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第一章 ぶつかり合う感情
戦士達の準備
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瑞々しい新緑が日の光を浴びて色鮮やかに森を彩る頃。
若手の戦士達は、闘技祭に向け鍛え上げ積み重ねた努力を己の糧にし、次々と王都バンタルに足を踏み入れていた。
闘技祭前日の今日、会場であるコロシアムで手続きを済ませ、宿をとるなりそれぞれに明日に備えるのだった。
前日だからこそ、感覚が鈍らないよう練習しておきたい。
戦いを目前に、誰もがそう思うのだが…。
ただでさえ賑やかな王都は観光客も含め人で溢れかえり、コロシアム付近の練習場は同じ考えを持つ戦士達ですぐに埋まり、穴場と言える公園や平地も”戦闘の練習厳禁”の看板と共に防御バリアが張られていた。
幾人かの戦士達は感覚を頼りに行きついた場所で、自然と足を止めた。
――一人の少女が長剣を片手に持ち、もう一方の手を刀身に沿え、静の気を纏っていた。
彼女の黄金の髪と似た粒子が辺りに満ち、自分たちの頭上からも降ってくるのを察知し、手で触れてみる。それが、己の魔力を用いた精神統一である事を知らない彼らは粒子に触れた瞬間、胸の奥から込み上げる高揚感と漲ってくる力に目を見張った。
伏せられた紫色の瞳が彼らを捉え、人好きしそうな笑みを乗せた。
「…練習する場を探していたのだろう。気の済むまで使うといい。」
剣を鞘に戻さず剥き出しのまま立ち去ろうとする彼女を呼び止めようとする者はいなかった。それほどに、彼女も淡い光を放つ剣も美しかったのだ。
彼らは彼女が立ち去った方向に一度礼をし、納得できるまで己の鍛錬に打ち込んだ。
王都を離れれば、大自然に囲まれた、人ならざる者が生存する森が見える。
人でない、木の精霊や善なる魔力を持つ動物達が住まうそこに共存する人の姿があった。その森を自分の庭であるように熟知し、人里に降りれば簡単に溶け込んでしまえる。俗世間とはかけ離れたオーラの少年。
(一週間も離れた事なかったな…。必ず勝って帰ってこなきゃ。でもそしたら、今度戻ってこれる日はいつになるんだ?)
空に向かって伸び続ける木の幹に手を当てて葉擦れの音に耳を傾けていると、後方で風が巻き起こった。
『準備はできたのか。』
抑揚のない口調で言葉を投げかけてきたのは、俺の師で、森の統治者のラクハ。
絶滅危惧種である烏天狗の生き残りで、人間によって故郷をなくした彼が親なしの俺を拾って育ててくれた。
これまでの14年間が無駄になる訳ないけど、ここを離れたらもうラクハに会えない気がする。
『…こいつを持っていけ。』
「えっ…、これ」
ラクハが肌身離さず腰から下げている大剣。
達筆な文字が刀身部分に書いてあって、刃渡り70センチ以上ある、短い柄が包帯に巻かれただけのもの。
真剣で稽古をつけてもらった事が数度あったその時だけ、ラクハがこれを振るっていたのを思い出す。何十本も木剣が折れるまで練習した俺を、初めて認めてくれた日の事を。
「ラクハの大事なもんだろ?俺が持っていていいのか?」
『貸すだけだ。…傍にいてやれないからな。』
鼻の奥がツンとして俯く俺をラクハは軽く肩を叩いて慰めてくれた。
「あいつらにも一言声かけておけ。」
その言葉に振り返ると、俺達を見守っていた仲間が涙ぐみながら俺をじっと見つめていた。
王都の大通りを、鮮やかな花を受け取りながら見目麗しい騎士様が歩いていた。
