴られつつも助けられた。
 いや、でも俺は彼を……知っている気もする。

 俺ではなく、この体が……?
 でも俺の名前はジョーなんて名前ではなく、宗雄だし、そして俺をジョーと呼ぶ彼の名前は……なんだっけか?
 頭がクラクラする。



「……どちら様?」
「溺れたショックで幼馴染みの乳兄弟の名前も忘れたのか! 僕はユージーンだよ!」

 そうか、君はユージーン君ていうのか。

 でも、俺の名前は立木宗雄、日本人だ。
 本来、ジョーではない。
 ブラック企業の会社員で会社の帰り、自宅の玄関前で過労死……したんだった。

 思い……出した。
 アパートの大家さん、事故物件みたいになってすみません。

 そしてだ、池で溺れていたらユージーンに助けられた。
 これ、もしかして流行りの異世界転生とか憑依的な何かなのか?
 夢でないのなら……。

 いつの間にか、執事やメイドのような姿の人達が集まって来て俺をジョー坊ちゃまと呼び、貴族のお屋敷の中に連れて行き、濡れた服を脱がされて今は風呂の中だ。

 今が夏だったので、凍えてはいないが入ったのが池だもんな、水は……特に綺麗とも言えない。


 風呂から上がると脱衣場に着替えがあったのでそれを着た。
 姿見の鏡があった。
 ワーオ。
 銀髪に琥珀色の瞳のイケメンの青年がいる。

 年齢は17、18歳くらいの白い肌の西洋人風。
 これが、俺!?
 やはりこれ、ラノベや漫画でよく見る異世界憑依転生ってやつか!? 
 言葉がわかるのは肉体の記憶なんだろうか。
 とにかくそこは助かった。

 その後、幼馴染らしきイケメンに部屋に案内され、安静にしていろとベッドに入れられた。

 彼に色々説明をもとめると、ユージーンは気の毒そうな顔をして、色々教えてくれた。
 ユージーンは俺の乳母の子で、ぶっちゃけ使用人の子だが、乳兄弟となるから親しいわけだ。

 彼の情報によれば今の俺、ジョーことジョーベルト・ディオー・ビニエスは、ビニエス侯爵家、貴族様の三男で、魔力が無いのを理由に婚約破棄されたショックで侯爵家の広い敷地内にある池で入水自殺を図った……ということらしい。

 せっかくイケメンに産まれたのに魔力無しって理由で婚約破棄された事が、そんなにショックだったのかと気の毒に思っていると、またもや試練が。

 荒々しい足音と激しく開けられた扉から飛び込んで来たおヒゲの親父。
 これは説明されずとも、この身の記憶が引き出されて分かった。


「ジョーベルト! 貴様、婚約破棄された挙げ句に入水自殺を図り、死に損なったとは、なんたる情けなさ! お前のような軟弱で魔力も持たない失敗作は明日にはもうこの家から出ていけ!」

 これが、貴族の三男のジョーの父親のセリフである。
 赤の他人の俺すら胸が痛む。
 婚約破棄から家門追放のセットかよ!
 不遇にも程がある!

 しかしとにかく追放までされると色々やばい。
 ここは見知らぬ異世界のようだし、絶対にお金はいるだろう。


「わかりました。出て行きますけど、しばらく生きていけるくらいのお金くらいはください。家門の恥となるのが嫌なんでしょう? 食べ物を買う金もないとほら……困りますしね?」

 さり気なく脅迫めいたことも言う。
 背に腹は代えられない。


「チッ、確かに盗人にまで成り下がるのも困る。多少の手切れ金をくれてやる!」
「ありがとうございます」

 無一文でつまみ出されるのは回避した!
 でも多少なのか、ケチだな。


「だ。旦那様、いくらなんでもあんまりな」

 ユージーンが俺をかばおうとしてくれたが、

「歯向かうならお前もクビだ!」

 血も涙も無いらしいな、このくそ親父。
 まあ、金くれるだけマシか。


「分かりました、私も出て行きます」
「ちょっ、ユージーンまでなんで!」

「ジョー坊ちゃん、もういいですから、乳母だった母も、騎士だった父も、もうこの世にはいないので」

 そうだったのか……。
 そして侯爵の前だと俺相手でも敬語になるらしい。
 夕食は、使用人に出すような硬いパンと野菜くずのスープのみだった。



 * * *

 それから、翌朝。
 また硬いパンと野菜くずの入ったスープのみの食事を出され、無いよりマシだと言うように黙々と食った。

 使用人の冷ややかな視線は、スルーする。


 いざ出発の時には、ジョーは母にも兄達にも引き止められないどころか、やはり軟弱な無能だと罵られ、追放された。腹立つ!

 ユージーンと共に正門から出たところで、俺は一度だけ振り返り、見上げた。
 大きなお屋敷の背後には、鬱蒼とした森がある。

 俺的にはとても短い貴族生活だった。
 旨味がなかったんだけど、もっとこう、贅沢な暮らしってもしてみたかったが、奴隷スタートよりはマシってくらいか?

 そんで追放ならもう平民落ちだよな?
 ユージーンまで巻き添えにされて。
 辛い……。


 空には暗雲が広がり、雨が降って来そうだった。
 自然と早足になる。


「ごめん、完全に巻き添えだよな、ユージーンにとっては」
「溺れたショックで記憶もあやふやなジョーをほっとけるわけないだろ、俺も一緒に行くよ」


 ユージーンは俺付きの使用人。
 しかし彼の父親は騎士だったせいか腰には剣があった。
 護身用にも役に立つだろう。


「どこに行くかも決まってないのにな。ユージーンがお人好しで善良なのは分かった」

 しかも俺、中身が別人なんだ、すまない。
 などと思いつつも、一人ではあまりにも不安だ。

 二人で侯爵邸の敷地を出て、何故かすぐに街道を外れた。
 俺はユージーンの先導で林の中を歩いていたが、彼が急に険しい表情になり、もっと林の奥へと俺を茂みの中に引っ張った。


「なに? ユージーンどうした?」
「蹄の音だ、静かに」


 ユージーンが俺の頭を押さえた。
 頭を低くして、茂みの中に隠れろと言う事らしい。
 しばらくして数人の騎馬が街道を走ってきて、止まった。



「おい、あの二人はどこに行ったんだ!?」
「しまったな、領地を出る前に始末しろと言われていたのに」


 もしや父たる侯爵に!? それか兄弟!?
 どのみち身内には違いないな。
 このパターンだと。
 俺はよくラノベ読んでたからわりと詳しいんだ。


「もしかして街ではなく、森の方に行ったのでは?」
「はぁ!? 逆方向か!? 正門から出たという報告を聞いたぞ!」
「途中から引き返したかもしれない! 戻って森を捜索するぞ!」


 騎馬達は来た道を戻って行った。
 屋敷の反対側には深い森がある。 


 ……。
 もしかして、手切れ金も少なかったのは、殺す気だったから?
 無能の恥さらしはさっさと死ねと?
 なんて親だ。
 ユージーンはこの事を見越して分かりやすい街道からそれて林の中を歩いたんだ。


「行ったみたいだ。ひとまず林をぬけたら……平民の服を買ってから領内から出よう。その仕立ての良い服は目立つし僕とはサイズが違うから」


 この世界の貴族は基本的には魔力がある。
 たまに運悪く魔力無しが生まれるが、たいてい不遇な扱いなんだそうだ。

 そんな中、一応魔力無しの無能でもジョーは服くらいはまともなものをもらってはいたようだ。
 世間体を気にしただけだろうが。

 中古の平民の服を買ってから、俺達は二人して屋台で串焼きを買い、公園の茂みの中で隠れるようにして食事をすませたところで、ついに雨が降ってきた。


「次はどこに行く?」

 雨に濡れながら、俺はノープランも甚だしいことを口にした。 

「ジョーはどこか行きたいとこある?」

 ここがなんて国かもわからないというのに、それを聞かれてもな。


「どこか、俺を知らない国、治安が良くて景気もいいとこってどこか分かる?」

 どうせ婚約破棄の噂は社交界ってとこで回ってるんだろうし、追手まで送られて来たし。
 いっそ他国だよな、ここは。


「じゃあ、ひとまず海の方角に行こうか。そこからこの領地を出て船で隣国ツェーザルロへだ。山越えは山賊が出ることが多いから海路を」

 山賊!! 物騒だな!

「海賊はいないのか?」
「いるだろうけど山賊よりは遭遇率は低いんじゃないかな」
「そうか、じゃあ船旅と洒落込もうか」


 正直、追い出されても一人ではないことが、ありがたかった。
 ジョーは家族には愛されなかったよつだが、乳母の子と仲がよかったみたいで、そこは救いだ。

 池に飛び込んだ人間をわざわざ自分も飛び込んで助けるなんて、よっぽど友情が厚いよ。

 海までは乗り合い馬車ってやつを使って移動する。
 多少なりとも路銀があってよかったぜ。
 貴族の服も一着だけ残してほとんど売り払った。



 何故一着だけ残したかと言うと、変装が必要な場面があるかもしれないから。

 ところで、追放ものの小説のセオリーでは、このあと神スキルとかゲットするもんじゃないんだろうか?
 スライムとか魔物倒してレベルアップが必要なんだろうか?


 潮風が吹き抜ける港に到着し、俺達は乗り合い馬車から降りた。
 いざ、旅立ちの時だ。


「なあ、ユージーン、この世界に魔物って……」
「いるに決まってるだろ。貴族はその魔物を狩れる魔力や武力を持つものが尊ばれるんだし」

「平民の冒険者とかいないのかな?」
「いるけど貴族ほどの強さはないのがほとんどだよ」
「……いないことはないんだな」
「ほんとに色々忘れてしまったんだな」

 うっ!

「一般常識すら欠落しててすまない……」
「まあ、仕方ない。ところでジョーは冒険者になりたいのか?」

「いや、どこかで平穏に生きたい。食堂か宿屋で飯でも作って」
「飯?」

 やべぇ、元の世界の俺は両親に蒸発されて天涯孤独で、施設暮らしの後は一人暮らしで長く飯は自分で作っていたから、つい。


「え、いや、戦うよりはさ、安全だろ? 冒険者なんかやったら俺についてきてくれてるお前まで危険に晒す羽目になるし」
「それはまあ、そうだろうけど、料理なんてしたことなかったろ?」

 それは落ちこぼれの三男でもこれまでは貴族の端くれだったからな。


 俺とそんな会話をしつつもユージーンは船旅に必要なものを港にあるお店で購入していく。


「やればできると思う! 料理の本は読んだ事があるし!」


 これは嘘ではない。
 日本で料理本は買って読んでたし、スマホで料理動画見たりもしたし。


「ツェーザルロ行き! ツェーザルロ行きの船に乗る方はそろそろ乗船してくださーい!」
「あ、ジョー、あの船だからもう行かないと」
「そうだな」


 船乗りに急かされて、逆に背中を押してもらえた気がする。
 俺達は乗船した。

 船にかかかる橋を渡ると波のせいか足元が揺れ、やや不安を煽るけど、せっかくもらった第二の人生、やれるとこまでやるしかない。
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