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独白と懺悔
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「俺は、あと二年で死ぬことにした」
友人がそう宣言し、最期に再会するまでの二年間彼がどこで、何を思っていたのかを僕が知ることになったのは、彼の死から二週間後のことであった。僕宛に彼からの小包が届いたのだ。日付からして、送ったのは、あの喫茶店で再会する三日前だった。小包には僕宛の封筒と、彼の家族宛の封筒、そして分厚い写真帳が同封されていた。僕は、僕宛の封筒を開けた。そこには彼の二年間とあの日僕に語ることのなかった彼の本音が記されていた。
拝啓 俺の最良の友よ
死んでなお、君に迷惑をかけてしまうことを本当に心苦しく思っている、だが、最期の最後にどうかこの願いを叶えて欲しい。とても簡単なことだ。同封した俺の家族宛の封筒と写真帳を家族の元に届けてほしい。直截持って行ってくれとは言わない。記した住所におくってくれるだけでよい。自分で送る勇気だけはどうしても出なかった。そこで君に、託そうというわけだ。どうかこの願いを引き受けてほしい。
さて、俺がこの二年間何をしていたのか、きっと君も気になっているだろうから、順を追って説明しようと思う。写真帳を開きながら読んでもらえるとなおよい。
僕は、小包から写真帳を取り出してめくった。彼が二年間で尋ね歩いたであろう様々な場所の風景や、人々が即席写真に彼の言葉とともに写っていた。
始めに君に謝らなければならない。あの日喫茶店で話したことはすべでではない。嘘は一つもついてはいないが、すべてを話せたわけではなかった。つまらない自尊心のため、俺は君に一番肝心なところ言えずじまいだったのだ。俺は、死ぬことを決めた理由に、誰かの役に立って死にたいといった。それはもちろん本心であるが、一番の理由は違う。俺は怖かったのだ。死ぬことよりも、生きていくことが怖かったのだ。あの頃の俺は、劣等感と自己嫌悪で押しつぶされていた。優秀な研究室で、優秀な人材に囲まれ、自分がいかに凡人で何のとりえもない人間かを思い知らされた。周りの評価だけで自分を保ってきた俺には、何もなかった。
しかし、君や、俺の周囲の人間が抱く、優等生像を崩したくはなかった。それは間違いなく己の持つ尊大な自尊心からである。周りができるのであれば自分もできる。優等生たるものそれ以上をこなさねばと考えていた。その考えは俺自身を苦しめ、壊していった。そして、先刻君に告げたように目指すものがないと気づいたとき、俺の心はいとも簡単に砕けた。生きる意味を見失い、自堕落な生活に落ちていった。ところが、自尊心だけは人一倍高く、できない自分が心底嫌いになった。何もできないくせに一人前に腹は減り、生きていくに金を掛ける。卑しさすら感じるようになっていった。
次に選んだのは逃げることだった、自分が嫌だと思うことからとことん逃げた。逃げて逃げて逃げて、逃げ場がなくなった時、振り返るとそこにはやらねばならぬことが山のように積み重なっていた。もう、死ぬしかないと思ったのだ。この山を越えられる自信は全くなかった。いろんな選択肢を考えていたつもりでいた。しかし最後には死ぬという選択しか残らなかった。このころが俺の人生で最もつらい時期であっただろう。そんな時、あの広告を見つけた。神が味方したと思った。
そうして、寿命を売った俺は、残った二年の余命を生きることにした。誰かの役に立つことをと、さまざまな奉仕活動に参加した。ひと時の達成感と満足感は得られたが、そこに自分の価値は見いだせなかった。奉仕活動で、東北を訪れたとき、俺はあることに気づいた。そこは、東日本大震災で行方不明になった方々の遺品を探す仕事だった。正直、遺品を見つけてどうなるのかと思っていたが、参加していた老人がこう言ったのだ。死んだ人間は、記憶の中でもちろん生き続けられる、しかし、生きていた証にはならないのだと。だから自分たちは、彼らが生きた証を見つけてあげるのだと。俺は胸を打たれた。俺も、生きた証を残したいと思った。それまで、出会った人や、風景を収めるだけであった写真に、自分の姿を残すようになった。俺が二年間どこでどのように生きたかの証を残していった。
