33 / 125
33 出発前の記念撮影
しおりを挟む
俺は大森林に向かう前に動きやすそうな冒険者の服を買って着てみた。
これもまた異世界ファンタジー感があってなんか嬉しい。
こっちで着ればいい歳こいてコスプレする男とか言われないし、普通に旅の服だし。
魔道具には電池代わりの魔石を嵌める箇所があるから、魔力の補充がキツでも指先でできるか分からない俺は、念のため、予備の魔石と魔力を帯びた指輪も買った。
大森林の村に調味料があるという話が万が一がせネタでも、獣人の獣耳っ娘くらいはいるはずだから、頼み込んで撮らせて貰おう。
とりあえず思い出の灯台の写真なども撮ってみた。
ここで神スキルに目覚めたから記念にだ。
ユージーンと灯台のセットも絵になるから撮らせてもらった。
滞在中のオラール侯爵領内の神殿まで転移陣で令嬢達が見送りに来てくれるから、ユージーンや騎士達と記念撮影もしたいな。
多分彼女らなら撮影の仕方がわかるからシャッターを押す役をお願いしたい。
◆◆◆
そしてついに大森林へ向かう時が来た。
ちょうど夏が終わりかけってとこだ。
寒くも暑くもない感じの初秋。
当日は約束通りにゲートのあるオラール侯爵領の神殿まで令嬢達が見送りに来てくれた。
彼女達はいつもドレス姿だけど、今日はひときわ気合いを入れているように見える。
騎士達も準備万端の様子。
「レディ達、よければ出発前に記念撮影をしたいのですが」
「「「はい! 喜んで!!」」」
俺が騎士達と撮ってくれと言おうとしたらレディ達と一緒に撮影する流れになったが、これもまたよし。
レディ達や騎士達との撮影は侍女のサーラさんがやってくれた。
令嬢達と楽しく写真撮影会などをしていると、王弟殿下と、最後のパーティー仲間のクレリックと魔法使いが到着した。
なんと二人とも女性だ!!
レディ達の目つきが急に鋭くなった。
「ええと、同行してくれる魔法使いと僧侶は女性だったんですか?」
俺が戸惑いを隠せないまま王弟殿下に話しかけると、
「男ばかりだと潤いが足らんと言うか、士気にかかわるといかんからな! わはは」
そんな答えがわはは笑いと共に帰ってきた。
トイレとか着替えとか女性二人は大丈夫かな?
「まあ……女性に大森林の旅など、大丈夫なのかしら? キツイのではなくて? 魔物も虫もいると思うのだけど」
レベッカ様が、二人の女性に問いかける。
まるで圧迫面接のようだ。
「大丈夫です。このマーヤ・レイダ。足手まといにはなりません」
と、語る黒髪パッツンストレートのスレンダーな魔法使いは覚悟完了の顔をしていた。かたや巫女さんの方は、
「困っている人を助けるのが神に仕える我々の務めであり、使命です。精一杯頑張ります」
この、答え! 流石の巫女さん!!
人助け、俺達を助ける為に来てくれたのか!
巫女さんの外見はプラチブロンドに青い瞳のおおらかそうなお姉さんだ。
どちらも年齢は18歳から20歳くらいだ。
「そ、そう、ではネオ様のことは絶対に守ってくださいね」
「「はい!」」
レベッカ様も王弟殿下の選んだ二人にこれ以上下手なことは言えないから引き下がった。
「では、全員揃った事だし、出発だな」
「はい、皆様見送りありがとうございました!」
俺達は最後にもう一度記念撮影をした。
今度は王弟殿下まで入っていて豪華!
撮影は神殿の神官がしてくれた。
そしてついに大森林の最寄りの神殿行きのゲートに行くため、魔法陣の中に入った。
ドキドキの瞬間。
俺達パーティーが全員魔法陣に入ったところで、足元が光りだした。
そして、俺達は転移した。
来たぞ! 大森林の最寄り神殿へ!
俺は神殿でゴスペルを一曲分聞き、寝る時に使う魔除けの聖水を買ってから外に出た。
見上げた秋空には鱗雲が見える。
清々しい。
俺達は大き目の幌馬車を手配して森近くまで向かった。
大森林へ向かう幌馬車の後ろから景色を眺めていると、冒険者らしき一党の姿も見えた。
「彼等は大森林へ何を目指して行くのでしょう?」
「それはもちろん魔物の素材でしょう。
爪、牙、皮、肉、魔石、いろんな素材が穫れます」
俺の問いに答えてくれたのはニコレット様の家から来た太もものセクシーな騎士だった。
ついでに魔法使いの女性にも質問。
「そういえば魔法使いのマーヤさんは何故この旅に?」
「この旅に参加すれば一気に借金が返せるので」
「借金……」
そ、そんな理由があったのか!
