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143.祭壇 sideアメ
しおりを挟む「ん…ふぁあ」
「起きたか、アメ」
起きるとそこはルカの背中だった。え、何で背負われてるの?俺。ていうか、いつフード被り直したんだろ…ルカが被せてくれたのかな?
「アメが眠っている間にこの遺跡を調査しようという事になったんだ」
あー…なるほどね。それで俺を背負いながらこの馬鹿みたい長い階段を上ってるって訳ね。
…そーいう事なら
「宜しく」
ルカの肩口に顔を埋めて、その首周りに手を回す。
「いや降りないんかい」
は?何言ってんの赤毛。
「当たり前でしょ?」
それに、今階段上ってる途中なんだよ?そんな所で降りたら危ないじゃんね。
「微妙に正当性を感じる!」
「…お前らいつもそんなやり取りしてんのかよ」
あ、いたんだスイカ頭。ぜぇはぁ言いながら最後尾を着いてきてる。
「頑張れ、二人共。もう少しで頂上だ」
ルカがそう言ってから、程なくして俺たちはピラミッド型の遺跡の頂上に到着した。
降ろして貰い、頂上から古い建物が立ち並ぶかつて街だったものを一望する。
「うわーすげぇ景色だな、こりゃ。ニールも見てみろよ」
「何で…そんな平気そうなんだよお前ら」
あれ、まだ息切れしてる。体力ないなー
「楽してたお前にだけは言われたくねぇよ!」
え?何の事?ていうか、虫モンスターに追われてた時の事忘れたの?あの時、一番速くて全然息切らしてなかったのは誰だったっけ?
「ぐっ…、それは」
スイカ頭がぐっと押し黙る。ね?分かったら黙ってなさい。
「アメ、こっちに来てくれ」
ルカに呼ばれ、傍に寄る。
「何?」
「これを見てくれ」
「何これ」
何かの…祭壇?ドラゴンが大きく口を開けて、鎮座している。ゲームだと大抵…
「この口んとこに何か突っ込むんじゃない?」
こう、球体の何かを。
「球体?…そういえば」
ルカが懐から何かを取り出す。それは赤毛が開けた金の宝箱から出てきた黒い水晶玉だった。
「これだろうか?」
「そうなんじゃない?」
大きさ的にもピッタリだし。
「試しにはめてみたら?」
違ったら違ったで、他のものを探せばいいだけだ。
「そうだな」
カチリ。ルカが黒い水晶玉をドラゴンの口に押し込む。
「………」
「………」
「何も起きないな」
「そうだね」
やっぱりこの黒い水晶玉ではなかったのだろうと思い、ルカが水晶玉を取り出そうと手を伸ばしたその時だった。
───ゴゴゴゴゴゴ!
突然、遺跡全体が揺れ始めた。
「え、なになに!?」
「何だよこの揺れ!」
騒ぐ赤毛とスイカ頭に落ち着くように言っているルカに任せて、俺は祭壇を見やる。
すると、祭壇の足元の床が左右に開き、遺跡の内部へと誘うように階段が現れた。
「これ…階段、だよな?」
「それ以外なにに見えんだよ」
揺れが止んで、全員で出現した階段を覗き込む。
「行こう」
ルカが先陣切って階段を降り始める。俺もそれに続く。
赤毛とスイカ頭は躊躇っていたようだったけれど、そこにいたらまた虫モンスターに襲われるかもよと言ったら我先にと着いてきた。
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