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第三章 美少女学園一年目 芽吹き根付く乙女心
【第64話】 再教育(64)あおい
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■あおいサイド(22)
狼の群れの中に放り出された、上肉の子羊。
つばさはあおいを、そう形容した。
まさにいい得て妙だ。
一六〇センチ未満の小柄なあおいは、男だったころから、並み以下の腕力だった。
今では女性ホルモンや特殊薬で女体化し、柔らかなおっぱいができ、ぺニスを失っている。
そんな彼女の体では、クラスのどの男子にも力で劣るだろう。
自分は確かに食べる側のはずだった。
でも、特別授業ですら、羊側のはずの上級生に、簡単に犯されてしまった。
男がその気になれば、簡単にレイプされてしまう弱い存在。それが今の自分なのだ。
今までは、どうにか襲われることを間逃れていた。
一体どうして。
そう考え、クリスティーナとのやりとりを思い出して、ようやく気づく。
彼女にずっと守られていたことを。
ーーーー
「ねぇ、あおい。僕たち特進生は、男には力じゃ敵わないんだよ。分かってる?」
「そ、そんなはずは……。だって僕たち、心は男だし」
「あおい、動揺しすぎ。実際さ、心が男ってだけじゃ、どうにもならないよ」
「そうだけど、なんか悔しいっていうか、譲りたくないっていうか」
「言いたいことは分かるよ。でも元々喧嘩が得意だった僕だから、肌で感じるんだ。もう男に狙われたら簡単にやられちゃうってことが。夜無用心に一人で歩いていたら、襲われても文句は言えないんだよ」
クリスティーナは今でこそ見た目は可憐な美少女だけど、昔は喧嘩早く、狂犬のクリスと呼ばれていたらしい。
そんなクリスティーナの分析だから、間違いないのだろう。
「じゃあ、どうするの? あの計画、諦めちゃうの?」
「そこは大丈夫。とっておきの秘策があるから」
「そうなの? どんな秘策?」
「うーん。どんなっていうよりも、用心棒っていうのかな」
クリスティーナは教室の端にいる小野寺聡に目を向けた。
「全く関係のない男子をこの計画に加えるの? 危なくない? 男子には敵わないって、さっきティーナだって」
「その点は大丈夫かな。彼、頭カッチカチだし。何よりも、僕にベタ惚れしてるから」
悪戯そうにクリスティーナは笑う。
聡は真面目一徹だ。
学園を転覆させるほどの、こんな危ない計画に加わってくれるのだろうか。
そんな心配をよそに、クリスティーナは話を続ける。
「僕は男なんかと付き合うつもりは一切ないし、聡君の恋心を利用するようで悪いけど、この際だから協力してもらおうよ。計画の詳細を話さなければ、彼に危害が及ぶことも少ないだろうし」
「うーん」
「そうだ、ついでに普段から守ってもらおうよ。僕たちのボディーガードとして」
「ボディーガードって、ちょっと大げさじゃない?」
「やっぱりあおいは心配だなぁ。力のない僕たちは、危ない時は男に守ってもらうしかないんだよ。あおいは、中身はともかく、外見は食べちゃいたいくらい可愛いんだから、気を付けないと」
「可愛いって……」
「ふふっ。顔真っ赤にしちゃって。こういう反応は、どう見ても女の子だよね」
「ひどいよ、ティーナ。ティーナまで僕のことを女の子って」
「ごめんごめん。冗談だよ。他の誰が否定しても、僕はあおいが男の子ってこと、ちゃんと分かっているつもりだから」
----
あの計画が失敗してから早二週間が過ぎた。
未だクリスティーナも、聡も行方不明だ。
計画失敗の余波で、自分はペニスを失い、女の子の股間になってしまった。
クリスティーナは今、どんな仕打ちを受けているのだろう。
一切情報は入ってこないが、心配でたまらない。
今でこそ、いや、今だからこそ、クリスティーナの一言一言に重みを感じる。
「男に守ってもらうしかない……かぁ」
親友のくれたアドバイスが、あおいの心を何度も揺さぶった。
狼の群れの中に放り出された、上肉の子羊。
つばさはあおいを、そう形容した。
まさにいい得て妙だ。
一六〇センチ未満の小柄なあおいは、男だったころから、並み以下の腕力だった。
今では女性ホルモンや特殊薬で女体化し、柔らかなおっぱいができ、ぺニスを失っている。
そんな彼女の体では、クラスのどの男子にも力で劣るだろう。
自分は確かに食べる側のはずだった。
でも、特別授業ですら、羊側のはずの上級生に、簡単に犯されてしまった。
男がその気になれば、簡単にレイプされてしまう弱い存在。それが今の自分なのだ。
今までは、どうにか襲われることを間逃れていた。
一体どうして。
そう考え、クリスティーナとのやりとりを思い出して、ようやく気づく。
彼女にずっと守られていたことを。
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「ねぇ、あおい。僕たち特進生は、男には力じゃ敵わないんだよ。分かってる?」
「そ、そんなはずは……。だって僕たち、心は男だし」
「あおい、動揺しすぎ。実際さ、心が男ってだけじゃ、どうにもならないよ」
「そうだけど、なんか悔しいっていうか、譲りたくないっていうか」
「言いたいことは分かるよ。でも元々喧嘩が得意だった僕だから、肌で感じるんだ。もう男に狙われたら簡単にやられちゃうってことが。夜無用心に一人で歩いていたら、襲われても文句は言えないんだよ」
クリスティーナは今でこそ見た目は可憐な美少女だけど、昔は喧嘩早く、狂犬のクリスと呼ばれていたらしい。
そんなクリスティーナの分析だから、間違いないのだろう。
「じゃあ、どうするの? あの計画、諦めちゃうの?」
「そこは大丈夫。とっておきの秘策があるから」
「そうなの? どんな秘策?」
「うーん。どんなっていうよりも、用心棒っていうのかな」
クリスティーナは教室の端にいる小野寺聡に目を向けた。
「全く関係のない男子をこの計画に加えるの? 危なくない? 男子には敵わないって、さっきティーナだって」
「その点は大丈夫かな。彼、頭カッチカチだし。何よりも、僕にベタ惚れしてるから」
悪戯そうにクリスティーナは笑う。
聡は真面目一徹だ。
学園を転覆させるほどの、こんな危ない計画に加わってくれるのだろうか。
そんな心配をよそに、クリスティーナは話を続ける。
「僕は男なんかと付き合うつもりは一切ないし、聡君の恋心を利用するようで悪いけど、この際だから協力してもらおうよ。計画の詳細を話さなければ、彼に危害が及ぶことも少ないだろうし」
「うーん」
「そうだ、ついでに普段から守ってもらおうよ。僕たちのボディーガードとして」
「ボディーガードって、ちょっと大げさじゃない?」
「やっぱりあおいは心配だなぁ。力のない僕たちは、危ない時は男に守ってもらうしかないんだよ。あおいは、中身はともかく、外見は食べちゃいたいくらい可愛いんだから、気を付けないと」
「可愛いって……」
「ふふっ。顔真っ赤にしちゃって。こういう反応は、どう見ても女の子だよね」
「ひどいよ、ティーナ。ティーナまで僕のことを女の子って」
「ごめんごめん。冗談だよ。他の誰が否定しても、僕はあおいが男の子ってこと、ちゃんと分かっているつもりだから」
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あの計画が失敗してから早二週間が過ぎた。
未だクリスティーナも、聡も行方不明だ。
計画失敗の余波で、自分はペニスを失い、女の子の股間になってしまった。
クリスティーナは今、どんな仕打ちを受けているのだろう。
一切情報は入ってこないが、心配でたまらない。
今でこそ、いや、今だからこそ、クリスティーナの一言一言に重みを感じる。
「男に守ってもらうしかない……かぁ」
親友のくれたアドバイスが、あおいの心を何度も揺さぶった。
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