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[リア]
劇場型殿下
「急だが、皆に重大かつ重要な話がある! 全員を一か所に集めたい」と、ヴィルさんは言った。
「では、一番広いお部屋ですねぇ……」
重大かつ重要な話と言われてしまっては仕方がない。舞踏会も開ける一番広いホールに、宮殿で働くスタッフ全員を集めた。こんなことはヘルグリン病の感染対策を発表したとき以来だ。
彼は皆の前に出ると、突然、こぶしを天に向かって突き出し、声を張った。
「神の遣いのもとに集いし、我が同志たちよ!」
な、なんか始まった……。
劇場モードだ。何かあったのだろうか。こういうことは事前に「今からやるよ」と教えておいていただきたいのに。なんだか変な汗が出てくる。
「我々の信仰と努力は結実し、神の息吹は再びオルランディアの大地にもたらされた!」
本気を出したカリスマの前に、皆の目が輝いている。なんかコワイ。何かの危ない決起集会みたいでコワイ。
お隣のアレンさんを見上げた。
「あの、これは?」と尋ねると、彼は「ん……」とだけ答えてうなずいた。
達観している。安定の「無」だ。彼だけは常にヴィルさんを冷静に見てくれていると思う。
ヴィルさん劇場は続いていた。
「聖女は降りた! オルランディアは再び聖都として世に返り咲こうとしている! 千年に及ぶ長き暗黒の時代は、ついに終焉を迎えるのだ!!」
劇場型ヴィルヘルム殿下に煽られ、従業員の皆から大きな歓声と拍手が巻き起こった。
こちらは変な動悸と冷や汗が止まらない。ヴィルさん、お願いですから皆を変なふうに洗脳しないでください。
「我々は、聖女リアとともに聖女宮へ移ることとなった!!」
どうやらこれが主旨のようだ。なんて回りくどいのだろう。
「引っ越します」と、各持ち場のトップに伝えるだけで済む話ではないのかしら。でもそれ以前に、まずはわたしに「引っ越さないか?」と聞くのが先ではなくて?
「なんの相談もなく……引っ越しって」と言うと、隣からため息が聞こえた。
「俺も何も聞いていません」とアレンさん。
フィデルさんが「ウソだろ? あいつ、リア様の許可を取る前に発表したのか?! 俺も初耳だけど」と悲鳴を上げた。
従業員の皆は盛り上がっていた。ヴィルさん劇場のせいで、一部を除いてすっかりマインドコントロール状態だ。聖女宮とやらに引っ越すことが、世を良くすることだと信じ込んでいる。
ミストさんがススッとアレンさんのそばに来て「あれって合意のうえ?」と聞いた。さすがミストさんだ。まったく洗脳されていない。
アレンさんが横に首を振ると「やっぱりね」と言って肩を落とした。
彼女を追うように、執事長、メイド長、庭師長がスーッとやって来て、同じやり取りを繰り返した。いつも主要人物がこうして冷静でわかってくれているから、わたしも平気でいられる。
ヴィルさんは「忙しい忙しい」と言って、また王宮へ戻っていった。
わたしの代わりにフィデルさんが叱ってくれることになっている。先輩からけちょんけちょんに叱られなさい、ヴィル太郎め。
これを境に、『のぽぽーん』とフェンリルを愛でているだけだった平和なエムブラ宮殿は変貌した。引っ越し準備で大騒ぎになってしまったのだ。
「暗黒の時代がどうのって、いったいなんの話なのかしら……」と、アレンさんにボヤいた。
彼は「んー」と少し考えた後、メガネを外して拭いている。そして、イケメンビームを放ちながら人を払うと、少し声を落とした。
「これは、皆の前ではあまり言えないのですが、世界には『東の連中』と……まあ、そういう、あまり良からぬ感情があるのです」
「東の連中?」
「『東』という名の差別があると言えばわかりやすいでしょうか」
彼はメガネをかけ直した。
「何を差別されているのですか?」
「雑な言い方をしてしまうと『聖女がいない』差別です」と、彼はわずかに片眉を上げた。
「どうして差別になるのかが、よくわからないのですけれど……」
「ほかの大陸の人々から見ると、聖女の祝福を受けずに生きている民は、ひどく劣って見えるのです」
「聖女の祝福って?」
「別の言葉で言うなら、聖女の公務です」
「とてもお忙しいというお仕事のこと?」
「そうですね」
東大陸差別は、なかなか根の深い話のようだ。
アレンさんは東大陸で育っているものの、ルーツは完全に西大陸にあるため、初めのうちは「どこか他人事のような感覚だった」と言う。ところが、西大陸に留学した際、同じ船で渡った学生仲間が差別的な言葉をかけられたり、勝手に宿の部屋の等級を下げられたりする現場を目の当たりにしたそうだ。
面と向かって差別的な言葉を言われなかったとしても、東だけ何かの条件が厳しかったり、扱いが雑だったりするのを、長年、肌で感じてきたと言う。
「この大陸の民は、そういう負い目のようなものを、ずっと背負わされているのです。大陸をまたぐ国際会議などでも、東大陸の国々はいつも末席ですし、発言できる機会もほとんどありません」
特にオルランディア王国は、最後の聖都があった場所だということもあって風当たりが強いのだと彼は言った。
「『何かやらかした人々』という意識があるのです。聖女が降りなくなったのは自業自得だ、というふうに」
「でも千年くらい前のことなのでしょう?」
「そうですね。最後の聖女は」
「その当時の人は誰も生きていないし、生まれる場所なんて自分では選べないのに……」
「私もそう思います」
「でも、彼らは不名誉だと感じているのでしょうね。だから質問しても誰も話してくれないのだわ」
「私も周りに人がいるときは、こういう話はできません」
「差別を受けた人々が、自分自身や別の人を差別すると聞いたことがありますわ」
彼は「んー」と短くうなった。
「今思えば、子どもの頃に受けた嫌がらせは、すべてそこに起因していたのかも知れません」
「西の聖女の子って?」
「そう。周りには子どもの頃から『東』という名の劣等感があった気がします。自分の責任ではない、自分には関係ないと胸を張っておけばいいのに、わざわざそういう教育をしていた可能性があります。つまり、自分たちで差別を受け入れてしまっている。悔しいから自分と同じではないものを迫害する。そんなことをやっているから、余計世界から見下される。悪循環ですね」
わたしが来た世界は、神薙という名の大災害によって、半ばディストピアと化していた場所で、なおかつ被差別地域だった。
まるでそんなふうには見えないけれども、彼らは長年砂ぼこりにまみれて「東の連中」と呼ばれていたのだ。
「これから、この状況は大きく変わっていきます」と、アレンさんは言った。
「そうだと良いですけれど……」
「あなたはこの大陸の救世主です。民を災害級の悪天候から救い、十分な食料を与え、千年に及ぶ差別の呪縛から解放し、民に繁栄と誇りを与える存在です」
「いいえ」と、わたしは答えた。
「わたしはただ調味料とチョコを売っている商人です。以前のような庶民的な暮らしに憧れて、今朝も求人広告を見ていました。アレンさんが『いいよ』と言ってくれたら、翻訳の仕事に応募しているところでしたのよ?」
彼が笑いながらわたしの髪に口づけをしたので、動揺して大事なことを聞くのを忘れてしまった。
聖女宮って、どこにあるだろう(汗)
☟
急ピッチで引っ越しの準備が進んでいた。
普通に暮らせる状態ではなくなる(=リア様がいるとチョット邪魔です)という理由から、わたしは王宮の離れに避難しなくてはならなかった。そこでアレンさんにイイコイイコされながら、体育座りでイジケている。
わたしも皆と一緒に荷造りをしたかった。なのにアレンさんてば……
本をまとめていたら「爪が割れる」
お洋服を運ぼうとしたら「手が荒れる」
箱を運ぼうとしたら「腕のホネが折れる」と。
そう簡単にホネが折れてたまるかとは思ったけれども、とにかく彼は何もやらせてくれない。ついにわたしは、等身大マネキン人形の隣でポーズをとったり、ムーンウォークを練習したり、遊ぶことしかやることがなくなった。そして、それが面白すぎて困るという理由で追い出されたのだ。
せめて皆を楽しませて応援しようと思っただけですのに……。
神薙用だったものを聖女用に置き換える作業でてんてこ舞いしていたところに、引っ越しが上乗せされたせいで皆忙しい。
今、わたしは「まわりの空気を読む」「今は黙っておく」「なんとなく察する」「あとで聞こうと思っているうちに忘れる」「思い出したけど蒸し返すのも悪いから放置」という日本人のチート能力を遺憾なく発揮しているところだ。
気になることは多々あるけれども、落ち着いてからにしたほうがいいだろう。今は静かに、おとなしくしているのが一番だ。だって、手伝ってもダメだし、面白くてもダメなのだもの。
