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三十
しおりを挟む宗介が意識を失った後、両者は対峙した。
激しく紫炎と赤黒い肉片が飛び散る。
「あ。あの人間気絶したみたいだよー」
攻撃の手を緩めずに垣間見れば、宗介の左腕を始め半身が黒く染まっていた。
「白々しい。お主の仕業じゃろうが」
「あはは、そうだよー。もう直ぐ魂も黒く染まっちゃうだろうねぇ」
「…チッ」
「ねえ、あの時にはもう気付いてたんでしょ? あの魂には封印が施されてるって」
「………」
「無言は肯定、ってね。変わってないなぁ」
容赦のない八代の鋭い蹴りを皮一枚で交わしながら、九重は昔話に花を咲かせるように薄く嗤う。
「ねえ、気にならない?あの真っ白い一点の穢れもないような魂が真っ黒に染まっちゃったら、きっと最高に面白いと思うんだよねぇ」
「ぬかせ。本音は喰らいたいだけじゃろうが」
「そうとも言うねー。 あれ食べたらどんな味がするのかなぁ」
「させると思うておるのか」
「だってさー、君が邪魔してくれたお陰でぼく準備不足なんだよ? ちまちま雑魚の魂集めたって面倒くさいし、だから偶には一獲千金狙いたいじゃない?」
「阿呆め。その前にワシがお主を葬る。後は安心して地獄に下るが良い」
「ええー、ヤだよ。そしたら君と遊べなくなるもん」
にこやかな笑顔からは想像もつかない正拳突きが八代の腹部を直撃する。
「かは…っ」
その衝撃に片膝をついた八代に休む間もなく九重は追撃する。
八代はすぐさま転がるように移動し、その攻撃を交わしていった。
「どーしたの? いつもの君ならぼくなんかの攻撃、簡単に交わせたでしょ?…それともなに、あの人間のこと気にしてるの?」
「…違う」
「ふーん…そうなんだ。じゃあ、早く殺さないとねぇ」
「! 止めろ…!」
伏した宗介に猛然と向かって行く赤黒い物体──九重の式神に向けて札を放とうとするが
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