【R18】注文の多い料理店【TS】ー完結ー

ジオラマ

文字の大きさ
3 / 54
第一章 メス堕ち前夜

第三話 あやしいシャワー室

しおりを挟む
 扉の向こうにはまた別の扉があった。

 そこには青いペンキの文字で、

『ここで履き物を脱いでください。お持物とコートはロッカーにお入れください』

 と書いてあった。

「土足厳禁か。洋式に見えて意外と和風なのだろうか。きっと礼儀作法に厳しいお店なんだな」

 あるいは、注意が行き届いていると言うべきか。
 いずれにせよ、郷に入っては郷に従えだ。
 オレは素直に指示に従い、コートとブーツを脱ぐと、猟銃と合わせてロッカーに入れた。

 お店の廊下はさらに続く。その先に、また扉が見えた。

「またかぁ。一体いつになったら食べられるんだよ」

 やれやれとため息をつく。
 だが、文句を言っていてもしかたがない。
 先に進むしかない。
 次の扉は障子になっており、筆文字でこう書かれていた。

『こちらでセーターを脱いでください』
 
 セーターすらNGなのか。
 どうやら予想以上に高級なお店のようだ。
 きっと身分の高いお客が多く、ドレスコードがあるのだろう。
 きちんとした服を持っていない若者に合わせて、貸衣装まで用意しているのだろうか。
 正直今すぐにでも、食べ物にむしゃぶりつきたいが、店のルールを破るわけにもいかない。

 オレはセーターを脱ぎ捨て、Tシャツ一枚になった。

 次の扉の脇にはシャワールームがあった。

 つくづく不思議なつくりの建物だ。
 茶色い扉には黄色い文字で、

『ここでしっかり体を清めてください。頭のてっぺんからつま先まで、しっかりと洗ってください。お着替えは後でご用意いたします』

 と書かれていた。

「あーぁ、わーった、わーった」

 飯を食うためにシャワーを浴びるなんて、聞いたことない話だ。
 でも、今は少し汗臭いし、体を温める意味でもシャワーは意外と悪くないかもしれない。

 面倒なことこの上ないが、ここまで来たら言うことを聞いてやる。
 その代わり美味い飯を食わせてくれよ。

 そうぶつぶつ言いながら、シャワーを浴びる。
 大きいシャワーヘッドから、肩と背中にお湯が当たり、冷え切った体を温めていく。
 ぬくもりが全身が包み込む。

 ちょうどいい湯加減に、張りつめていた気持ちが緩んで、ほっとする。
 なんだか、レストランに来ていることすら忘れてしまいそうだ。
 お腹は気持ちが悪くなるほど減っているのだが。

 シャワー脇の棚には、高級そうなボディーソープ、シャンプーとリンスが備え付けられていた。
 ここまで、ずいぶんとサービスのいいお店のようだ。

「Special Feminizerかぁ。どういう意味だろう」

 英語が苦手なオレにはよく分からないが、容器のデザインからして間違いなく高級ブランドだろう。
 手の平に広げた白いボディーソープから、どことなく華やかな香りが漂ってくる。
 せっかくの高級品だ。使いつくしてやる。
 タダだからという理由だけで使いすぎるのは、貧乏性の悪い癖だが、石鹸ぐらいいいだろう。
 大量のボディーソープを体に付けて、泡立てながら全身を洗っていく。
 細やかな泡に包まれると、体の芯からじわじわと暖かくなっていく。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

リアルフェイスマスク

廣瀬純七
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...