アレンさんも相当忙しいはずだ。しかし、彼は部下が慌てて突撃してきても淡々と指示を出していた。彼だけは普段通りの品質でそばにいてくれる。
「では、一番広いお部屋ですねぇ……」
重大かつ重要な話と言われてしまっては仕方がない。舞踏会も開ける一番広いホールに、宮殿で働くスタッフ全員を集めた。こんなことはヘルグリン病の感染対策を発表したとき以来だ。
彼は皆の前に出ると、突然、こぶしを天に向かって突き出し、声を張った。
「神の遣いのもとに集いし、我が同志たちよ!」
な、なんか始まった……。
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「我々の信仰と努力は結実し、神の息吹は再びオルランディアの大地にもたらされた!」
本気を出したカリスマの前に、皆の目が輝いている。なんかコワイ。何かの危ない決起集会みたいでコワイ。
お隣のアレンさんを見上げた。
「あの、これは?」と尋ねると、彼は「ん……」とだけ答えてうなずいた。
達観している。安定の「無」だ。彼だけは常にヴィルさんを冷静に見てくれていると思う。
ヴィルさん劇場は続いていた。
「聖女は降りた! オルランディアは再び聖都として世に返り咲こうとしている! 千年に及ぶ長き暗黒の時代は、ついに終焉を迎えるのだ!!」
劇場型ヴィルヘルム殿下に煽られ、従業員の皆から大きな歓声と拍手が巻き起こった。
こちらは変な動悸と冷や汗が止まらない。ヴィルさん、お願いですから皆を変なふうに洗脳しないでください。
「我々は、聖女リアとともに聖女宮へ移ることとなった!!」
どうやらこれが主旨のようだ。なんて回りくどいのだろう。
「引っ越します」と、各持ち場のトップに伝えるだけで済む話ではないのかしら。でもそれ以前に、まずはわたしに「引っ越さないか?」と聞くのが先ではなくて?
「なんの相談もなく……引っ越しって」と言うと、隣からため息が聞こえた。
「俺も何も聞いていません」とアレンさん。
フィデルさんが「ウソだろ? あいつ、リア様の許可を取る前に発表したのか?! 俺も初耳だけど」と悲鳴を上げた。
従業員の皆は盛り上がっていた。ヴィルさん劇場のせいで、一部を除いてすっかりマインドコントロール状態だ。聖女宮とやらに引っ越すことが、世を良くすることだと信じ込んでいる。
ミストさんがススッとアレンさんのそばに来て「あれって合意のうえ?」と聞いた。さすがミストさんだ。まったく洗脳されていない。
アレンさんが横に首を振ると「やっぱりね」と言って肩を落とした。
彼女を追うように、執事長、メイド長、庭師長がスーッとやって来て、同じやり取りを繰り返した。いつも主要人物がこうして冷静でわかってくれているから、わたしも平気でいられる。
ヴィルさんは「忙しい忙しい」と言って、また王宮へ戻っていった。
わたしの代わりにフィデルさんが叱ってくれることになっている。先輩からけちょんけちょんに叱られなさい、ヴィル太郎め。
これを境に、『のぽぽーん』とフェンリルを愛でているだけだった平和なエムブラ宮殿は変貌した。引っ越し準備で大騒ぎになってしまったのだ。
「暗黒の時代がどうのって、いったいなんの話なのかしら……」と、アレンさんにボヤいた。
彼は「んー」と少し考えた後、メガネを外して拭いている。そして、イケメンビームを放ちながら人を払うと、少し声を落とした。
「これは、皆の前ではあまり言えないのですが、世界には『東の連中』と……まあ、そういう、あまり良からぬ感情があるのです」
「東の連中?」
「『東』という名の差別があると言えばわかりやすいでしょうか」
彼はメガネをかけ直した。
「何を差別されているのですか?」
「雑な言い方をしてしまうと『聖女がいない』差別です」と、彼はわずかに片眉を上げた。
「どうして差別になるのかが、よくわからないのですけれど……」
「ほかの大陸の人々から見ると、聖女の祝福を受けずに生きている民は、ひどく劣って見えるのです」
「聖女の祝福って?」
「別の言葉で言うなら、聖女の公務です」
「とてもお忙しいというお仕事のこと?」
「そうですね」
東大陸差別は、なかなか根の深い話のようだ。
アレンさんは東大陸で育っているものの、ルーツは完全に西大陸にあるため、初めのうちは「どこか他人事のような感覚だった」と言う。ところが、西大陸に留学した際、同じ船で渡った学生仲間が差別的な言葉をかけられたり、勝手に宿の部屋の等級を下げられたりする現場を目の当たりにしたそうだ。
面と向かって差別的な言葉を言われなかったとしても、東だけ何かの条件が厳しかったり、扱いが雑だったりするのを、長年、肌で感じてきたと言う。
「この大陸の民は、そういう負い目のようなものを、ずっと背負わされているのです。大陸をまたぐ国際会議などでも、東大陸の国々はいつも末席ですし、発言できる機会もほとんどありません」
特にオルランディア王国は、最後の聖都があった場所だということもあって風当たりが強いのだと彼は言った。
「『何かやらかした人々』という意識があるのです。聖女が降りなくなったのは自業自得だ、というふうに」
「でも千年くらい前のことなのでしょう?」
「そうですね。最後の聖女は」
「その当時の人は誰も生きていないし、生まれる場所なんて自分では選べないのに……」
「私もそう思います」
「でも、彼らは不名誉だと感じているのでしょうね。だから質問しても誰も話してくれないのだわ」
「私も周りに人がいるときは、こういう話はできません」
「差別を受けた人々が、自分自身や別の人を差別すると聞いたことがありますわ」
彼は「んー」と短くうなった。
「今思えば、子どもの頃に受けた嫌がらせは、すべてそこに起因していたのかも知れません」
「西の聖女の子って?」
「そう。周りには子どもの頃から『東』という名の劣等感があった気がします。自分の責任ではない、自分には関係ないと胸を張っておけばいいのに、わざわざそういう教育をしていた可能性があります。つまり、自分たちで差別を受け入れてしまっている。悔しいから自分と同じではないものを迫害する。そんなことをやっているから、余計世界から見下される。悪循環ですね」
わたしが来た世界は、神薙という名の大災害によって、半ばディストピアと化していた場所で、なおかつ被差別地域だった。
まるでそんなふうには見えないけれども、彼らは長年砂ぼこりにまみれて「東の連中」と呼ばれていたのだ。
「これから、この状況は大きく変わっていきます」と、アレンさんは言った。
「そうだと良いですけれど……」
「あなたはこの大陸の救世主です。民を災害級の悪天候から救い、十分な食料を与え、千年に及ぶ差別の呪縛から解放し、民に繁栄と誇りを与える存在です」
「いいえ」と、わたしは答えた。
「わたしはただ調味料とチョコを売っている商人です。以前のような庶民的な暮らしに憧れて、今朝も求人広告を見ていました。アレンさんが『いいよ』と言ってくれたら、翻訳の仕事に応募しているところでしたのよ?」
彼が笑いながらわたしの髪に口づけをしたので、動揺して大事なことを聞くのを忘れてしまった。
聖女宮って、どこにあるだろう(汗)
☟
急ピッチで引っ越しの準備が進んでいた。
普通に暮らせる状態ではなくなる(=リア様がいるとチョット邪魔です)という理由から、わたしは王宮の離れに避難しなくてはならなかった。そこでアレンさんにイイコイイコされながら、体育座りでイジケている。
わたしも皆と一緒に荷造りをしたかった。なのにアレンさんてば……
本をまとめていたら「爪が割れる」
お洋服を運ぼうとしたら「手が荒れる」
箱を運ぼうとしたら「腕のホネが折れる」と。
そう簡単にホネが折れてたまるかとは思ったけれども、とにかく彼は何もやらせてくれない。ついにわたしは、等身大マネキン人形の隣でポーズをとったり、ムーンウォークを練習したり、遊ぶことしかやることがなくなった。そして、それが面白すぎて困るという理由で追い出されたのだ。
せめて皆を楽しませて応援しようと思っただけですのに……。
神薙用だったものを聖女用に置き換える作業でてんてこ舞いしていたところに、引っ越しが上乗せされたせいで皆忙しい。
今、わたしは「まわりの空気を読む」「今は黙っておく」「なんとなく察する」「あとで聞こうと思っているうちに忘れる」「思い出したけど蒸し返すのも悪いから放置」という日本人のチート能力を遺憾なく発揮しているところだ。
気になることは多々あるけれども、落ち着いてからにしたほうがいいだろう。今は静かに、おとなしくしているのが一番だ。だって、手伝ってもダメだし、面白くてもダメなのだもの。
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