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93 宴
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「ユージーンは本当に忙しいとこ来てくれて、ありがとうな、そしてお疲れ様」
「事情が事情なので正式な騎士になるのに必要なものは後で送ってくれるらしいから大丈夫だよ」
「そうか」
「では、これから村長のとこから馬を回収して、次はエマ嬢の領地の視察へ?」
「ああ、ええっと……」
俺達は疲労でろくに頭が回らなくなって来ていた。
登山とか下山とか、移動だけでかなり疲れるから。
「ネオ様お待ちください! まだ売りさばくドラゴン素材代金の配分も終わってなければ、持参金の中に入っていた山の管理も話も終わってませんわ! 数日間は当家にお泊まりください!」
俺達の話を聞きつけたレベッカが駆け込んで来た。
「……あ、そうか、じゃあしばらくはレベッカの領地にいるか。ユージーンも伯爵家の屋敷についてきてくれるか」
「うん、分かった」
「お二人の部屋はちゃんと用意してありますので!」
そんな訳で、我々はひとまず村長のところで預けていた馬の回収をして、伯爵家に向かう事となった。
馬で伯爵家に到着してからは、用意されていた部屋でひとまず寝た。
疲れていたから、ユージーンも寝た。
翌朝まで、しっかり寝て……起きた。
それからドラゴンの素材を伯爵領の素材ギルドに見積もりに出してから連絡待ちをする。
山の水の方も魔法使いの研究施設に成分分析のようなものをしてもらった。
資産価値が高いなら侵入禁止エリアも作るべきなんだろうか?
でももともとあの近くで住んでた人にそれはもうし訳ない気が……。
そもそも山の下から中腹あたりまでは獣を狩ったり、山菜採りや薪拾いをする人などもいるから、やはり近隣の村人の立ち入り禁止は申し訳なくてできない。
しばらくはドラゴンの血がうんたらかんたらで、危険があるかも知れないから上の方は行くなとはお触れを出しておくけど。
* * *
「伯爵領で宴を開く?」
「それはそうです! ドラゴンを倒した英雄がいますので」
お茶の時間にレベッカにそのようなことをいわれた。
「あー、なるほど」
冷静になれば宴をするレベルの偉業だ。
なにしろドラゴンだ、そのへんのトカゲを退治した訳ではない。
次から次に金がかかるイベントが来ることに、元庶民の俺的には軽く戦慄を覚える。
「あ、と言っても参加者を労うもので、そこまで大規模なものではございません、予算も伯爵家が出しますわ」
「あ、そうなんだな」
正直ホッとした。
まだ夫人達の部屋の調度品の品質で悩んでるレベルだから正直助かる。
しかし、婚約式と本番の結婚式と、夫人達の部屋の予算で頭を悩ませているのを、見透かされたかな?
男として……情けないかも。
──でも、子爵として叙爵した時の口からのお祝いの資金も無限に湧いてくる訳ではないからな。
なにしろ妻も三人いるし。
俺が仕事の書類をさばいている間にも、宴の用意は進められた。
◆ ◆ ◆
「宴の時は、レベッカ様と踊るとかしたほうがいいような気がするよ」
ユージーンがそんな提案をしてきた。
さっき俺達は応接室で宴の時の衣装合わせをしてきた所なんだが、
「え? レベッカとダンスを踊れって?」
「そうだよ、たまに貰ってたネオからの近況報告の手紙からでも、レベッカ様とはまだ二人きりでのデートもしてあげてないような気がするし」
「確かに……ニコレットとはデートしたけど他二人とはまだだったな。なんかやることが多くてさぁ……」
「レディから不満が出る前になにかしたほうがいいよ」
「わ、分かった」
──例えば猫なら、膝に乗せて撫でてればいいと思うが、貴族女性はどうやって可愛がればいいんだ?
芝居かオペラのコンサートにでも誘うべきか?
遊園地も水族館も映画館もないんだよ、この世界は。まあ、ひとまずは忠告通り、俺からダンスにでも誘ってお茶をにごすけども。
そして衣装合わせの後に、俺の滞在している部屋に戻ろうとした時、執事が箱入りの荷物を持ってきた。
「子爵様、魔法使いのマーヤ様からのお届けものです」
「お、待ってました! 間に合って良かった!」
* * *
──宴の時が来た。
もちろん討伐に参加した騎士や傭兵が多い。
彼らはただ酒と料理に素直に喜んでいるようでよかった。
そして宴会場の壇上にて、MVPのユージーンにはマーヤに頼んでいたものを俺から手渡す。
ホントは騎士のお祝いとしてサプライズプレゼントとして用意していたものだった。
オリハルコンの剣と同じように。
「これは……」
「魔法の収納布だ。マーヤに依頼し、彼女が頑張って作ってくれた」
そのせいで疲労してたから今回の戦いにはコニーしか居なかったわけだ。
「とても便利なものをありがとうございます」
「しかし容量には限りがあるし、命のないものしか入らないからな」
「予備の剣や装備が入るだけでもだいぶ助かります」
そして進言された通り、宴ではレベッカをダンスに誘ってみたりした。
俺の提案で伯爵邸の庭の紅葉する木を魔法の灯りがライトアップしていて、その幻想的な景色の中で俺達は踊ったから、ムードはあったと思う。
夜の木々をライトアップする発想はこちらの人にはなかったようなので、観光地に使えるアイデアだと伯爵も喜んでいた。
この地は本当に紅葉の美しい地だから、いいと思うよ。
それと頭を悩ませてる資金問題だが、ドラゴンの素材がけっこうな値段で売れるようなので良かった。
命がけの戦闘に参加した者にも当然分配されるけど、俺の領地の獲物となっていたので、俺もそこそこ貰える。
夫人達の部屋の調度品の代金に使おう。
「事情が事情なので正式な騎士になるのに必要なものは後で送ってくれるらしいから大丈夫だよ」
「そうか」
「では、これから村長のとこから馬を回収して、次はエマ嬢の領地の視察へ?」
「ああ、ええっと……」
俺達は疲労でろくに頭が回らなくなって来ていた。
登山とか下山とか、移動だけでかなり疲れるから。
「ネオ様お待ちください! まだ売りさばくドラゴン素材代金の配分も終わってなければ、持参金の中に入っていた山の管理も話も終わってませんわ! 数日間は当家にお泊まりください!」
俺達の話を聞きつけたレベッカが駆け込んで来た。
「……あ、そうか、じゃあしばらくはレベッカの領地にいるか。ユージーンも伯爵家の屋敷についてきてくれるか」
「うん、分かった」
「お二人の部屋はちゃんと用意してありますので!」
そんな訳で、我々はひとまず村長のところで預けていた馬の回収をして、伯爵家に向かう事となった。
馬で伯爵家に到着してからは、用意されていた部屋でひとまず寝た。
疲れていたから、ユージーンも寝た。
翌朝まで、しっかり寝て……起きた。
それからドラゴンの素材を伯爵領の素材ギルドに見積もりに出してから連絡待ちをする。
山の水の方も魔法使いの研究施設に成分分析のようなものをしてもらった。
資産価値が高いなら侵入禁止エリアも作るべきなんだろうか?
