【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!

長船凪

文字の大きさ
49 / 52

49 予言書

「……ハァ、ハァッ、……わあっ、さすが時計塔のてっぺん! 高いですね」
「そうだな」


 夏に螺旋階段を沢山登るということになるので、早朝に人が登れる最上階まで、私と旦那様と護衛騎士は上がって来ました。

 メイドはしんどそうなので塔の入口付近で待機させてます。

 鍛え方が足りない私は旦那様と違い、息が上がりましたが。


「街が見渡せます、いい眺め……」
「気に入ったか?」


「はい」
 私がそう言って上機嫌で微笑むと、

「誰にも渡さないからな、皇太子にも、誰にも」

 そう言って急に旦那様にぎゅっと抱きしめられました!
 待ってください!
 ハグはとても嬉しいですけど、今はちよっと汗をかいているかも!
 塔を登ってきたので!


 護衛騎士は空気を読んでその場からさっと去りました。

 私は恥ずかしくて慌てて視線を塔からの景色に彷徨わせると、



「あっ! 海の方角には島が見えますね!」


 あの遠くに見える島の形……どこかで見覚えがあるような……あ、本ですね。
 夢の中の図書館の。

 そして旦那様が私を離して島を見て一言、


「レスディオ火竜の眠る島だな」



 旦那様のその火竜という言葉を聞いた瞬間、ざわりと鳥肌が立ちました。



「地震、そして……火竜の目覚め、家屋は倒れ、多くの人が火竜に襲われ……」

 ブツブツと私が呟くと旦那様が……さらなる情報をくださいました。

「あの火竜は長い長い冬眠期に入ってるから、島に人も移り住んでいるぞ」

 あ、私が読んだあれは……もしや……、


「予言書だったかもしれません……」
「なに? 予言? 未来に地震が起きて火竜が起きて襲ってくると言う話か?」 

「今の……帝国暦は4004年の8月……ああっ」
「なんだ?」
「やはり来月の9月XX日に地震があって、島民の多くの家は崩れ、火竜が目覚め沢山の人が犠牲になる予言でした」

「それが本当なら大変だ。島民を全員なんとか避難させないと」

「よ、予言書の事を言わずにどうにか避難させるしかないと思いますが、どうしましょう?」
「……口からでまかせだが、旅の預言者が現れたとか言うか?」

「その予言者は誰だと聞かれたら?」
「名前を名乗らなかった謎の老人とでもごまかすしかない」
「それで信じてくれるでしょうか?」
「信じて素直に避難するものだけは助かるだろう」

「仕方ありません、結婚式を9月16日の火竜目覚めの日にして、島民を招待しましょう」
「島民を!? 全員!? うちは遠いぞ!?」

「クリストロ公爵領までは火竜も来ないはずですから命は救えます。転移の費用はこちら持ちで、食事は無料支給、宿泊は城に」


 貴族の結婚式はとにかく豪華ですごいお金が動きます。
 どうせなら見栄を張るより命を守る為に。


「大切な結婚式に貴族も招待しないのに平民達を呼ぶのは不審がられるぞ」
「では私側の招待貴族は、ウーリュ男爵家の方を呼んでおきましょう」


 なんと新婦の私側は一人しか友達がいません……。


「島民は……確か300人くらいだったと聞いたことがあるから、城には……まあ入るか」


 何しろクリストロ公爵の城は大きいので。


「どうせ貴族の結婚式には莫大な予算がかかるものですから、旦那様が嫌でなければ」
「予算の事は気にしなくてもよい。でも結婚式当日に地震と火竜の目覚め事件があるのは縁起が悪いのではないか?」

「では、噴火の直前か数日後にしますか? 
なるべく貴重なものは家から持ち出してもらいたいので地震と火竜の目覚める予言は伝えたいと思うのですが……」

「家が地震や火竜が暴れて壊れるかもしれない予言をされてたら赤の他人の結婚式のお祝いなど、する気分になれないのではないか?」


 た、確かに……!


「では普通に皇都の方に島民の避難指示と保護を願い出ますか?」
「仕方ないから皇太子に島民の避難を指示させて寝てる間に私や精鋭達が火竜だけでも倒すか」


 竜を倒す!?

「でもクリストロ家は竜族の血筋なんですよね?」

「人間同士でも殺し合いをする世の中で、当家が竜の血筋だからと言って、竜は全部仲間だとかいう意識はないんだぞ」
「そ、そうなんですね」

「とりあえず、タウンハウスに謎の預言者が来たと皇太子に手紙を出すか」
「そ、そうですね」
「竜を討伐するなら私も出る事になるだろう。一般兵士が立ち向かえる相手ではないし、地震で目覚める前に行って倒すのが一番だからな」

 !!
感想 4

あなたにおすすめの小説

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん
ファンタジー
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった。しかしハルの血が特殊だと知ったダンピールはハルを連れ帰って? いっそ美味しい『血』(治癒)と『体液』(バフ)と『癒し』を与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない

木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。 生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。 ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。 その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。

0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。

アズやっこ
恋愛
 ❈ 追記 長編に変更します。 16歳の時、私は第一王子と婚姻した。 いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。 私の好きは家族愛として。 第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。 でも人の心は何とかならなかった。 この国はもう終わる… 兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。 だから歪み取り返しのつかない事になった。 そして私は暗殺され… 次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。

愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される

守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」  貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。  そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。  厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。  これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする

葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。 そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった! ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――? 意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。

兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした

こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】 伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。 しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。 そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。 運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた―― けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった―― ※「小説家になろう」にも投稿しています。