4 / 211
第一章 開かれる女の子への道(葵編)
【第2話】 選ばれし少年
しおりを挟む
ここは薄暗い回廊の一番下にある、BS学園の研究室だ。
部屋の中央では、白衣を着た長身の女性が、モニターをじっと見つめている。
「速水早紀」と書かれたIDカードが、胸元にキラリと光る。
彼女こそが性転換技術を百年前進させたと言われる鬼才で、特別洗脳プログラムの開発者兼推進者だ。
これまで裏の社会で、乱暴な男の子を従順な女の子へと生まれ変わらせてきた。
洗脳、薬、手術なんでもこなす性転換術のエキスパートだ。
その知識の豊富さと技量の高さは、他の追従を許さない。
同業者からは『悪魔の性転換術師』と恐れている。
一度彼女の毒牙にかかったが最後、決して逃れることはできない。
真綿で首を絞めるようにじわじわと、確実に獲物を仕留めに来る。
彼女はその日、自分の人生最高の獲物を探していた。
少女の体にされ、性的指向すら塗り替えられてしまう、哀れな犠牲者を。
初の完全性転換手術を施すのにふさわしい、飛びっきりの美少年を。
「今日は絶対に見つけてみせるんだから」
早紀は気合を込めて、コーヒーをグビッと飲み干す。
目の前のモニターには、男の子の写真が何枚も映し出されている。
全員第三選抜まで勝ち抜いた、特進コースの候補生たちだ。
どの男の子も美形で、可愛らしい顔をしている。
この年齢から女性ホルモンを打てば、体つきも女の子と見分けがつかなくなるはずだ。
胸は柔らかく膨らんでいくし、ピンク色の乳輪も大きくなる。
お尻や太ももには柔らかい脂肪がつくだろう。
元の素材がいいので、みんな美少女になることは間違いない。
男を魅了してやまない、可憐な美少女に。
だが、早紀の評価はどこまでも手厳しい。
「この子は鼻筋が少し曲がってる。この子は顎が二ミリ出てる。惜しいけど残念ね」
彼女が貴重な研究時間を割いて相手ができる人数は、ごく限られている。
さらに特進コースには、全世界からたったの三名しか進めない。
ちょっとやそっとの美少年では、不十分なのだ。
特進コースの生徒には、一歩も二歩も上の可愛らしさと美しさが求められる。
最高の美少女と誰もが認める存在になる必要があるからだ。
だが、現実は厳しい。
早紀は長年この仕事を続けてきたが、正直なところ、まだ自分が満足できる素材に巡り合ったことがなかった。
過去二年間は、三人に絞る段階で、何らかの妥協をしてきた。
普通の人では気が付かないほどの些細な欠点でも、完ぺき主義の早紀には許せなかった。
今年こそ、後悔はしたくない。美女の原石を求める早紀の思いは、例年になく強い。
「この子も違う。この子も惜しいけど違う……」
写真を送り進めながら、早紀はため息をつく。
結局今日も見つからなかった。
やはり、現世界一の美少女を上回る逸材なんて、男の子の中にはいないのだ。
「当然よね。だって、いくら可愛いとはいえ、男の子として生まれてきたんだから」
そう諦めかけた瞬間、彼女の目に眩しい笑顔の美少年の写真が飛び込んできた。
天使のような可愛らしさに、早紀は生まれてはじめて一目ぼれしてしまう。
女の自分も羨ましいと思うほど、完ぺきな素材だった。
「可愛い。本当に可愛らしいわ。どう引っ繰り返っても、ケチのつけようがないじゃない」
彼女は少年の写真を一枚一枚確認していく。
上や下から写されたもの、前後左右から写されたもの。
笑顔、泣き顔、心配した顔などあらゆる表情の写真を見て、早紀は結論する。
「この子よ。この子しかいないわ。こんな逸材がまだ残っていたなんて、信じられないわ」
そう言って、ファイルに書かれた名前を確認する。
「橘葵ちゃんっていうのね。名前まで女の子っぽいなんて、偶然かしら。ふふ」
そう笑いながら、早紀は妄想する。
隅々まで女の子にされてしまった彼女の姿を。
可愛らしさと大人の色気を備えた女に成長した彼女を。
逞しいオスに抱かれてメスとなり、女の官能の荒らしに全身を震わせるその恥ずかしい姿を。
「ついに見つけたわ。もう絶対に逃さないんだから」
早紀は葵の写真を画鋲で止めて、上から蛍光ペンでハートマークを書く。
葵ちゃん、待ってなさい。私の手で身も心も全て女の子に染めてあげるから。
抵抗しても無駄よ。抵抗すればするほど、もっとエッチな女の子にあなたはなってしまうの。
長年の探しものをついに見つけた。
「今日は乾杯ね」
そう言って、早紀はコップにウイスキーをトクトクと注ぐ。
そして葵の写真を見ながら、黒い笑みを浮かべるのだった。
部屋の中央では、白衣を着た長身の女性が、モニターをじっと見つめている。
「速水早紀」と書かれたIDカードが、胸元にキラリと光る。
彼女こそが性転換技術を百年前進させたと言われる鬼才で、特別洗脳プログラムの開発者兼推進者だ。
これまで裏の社会で、乱暴な男の子を従順な女の子へと生まれ変わらせてきた。
洗脳、薬、手術なんでもこなす性転換術のエキスパートだ。
その知識の豊富さと技量の高さは、他の追従を許さない。
同業者からは『悪魔の性転換術師』と恐れている。
一度彼女の毒牙にかかったが最後、決して逃れることはできない。
真綿で首を絞めるようにじわじわと、確実に獲物を仕留めに来る。
彼女はその日、自分の人生最高の獲物を探していた。
少女の体にされ、性的指向すら塗り替えられてしまう、哀れな犠牲者を。
初の完全性転換手術を施すのにふさわしい、飛びっきりの美少年を。
「今日は絶対に見つけてみせるんだから」
早紀は気合を込めて、コーヒーをグビッと飲み干す。
目の前のモニターには、男の子の写真が何枚も映し出されている。
全員第三選抜まで勝ち抜いた、特進コースの候補生たちだ。
どの男の子も美形で、可愛らしい顔をしている。
この年齢から女性ホルモンを打てば、体つきも女の子と見分けがつかなくなるはずだ。
胸は柔らかく膨らんでいくし、ピンク色の乳輪も大きくなる。
お尻や太ももには柔らかい脂肪がつくだろう。
元の素材がいいので、みんな美少女になることは間違いない。
男を魅了してやまない、可憐な美少女に。
だが、早紀の評価はどこまでも手厳しい。
「この子は鼻筋が少し曲がってる。この子は顎が二ミリ出てる。惜しいけど残念ね」
彼女が貴重な研究時間を割いて相手ができる人数は、ごく限られている。
さらに特進コースには、全世界からたったの三名しか進めない。
ちょっとやそっとの美少年では、不十分なのだ。
特進コースの生徒には、一歩も二歩も上の可愛らしさと美しさが求められる。
最高の美少女と誰もが認める存在になる必要があるからだ。
だが、現実は厳しい。
早紀は長年この仕事を続けてきたが、正直なところ、まだ自分が満足できる素材に巡り合ったことがなかった。
過去二年間は、三人に絞る段階で、何らかの妥協をしてきた。
普通の人では気が付かないほどの些細な欠点でも、完ぺき主義の早紀には許せなかった。
今年こそ、後悔はしたくない。美女の原石を求める早紀の思いは、例年になく強い。
「この子も違う。この子も惜しいけど違う……」
写真を送り進めながら、早紀はため息をつく。
結局今日も見つからなかった。
やはり、現世界一の美少女を上回る逸材なんて、男の子の中にはいないのだ。
「当然よね。だって、いくら可愛いとはいえ、男の子として生まれてきたんだから」
そう諦めかけた瞬間、彼女の目に眩しい笑顔の美少年の写真が飛び込んできた。
天使のような可愛らしさに、早紀は生まれてはじめて一目ぼれしてしまう。
女の自分も羨ましいと思うほど、完ぺきな素材だった。
「可愛い。本当に可愛らしいわ。どう引っ繰り返っても、ケチのつけようがないじゃない」
彼女は少年の写真を一枚一枚確認していく。
上や下から写されたもの、前後左右から写されたもの。
笑顔、泣き顔、心配した顔などあらゆる表情の写真を見て、早紀は結論する。
「この子よ。この子しかいないわ。こんな逸材がまだ残っていたなんて、信じられないわ」
そう言って、ファイルに書かれた名前を確認する。
「橘葵ちゃんっていうのね。名前まで女の子っぽいなんて、偶然かしら。ふふ」
そう笑いながら、早紀は妄想する。
隅々まで女の子にされてしまった彼女の姿を。
可愛らしさと大人の色気を備えた女に成長した彼女を。
逞しいオスに抱かれてメスとなり、女の官能の荒らしに全身を震わせるその恥ずかしい姿を。
「ついに見つけたわ。もう絶対に逃さないんだから」
早紀は葵の写真を画鋲で止めて、上から蛍光ペンでハートマークを書く。
葵ちゃん、待ってなさい。私の手で身も心も全て女の子に染めてあげるから。
抵抗しても無駄よ。抵抗すればするほど、もっとエッチな女の子にあなたはなってしまうの。
長年の探しものをついに見つけた。
「今日は乾杯ね」
そう言って、早紀はコップにウイスキーをトクトクと注ぐ。
そして葵の写真を見ながら、黒い笑みを浮かべるのだった。
14
あなたにおすすめの小説
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる