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しおりを挟む「それで、どうして二人から俺の記憶が消えてるの?」
早速本題に入ると、八代君はすっと俺の胸元を指差した。
「それは、お主の『魂』が関わっておる」
「俺の…魂?」
「お主は覚えておらんじゃろうが、あの日、気を失ったお主を奴…いや九重が殺そうとした瞬間、お主の魂から浄化の光が放たれた」
「じょうか…?」
「浄化の力と見て間違いはないじゃろう。その証拠に九重の式神が一瞬にして消え去った。消滅ではなく、あれは間違いなく浄化されていた」
そんな事があったのかと、驚きが隠せない俺に八代君は尚も続ける。
「あの世に関する痕跡は全て隠滅せねばならん。必要があれば改変も行う。それがあの世の規則じゃ」
その言葉に、ニュースと自分が知っている事実とが食い違っていた事を思い出す。
「既知じゃろうが、お主の魂には封印が施されておる」
「何でそんなのが…?」
「ワシにもよくは分からん。見たところ、お主の魂を閉じ込めるように幾重にも施されておったようじゃが、先の一件でその表層部分の封印が解けた事はお主に話したな?九重の式神は魂ごと肉体を死に追いやり、無理やり魂と肉体を切り離す。その危機にお主を守ろうとした結果──」
「ちょ、ちょっと待って。朝も思ったんだけど、その封印が解けちゃったら何が問題なの?」
そう聞くと八代君は俺の魂を見ていたのか、胸元から視線を外した。
「大有りじゃ。寧ろ問題だらけじゃ」
「も、問題だらけって…」
「このような封印が施されている魂が六道に把握されておらん事も大問題じゃが…そもそも浄化の力を持つ魂なぞそう多くはない。殆どは死後、あの世で高位の身分・役職を与えられる。少なくともそのまま転生させるような事はさせん」
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