僕は彼の手紙とともに写真帳をめくって行っていた。確かにある時期より、写真には常に彼の姿があった。楽しそうな顔、満足そうな顔、疲れでへたれ込む姿。いろいろな彼が写真の中に残っていた。
奉仕活動をしながら旅をしているうちに、俺の元に驚くべき知らせが入って来た。俺の寿命が誰かに買われたという電話だった。半ば嘘のような話だと思っていた俺は、買い手がついたことにも、それを知らせてきたことにも驚いた。電話で、購入者に会いたいか聞かれた。俺は即決で会いに行くことにした。会いに行く道中、俺は心中穏やかではなかった。急に自分の余命がわずかであることを実感したからだ。あれから一年が経っていた。あと一年で死ぬことが確定したのだ。購入者に会えば、死ぬのが嫌になり、寿命を返せと掴みかかるのではないかと思ったりもした。会いに行ったのは失敗かと思ったが、結果は全くの正反対であった。
俺の命を買ったのは、赤子の父親だった。死産と言われた赤子を救うため、藁にも縋る思いで、寿命を買ったといった。赤子を抱く母親の姿は、慈愛に満ち、神々しいほどに美しかった。俺はその姿を写真に収め、一枚を父親に譲った。その時に尋ねたのだ。父親にとっての赤子の価値とは何かを。彼は即答で存在そのものだといった。
俺は雷に打たれた気持ちになった。存在そのものが価値だという考えだけは思いもよらなかった。そして同時に、自分の選択の最大の過ちにも気づいてしまった。俺は、俺自身で、自分の価値を一つ捨ててしまったのではないか。あの赤子の両親のように、俺の存在自体に価値を感じてくれている人がいるかもしれない。自分の世界を見るばかりで、周りに目を向けていなかった。周りを見渡せば、価値を教えてくれる人がいたかもしれない。君の言うとおりだった。もっと早くに誰かに話せばよかったのだ。
それから、君に再会する日まで、俺は、ゆかりのある人たちに会ってきた。もちろんあと一年で死ぬことは伝えず、たわいもない話をした。俺は少しずつ満たされていった。疎遠にしていた友人も、俺のことを覚えていてくれた。思い出話にも花が咲いた。友人の一人は試験前になると俺の存在が欠かせなかったと言っていた。もちろん山をはるための要員だ。しかし、そのようなことでも、俺自身の存在に価値があったことを教えてくれた。
彼の写真帳の後半は、彼の語る友人たちとの写真で埋め作れていた。大学では、友人の少ない彼であったが、故郷には大切な友がいたようだ。
ゆかりのある友人たちを訪ね、最後に向かうべきなのは家族の元であった。しかし、それだけは出来なかった。家族に会えば、あと少しで死ぬことを伝えずにはいられないと思ったからだ。悲しませ、その顔を見て死にたくはなかった。だから、こうして死んだのち、君に手紙を託すことにした。手紙には、感謝と懺悔が記されている。どうか届けてほしい。
最後になるが、君という友人に出会えたことを心から神に感謝する。そして、わが生涯に一片の悔いなし。君の人生に幸多からんことを。
彼の手紙を読み終えたあと、僕は、家族宛の封筒に記された彼の家を訪ねた。郵送でよと言っていたが、この手で渡すべきだと思った。
冬でも暖かい彼の故郷で、彼の母親に小包を手渡した。僕の突然の訪問に心底驚いているようであったが事情を説明すると、優しく手迎えてくれた。居間に、彼の遺影と線香がたてられていた。彼の母親は、彼からの手紙と写真帳を交互にみながら、時折、鼻をすすっていた。僕がいる手前、必死で泣くのを我慢していることが伝わってきた。一通り読み終わると、一度席を立った。戻ってきたときには目を真っ赤にしていた。
「こんなところまで、持ってきてくれて申し訳ない。馬鹿な息子に最後まで付き合ってくれて本当にありがとう」
彼の母親はそういうと、写真帳から一枚の写真を抜きとった。
「息子が一枚は、あなたにあげてほしいって手紙に書いてあったから。もらってあげて」
それは、彼の寿命を受け継いだ赤子とその母親の写真だった。即席写真の余白には彼の字でこう書かれていた。
『僕の命は君のため、君の命は愛のため』
僕は悔しさで目頭が熱くなった。
「どうしてもっと早くに気づいてあげられなかったのでしょう。最良の友と言ってくれていたのに」
彼の母親は、微笑みながら首を横に振った。
「それは、あなたが気にすることじゃないのよ。その言葉は、私たちのための言葉だから」
母親は、母子の写真をいとおしそうに指でなぞった。
「とんだ、親不孝な神様だこと」
こぼれる涙を僕は見ることはできなかった。
友人がそう宣言し、最期に再会するまでの二年間彼がどこで、何を思っていたのかを僕が知ることになったのは、彼の死から二週間後のことであった。僕宛に彼からの小包が届いたのだ。日付からして、送ったのは、あの喫茶店で再会する三日前だった。小包には僕宛の封筒と、彼の家族宛の封筒、そして分厚い写真帳が同封されていた。僕は、僕宛の封筒を開けた。そこには彼の二年間とあの日僕に語ることのなかった彼の本音が記されていた。
拝啓 俺の最良の友よ
死んでなお、君に迷惑をかけてしまうことを本当に心苦しく思っている、だが、最期の最後にどうかこの願いを叶えて欲しい。とても簡単なことだ。同封した俺の家族宛の封筒と写真帳を家族の元に届けてほしい。直截持って行ってくれとは言わない。記した住所におくってくれるだけでよい。自分で送る勇気だけはどうしても出なかった。そこで君に、託そうというわけだ。どうかこの願いを引き受けてほしい。
さて、俺がこの二年間何をしていたのか、きっと君も気になっているだろうから、順を追って説明しようと思う。写真帳を開きながら読んでもらえるとなおよい。
僕は、小包から写真帳を取り出してめくった。彼が二年間で尋ね歩いたであろう様々な場所の風景や、人々が即席写真に彼の言葉とともに写っていた。
始めに君に謝らなければならない。あの日喫茶店で話したことはすべでではない。嘘は一つもついてはいないが、すべてを話せたわけではなかった。つまらない自尊心のため、俺は君に一番肝心なところ言えずじまいだったのだ。俺は、死ぬことを決めた理由に、誰かの役に立って死にたいといった。それはもちろん本心であるが、一番の理由は違う。俺は怖かったのだ。死ぬことよりも、生きていくことが怖かったのだ。あの頃の俺は、劣等感と自己嫌悪で押しつぶされていた。優秀な研究室で、優秀な人材に囲まれ、自分がいかに凡人で何のとりえもない人間かを思い知らされた。周りの評価だけで自分を保ってきた俺には、何もなかった。
しかし、君や、俺の周囲の人間が抱く、優等生像を崩したくはなかった。それは間違いなく己の持つ尊大な自尊心からである。周りができるのであれば自分もできる。優等生たるものそれ以上をこなさねばと考えていた。その考えは俺自身を苦しめ、壊していった。そして、先刻君に告げたように目指すものがないと気づいたとき、俺の心はいとも簡単に砕けた。生きる意味を見失い、自堕落な生活に落ちていった。ところが、自尊心だけは人一倍高く、できない自分が心底嫌いになった。何もできないくせに一人前に腹は減り、生きていくに金を掛ける。卑しさすら感じるようになっていった。
次に選んだのは逃げることだった、自分が嫌だと思うことからとことん逃げた。逃げて逃げて逃げて、逃げ場がなくなった時、振り返るとそこにはやらねばならぬことが山のように積み重なっていた。もう、死ぬしかないと思ったのだ。この山を越えられる自信は全くなかった。いろんな選択肢を考えていたつもりでいた。しかし最後には死ぬという選択しか残らなかった。このころが俺の人生で最もつらい時期であっただろう。そんな時、あの広告を見つけた。神が味方したと思った。
そうして、寿命を売った俺は、残った二年の余命を生きることにした。誰かの役に立つことをと、さまざまな奉仕活動に参加した。ひと時の達成感と満足感は得られたが、そこに自分の価値は見いだせなかった。奉仕活動で、東北を訪れたとき、俺はあることに気づいた。そこは、東日本大震災で行方不明になった方々の遺品を探す仕事だった。正直、遺品を見つけてどうなるのかと思っていたが、参加していた老人がこう言ったのだ。死んだ人間は、記憶の中でもちろん生き続けられる、しかし、生きていた証にはならないのだと。だから自分たちは、彼らが生きた証を見つけてあげるのだと。俺は胸を打たれた。俺も、生きた証を残したいと思った。それまで、出会った人や、風景を収めるだけであった写真に、自分の姿を残すようになった。俺が二年間どこでどのように生きたかの証を残していった。
僕は彼の手紙とともに写真帳をめくって行っていた。確かにある時期より、写真には常に彼の姿があった。楽しそうな顔、満足そうな顔、疲れでへたれ込む姿。いろいろな彼が写真の中に残っていた。
奉仕活動をしながら旅をしているうちに、俺の元に驚くべき知らせが入って来た。俺の寿命が誰かに買われたという電話だった。半ば嘘のような話だと思っていた俺は、買い手がついたことにも、それを知らせてきたことにも驚いた。電話で、購入者に会いたいか聞かれた。俺は即決で会いに行くことにした。会いに行く道中、俺は心中穏やかではなかった。急に自分の余命がわずかであることを実感したからだ。あれから一年が経っていた。あと一年で死ぬことが確定したのだ。購入者に会えば、死ぬのが嫌になり、寿命を返せと掴みかかるのではないかと思ったりもした。会いに行ったのは失敗かと思ったが、結果は全くの正反対であった。
俺の命を買ったのは、赤子の父親だった。死産と言われた赤子を救うため、藁にも縋る思いで、寿命を買ったといった。赤子を抱く母親の姿は、慈愛に満ち、神々しいほどに美しかった。俺はその姿を写真に収め、一枚を父親に譲った。その時に尋ねたのだ。父親にとっての赤子の価値とは何かを。彼は即答で存在そのものだといった。
俺は雷に打たれた気持ちになった。存在そのものが価値だという考えだけは思いもよらなかった。そして同時に、自分の選択の最大の過ちにも気づいてしまった。俺は、俺自身で、自分の価値を一つ捨ててしまったのではないか。あの赤子の両親のように、俺の存在自体に価値を感じてくれている人がいるかもしれない。自分の世界を見るばかりで、周りに目を向けていなかった。周りを見渡せば、価値を教えてくれる人がいたかもしれない。君の言うとおりだった。もっと早くに誰かに話せばよかったのだ。
それから、君に再会する日まで、俺は、ゆかりのある人たちに会ってきた。もちろんあと一年で死ぬことは伝えず、たわいもない話をした。俺は少しずつ満たされていった。疎遠にしていた友人も、俺のことを覚えていてくれた。思い出話にも花が咲いた。友人の一人は試験前になると俺の存在が欠かせなかったと言っていた。もちろん山をはるための要員だ。しかし、そのようなことでも、俺自身の存在に価値があったことを教えてくれた。
彼の写真帳の後半は、彼の語る友人たちとの写真で埋め作れていた。大学では、友人の少ない彼であったが、故郷には大切な友がいたようだ。
ゆかりのある友人たちを訪ね、最後に向かうべきなのは家族の元であった。しかし、それだけは出来なかった。家族に会えば、あと少しで死ぬことを伝えずにはいられないと思ったからだ。悲しませ、その顔を見て死にたくはなかった。だから、こうして死んだのち、君に手紙を託すことにした。手紙には、感謝と懺悔が記されている。どうか届けてほしい。
最後になるが、君という友人に出会えたことを心から神に感謝する。そして、わが生涯に一片の悔いなし。君の人生に幸多からんことを。
彼の手紙を読み終えたあと、僕は、家族宛の封筒に記された彼の家を訪ねた。郵送でよと言っていたが、この手で渡すべきだと思った。
冬でも暖かい彼の故郷で、彼の母親に小包を手渡した。僕の突然の訪問に心底驚いているようであったが事情を説明すると、優しく手迎えてくれた。居間に、彼の遺影と線香がたてられていた。彼の母親は、彼からの手紙と写真帳を交互にみながら、時折、鼻をすすっていた。僕がいる手前、必死で泣くのを我慢していることが伝わってきた。一通り読み終わると、一度席を立った。戻ってきたときには目を真っ赤にしていた。
「こんなところまで、持ってきてくれて申し訳ない。馬鹿な息子に最後まで付き合ってくれて本当にありがとう」
彼の母親はそういうと、写真帳から一枚の写真を抜きとった。
「息子が一枚は、あなたにあげてほしいって手紙に書いてあったから。もらってあげて」
それは、彼の寿命を受け継いだ赤子とその母親の写真だった。即席写真の余白には彼の字でこう書かれていた。
『僕の命は君のため、君の命は愛のため』
僕は悔しさで目頭が熱くなった。
「どうしてもっと早くに気づいてあげられなかったのでしょう。最良の友と言ってくれていたのに」
彼の母親は、微笑みながら首を横に振った。
「それは、あなたが気にすることじゃないのよ。その言葉は、私たちのための言葉だから」
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