【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!

長船凪

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50 対面

 塔に登ったその後は、災害の予知でデートの気分ではなくなったのでドレスショップにも行かずに私達はタウンハウスへ戻りました。

 汗を流したいと思っていたのでそれはよいのですが、私がお風呂から上がると旦那様は、


「皇太子に手紙を送ったら城に呼び出されたから言ってくる」

 と、おっしゃいました。


「そ、そうなんですか」

「代わりにドレスショップの人間をタウンハウスに来るよう言っておいたから、好きなドレスを注文してくれ」
「はい……」


 やはり、旦那様はドラゴン退治に行けと言われるのでしょうね……。

 私があんな事を言ったせいで……。
 でも戦うことができない弱い島民が、被害にあってからでは遅いから……。
 持つべき者は持たざるものを守らなければ……それが貴族の矜持……。


 * * *

 ~ ゴードヘルフ視点 ~

 エリアナの預言の件を謎の老人預言者のお告げに変えて皇太子に文書を送ったのだが、皇城に来いと呼び出しがかかった。

 エリアナでなく、私だけだったのでまだマシだ。


 皇太子の待つ、皇城の東屋に向かった。
 その庭園には白い百合が咲き誇っていた。

 テーブルで優雅に午後の茶を楽しむ皇太子の元について、私はお決まりの挨拶と令をとる。

「輝かしい午後の光に満ちた時間です。皇太子殿下にクリストロ公爵家のゴードヘルフがご挨拶申しあげます」
「堅苦しい挨拶はもういいよ、その椅子に座り給え」

 指し示すのは皇太子の対面側。
 メイドが素早く茶の用意をした。


「先日は姉が、皇女が無茶を言ったみたいですまなかったな」

 まさか、こいつらから謝罪の言葉を聞けるとは思わなかったが……。

「いえ、私は妻と離婚しませんので」

 私はきっぱりと言い捨てて椅子に座った。
 すぐに皇太子は周囲の側近達を見やって命を下した。

「全員下がれ」
「ですが皇太子殿下……」
「二度も同じ事を言わせるな」

 皇太子は軽く手を振って側近や使用人達を下がらせた。
 その真意を測る。

「私の手紙に書いた予言を疑っておられるのですか?」
「いや、預言の内容は信じてるさ、そんな人の生死にかかわるデタラメをそなたがわざわざ言うはずがない」
「では……」
「予言内容ではなく、予言を齎したのは謎の老人預言者ではなく、エリアナではないか?」

 人の妻を呼び捨てにするな!!

「そう思われる根拠は?」

 私は睨みを効かせながら問う。


「私は皇族だ、帝王眼があるのだよ。エリアナかは白金と金色交じりのオーラを纏っている」

 !!

「帝王眼……」
「一瞬ではあったが、エリアナの背後に知の天使、ケルヴィムの姿も見えることがあった」

 !?
 まさかエリアナの見る夢の中の図書館で司書のような事をしていた天使か!?

 帝王眼などと、皇室のみの特殊スキルのことを言われて仕舞えばもはや言い逃れが……。
 つまりそれで見えていたから執拗にエリアナを手元に置きたがっていたのか。


「それで、預言はエリアナからだと?」
「そう警戒しなくても、私は君達とは仲良くしたいだけなんだよ」
「……」

 あくまで既婚者のエリアナをミセスではなくミズなとどと言っていた男に仲良くなどど言われるといやらしく感じる。


「まあ、旅行先では迷惑をかけたので、今回は素直に避難指示を出す。島の人間は皇都のコロシアムをキャンプ地として、しばらく避難させよう」

 コロシアムか、あそこの収容人数は多いから、確かに入るだろう。

「殿下の慈悲ある処置に感謝します」

「そう、地震が来るなら多少の高波も来るだろうな?」
「例の日なれば漁師は船を出させず、海に面した漁村の者も高台かどこかに移動した方がいいでしょうな」


「うむ。──して、ドラゴンの討伐には精鋭をあつめるが、そなたにも出て貰うことになる」

「承知」


 それは、想定内の命令だった。


 * * *

 私は皇城からタウンハウスへ戻り、早速エリアナに報告する。
 私を見つめる彼女の瞳は潤んでいて、心配してくれているのだろう。


「やはり旦那様はドラゴン退治に駆り出されるのですね」

「なあに、心配するな。エリアナが寝てる間に終わっているさ、こちらは目覚める前に寝込みを襲うんだからな」

「寝込みを襲っても、一撃で終らなければやはり危険です。
それだけドラゴンは硬い鱗に覆われた手強い存在ですから」
「まあ、なんとかするさ」

「心配なので、せめて私も一緒に……」
「いやいや、非戦闘員がいても邪魔になるだけだ、エリアナは家で休んでいてくれ」

「確かに私は非力ですが、万が一旦那様が怪我などされた時には手当などを……」
「流石に治癒魔法使いくらいは皇室が呼んでくれるから、そこは聞き分けてくれ、エリアナ」


 私は華奢なエリアナを抱きしめた。
 エリアナは恐怖のためか、震えていた。
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