闘技祭の準備をしていた商人達も、店の宣伝のため大通りに出ていた少女達も手を止め、この国ハーデラウルを護る誇り高き騎士に賞賛の声を上げていた。
「何かもうバレてるね…?」
変装しているつもりだった騎士の一人が、沸き立つ歓声に慄きながら、茶髪を地毛の橙色に戻していた。
その他の三人も、橙色頭の彼をほら見ろといった種類の眼差しを向け、面倒のない程度に道行く、主に女性陣にサービスを提供していた。
「ツェーザル様、これ受け取ってください!」
「ありがとう。後でカミルと一緒にいただくよ。」
「はいっ!是非っ、お二人でいただいてください!」
ツェーザルと呼ばれた彼は、女性のように手入れの行き届いた黒髪を三つ編みで纏め、真っ赤な瞳をゆるりと細める。女性受けする端正な顔立ちと立ち居振る舞いは好評で、粗雑でやんちゃなカミルとセットで見られる事が多々ある。そのカミルというのが、冒頭の橙色の彼。
「ザシャ様。このハンカチを私だと思って肌身離さず持ってください!」
「…………」
「…リエト様。」
「ありがとう、ヴィーラ」
普段の無骨な印象とはかけ離れ、体術の試合中に輝いて見えるザシャの人気は、ギャップ萌えにある。女性からハンカチを受け取るべきか悩みながら僅かに口角を上げて礼を言う。その控えめな微笑に世の女性は庇護欲をそそられたりする。
軟派な風貌は見せかけだけの、婚約者に一途なリエトは今日も今日とて、愛する婚約者ヴィーラから手作り菓子を受け取っていた。相思相愛の二人は憧れのカップルとして羨望の眼差しを浴び続けている。
この4人が何故これほど注目されているかというと、昨年の闘技祭の優勝者陣であるからだ。
闘技祭での各部門の優勝者は翌年の闘技祭で審査員となり、勝ち上がってきた優秀な人材をスカウトする役割を担っている。歴代の覇者も同じく審査員席に並ぶが、新人教育の一環なのか表立って発言するのは彼らだ。
「なあ、ツェン。今年、面白れぇ剣士いるか~?」
「…どうせ真剣勝負がしたいんでしょう。今年は通年より地方からの参加者が集まってきますから、そこそこ楽しめるんじゃありませんか?」
「ふ~ん、つまんなかったら途中で帰ろうかな…」
「それだけは勘弁してください、カミル。俺達は仕事で出向くのですから、大人しく審査員席に座っていてくださいね。」
カミルとツェーザルの二人に比べ静かなザシャとリエトも明日の闘技祭を心待ちにしている。漫才が繰りなされる中、リエトはぽそりと呟く。
「そういえば、今年、カミルが担当する剣術部門では令嬢が参加するんじゃなかったか?」
「令嬢?剣士希望でか?」
剣と肉しか眼中にないカミルはひたすら頭を捻るが思い出せず、ザシャは控えめに驚きを見せた。
「リエトが、ヴィーラ嬢以外の女性を口にするなんて…意外」
「ん?ああ、ヴィーラがこの前話してたから思い出しただけ。」
「――貴方達、もう少し参加者の名簿、頭に叩き込んどいてくださいっ。」
ツェーザルは米神を痙攣させながら、仕方なさげに話題の令嬢の説明を始めた。
「リエトの言っていた令嬢は、あの英雄フォミュラス殿の娘のナーロレイ・キュランダ嬢です。何でもブルーザイン騎士団長の愛弟子ラウス・コルデミッドと鍛錬を重ねているそうですよ。」
「…へぇ~!あの英雄の…娘か。強いのか?普段どんな剣使ってんだ?ってか、英雄から教わってるわけじゃねぇのか?ラウスの剣技も見た事ないんだよな。」
「ブルーザイン騎士団の活動内容も公表されないから、しっくり来ないよね。…――あ、ヴィーラの手作りクッキー相変わらずうまいなぁ。」
「手っ取り早く、戦争でも起きないかな~…」
カミルの物騒な発言に、冗談じゃないと思いつつ、カミルの剣術バカぶりを三者共に再確認するのだった。
若手の戦士達は、闘技祭に向け鍛え上げ積み重ねた努力を己の糧にし、次々と王都バンタルに足を踏み入れていた。
闘技祭前日の今日、会場であるコロシアムで手続きを済ませ、宿をとるなりそれぞれに明日に備えるのだった。
前日だからこそ、感覚が鈍らないよう練習しておきたい。
戦いを目前に、誰もがそう思うのだが…。
ただでさえ賑やかな王都は観光客も含め人で溢れかえり、コロシアム付近の練習場は同じ考えを持つ戦士達ですぐに埋まり、穴場と言える公園や平地も”戦闘の練習厳禁”の看板と共に防御バリアが張られていた。
幾人かの戦士達は感覚を頼りに行きついた場所で、自然と足を止めた。
――一人の少女が長剣を片手に持ち、もう一方の手を刀身に沿え、静の気を纏っていた。
彼女の黄金の髪と似た粒子が辺りに満ち、自分たちの頭上からも降ってくるのを察知し、手で触れてみる。それが、己の魔力を用いた精神統一である事を知らない彼らは粒子に触れた瞬間、胸の奥から込み上げる高揚感と漲ってくる力に目を見張った。
伏せられた紫色の瞳が彼らを捉え、人好きしそうな笑みを乗せた。
「…練習する場を探していたのだろう。気の済むまで使うといい。」
剣を鞘に戻さず剥き出しのまま立ち去ろうとする彼女を呼び止めようとする者はいなかった。それほどに、彼女も淡い光を放つ剣も美しかったのだ。
彼らは彼女が立ち去った方向に一度礼をし、納得できるまで己の鍛錬に打ち込んだ。
王都を離れれば、大自然に囲まれた、人ならざる者が生存する森が見える。
人でない、木の精霊や善なる魔力を持つ動物達が住まうそこに共存する人の姿があった。その森を自分の庭であるように熟知し、人里に降りれば簡単に溶け込んでしまえる。俗世間とはかけ離れたオーラの少年。
(一週間も離れた事なかったな…。必ず勝って帰ってこなきゃ。でもそしたら、今度戻ってこれる日はいつになるんだ?)
空に向かって伸び続ける木の幹に手を当てて葉擦れの音に耳を傾けていると、後方で風が巻き起こった。
『準備はできたのか。』
抑揚のない口調で言葉を投げかけてきたのは、俺の師で、森の統治者のラクハ。
絶滅危惧種である烏天狗の生き残りで、人間によって故郷をなくした彼が親なしの俺を拾って育ててくれた。
これまでの14年間が無駄になる訳ないけど、ここを離れたらもうラクハに会えない気がする。
『…こいつを持っていけ。』
「えっ…、これ」
ラクハが肌身離さず腰から下げている大剣。
達筆な文字が刀身部分に書いてあって、刃渡り70センチ以上ある、短い柄が包帯に巻かれただけのもの。
真剣で稽古をつけてもらった事が数度あったその時だけ、ラクハがこれを振るっていたのを思い出す。何十本も木剣が折れるまで練習した俺を、初めて認めてくれた日の事を。
「ラクハの大事なもんだろ?俺が持っていていいのか?」
『貸すだけだ。…傍にいてやれないからな。』
鼻の奥がツンとして俯く俺をラクハは軽く肩を叩いて慰めてくれた。
「あいつらにも一言声かけておけ。」
その言葉に振り返ると、俺達を見守っていた仲間が涙ぐみながら俺をじっと見つめていた。
王都の大通りを、鮮やかな花を受け取りながら見目麗しい騎士様が歩いていた。
闘技祭の準備をしていた商人達も、店の宣伝のため大通りに出ていた少女達も手を止め、この国ハーデラウルを護る誇り高き騎士に賞賛の声を上げていた。
