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第5話 「レベルゼロ&現実」
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「そういえば、ルティアって何レベなんだ?」
「レベル? ……あぁ、経験値のことかしら。ゼロよっ!?」
薄い胸を張ってドヤ顔になるルティア。経験値がゼロということは、今まで一度もモンスターと戦ったことがないということだ。そんな状態でダンジョン攻略なんてできるわけがない。
「えぇっと、マジでゼロなの? 対人戦とかも、……したことあるわけないか」
肩を落として落胆する俺に、ルティアが得意げに答える。
「あら? 対人戦ならそれなりに経験があるわ」
「本当か!?」
急にがばりと顔を上げたからか、ルティアは若干引き気味に補足する。
「貴族たるもの、自分の身は自分で守れないといけないもの。剣技の心得ならそれなりにあるわ」
「あー、剣かぁ……」
「なんです?」
低身長な上に小柄なルティアではリーチの長い両手剣を装備することはできないだろう。となると片手剣の中でもリーチが短くて軽量なものを装備するしかないが、モンスターと戦ったことがないルティアを前衛に立たせるわけにはいかない。
「悪いけど、ルティアには後衛、つまり遠距離武器で戦って欲しいな。弓とか、魔法とかで」
「私では力不足だと言いたいの?」
むっとした顔になるルティアに、俺は慌てて取り繕(つくろ)う。
「いやいやそうじゃなくて! ほら、俺のスキルって光で目眩しするだろ? だから都合上俺が前衛に立って、ルティアには光がまぶしくない後ろの方から攻撃して欲しいだ」
「……なるほど、それなら納得できるわ」
よし、うまくいった。
「幸いスキルシードから手に入れたポイントを攻撃系の魔法にも振っているから、それで戦うことにするわ」
「そうかそうか、いやー助かるよ」
そんなこんなでなんとか言いくるめ、俺はルティアに軽量の杖と魔法耐性のある革製のくすんだ茶色のローブを買い与えた。ローブにはフードがついていたので、人前ではそれを深くかぶることにしてもらい、重くて動きづらいヘルメットはやめた。
俺の装備は動きやすいように合金性の胸当てと肘当て、膝当てという軽めのものにした。そのままではガードできる箇所が狭すぎるので、厚手の布でできた長袖と長ズボンも買い、最低限防御できるようにする。短剣だけは愛着もあるし性能も良いので新調しなかった。
「必要な装備は、こんなところかな」
二人して鏡の前に立ってみると、一般市民と貴族令嬢のデコボココンビから、統一感のある普通の冒険者パーティーになっていた。
「いよいよダンジョン攻略が始まるのね……」
気持ちが高まって落ち着かない様子のルティア。
「いや、ダンジョンに行くのは三日後だ。もう夕方だし、今日は一旦帰ろう」
「どうしてよ!? 行きましょうよ今すぐ!」
「侯爵様から三日後に行くよう言われてるだろ? ルティアはモンスターと戦ったことないんだし、それまでに特訓したり、敵の攻撃を引き受けてくれる傭兵を雇ったり、いろいろ準備しなきゃ」
俺が懇切丁寧に説明すると、ルティアは苦いものでも食べたみたいな顔になる。
「ダンジョン攻略って案外地味ね。もっと派手に手っ取り早くお金を稼げるものなんだと思ってたわ」
「夢見すぎだ。ダンジョン一つで一攫千金なんてできない。今回のダンジョン攻略も、赤字になるだろうぜ? 現実なんてそんなもんさ」
そう告げるとルティアはわかりやすく落胆して、小さくため息をついた。
「レベル? ……あぁ、経験値のことかしら。ゼロよっ!?」
薄い胸を張ってドヤ顔になるルティア。経験値がゼロということは、今まで一度もモンスターと戦ったことがないということだ。そんな状態でダンジョン攻略なんてできるわけがない。
「えぇっと、マジでゼロなの? 対人戦とかも、……したことあるわけないか」
肩を落として落胆する俺に、ルティアが得意げに答える。
「あら? 対人戦ならそれなりに経験があるわ」
「本当か!?」
急にがばりと顔を上げたからか、ルティアは若干引き気味に補足する。
「貴族たるもの、自分の身は自分で守れないといけないもの。剣技の心得ならそれなりにあるわ」
「あー、剣かぁ……」
「なんです?」
低身長な上に小柄なルティアではリーチの長い両手剣を装備することはできないだろう。となると片手剣の中でもリーチが短くて軽量なものを装備するしかないが、モンスターと戦ったことがないルティアを前衛に立たせるわけにはいかない。
「悪いけど、ルティアには後衛、つまり遠距離武器で戦って欲しいな。弓とか、魔法とかで」
「私では力不足だと言いたいの?」
むっとした顔になるルティアに、俺は慌てて取り繕(つくろ)う。
「いやいやそうじゃなくて! ほら、俺のスキルって光で目眩しするだろ? だから都合上俺が前衛に立って、ルティアには光がまぶしくない後ろの方から攻撃して欲しいだ」
「……なるほど、それなら納得できるわ」
よし、うまくいった。
「幸いスキルシードから手に入れたポイントを攻撃系の魔法にも振っているから、それで戦うことにするわ」
「そうかそうか、いやー助かるよ」
そんなこんなでなんとか言いくるめ、俺はルティアに軽量の杖と魔法耐性のある革製のくすんだ茶色のローブを買い与えた。ローブにはフードがついていたので、人前ではそれを深くかぶることにしてもらい、重くて動きづらいヘルメットはやめた。
俺の装備は動きやすいように合金性の胸当てと肘当て、膝当てという軽めのものにした。そのままではガードできる箇所が狭すぎるので、厚手の布でできた長袖と長ズボンも買い、最低限防御できるようにする。短剣だけは愛着もあるし性能も良いので新調しなかった。
「必要な装備は、こんなところかな」
二人して鏡の前に立ってみると、一般市民と貴族令嬢のデコボココンビから、統一感のある普通の冒険者パーティーになっていた。
「いよいよダンジョン攻略が始まるのね……」
気持ちが高まって落ち着かない様子のルティア。
「いや、ダンジョンに行くのは三日後だ。もう夕方だし、今日は一旦帰ろう」
「どうしてよ!? 行きましょうよ今すぐ!」
「侯爵様から三日後に行くよう言われてるだろ? ルティアはモンスターと戦ったことないんだし、それまでに特訓したり、敵の攻撃を引き受けてくれる傭兵を雇ったり、いろいろ準備しなきゃ」
俺が懇切丁寧に説明すると、ルティアは苦いものでも食べたみたいな顔になる。
「ダンジョン攻略って案外地味ね。もっと派手に手っ取り早くお金を稼げるものなんだと思ってたわ」
「夢見すぎだ。ダンジョン一つで一攫千金なんてできない。今回のダンジョン攻略も、赤字になるだろうぜ? 現実なんてそんなもんさ」
そう告げるとルティアはわかりやすく落胆して、小さくため息をついた。
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