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第一章 封印の書
【1.5】白装束の集団
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オレは夢を見ていた。縛られて身動きが取れない体を、幾重もの白装束の集団に囲まれている。そんな悪夢だった。オレを縛っている茨が眩しいほどの光を発し、肉に食い込み始めていた。
血がぽたぽたと、太い手足を伝って流れていく。
「貴様ら、何様のつもりだ」
「神様のつもりですが、なにか?」
白装束はドヤ顔で笑う。ひどいギャグセンスだと思ったのは内緒だ。
「ふん。拘束して、どうしようというのだ」
王者の威厳をもって、オレは敵の出方を伺う。
「もちろん死んでもらう。存在を完全に消滅させてやる」
存在の消滅。それは魂すら残らない「無」を意味していた。
無からこの世を作りだしたオレ自身も、完全に理解したわけじゃない。だが、敢えて笑みを作り上げて、返事をした。
「是非に及ばず」
オレを囲むように、魔法陣が築かれていた。半径百メートルに描かれた複雑な紋様と、すっぽりと覆うような半球が見える。そこに手を向けて、白装束たちは魔力を注ぎこむ。《悪夢(ナイトメア)》、《深淵地獄(アビスヘル)》、《超新星爆発(スーパーノバ)》といった、神のみに許された高級魔法を惜しげもなく注ぎ込んでくる。
「もっと火力を上げろ。チグリス神!」
「これが限界じゃ、ナイル神。これ以上だと、ワシが先にお陀仏じゃ」
「拘束担当の神々も頑張っているのだ。我らがへこたれてどうする!」
敵意を向けてくる神々に囲まれているのに、なぜか心は晴れ晴れとしていた。彼らの団結する姿を見て思う。これで良かったのだと。こうするしかなかったのだと。
縛られてはいるが、抵抗する気持ちはこれっぽっちもない。たとえ憎しみ、恨み、怒りといった負の感情であったとしても、団結こそ必要だと感じていたからだ。
古き神として、新しき神々に道を譲る。当たり前のことをしているまでだ。
――
「レイモンドさま。レイモンドさま」
泣き声が聞こえてくる。そういえば、あの時はバジルもいたんだったな。隠れていろとあれだけ言いつけたのに、まったく出来の悪いやつだ。お前みたいな弱い子龍では、神々の力に敵う訳もないだろう。
「レイモンド様。お願い、起きて」
体を左右に揺すられる。必死そうな声が耳元に届く。ん? 揺すられる? 耳元? レイモンドって今のオレの名前だっけ?
少しずつ頭がはっきりしてくる。
「レイモンド様、もう僕を一人にしないで……」
頬に冷たいしずくがポトポトと落ちてくる。そうだ、この声は現実だ。意識が戻ってきたオレは、重い瞼を開けた。
そこはいつもの、かび臭くてボロいベッドだった。狭い部屋には、黒猫と金髪魔女、それから目を真っ赤にしている黒髪の少女がいた。
「目が覚めたようじゃな、レイモンド君」
「サイ……いや、ここではレイモンドだったわね」
「うっ、うっ……レイモンドさまぁ」
黒猫、パセリ、バジルの三人はお茶を用意してくれた。
この世界に来てから、紅茶なんて贅沢品は飲んだことがない。
きっと、パセリの私物なのだろう。
せっかくなので、そのまま一気に飲み干した。
喉を通る暖かさとダージリンの香りで、疲れた心と体が癒される。
落ち着いたところで、三人は事の顛末を話してくれた。
あの場でオレは、急に意識を失って倒れたのだという。バジルに背負われて門まで移動し、壁門内側まで駆けつけていたハリスとマルサに誘導されて、ここまで来たというわけだ。臆病な両親にとって、龍のいる場所に向かっていくのは、勇気のいることだろう。ダメ両親とレッテルを張っていたことを、申し訳なく思った。
「きっと魔力を使いすぎて反動が来たのじゃろ。ケガはないようじゃな」
黒猫は毛繕いをしながら続ける。
「お主の本名は、この世界の者全てに恐怖を与えるものじゃ。使わぬ方がよいじゃろう」
「……あなたはもう平気なのですか?」
「うむ、最初は驚いたがな。邪神――この世界を滅ぼしたといわれる存在――なのじゃから当然じゃろ」
「あたしもビックリしちゃったわ。でも町を救ってくれたあなたが、悪い子の訳ないじゃない」
うふっと、楽しそうにパセリは笑う。本来の調子に戻ったようだ。
「信用しすぎるのも、問題なんじゃ……」
「まぁ、お主が本物の邪神じゃったとしたら、戦っても勝ち目はないからな。だったら悪者だとしても、まずは敵意を持たず接する方が、勝算があるというもの」
バジルが眉を吊り上げて、口を挟んでくる。
「失礼な! サイデ……レイモンド様が、悪者のわけないじゃないですか」
「あなたが町を滅ぼしかけたんだけどね」
パセリがギリッと睨む。
「サイデルの伝説は皆が知るところじゃ。大陸を消滅させたとか、一億人を一瞬で蒸発させたとか、枚挙に暇がない。じゃが……」
黒猫はバリバリと爪を研ぎながら考える。
「言われているだけで証拠はない。事実として、この世は滅びておらん。皆ミカエルの使徒の話を鵜呑みにしているだけじゃ」
「ミカエルの使徒?」
初めて聞く名前に、首をかしげる。
パセリは、忘れもしないと言いたげに説明した。
「最高神ミカエルを称える、白装束の集団よ」
ーーーー
あとがき:コメント等お気軽に頂けると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
レベル表示が欲しい等、バトルをもっと深く、逆にあっさりに等、リクエストがあればできるだけ反映いたします。
血がぽたぽたと、太い手足を伝って流れていく。
「貴様ら、何様のつもりだ」
「神様のつもりですが、なにか?」
白装束はドヤ顔で笑う。ひどいギャグセンスだと思ったのは内緒だ。
「ふん。拘束して、どうしようというのだ」
王者の威厳をもって、オレは敵の出方を伺う。
「もちろん死んでもらう。存在を完全に消滅させてやる」
存在の消滅。それは魂すら残らない「無」を意味していた。
無からこの世を作りだしたオレ自身も、完全に理解したわけじゃない。だが、敢えて笑みを作り上げて、返事をした。
「是非に及ばず」
オレを囲むように、魔法陣が築かれていた。半径百メートルに描かれた複雑な紋様と、すっぽりと覆うような半球が見える。そこに手を向けて、白装束たちは魔力を注ぎこむ。《悪夢(ナイトメア)》、《深淵地獄(アビスヘル)》、《超新星爆発(スーパーノバ)》といった、神のみに許された高級魔法を惜しげもなく注ぎ込んでくる。
「もっと火力を上げろ。チグリス神!」
「これが限界じゃ、ナイル神。これ以上だと、ワシが先にお陀仏じゃ」
「拘束担当の神々も頑張っているのだ。我らがへこたれてどうする!」
敵意を向けてくる神々に囲まれているのに、なぜか心は晴れ晴れとしていた。彼らの団結する姿を見て思う。これで良かったのだと。こうするしかなかったのだと。
縛られてはいるが、抵抗する気持ちはこれっぽっちもない。たとえ憎しみ、恨み、怒りといった負の感情であったとしても、団結こそ必要だと感じていたからだ。
古き神として、新しき神々に道を譲る。当たり前のことをしているまでだ。
――
「レイモンドさま。レイモンドさま」
泣き声が聞こえてくる。そういえば、あの時はバジルもいたんだったな。隠れていろとあれだけ言いつけたのに、まったく出来の悪いやつだ。お前みたいな弱い子龍では、神々の力に敵う訳もないだろう。
「レイモンド様。お願い、起きて」
体を左右に揺すられる。必死そうな声が耳元に届く。ん? 揺すられる? 耳元? レイモンドって今のオレの名前だっけ?
少しずつ頭がはっきりしてくる。
「レイモンド様、もう僕を一人にしないで……」
頬に冷たいしずくがポトポトと落ちてくる。そうだ、この声は現実だ。意識が戻ってきたオレは、重い瞼を開けた。
そこはいつもの、かび臭くてボロいベッドだった。狭い部屋には、黒猫と金髪魔女、それから目を真っ赤にしている黒髪の少女がいた。
「目が覚めたようじゃな、レイモンド君」
「サイ……いや、ここではレイモンドだったわね」
「うっ、うっ……レイモンドさまぁ」
黒猫、パセリ、バジルの三人はお茶を用意してくれた。
この世界に来てから、紅茶なんて贅沢品は飲んだことがない。
きっと、パセリの私物なのだろう。
せっかくなので、そのまま一気に飲み干した。
喉を通る暖かさとダージリンの香りで、疲れた心と体が癒される。
落ち着いたところで、三人は事の顛末を話してくれた。
あの場でオレは、急に意識を失って倒れたのだという。バジルに背負われて門まで移動し、壁門内側まで駆けつけていたハリスとマルサに誘導されて、ここまで来たというわけだ。臆病な両親にとって、龍のいる場所に向かっていくのは、勇気のいることだろう。ダメ両親とレッテルを張っていたことを、申し訳なく思った。
「きっと魔力を使いすぎて反動が来たのじゃろ。ケガはないようじゃな」
黒猫は毛繕いをしながら続ける。
「お主の本名は、この世界の者全てに恐怖を与えるものじゃ。使わぬ方がよいじゃろう」
「……あなたはもう平気なのですか?」
「うむ、最初は驚いたがな。邪神――この世界を滅ぼしたといわれる存在――なのじゃから当然じゃろ」
「あたしもビックリしちゃったわ。でも町を救ってくれたあなたが、悪い子の訳ないじゃない」
うふっと、楽しそうにパセリは笑う。本来の調子に戻ったようだ。
「信用しすぎるのも、問題なんじゃ……」
「まぁ、お主が本物の邪神じゃったとしたら、戦っても勝ち目はないからな。だったら悪者だとしても、まずは敵意を持たず接する方が、勝算があるというもの」
バジルが眉を吊り上げて、口を挟んでくる。
「失礼な! サイデ……レイモンド様が、悪者のわけないじゃないですか」
「あなたが町を滅ぼしかけたんだけどね」
パセリがギリッと睨む。
「サイデルの伝説は皆が知るところじゃ。大陸を消滅させたとか、一億人を一瞬で蒸発させたとか、枚挙に暇がない。じゃが……」
黒猫はバリバリと爪を研ぎながら考える。
「言われているだけで証拠はない。事実として、この世は滅びておらん。皆ミカエルの使徒の話を鵜呑みにしているだけじゃ」
「ミカエルの使徒?」
初めて聞く名前に、首をかしげる。
パセリは、忘れもしないと言いたげに説明した。
「最高神ミカエルを称える、白装束の集団よ」
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あとがき:コメント等お気軽に頂けると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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