72 / 179
3-18
しおりを挟む
1時限目が終わった途端、俺の隣の席にはまたもや(ほとんど女子の)人だかりが出来ていた。
「前はどこに住んでたの~?」
「んー、色なとこ?」
「クォーターって言ってたけど、どこ?」
「日本ではないかな?」
「今どこに住んでるの?」
先程から猫なで声でされる質問を、隣の薄茶色──祭月は緩慢(かんまん)な態度でかわしている。
俺は…いや俺達はその様子を横目で見ていた。
「おーおー、すっげぇ人気ぶりだな。主に女子に」
「そうだな」
「そういや瑠、さっきの時間何か楽しそうだったじゃん。何やってたんだよ?」
「筆談」
「ほー…、お前ら気付いてたか?その様子を女子達が見てたのを」
は?
「見られてたのは俺『ら』じゃなくて、祭月だけだろ。」
何言ってんだか。
「うーわー、こんにゃろぉ!」
「うわっ何だよ!」
「お前なんかボサボサになってしまえー!」
何の腹いせなのか、いきなり真琴が俺の頭に手を伸ばして乱暴に髪を乱し始めた。
無論、俺は黙ってやられてやる性分ではないから
俺も真琴に手を伸ばして、同じ目に合わせてやった。
結局、良くも悪くも跡が付きにくい俺の髪は少し乱れたくらいの、手櫛(てぐし)で直る程度に。
真琴はわざわざトイレに直しに行って、チャイムギリギリで席に着いていた。
「前はどこに住んでたの~?」
「んー、色なとこ?」
「クォーターって言ってたけど、どこ?」
「日本ではないかな?」
「今どこに住んでるの?」
先程から猫なで声でされる質問を、隣の薄茶色──祭月は緩慢(かんまん)な態度でかわしている。
俺は…いや俺達はその様子を横目で見ていた。
「おーおー、すっげぇ人気ぶりだな。主に女子に」
「そうだな」
「そういや瑠、さっきの時間何か楽しそうだったじゃん。何やってたんだよ?」
「筆談」
「ほー…、お前ら気付いてたか?その様子を女子達が見てたのを」
は?
「見られてたのは俺『ら』じゃなくて、祭月だけだろ。」
何言ってんだか。
「うーわー、こんにゃろぉ!」
「うわっ何だよ!」
「お前なんかボサボサになってしまえー!」
何の腹いせなのか、いきなり真琴が俺の頭に手を伸ばして乱暴に髪を乱し始めた。
無論、俺は黙ってやられてやる性分ではないから
俺も真琴に手を伸ばして、同じ目に合わせてやった。
結局、良くも悪くも跡が付きにくい俺の髪は少し乱れたくらいの、手櫛(てぐし)で直る程度に。
真琴はわざわざトイレに直しに行って、チャイムギリギリで席に着いていた。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
目線の先には。僕の好きな人は誰を見ている?
綾波絢斗
BL
東雲桜花大学附属第一高等学園の三年生の高瀬陸(たかせりく)と一ノ瀬湊(いちのせみなと)は幼稚舎の頃からの幼馴染。
湊は陸にひそかに想いを寄せているけれど、陸はいつも違う人を見ている。
そして、陸は相手が自分に好意を寄せると途端に興味を失う。
その性格を知っている僕は自分の想いを秘めたまま陸の傍にいようとするが、陸が恋している姿を見ていることに耐えられなく陸から離れる決意をした。
イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる