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0章 理不尽な終わり
プロローグですよね?
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私、結川藍(12)は、幼馴染・志賀崎連(15)の買い物に同伴するという名目で、一緒に下校している。何故年上の幼馴染のお守りをしているかって?うん、この際洗い浚い話してしまうか。
彼は、幼い頃からの教育で守らなくてはならない幼馴染だからです!
私が『お守り』――この役割を担った理由は、私以外この幼馴染の行動を読み取れないからだ。必要な時に言葉が足りないし、常に心ここにあらずで会話が成り立たない。主に頭を占めるのは、機械とゲームと食べる事寝る事。
私はそんな彼の行動・意図を読み取って、通訳係兼彼の窓口になっている。…非常に迷惑極まりないですよ?
ちなみに、私は来年から中学に入学、彼は中学三年生って歳なんだけど、この男のせいで私も既に中学三年生です。絶賛伝説を作っちゃっていますよ。私は巻き込まれた被害者です、ええ。
…聞きますか?いや、聞いてください!
彼のコミュ不足により、私は彼と共に三年早く中学生やってます。彼の同伴者がいないと困ると教師方や彼の両親にお願いされ(親からは恐喝され)て、よく分からない飛び級の試験の末、現在中学三年生です。
今は中学三年目という事もあって、周りの皆さんに理解してもらっています。全員私より年上なのですが、協力的なんです。…まあ、連と友人になろうと必死なんですよ。
で、当の本人は私の苦労など知らないかのように、今日も買い物に付き合ってほしいと催促してきた。どうせ新作のゲームを買いたいんでしょ?スケジュール管理の中に、ゲーム発売日が追加記入された時には分かっていたさ…。
今日の授業が終わり、学校から直行で買いに行っています。部活?入ってない。委員会も入ってない。何で融通が利くのか?あ、それは言ってなかったね。
彼が天才児だからですよ。(私はそんな彼の助手ポジなのです)
授業の内容は教科書もらった日に覚え、いつも成績は首位。さっき言った頭を占める割合に機械が入っていたけど、ロボワン優勝者。他のメンバーは適当に見繕っている。一応機械オタクで揃えているけどね。勿論、オペレーター、操縦者は彼で、ロボットの管理は私がしてますよ。性能の上がる機体に、予算どうしたよ!って些か疑問なんだけど、何か寄付してくれるスポンサー、ちゃんといるんですよね…。そりゃ部費だけじゃ毎回新しい機体、作れませんって!
うん…、他の体育とか美術とか諸々オール5です。音楽だけは、音痴だが教師が評価を盛ってる。……人間一つくらい苦手な物ないとね!(教師達の媚びも敢えてスルー)
帰り、いや買い物に向かう途中、私は今日の夕食と明日の弁当を考えている。私の前方を歩く幼馴染は、まあボ~ッと今日買うゲームの事を考えていますよ。前後左右見てないのに、器用に目的地に足が向かっている。わーすごい(棒読み)。ちゃんと横断歩道を渡る時は信号見て右・左・右見て手を上げましょうね、と習うでしょうがっ!
まあ?それを模範的にやる人はあまりいないだろうし、幼馴染も記憶には残っているはずだ。何せ記憶力はいいんだから!
そんな脳内ボケツッコミをしていると、問題の横断歩道にやってまいりました!
いつもの帰り道は余程困ることはないんだけど、今日みたいな幼馴染が浮かれている日は非常に危ない。主に、私の精神力と瞬発力と体力が、だ!
歩道の信号は青なので、普通に通過してますが、どこに危険が飛び込んでくるか―――うわ、脇見運転のトラックが来た!?物凄いスピードだから横断歩道に人がいると思ってないでしょ!?
目の前の幼馴染だけでも救出せねば!!彼の背中を疾風雷神の如し…じゃなくてタックルして、向こう側の歩道目がけて突き飛ばした。私はその場に踏みとどまるのが精いっぱいで――あ。
ドガッ―――
…痛い。
撥ねられ、轢かれたみたい。あれは、ブレーキも踏んでないでしょ…。起き上がれない。これは、肩から腰に掛けて複雑骨折の疑いあり。肺の圧迫、心臓も…うん、駄目そう。
若干この状況で分析実況できちゃう自分に惚れ惚れしてるけど、これは死ぬな…。
神様、これは何の試練でございましょうか。私はひたすらミッションインポッシブルな日々で疲れているんです。この老体、いや弱体に何をさせようと言うんですか…。
私はそこで意識が途切れた。
*
ん、ここは?もしや、天界?
どこまでも白い空間に期待を込めて見渡すと、目を見開いた少年がいた。
何と、神々しいオーラを放っている!?…神様ですかね。
「あの~、神様?ここは一体―――」
「君は誰?…――何か、呼んでない人がここにいる…」
はい?少年の口から刺々しい一言が飛んできました。
うん、私をお呼びでないのは分かっている。突然死んだ人間がここにいるんだもんね。
神様と思しき少年はブツブツと何やら呟いている。
ひとまず、聞いてみるか。
「あの~、私は呼ばれてないみたいですけど、誰を呼んでいたんですか?」
少年はガバッと顔を上げ、私の後方を指さす。私もその方向に振り返れば、
「連っ!?何でいるのっ!」
そう、私が助けたはずの幼馴染がいた。
え?あの時横断歩道の向こうに追いやったよね?
「よく分かんないけど、何でかな?」
幼馴染は考えることを放棄して、神様に尋ねる。
神様も我が幼馴染は無下にできないらしく、あの時の詳細を説明してくれた。
「えー、君達二人が横断歩道を渡ってる最中に、信号無視の脇見運転のアクセル全開のトラックが突っ込んできました。そこの少年はそこの少女によって押し出され、少女が轢かれました。それは粉々になる感じで。そして、そこの少年は横断歩道を渡り切った所にいたのに、何を思ったのか横断歩道を引き返します。そこで、後続のバイクに轢かれ、現在至ります。…これでいいですか?」
とても早口だけど分かりやすい説明に、口をあんぐりと開けたまま放心しそうになった。
おい、そこの幼馴染!何で引き返してきたんだよ!
ツッコミたいところは他にもあったけどさ、トラックの事とか!
「あ…思い出した。あの時は財布がない事を忘れて…」
「それで引き返したの?私が現金かなり持ってたわよ!」
「でも轢かれたって…」
「あ~、この際どうでもいいわ。…えっと、神様?この後、どうすればいいの?」
もう死んだんだから、彼が欲しかっただろうゲームも買いに戻れないんだし?
早くこの空間から出たい。
「えっと、そこの彼には異世界に転生してもらいます」
「え?何のゲーム!?」
お、食いついた。さすが頭の4分の1を占めてるだけはある。
ってか、そうか。お決まりの異世界転生か…。
「確か、ファンタジー要素のある乙女ゲーム、だったかな」
「いや、乙女ゲームってどれでも少なくともファンタジー要素あるでしょ!?フィクションなんだし…」
「藍は黙っていて!――それで、どんな内容?」
私の幼馴染は乙女ゲームも許容範囲に入っていたみたいです。
あ、もしや。乙女ゲームにも戦闘ガチだったり男女問わず受けのいいシナリオとかあったりするか…。この幼馴染はどこまでアンテナを立てているんだか。
「魔法あり、戦闘も冒険者か騎士になれば日常茶飯事、獣人や精霊・女神と多種族いる。西洋が舞台だけど、魔法で生活水準高め。――そんで、君、えーっと、連は公爵子息で4属性持ちの莫大な魔力持ち。ヒロインの攻略対象に入っていて……後は自分で確認して?あ、一応美形一家だから安心してね」
と、まあ幼馴染の今後を知った訳ですけど、…――私は?
私を視界に入れようとしない神様に嫌な予感がするけど、聞かずにはいられない。
「神様?私はどうなるんですか?」
「…………ッ、(舌打ち)」
「なあ、神様。藍の事も教えて?」
「分かりました」
「え!?何、この対応の差は!!」
私、別に何も悪くないよね?まあ、よそ者が来ちゃった感はあるんだけどね?
「はぁ…、君を生き返らせて事なきを終えたかったんだけど…」
「知ってます。蘇生が無理なほど粉々なんですよね?」
「…君、何も聞かず死んでくれないかな?」
え、何この神様!?私、あの世送り?輪廻転生できないの!?
「なあ、藍は地獄行きとか言わないよな?お前、それでも神様なんだろ?」
あれ~、うちの幼馴染、言ってることイケメンなんですけど?
シフトチェンジして、君が私をどこかに転生させてくれ!!
「…無茶言ってくれますね。こっちにもできる事とできない事が…」
「俺も地獄に行こ~っと♪」
連、私の幼馴染の能天気な発言に青褪めて神様も自白してくれました。
頼もしいな、おい。
「彼女の地獄行きは確かです。転生先で空きがないんです…」
「そういえば、俺って赤ん坊からスタートするんだろ?」
「はい、そうですね。転生というからにはそうなります」
「じゃあ、藍もどこかの個体に転生させらんねぇの?」
「それは…、彼女の魂を同じ世界の同時期に生まれる子供に接続しろ、と言うのですか?」
「それくらい融通利くだろ?…それが無理なら、俺も地獄に行く」
「あああの!!それだけはやめてくださいいいい」
神様はただいまパニック中、いや論破されています。
もしかしなくても、連――私の幼馴染は力関係的に上?
(余談:連が神様の胸倉を掴んで脅迫しちゃってます✮)
「…では、そこら辺の子爵令嬢辺りに――」
「待て」
「…何か?」
「俺と関連する家の子にしてくれ」
「あ、じゃあ金髪碧眼の伯爵令嬢に―――」
「それも駄目だ」
お~、神様の顔が引き攣っている。連も注文が多いな。私は金髪碧眼美少女がよかったのにな~。
「今のこいつの容姿に似た奴にしてくれ」
「それは…。彼女はこれといった特徴が…。黒髪黒目でいいですか?」
「それでいい。」
「…え~っと、連?何でそんなに私の容姿変えちゃダメなのかな?」
「お前の顔を見れないのは、何か安心しないからな」
………ここ、トキめく所?微妙に貶されている気がする。
さっき神様が言い淀んだ通り、平凡のっぺり顔なんですよ?黒髪黒目とか、私を指す特徴なさすぎじゃない!?
「…黒髪黒目だけ条件としてあるけど、それで安心なわけ?」
「お前だと分かればいい」
「オウ、ソウカイ」
思わずカタコトになった。私のアイデンティティって何だろうな~、はは。
「とにかく、彼女には公爵令嬢という事になってもらいます」
「ちなみに、藍はゲームの主要人物から離れてるのか?」
「悪役です」
うわあ~、ひどい。
そりゃあ地獄行きよりいいけど、死ぬ可能性というか死ぬタイミング引き延ばされただけ?
今世で苦労した私を労わる気はないようね。あ~、世の中理不尽だわ。
「あと1分で転生先につきますので、心づもりを…」
「1分で?どうしよう、とりあえず…すーはーすーはー」
「藍」
「ごほっ…何?」
「ゲームとはいえ生きてるんだからさ、自由に動かしていいと思う。だって、藍の性格までは変わらないだろ?」
「連……最後にありがとう」
「まあ、今世最後か。じゃあ、あっちでよろしく」
「もう介護はしないわよ!」
そんな会話であっという間に1分は経ち、異世界に旅立ちました、とさ?
何てひどい最後で始まりだろう。
今度こそ青春謳歌してやる!!
彼は、幼い頃からの教育で守らなくてはならない幼馴染だからです!
私が『お守り』――この役割を担った理由は、私以外この幼馴染の行動を読み取れないからだ。必要な時に言葉が足りないし、常に心ここにあらずで会話が成り立たない。主に頭を占めるのは、機械とゲームと食べる事寝る事。
私はそんな彼の行動・意図を読み取って、通訳係兼彼の窓口になっている。…非常に迷惑極まりないですよ?
ちなみに、私は来年から中学に入学、彼は中学三年生って歳なんだけど、この男のせいで私も既に中学三年生です。絶賛伝説を作っちゃっていますよ。私は巻き込まれた被害者です、ええ。
…聞きますか?いや、聞いてください!
彼のコミュ不足により、私は彼と共に三年早く中学生やってます。彼の同伴者がいないと困ると教師方や彼の両親にお願いされ(親からは恐喝され)て、よく分からない飛び級の試験の末、現在中学三年生です。
今は中学三年目という事もあって、周りの皆さんに理解してもらっています。全員私より年上なのですが、協力的なんです。…まあ、連と友人になろうと必死なんですよ。
で、当の本人は私の苦労など知らないかのように、今日も買い物に付き合ってほしいと催促してきた。どうせ新作のゲームを買いたいんでしょ?スケジュール管理の中に、ゲーム発売日が追加記入された時には分かっていたさ…。
今日の授業が終わり、学校から直行で買いに行っています。部活?入ってない。委員会も入ってない。何で融通が利くのか?あ、それは言ってなかったね。
彼が天才児だからですよ。(私はそんな彼の助手ポジなのです)
授業の内容は教科書もらった日に覚え、いつも成績は首位。さっき言った頭を占める割合に機械が入っていたけど、ロボワン優勝者。他のメンバーは適当に見繕っている。一応機械オタクで揃えているけどね。勿論、オペレーター、操縦者は彼で、ロボットの管理は私がしてますよ。性能の上がる機体に、予算どうしたよ!って些か疑問なんだけど、何か寄付してくれるスポンサー、ちゃんといるんですよね…。そりゃ部費だけじゃ毎回新しい機体、作れませんって!
うん…、他の体育とか美術とか諸々オール5です。音楽だけは、音痴だが教師が評価を盛ってる。……人間一つくらい苦手な物ないとね!(教師達の媚びも敢えてスルー)
帰り、いや買い物に向かう途中、私は今日の夕食と明日の弁当を考えている。私の前方を歩く幼馴染は、まあボ~ッと今日買うゲームの事を考えていますよ。前後左右見てないのに、器用に目的地に足が向かっている。わーすごい(棒読み)。ちゃんと横断歩道を渡る時は信号見て右・左・右見て手を上げましょうね、と習うでしょうがっ!
まあ?それを模範的にやる人はあまりいないだろうし、幼馴染も記憶には残っているはずだ。何せ記憶力はいいんだから!
そんな脳内ボケツッコミをしていると、問題の横断歩道にやってまいりました!
いつもの帰り道は余程困ることはないんだけど、今日みたいな幼馴染が浮かれている日は非常に危ない。主に、私の精神力と瞬発力と体力が、だ!
歩道の信号は青なので、普通に通過してますが、どこに危険が飛び込んでくるか―――うわ、脇見運転のトラックが来た!?物凄いスピードだから横断歩道に人がいると思ってないでしょ!?
目の前の幼馴染だけでも救出せねば!!彼の背中を疾風雷神の如し…じゃなくてタックルして、向こう側の歩道目がけて突き飛ばした。私はその場に踏みとどまるのが精いっぱいで――あ。
ドガッ―――
…痛い。
撥ねられ、轢かれたみたい。あれは、ブレーキも踏んでないでしょ…。起き上がれない。これは、肩から腰に掛けて複雑骨折の疑いあり。肺の圧迫、心臓も…うん、駄目そう。
若干この状況で分析実況できちゃう自分に惚れ惚れしてるけど、これは死ぬな…。
神様、これは何の試練でございましょうか。私はひたすらミッションインポッシブルな日々で疲れているんです。この老体、いや弱体に何をさせようと言うんですか…。
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*
ん、ここは?もしや、天界?
どこまでも白い空間に期待を込めて見渡すと、目を見開いた少年がいた。
何と、神々しいオーラを放っている!?…神様ですかね。
「あの~、神様?ここは一体―――」
「君は誰?…――何か、呼んでない人がここにいる…」
はい?少年の口から刺々しい一言が飛んできました。
うん、私をお呼びでないのは分かっている。突然死んだ人間がここにいるんだもんね。
神様と思しき少年はブツブツと何やら呟いている。
ひとまず、聞いてみるか。
「あの~、私は呼ばれてないみたいですけど、誰を呼んでいたんですか?」
少年はガバッと顔を上げ、私の後方を指さす。私もその方向に振り返れば、
「連っ!?何でいるのっ!」
そう、私が助けたはずの幼馴染がいた。
え?あの時横断歩道の向こうに追いやったよね?
「よく分かんないけど、何でかな?」
幼馴染は考えることを放棄して、神様に尋ねる。
神様も我が幼馴染は無下にできないらしく、あの時の詳細を説明してくれた。
「えー、君達二人が横断歩道を渡ってる最中に、信号無視の脇見運転のアクセル全開のトラックが突っ込んできました。そこの少年はそこの少女によって押し出され、少女が轢かれました。それは粉々になる感じで。そして、そこの少年は横断歩道を渡り切った所にいたのに、何を思ったのか横断歩道を引き返します。そこで、後続のバイクに轢かれ、現在至ります。…これでいいですか?」
とても早口だけど分かりやすい説明に、口をあんぐりと開けたまま放心しそうになった。
おい、そこの幼馴染!何で引き返してきたんだよ!
ツッコミたいところは他にもあったけどさ、トラックの事とか!
「あ…思い出した。あの時は財布がない事を忘れて…」
「それで引き返したの?私が現金かなり持ってたわよ!」
「でも轢かれたって…」
「あ~、この際どうでもいいわ。…えっと、神様?この後、どうすればいいの?」
もう死んだんだから、彼が欲しかっただろうゲームも買いに戻れないんだし?