「魔法の研究には高価な魔石や薬草、魔法素材でとにかくお金がかかるのです」
「なるほど! ところで巫女さんのお名前は?」
「私の名はレリアです。徳を積むと治癒力が高まると言われておりますから、修行の一環でこの依頼をうけましたの」
「徳を! 流石クレリックですね!」
俺達は揺れる馬車の中でそのような雑談をしつつ、親睦を深めていった。
これもまた異世界ファンタジー感があってなんか嬉しい。
こっちで着ればいい歳こいてコスプレする男とか言われないし、普通に旅の服だし。
魔道具には電池代わりの魔石を嵌める箇所があるから、魔力の補充がキツでも指先でできるか分からない俺は、念のため、予備の魔石と魔力を帯びた指輪も買った。
大森林の村に調味料があるという話が万が一がせネタでも、獣人の獣耳っ娘くらいはいるはずだから、頼み込んで撮らせて貰おう。
とりあえず思い出の灯台の写真なども撮ってみた。
ここで神スキルに目覚めたから記念にだ。
ユージーンと灯台のセットも絵になるから撮らせてもらった。
滞在中のオラール侯爵領内の神殿まで転移陣で令嬢達が見送りに来てくれるから、ユージーンや騎士達と記念撮影もしたいな。
多分彼女らなら撮影の仕方がわかるからシャッターを押す役をお願いしたい。
◆◆◆
そしてついに大森林へ向かう時が来た。
ちょうど夏が終わりかけってとこだ。
寒くも暑くもない感じの初秋。
当日は約束通りにゲートのあるオラール侯爵領の神殿まで令嬢達が見送りに来てくれた。
彼女達はいつもドレス姿だけど、今日はひときわ気合いを入れているように見える。
騎士達も準備万端の様子。
「レディ達、よければ出発前に記念撮影をしたいのですが」
「「「はい! 喜んで!!」」」
俺が騎士達と撮ってくれと言おうとしたらレディ達と一緒に撮影する流れになったが、これもまたよし。
レディ達や騎士達との撮影は侍女のサーラさんがやってくれた。
令嬢達と楽しく写真撮影会などをしていると、王弟殿下と、最後のパーティー仲間のクレリックと魔法使いが到着した。
なんと二人とも女性だ!!
レディ達の目つきが急に鋭くなった。
「ええと、同行してくれる魔法使いと僧侶は女性だったんですか?」
俺が戸惑いを隠せないまま王弟殿下に話しかけると、
「男ばかりだと潤いが足らんと言うか、士気にかかわるといかんからな! わはは」
そんな答えがわはは笑いと共に帰ってきた。
トイレとか着替えとか女性二人は大丈夫かな?
「まあ……女性に大森林の旅など、大丈夫なのかしら? キツイのではなくて? 魔物も虫もいると思うのだけど」
レベッカ様が、二人の女性に問いかける。
まるで圧迫面接のようだ。
「大丈夫です。このマーヤ・レイダ。足手まといにはなりません」
と、語る黒髪パッツンストレートのスレンダーな魔法使いは覚悟完了の顔をしていた。かたや巫女さんの方は、
「困っている人を助けるのが神に仕える我々の務めであり、使命です。精一杯頑張ります」
この、答え! 流石の巫女さん!!
人助け、俺達を助ける為に来てくれたのか!
巫女さんの外見はプラチブロンドに青い瞳のおおらかそうなお姉さんだ。
どちらも年齢は18歳から20歳くらいだ。
「そ、そう、ではネオ様のことは絶対に守ってくださいね」
「「はい!」」
レベッカ様も王弟殿下の選んだ二人にこれ以上下手なことは言えないから引き下がった。
「では、全員揃った事だし、出発だな」
「はい、皆様見送りありがとうございました!」
俺達は最後にもう一度記念撮影をした。
今度は王弟殿下まで入っていて豪華!
撮影は神殿の神官がしてくれた。
そしてついに大森林の最寄りの神殿行きのゲートに行くため、魔法陣の中に入った。
ドキドキの瞬間。
俺達パーティーが全員魔法陣に入ったところで、足元が光りだした。
そして、俺達は転移した。
来たぞ! 大森林の最寄り神殿へ!
俺は神殿でゴスペルを一曲分聞き、寝る時に使う魔除けの聖水を買ってから外に出た。
見上げた秋空には鱗雲が見える。
清々しい。
俺達は大き目の幌馬車を手配して森近くまで向かった。
大森林へ向かう幌馬車の後ろから景色を眺めていると、冒険者らしき一党の姿も見えた。
「彼等は大森林へ何を目指して行くのでしょう?」
「それはもちろん魔物の素材でしょう。
爪、牙、皮、肉、魔石、いろんな素材が穫れます」
俺の問いに答えてくれたのはニコレット様の家から来た太もものセクシーな騎士だった。
ついでに魔法使いの女性にも質問。
「そういえば魔法使いのマーヤさんは何故この旅に?」
「この旅に参加すれば一気に借金が返せるので」
「借金……」
そ、そんな理由があったのか!
「魔法の研究には高価な魔石や薬草、魔法素材でとにかくお金がかかるのです」
「なるほど! ところで巫女さんのお名前は?」
「私の名はレリアです。徳を積むと治癒力が高まると言われておりますから、修行の一環でこの依頼をうけましたの」
「徳を! 流石クレリックですね!」
俺達は揺れる馬車の中でそのような雑談をしつつ、親睦を深めていった。
213
あなたにおすすめの小説
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる