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76 君が灯をともす
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俺はニコレット様と竹灯籠の小道をエスコートしながら歩いた。
池に続く小道を歩いて、俺は池の前で紙の灯籠を乗せる船を魔法陣の書いてある布から取りだした。
「ニコレット様、どうぞ、このキャンドルに火を灯して下さい」
「はい……」
ニコレット様は魔法で指先に小さな火を出したと思ったらそれでキャンドルに火をつけた。
流石だ!
そのへんにあるキャンドルの火を取って渡そうかと思ったら、必要なかった。
紙の灯籠の内側で、温かな火が灯る。
「さぁ、行け」
池に浮かべると、風が吹いて灯籠を動かした。
これも魔法かもしれない。
池の中央をめざして、池の四方から船が流れていく。
俺が紙灯籠を池に流したら、同じようにしてくれとあらかじめ指示していた。
「今日は私からお願いがあります」
「はい?」
すうと、深く息を吸った後、ニコレット様は俺を真っ直ぐ見つめて口を開いた。
「銀の皿、匙、それぞれ100、羊、ヤギ、子牛それぞれ550匹、豚1000匹、馬200頭、絹500反、王都のタウンハウス一軒、宝石箱を5つほど満たした額で、私の持参金とします」
「持参金!?」
「私をあなたの妻にして欲しいのです。側室も持ってくだって構いません」
ぎゃ、逆プロポーズが来てしまった!!
確かにあのマギアストームという厄介な病持ちで、発作の度に俺に胸を触られるのだから、それが一番丸い収め方だ。
「申し訳ありません」
一気に、彼女の顔色が青くなる。
「足りませんか!? ならもっと」
「いいえ、違います。女性からそんなことを言わせてしまった事に対する謝罪です」
「では……」
ニコレット様の、声は震えている。
そして思い出したが、貴族ってそういや条件で結婚するもんなんだよ。
でも、それだけじゃないのも、今の彼女の潤んだ瞳を見れば分かる。
「私と結婚してください」
今度は、俺から言った。
「はい!!」
「あーっ! では私、レベッカも! 第二夫人でかまわないので!」
「ではわたくしは第三夫人でお願いしますわ!!」
レベッカ嬢とエマ嬢まで駆けつけて叫んだ。
俺の妻、三人もできるの!?
でも皆、同じ病を抱えてるし、一人だけ選ぶのも気の毒だ。
唖然としつつも、流されそうな俺がいる。
「おめでとう、ネオ」
ユージーンが現れた。
「ユージーン!」
「この三人の令嬢達なら、絶対に婚約破棄なんかしないよ」
確かにこの三人に限っては、命がかかってるから、そんな事はしないだろう。
ずっと、あの一件のせいで、色恋をなるべく遠ざけていたつもりだったが、ずっと暖かい家庭、家族は欲しかったから……。
これでいいのかもしれない。
「分かりました、三人とも妻にします」
わーーっ!!
と、周囲の村人達からも歓声が上がり、拍手が響き、更には上空から花が降ってきた。
なんと、黒髪の男爵令嬢とソル卿がヤグラから花を撒いていたのだ。
いつの間に登った!?
公開プロポーズが派手すぎる。
そして響く足音。
「ネオ、けっこんしたの!?」
「こら! アルテ! 子爵様を呼び捨てしないの!」
さっきまでプリンに夢中だったアルテちゃんも走って来て、追って来たエイダさんが慌ててたしなめている。
「いや、まだプロポーズされて返事しただけなので婚約状態だ、結婚式はまだ先だよ」
「……」
何やら不安げな顔をしてるアルテちゃん。
「大丈夫、結婚しても二人の事は側に置いて守るからな」
「アルテとエイダのこと、すてない?」
「捨てたりなんかしないさ。構いませんよね?」
一応夫人になる人達にお伺いをたてる。
「「「構いませんわ」」」
皆、構わないと言ってくれて良かった。
多分元々連れて来てたのを知ってるから、大丈夫だろうとは思ったけど、無理って言われたら俺からさっきのは無かった事にって謝らないといけなかった。
──そうして……いつしか賑やかなダンス用の曲が流れ出し、領民が楽しげに踊り出した。
収穫祭の時もこんなダンスを見た気がする。
「ネオ様、私達も踊りましょう?」
ニコレット様、いや、ニコレットが俺に手をさしのべる。
「そうですね、では順番に」
こうして、驚きの逆プロポーズの灯籠祭りの夜は更けていき、池の中央では船の上の美しい灯りまでも、踊るようにくるくると回っていた。
池に続く小道を歩いて、俺は池の前で紙の灯籠を乗せる船を魔法陣の書いてある布から取りだした。
「ニコレット様、どうぞ、このキャンドルに火を灯して下さい」
「はい……」
ニコレット様は魔法で指先に小さな火を出したと思ったらそれでキャンドルに火をつけた。
流石だ!
そのへんにあるキャンドルの火を取って渡そうかと思ったら、必要なかった。
紙の灯籠の内側で、温かな火が灯る。
「さぁ、行け」
池に浮かべると、風が吹いて灯籠を動かした。
これも魔法かもしれない。
池の中央をめざして、池の四方から船が流れていく。
俺が紙灯籠を池に流したら、同じようにしてくれとあらかじめ指示していた。
「今日は私からお願いがあります」
「はい?」
すうと、深く息を吸った後、ニコレット様は俺を真っ直ぐ見つめて口を開いた。
「銀の皿、匙、それぞれ100、羊、ヤギ、子牛それぞれ550匹、豚1000匹、馬200頭、絹500反、王都のタウンハウス一軒、宝石箱を5つほど満たした額で、私の持参金とします」
「持参金!?」
「私をあなたの妻にして欲しいのです。側室も持ってくだって構いません」
ぎゃ、逆プロポーズが来てしまった!!
確かにあのマギアストームという厄介な病持ちで、発作の度に俺に胸を触られるのだから、それが一番丸い収め方だ。
「申し訳ありません」
一気に、彼女の顔色が青くなる。
「足りませんか!? ならもっと」
「いいえ、違います。女性からそんなことを言わせてしまった事に対する謝罪です」
「では……」
ニコレット様の、声は震えている。
そして思い出したが、貴族ってそういや条件で結婚するもんなんだよ。
でも、それだけじゃないのも、今の彼女の潤んだ瞳を見れば分かる。
「私と結婚してください」
今度は、俺から言った。
「はい!!」
「あーっ! では私、レベッカも! 第二夫人でかまわないので!」
「ではわたくしは第三夫人でお願いしますわ!!」
レベッカ嬢とエマ嬢まで駆けつけて叫んだ。
俺の妻、三人もできるの!?
でも皆、同じ病を抱えてるし、一人だけ選ぶのも気の毒だ。
唖然としつつも、流されそうな俺がいる。
「おめでとう、ネオ」
ユージーンが現れた。
「ユージーン!」
「この三人の令嬢達なら、絶対に婚約破棄なんかしないよ」
確かにこの三人に限っては、命がかかってるから、そんな事はしないだろう。
ずっと、あの一件のせいで、色恋をなるべく遠ざけていたつもりだったが、ずっと暖かい家庭、家族は欲しかったから……。
これでいいのかもしれない。
「分かりました、三人とも妻にします」
わーーっ!!
と、周囲の村人達からも歓声が上がり、拍手が響き、更には上空から花が降ってきた。
なんと、黒髪の男爵令嬢とソル卿がヤグラから花を撒いていたのだ。
いつの間に登った!?
公開プロポーズが派手すぎる。
そして響く足音。
「ネオ、けっこんしたの!?」
「こら! アルテ! 子爵様を呼び捨てしないの!」
さっきまでプリンに夢中だったアルテちゃんも走って来て、追って来たエイダさんが慌ててたしなめている。
「いや、まだプロポーズされて返事しただけなので婚約状態だ、結婚式はまだ先だよ」
「……」
何やら不安げな顔をしてるアルテちゃん。
「大丈夫、結婚しても二人の事は側に置いて守るからな」
「アルテとエイダのこと、すてない?」
「捨てたりなんかしないさ。構いませんよね?」
一応夫人になる人達にお伺いをたてる。
「「「構いませんわ」」」
皆、構わないと言ってくれて良かった。
多分元々連れて来てたのを知ってるから、大丈夫だろうとは思ったけど、無理って言われたら俺からさっきのは無かった事にって謝らないといけなかった。
──そうして……いつしか賑やかなダンス用の曲が流れ出し、領民が楽しげに踊り出した。
収穫祭の時もこんなダンスを見た気がする。
「ネオ様、私達も踊りましょう?」
ニコレット様、いや、ニコレットが俺に手をさしのべる。
「そうですね、では順番に」
こうして、驚きの逆プロポーズの灯籠祭りの夜は更けていき、池の中央では船の上の美しい灯りまでも、踊るようにくるくると回っていた。
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