早くこの空間から出たい。
「えっと、そこの彼には異世界に転生してもらいます」
「え?何のゲーム!?」
お、食いついた。さすが頭の4分の1を占めてるだけはある。
ってか、そうか。お決まりの異世界転生か…。
「確か、ファンタジー要素のある乙女ゲーム、だったかな」
「いや、乙女ゲームってどれでも少なくともファンタジー要素あるでしょ!?フィクションなんだし…」
「藍は黙っていて!――それで、どんな内容?」
私の幼馴染は乙女ゲームも許容範囲に入っていたみたいです。
あ、もしや。乙女ゲームにも戦闘ガチだったり男女問わず受けのいいシナリオとかあったりするか…。この幼馴染はどこまでアンテナを立てているんだか。
「魔法あり、戦闘も冒険者か騎士になれば日常茶飯事、獣人や精霊・女神と多種族いる。西洋が舞台だけど、魔法で生活水準高め。――そんで、君、えーっと、連は公爵子息で4属性持ちの莫大な魔力持ち。ヒロインの攻略対象に入っていて……後は自分で確認して?あ、一応美形一家だから安心してね」
と、まあ幼馴染の今後を知った訳ですけど、…――私は?
私を視界に入れようとしない神様に嫌な予感がするけど、聞かずにはいられない。
「神様?私はどうなるんですか?」
「…………ッ、(舌打ち)」
「なあ、神様。藍の事も教えて?」
「分かりました」
「え!?何、この対応の差は!!」
私、別に何も悪くないよね?まあ、よそ者が来ちゃった感はあるんだけどね?
「はぁ…、君を生き返らせて事なきを終えたかったんだけど…」
「知ってます。蘇生が無理なほど粉々なんですよね?」
「…君、何も聞かず死んでくれないかな?」
え、何この神様!?私、あの世送り?輪廻転生できないの!?
「なあ、藍は地獄行きとか言わないよな?お前、それでも神様なんだろ?」
あれ~、うちの幼馴染、言ってることイケメンなんですけど?
シフトチェンジして、君が私をどこかに転生させてくれ!!
「…無茶言ってくれますね。こっちにもできる事とできない事が…」
「俺も地獄に行こ~っと♪」
連、私の幼馴染の能天気な発言に青褪めて神様も自白してくれました。
頼もしいな、おい。
「彼女の地獄行きは確かです。転生先で空きがないんです…」
「そういえば、俺って赤ん坊からスタートするんだろ?」
「はい、そうですね。転生というからにはそうなります」
「じゃあ、藍もどこかの個体に転生させらんねぇの?」
「それは…、彼女の魂を同じ世界の同時期に生まれる子供に接続しろ、と言うのですか?」
「それくらい融通利くだろ?…それが無理なら、俺も地獄に行く」
「あああの!!それだけはやめてくださいいいい」
神様はただいまパニック中、いや論破されています。
もしかしなくても、連――私の幼馴染は力関係的に上?
(余談:連が神様の胸倉を掴んで脅迫しちゃってます✮)
「…では、そこら辺の子爵令嬢辺りに――」
「待て」
「…何か?」
「俺と関連する家の子にしてくれ」
「あ、じゃあ金髪碧眼の伯爵令嬢に―――」
「それも駄目だ」
お~、神様の顔が引き攣っている。連も注文が多いな。私は金髪碧眼美少女がよかったのにな~。
「今のこいつの容姿に似た奴にしてくれ」
「それは…。彼女はこれといった特徴が…。黒髪黒目でいいですか?」
「それでいい。」
「…え~っと、連?何でそんなに私の容姿変えちゃダメなのかな?」
「お前の顔を見れないのは、何か安心しないからな」
………ここ、トキめく所?微妙に貶されている気がする。
さっき神様が言い淀んだ通り、平凡のっぺり顔なんですよ?黒髪黒目とか、私を指す特徴なさすぎじゃない!?
「…黒髪黒目だけ条件としてあるけど、それで安心なわけ?」
「お前だと分かればいい」
「オウ、ソウカイ」
思わずカタコトになった。私のアイデンティティって何だろうな~、はは。
「とにかく、彼女には公爵令嬢という事になってもらいます」
「ちなみに、藍はゲームの主要人物から離れてるのか?」
「悪役です」
うわあ~、ひどい。
そりゃあ地獄行きよりいいけど、死ぬ可能性というか死ぬタイミング引き延ばされただけ?
今世で苦労した私を労わる気はないようね。あ~、世の中理不尽だわ。
「あと1分で転生先につきますので、心づもりを…」
「1分で?どうしよう、とりあえず…すーはーすーはー」
「藍」
「ごほっ…何?」
「ゲームとはいえ生きてるんだからさ、自由に動かしていいと思う。だって、藍の性格までは変わらないだろ?」
「連……最後にありがとう」
「まあ、今世最後か。じゃあ、あっちでよろしく」
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