「何かもうバレてるね…?」
変装しているつもりだった騎士の一人が、沸き立つ歓声に慄きながら、茶髪を地毛の橙色に戻していた。
その他の三人も、橙色頭の彼をほら見ろといった種類の眼差しを向け、面倒のない程度に道行く、主に女性陣にサービスを提供していた。
「ツェーザル様、これ受け取ってください!」
「ありがとう。後でカミルと一緒にいただくよ。」
「はいっ!是非っ、お二人でいただいてください!」
ツェーザルと呼ばれた彼は、女性のように手入れの行き届いた黒髪を三つ編みで纏め、真っ赤な瞳をゆるりと細める。女性受けする端正な顔立ちと立ち居振る舞いは好評で、粗雑でやんちゃなカミルとセットで見られる事が多々ある。そのカミルというのが、冒頭の橙色の彼。
「ザシャ様。このハンカチを私だと思って肌身離さず持ってください!」
「…………」
「…リエト様。」
「ありがとう、ヴィーラ」
普段の無骨な印象とはかけ離れ、体術の試合中に輝いて見えるザシャの人気は、ギャップ萌えにある。女性からハンカチを受け取るべきか悩みながら僅かに口角を上げて礼を言う。その控えめな微笑に世の女性は庇護欲をそそられたりする。
軟派な風貌は見せかけだけの、婚約者に一途なリエトは今日も今日とて、愛する婚約者ヴィーラから手作り菓子を受け取っていた。相思相愛の二人は憧れのカップルとして羨望の眼差しを浴び続けている。
この4人が何故これほど注目されているかというと、昨年の闘技祭の優勝者陣であるからだ。
闘技祭での各部門の優勝者は翌年の闘技祭で審査員となり、勝ち上がってきた優秀な人材をスカウトする役割を担っている。歴代の覇者も同じく審査員席に並ぶが、新人教育の一環なのか表立って発言するのは彼らだ。
「なあ、ツェン。今年、面白れぇ剣士いるか~?」
「…どうせ真剣勝負がしたいんでしょう。今年は通年より地方からの参加者が集まってきますから、そこそこ楽しめるんじゃありませんか?」
「ふ~ん、つまんなかったら途中で帰ろうかな…」
「それだけは勘弁してください、カミル。俺達は仕事で出向くのですから、大人しく審査員席に座っていてくださいね。」
カミルとツェーザルの二人に比べ静かなザシャとリエトも明日の闘技祭を心待ちにしている。漫才が繰りなされる中、リエトはぽそりと呟く。
「そういえば、今年、カミルが担当する剣術部門では令嬢が参加するんじゃなかったか?」
「令嬢?剣士希望でか?」
剣と肉しか眼中にないカミルはひたすら頭を捻るが思い出せず、ザシャは控えめに驚きを見せた。
「リエトが、ヴィーラ嬢以外の女性を口にするなんて…意外」
「ん?ああ、ヴィーラがこの前話してたから思い出しただけ。」
「――貴方達、もう少し参加者の名簿、頭に叩き込んどいてくださいっ。」
ツェーザルは米神を痙攣させながら、仕方なさげに話題の令嬢の説明を始めた。
「リエトの言っていた令嬢は、あの英雄フォミュラス殿の娘のナーロレイ・キュランダ嬢です。何でもブルーザイン騎士団長の愛弟子ラウス・コルデミッドと鍛錬を重ねているそうですよ。」
「…へぇ~!あの英雄の…娘か。強いのか?普段どんな剣使ってんだ?ってか、英雄から教わってるわけじゃねぇのか?ラウスの剣技も見た事ないんだよな。」
「ブルーザイン騎士団の活動内容も公表されないから、しっくり来ないよね。…――あ、ヴィーラの手作りクッキー相変わらずうまいなぁ。」
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