でももともとあの近くで住んでた人にそれはもうし訳ない気が……。
そもそも山の下から中腹あたりまでは獣を狩ったり、山菜採りや薪拾いをする人などもいるから、やはり近隣の村人の立ち入り禁止は申し訳なくてできない。
しばらくはドラゴンの血がうんたらかんたらで、危険があるかも知れないから上の方は行くなとはお触れを出しておくけど。
* * *
「伯爵領で宴を開く?」
「それはそうです! ドラゴンを倒した英雄がいますので」
お茶の時間にレベッカにそのようなことをいわれた。
「あー、なるほど」
冷静になれば宴をするレベルの偉業だ。
なにしろドラゴンだ、そのへんのトカゲを退治した訳ではない。
次から次に金がかかるイベントが来ることに、元庶民の俺的には軽く戦慄を覚える。
「あ、と言っても参加者を労うもので、そこまで大規模なものではございません、予算も伯爵家が出しますわ」
「あ、そうなんだな」
正直ホッとした。
まだ夫人達の部屋の調度品の品質で悩んでるレベルだから正直助かる。
しかし、婚約式と本番の結婚式と、夫人達の部屋の予算で頭を悩ませているのを、見透かされたかな?
男として……情けないかも。
──でも、子爵として叙爵した時の口からのお祝いの資金も無限に湧いてくる訳ではないからな。
なにしろ妻も三人いるし。
俺が仕事の書類をさばいている間にも、宴の用意は進められた。
◆ ◆ ◆
「宴の時は、レベッカ様と踊るとかしたほうがいいような気がするよ」
ユージーンがそんな提案をしてきた。
さっき俺達は応接室で宴の時の衣装合わせをしてきた所なんだが、
「え? レベッカとダンスを踊れって?」
「そうだよ、たまに貰ってたネオからの近況報告の手紙からでも、レベッカ様とはまだ二人きりでのデートもしてあげてないような気がするし」
「確かに……ニコレットとはデートしたけど他二人とはまだだったな。なんかやることが多くてさぁ……」
「レディから不満が出る前になにかしたほうがいいよ」
「わ、分かった」
──例えば猫なら、膝に乗せて撫でてればいいと思うが、貴族女性はどうやって可愛がればいいんだ?
芝居かオペラのコンサートにでも誘うべきか?
遊園地も水族館も映画館もないんだよ、この世界は。まあ、ひとまずは忠告通り、俺からダンスにでも誘ってお茶をにごすけども。
そして衣装合わせの後に、俺の滞在している部屋に戻ろうとした時、執事が箱入りの荷物を持ってきた。
「子爵様、魔法使いのマーヤ様からのお届けものです」
「お、待ってました! 間に合って良かった!」
* * *
──宴の時が来た。
もちろん討伐に参加した騎士や傭兵が多い。
彼らはただ酒と料理に素直に喜んでいるようでよかった。
そして宴会場の壇上にて、MVPのユージーンにはマーヤに頼んでいたものを俺から手渡す。
ホントは騎士のお祝いとしてサプライズプレゼントとして用意していたものだった。
オリハルコンの剣と同じように。
「これは……」
「魔法の収納布だ。マーヤに依頼し、彼女が頑張って作ってくれた」
そのせいで疲労してたから今回の戦いにはコニーしか居なかったわけだ。
「とても便利なものをありがとうございます」
「しかし容量には限りがあるし、命のないものしか入らないからな」
「予備の剣や装備が入るだけでもだいぶ助かります」
そして進言された通り、宴ではレベッカをダンスに誘ってみたりした。
俺の提案で伯爵邸の庭の紅葉する木を魔法の灯りがライトアップしていて、その幻想的な景色の中で俺達は踊ったから、ムードはあったと思う。
夜の木々をライトアップする発想はこちらの人にはなかったようなので、観光地に使えるアイデアだと伯爵も喜んでいた。
この地は本当に紅葉の美しい地だから、いいと思うよ。
それと頭を悩ませてる資金問題だが、ドラゴンの素材がけっこうな値段で売れるようなので良かった。
命がけの戦闘に参加した者にも当然分配されるけど、俺の領地の獲物となっていたので、俺もそこそこ貰える。
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